レーゲン語は英語と似ているのか

 このページでは、レーゲン語が英語と似ているかどうかを、共通点と相違点をそれぞれ挙げて検証する。

共通点

・表音文字で表記する

 レーゲン語はレートシージェをいう表音文字(あるいはラテン文字転写)で表記され、文字数も同じである。これは、フォントを作るときに一般的なキーボードで打ち込みたいと思っていたからである。ダイアクリティカルマークつきの文字はスマホなどでは打てないか、打ちにくいので避けたかった。

・SVO 語順である

 レーゲン語は、基本的に SVO 語順である。ただし、格変化や動詞の活用が残っているので、英語よりは語順は自由である。

・形容詞を名詞の前に置く

 これは文字通りである。「青い空」は"wand(青い) zarrn(空)"である。

・国際語の地位を獲得している

 英語はイギリスとアメリカのおかげで世界中で用いられる言語となっている。レーゲン語も、レイトガイジェンの植民地活動により、少なくとも主要国では通じる言語である。国際組織の公用語である点でも共通している。

 レーゲン語を覇権国家の言語としたのは、借用語が多くなるのを回避するためである。もっとも、英語はノルマン征服やルネサンスなどの影響により、語彙が借用語だらけである。

・子音の多くが英語にもある

 レーゲン語の子音のうち、英語に音素として存在しないものは /ç/ と /r/ の二つだけである。逆に、英語にあってレーゲン語にない子音の音素は /θ/ と /ð/ の二つである。

・代名詞が共通している

 英語にもレーゲン語にも四人称の代名詞はない。

相違点

・母音が少ない

 レーゲン語の母音は a, i, u, e, o の5つだが、英語にはもっと多くの母音がある。

・格変化が複雑

 英語は代名詞を除いて名詞の格変化が存在しないし、形容詞に至ってはまったく変化しないが、レーゲン語ではすべての名詞・形容詞が格変化する。

・動詞の活用が複雑

 英語の規則動詞はたった4つ(例:playはplay, played, playing, plays)の形にしか活用しない。一方で、レーゲン語は40個以上の形に活用する。レーゲン語に分詞は存在しないが、動形容詞を分詞として含めると、その倍だけに活用することになる。

・不定詞がない

 レーゲン語に不定詞はない。

・相を正副詞で表す

 英語では、開始相はstart V-ingと、動名詞の形で表す。このように、英語でレーゲン語の相を表現しようとすると、動詞+動名詞の形で表現することになる例が多い。一方で、レーゲン語では動詞の後ろに副詞を置くか、動詞の活用によって相を表すことができる。

・時制の一致が存在しない

 英語では、従属節の時制が主節の時制に合わせて変化する「時制の一致」という現象が起こる。レーゲン語では、時制の一致は発生しない。

例:I knew that he had bought his house. (私は彼が家を買ったと知った) を麗訳すると Tuu maifet lesek Mii latant Miir lauxemf. となる。

・人称代名詞の種類が多い

 英語では人称代名詞は I, thou, you, he, she, it, we, they の8つしかない。しかし、レーゲン語には一つの人称につき丁寧と悪感の二つの代名詞がある。一人称と二人称に至っては、3種類づつもあるのである。これは製作の際に日本語とアルカの影響を受けた結果である。

・感情を表す専用の品詞がある

 レーゲン語には感情詞という話者の感情を表す品詞が存在する。例えば、ras(~です), jegn(~するはめになる), loum(~なさる)などである。英語含め地球の言語に感情詞にあたる品詞はなく、他の品詞と組み合わせたり、文脈によって感情を表す。

・冠詞がない

 英語には不定冠詞 a, an と定冠詞 the があるが、レーゲン語にはない。レーゲン語にも特定指定の前表詞 ze はあるが、これは英語の the の用法とは違う点が多いので、冠詞とはいいがたい。

・It 構文, There be 構文がない

 レーゲン語で天候を表す時は「(天候)が来ている」といういいかたをする。「雨が降っている」は "Zaad galtest." である。時刻を表す時は、「(時刻)が今だ」といういいかたをする。よって、「今は9時です」は "Niinye zel tiis sau." となる。レーゲン語に形式主語は存在しない。

 また、「~がある」(英語の There be 構文)は、日本語と同じ言い方をする。「机の上に本がある」は、"Pax tiis vil vakxil." である。there(そこ)に一番近い意味のレーゲン語は siwel(そこ)だが、Siwel tiis pax vil vakxil. とすると「そこが机の上の本である」とか「机の上では、そこは本だ」という、奇妙な意味になり、文意が異なってしまう。

・前表詞の存在

 英語には前置詞といって、名詞の前に置かれ、それを修飾する品詞がある。レーゲン語にも似たような「前表詞」という品詞があるが、前表詞はより自由な使い方ができる。

 例を挙げる。前表詞は、文頭かコンマの後に置けば、全体を修飾できる。つまり、Pau Tuvet loikert is ousnatvasil, ous mix vaint sovu.(私たちが昨日遊んだ場所で、男が殺された。)における pau は、Tuvet~ousnatvasil の全てを修飾しているのである。isは文中にあるので、直後の ousnatvas のみを修飾している。英語の前置詞にこのような便利機能はない。

 英語では接続詞である if や because にあたる jil, dissto は、レーゲン語では前表詞である。dissto の後に名詞だけを置けば、英語の because of の意味になる。

例:Dissto zaad xvandest, Tuu seitiset pau toir lauxemf.(雨が降ったので、家にいた。英:Because it rained, I was in my house.) は、Tuu seitiset pau toir lauxil dissto zaadam.(私は雨のため、家にいた。英:I was in my house because of rain.)

 このように、レーゲン語と英語には共通点も多いが、相違点も多く、レーゲン語が英語の剽窃言語であるとは言えない。