これは、2020年11月15日以前に、レーゲン語資料集のページに記載されていたアルゴイレレスのページのアーカイブです。現在のアルゴイレレスとは異なる設定がありますのでご注意ください。












軍需省アーカイブ:玄歴1640年6月43日 日本語訳済み




アルゴイレレスに関する報告書

以下は、現在レイトガイジェン国政府がアルゴイレレスについて解明した情報を、国民へ向けて公開するものです。

概要

アルゴイレレス(Argoireres)は1394年、セケシヤムス社会主義国に初めて出現した巨大生物の呼称です。形状は様々ですが、概ね人や獣に近い形をしています。

生物とは思えないほどに体の強さは常軌を逸しており、銃などでは傷すらつかず、対艦ミサイルを用いてようやくダメージを与えられるほどに強靱です。

基本的に出現する際は海中から現れますが、まれに地中から出てきたり、なんと空中から落ちてきた例もあります。現れる際は1~2体がまとまって来ることがほとんどです。

2054年以来、年ごとの出現数は増加の一途を辿り続けており、1425年時点での出現数は1400年の二倍に匹敵する112体でした。

アルゴイレレスの死体を分析すると太球に存在しない物質が発見されたため、アルゴイレレスは宇宙生物である説が提唱されていますが、これには信憑性が不足しています。

なお、「アルゴイレレス」という名称は1395年に生物学者ガーデンが提案したもので、怒神アルゴイル(Argoir)の使者という意味です。

性能

大きさ

まずアルゴイレレスにおいて際立っているのは、その巨躯でしょう。最も小さいものでも15m近くあり、最大のものでは500mを超えます。

通常これほどまでに大きい生物は、地上では自重に耐え切れず潰れて死んでしまいます(鯨がよい例です)が、アルゴイレレスの体は異常に密度が低く、体積の割に体重が軽いので自重で死ぬことはありません。

しかし、いくら密度が低いとはいえ、体積の割に軽いだけなので、家を踏み潰すことなど造作もありません。体当たりをすればビルでもあっさりと崩壊させることができます。

形状等

前述のとおり、概ね人型です。2足歩行で、2本の腕を持ちます。人型のもの以外では、熊か狼のような形状をした四足歩行を行うものも確認されています。稀に尻尾を持つ個体もおり、これは専ら地面にたたきつけたり、戦闘機に当てたりして攻撃に用いられます。皮膚は黒に近い赤色をしています。

しかし、大抵の個体は風臓という臓器が口の奥側に存在するため、首が後ろに大きく突き出た形をしています。よって、胴と首の筋肉が大部分で繫がっています。このためにアルゴイレレスは首を左右に30度ほどしか振ることができません。風臓を持たない個体は人間のように首を左右に90度程度振ることができます。

声帯にあたる構造は確認されていないため、脳の性能が異常に高いにも関わらず、言語による意思疎通は不可能とみられます。吠えることはあり、個体にもよりますが、近距離では聴覚を破壊するほどの音量があります。

皮膚

アルゴイレレスの皮膚は極めて強靱で、かつ柔軟性を持ちます。戦車砲や機関砲は全く通じず、対艦ミサイルの一斉攻撃でようやく傷が付くほどの堅さを誇ります。もっと硬い個体では地中貫通爆弾や、最悪の場合核兵器を用いなければなりません。なぜこれほどまでに強靭なのかは、現在の人類の科学力では解析不可能です。

