暦法

 太球では様々な暦(こよみ)が使用されている。ここでは数多くの暦から有名なものを選んで紹介する。

玄暦(ゲンヴェディス暦)

歴史的経緯

 玄暦(ゲンヴェディス暦, 麗:Genvedisspfassailo, 多:Genvedissaum Pfassailo)は、焔陽暦(太陽暦)の一種である。古タゴマスの政治家・科学者であったカンザエッターレ=ゲンヴェディス(Kanzaettare Genvediss)が創始した暦であり、もともとはタゴマス王国だけの標準暦だった。

 タゴマスの高度な技術力とともに玄暦は露州へ広まっていき、玄歴1000年ごろには全域に普及したといわれる。その後、バレデーやレイトガイジェンなどの植民地活動により世界中に広まった。現在では世界の標準暦となっており、どこでも通じる。

解説

 玄暦は一年を16か月に、1ヶ月を4週間に分割する。また、一年は513日に分割される。513というのはかなり中途半端な値だが、もとからこうだったわけではない。最初にゲンヴェディスが玄暦を作ったとき、一年を510日と定めた。しかし、天文学の発展と共に、玄暦と現実の一年に乖離があることが分かってきたため、玄歴暦10年6月に当時のタゴマス国王だったシーヴィエット=レソエビウス=トール=ザイフクスト(Xiviett Resoebius Tor Zaifkst)が玄暦の改定を命じ、改定が行われた。そのため、改訂以前の玄暦を旧玄暦(Fourgenvedisspfassailo)ともいう。

 玄暦は西暦に比べるとかなり規則的な暦で、16か月のうち14月と15月を除いて一ヶ月は32日である。焔陽暦であるため、玄暦には閏年が存在する。前述の通り、玄歴は一年を513日とするが、実際に太球が焔陽を公転するのにかかる時間は513.3291日であり、0.3291日のずれがある。よって、3年に一度、閏年となる。ただし、702年に一度は閏年とならない。閏年では、1月が33日となる。 

 現在(西暦2021年3月)、玄暦1646年7月である。技術力を基準にして西暦に直すと、おおよそ2020年代後半~30年代前半にあたる。

紋令皇從暦(もんりょうこうじゅうれき)

歴史的経緯

 紋令皇從暦(Mian-dau-jioa-tâ-küo, ミアンダウジオアタークュオ)(新字体表記:紋令皇従暦)(麗:Miandau Jailxeinq Pfassailo)は、主に紋令大帝國および麟巖連邦で伝統的に用いられている暦法である。紋令の初代皇帝である冠嚆帝(かんこうてい)が皇位に就いた年を基準にしている。紋令国民からすると、万世一系で延々と続いてきた偉大な皇帝の名が冠された暦であり、日本人にとっての元号のような暦である。最初は紋令でのみ使われていたが、紋令の領土拡張運動・植民地運動の影響により、紋令大陸の中部~北部の国家の多くで採用されており、現代に至ってもなお大きな存在感を保っている。

解説

 紋令皇從暦は玄暦と同じく焔陽暦を採用しており、一年は玄暦と同じ513日である。玄暦に821年を足すとおおよそ皇從暦と同じ年になる。

 ただし、玄暦とは様々な点で相違がある。まず、玄暦とは4ヶ月(128日)分のずれがある。紋令皇從暦と玄暦に直接的関わりはないので、これは当然である。次に、皇從暦では一年が12ヶ月に分けられる。なぜ一年が12ヶ月なのかについては様々な説があるが、「太球月の周期を考慮した」という説が有力である。一ヶ月は42日か43日であり、2月・5月・9月は42日、それ以外の月は43日である。

 閏年は玄暦と同じ基準で運用されるが、皇從暦2012年(玄暦1201年)に、本来より閏年を2日多く入れていたことが判明したために、2016年と2019年は閏年でなくする措置が執られた。702年に一度は閏年を入れないという規則を無視したことが原因とされる。

 一週間は7日である。

鼎教聖暦(テイネダシュ教聖太陰焔陽暦)

歴史的経緯

 鼎教聖暦(ていきょうせいれき)は、主に東ノートムスで信仰されているテイダネシュ教域で使用されている暦法である。玄歴467年に、テイダネシュ教開祖であるカタネティーが同志のガスケムスらと共に作り、468年に運用を開始した。

 テイダネシュ教域では非常によく使われている暦法であり、パルーティーなどのいくつかの国家では運転免許証などにも鼎教聖暦が適用されている。現代ではさすがに玄暦と並行運用することも増えたが、今でも宗教行事や季節の行事は鼎教聖暦を基準にして行われる。ただし、社会主義を標榜するセケシヤムスは、宗教的意味合いのある鼎教聖暦を避け、玄暦を使っている(鼎教聖暦の民間利用は禁じられていない)。

解説

 鼎教聖暦は太陰焔陽暦(太陰太陽暦)であり、一年を13か月に、一か月を39日に区分する。太球月の公転周期は38.9日であるため、焔陽暦とは507.3-38.9×13=約1.6日分のずれがある。このため、5年に一度、一年を5日増やす閏年が設けられる。