海と陸

 地球は「水の惑星」とよばれる。これは地球の総面積の内およそ7割が海であることによる。衛星写真で最も陸が多く写せるようにしたもの(陸半球)でも、海の割合は51パーセントと、海の方が僅かに広い。逆側の水半球ではなんと、88.7パーセントが海である。

 さて、「陸がもっと広かったらいいのに」などと思ったことはあるだろうか。確かに、陸が広くなれば、住める場所も増えるし、今より大量の鉱物や森林があっただろう。しかし、陸の面積が大きいことは良いことばかりでは無いのである。陸:海が現実の地球と正反対(7:3)になった地球を考えてみよう。こうなると様々な問題が生じる。

 まず第一に、気温の日較差が大きくなってしまう。地球の気温が1日で大きく変動しないのは、陸と海(水)の比熱が異なるからである。一般に、岩よりも水の方が比熱が大きい(熱しにくく冷めにくい)。よって、太陽が登っている間は陸が強く温まり、海はまだそれほど暖かくはならない。しかし、太陽が沈むとこれは逆転する。太陽の熱を受けなくなった陸は早めに冷却されるが、昼間に温められた海はまだ冷えていない。ゆえに、まだ暖かい海の熱が、陸に向かって流れ込んでくるのである。これにより、夜であっても陸は比較的寒くならないですむ。

 だが、海の面積が狭いとこの現象が起きにくくなるので、日較差が大きくなってしまう。気温の変化が激しいと生物は住みにくい。

 次に、砂漠の面積が大きくなってしまう。砂漠の発生要因のひとつに、内陸まで雨雲が行き届かないということが挙げられるが、陸が今より広くなれば当然雨雲が行き届かない範囲も広くなる。また、蒸発できる(=雲になる)水の量が少なくなるので、そもそもの降水量も少なくなるだろう。

 また、温暖化がひどくなる。地球温暖化の原因として頻繁に挙がる二酸化炭素は、水に少し溶ける。現在、海にはすさまじい量の二酸化炭素が溶け込んでいるが、海の面積が少なくなると海中に溶けられるCO₂量が減少するので、温暖化が今よりも促進される。


 このように、陸の面積がやたらに大きいといろいろと困ったことが起きる。最初、太球世界の陸の面積はもっと大きく、おおよそ陸:海は5:5程度だったと思われる。しかし、地理を学び、この状態では無理があるとわかったので、2020年5月に陸の面積を小さくするように地図を改訂した。これで陸の割合は25パーセントくらいになると思われる。今の状態では、気候への影響はおよそ問題ないはずである。