皮膚は最も薄いところで10cm、最も厚いところで50cm以上と、極めて分厚く、また、零下50度~1万度ほどの温度に耐えることができます。

皮膚表面には気孔が大量に存在しており、肺呼吸を行っています。水中では呼吸機能が変化し、水から酸素を補給するようになります(効率は低下する)。

骨骼

アルゴイレレスは主にカーボンファイバーで構成される丈夫な骨を持ちます。カーボンファイバーが生物に存在するというのは初めての事例です。

これによりアルゴイレレスは軽さと共に生物としては桁外れな頑丈さを兼ねることができています。

脚や腕など、大きな骨は複数の骨が集まり、1つの骨を構成しています。

もし熾烈な攻撃により骨折が起こったとしても、3~5日という驚異的な速さで骨が再生されます。とはいっても、脚の骨を折られると動くことが困難になるため、上陸されると特に著しい被害が出る風豪型アルゴイレレスには骨を折る攻撃法がよく使われます。

骨同士は普通の生物と同じく、関節で繫ぎ止められていますが、脱臼を防ぐためにより強く骨同士がかみ合っています。

筋肉

アルゴイレレスにはその巨大な身体を動かすための筋肉が存在します。筋肉と骨は非常に太い腱で繫がれています。

筋繊維は横紋筋でありながら持続性を持つ特殊な繊維で構成されています。平滑筋は身体の一部を除き存在しません。筋繊維にはミトコンドリアのようなエネルギー生産の器官が大量に存在しており、筋肉の要求するエネルギーを供給しています。

筋肉の量は個体により異なり、BC-12のように筋肉が明らかに体表に浮き出ているような個体もいれば、F-34のように筋肉がほとんどなく、運動性に欠けるものもいます。

ただし、どのような個体であっても、筋繊維はほとんどの場合で一致します。

血液

アルゴイレレスの血液は鮮紅色です。分かりやすく言うと、チェルベット(チューリップ)の花のような赤色をしています。ただし、色素はヘモグロビンによるものではありません。アルゴイレレスにのみ存在する物質が含まれており、アルゴハドンと呼ばれます。

血液は体中の細胞に栄養および呼吸源となる酸素などを運びます。また、冷却水の役割も果たしており、風臓から発生する熱を排出する役目を持っています。

XRTは10(pH5)で、弱酸性です。血液は人間には猛毒であり、10gの摂取でも死亡する可能性があります。国民の皆様は、もし血を見つけたとしても、決して触らないようにしてください。飲むなどもってのほかです。

血管はほかの生物と同じく静脈と動脈がありますが、静脈であっても流れは非常に速いです。血管中にはポンプのような構造があり、頭の方まで血液を運べるようになっています。血圧は極めて高く、最低でも数十気圧はあると推測されています。

血液を構成する器官には主に次のようなものがあります。

  • 血漿…血液の大部分を占める液体。他の成分を運ぶ。色は淡青色。

  • 赤血球…呼吸源となる酸素や二酸化炭素を細胞に運搬する。鮮紅色。

  • 攻撃球…体内に入ってきた病原体を食べたり、抗体を発射したりして殺害する。血球の中で最も大きい。

  • 止血球…真球にちかい形をした血球。出血した場合、凝固のための繊維を中から放出し、止血を行う。

臓器

アルゴイレレスは多くの臓器を持ちます。人間とはたらきが共通するものもありますが、形は全く異なります。

脳はアルゴイレレスを司る臓器です。脳は3つあり、頭にあたる部分に1つ、主となる大脳があり、腹部の奥には2つ副脳と呼ばれる脳が存在します。これは冗長性を持たせるためと推測され、大脳が傷ついても、副脳が無傷であれば何ら問題なく生命活動を続けることができます。

脳は人間のものよりも圧倒的に高機能で、瞬時のうちに行動を決定したり、例えば、どこを攻撃すれば都市が機能を停止するかなどを判断したりできるのです。

脳を破壊すればアルゴイレレスは死亡しますが、脳は脳そのものがまず硬く、さらにほかの骨と比べてもかなり丈夫な頭蓋骨で守られているためこれは困難です。

  • 心臓

心臓は全身に血液を送る循環系の中枢です。心臓の数は個体により異なり、最少2個、最多で6個です。70パーセントの個体は3個の心臓を持ちます。心臓が複数個あるのは、1個しかなければ全身に血液が回らないからだと推測されています。

心臓は人間と同じく2心房2心室ですが、左心室と右心室の役割が逆で、右心室で全身に血液を送り出します。

心筋は横紋筋でありながら持続性を持ち、さらに皮膚に匹敵する丈夫さを持ちます。このため心筋は装甲の役割も果たしています。

  • 肺臓

アルゴイレレスの呼吸器官は肺と呼ばれます。ただし、ほかの生物の肺(dank)と区別するため、アルゴシュピセス(argoxpises)といいます。

アルゴイレレスの肺は2種類に分かれます。まずひとつが主肺とよばれるもので、これは皮膚の直下に無数に存在しており、主肺内にある大量の肺胞で呼吸を行います。呼吸の大半は主肺で行われます。もうひとつの肺は副肺とよばれるもので、口部から直接取り入れた気体を用います。この2つの肺の連携により常にエネルギーを取得でき、アルゴイレレスの巨躯を支えることに役立っています。

呼吸に使われる気体は主に酸素とみられています。ガス交換の仕組みは人間の肺とおよそ同じです。充分に光が取得できる場合は、光エネルギーを使った呼吸も行います。

アルゴイレレスは食事によるエネルギー補給を行わないので、肺の力だけですべてのエネルギーを供給していますが、これが事実であれば明らかなエネルギー不足となります。これをアルゴイレレスがどう補完しているのかは解明されておりません。

  • 風臓(ふうぞう)

咽喉部に存在する空洞状の臓器です。ほとんどのアルゴイレレスが持っています。風臓の大きさは個体により異なり、筋肉質であるほど大きい傾向にあります。

風臓のはたらきは生物としては不自然で、風臓内で加速させた空気を口腔から撃ち出し、物体を破壊するというものです。自然界の生物にも毒液を噴射したりして獲物を殺す生物は存在しますが、アルゴイレレスは食事を必要としないため、本来ならば風臓は不要な臓器となります。

風臓から撃ち出される突風は極めて強力であり、Gスケール(ガラヴィルムスケール)という区分けにより6段階に分けられます。

風臓の風は横へ大きく広がる性質を持っていますが、理由は不明です。

  • 肝臓

毒物の無害化、血液の生成などの多彩な機能を持つ臓器です。腹部に存在します。極めて巨大で、家が何個も入るほどの容積を誇ります。

  • 生殖器

存在しません。

性格

アルゴイレレスのほとんどは獰猛な性格をしています。自らを攻撃するものには容赦せず、体当たりや風臓での突風攻撃を能動的に行います。

森林などをただ闊歩するだけのおとなしい個体も10パーセント程度存在します。ですがこのような個体であってもいつ都市部に向かってくるか分からないので、こういった「おとなしい」個体も駆除の対象とします。アルゴイレレスを駆除することは憲法の理念に沿った、我が国の責務です。

ごく稀に人類に襲いかからない個体も存在します。

人類側の対処

このように厄介な存在であるアルゴイレレスに対して、人類は今までに様々な対処法を編み出してきました。

〈現在も行われている対処法〉

・対アルゴイレレス地下シェルター

2060年代より世界中で建設が開始されました。アルゴイレレスが出現した際に市民が避難する地下シェルターです。アルゴイレレス以外の災害にも使えるため、一般には「万能シェルター」とも呼ばれています。

国民は自らの住む地域に避難警報が発令されるとシェルターへ避難する義務があります。

大きさは場所によって異なり、概ねレパーツドーム1~3個分です。1つのシェルターには2万人程度の人々を収容できます。一番大きいシェルターは慧京(紋令大帝国首都)にある慧京第二地下防御壕であり、レパーツドーム5個分もあります。これは9万人を収容できるほどの容積です。

シェルターは4層あり、身体が不自由な方は行き来がしやすいように上の方に収容されます。入り口は目立たないように加工されており、大抵のシェルターには3つあります。トイレは10~20部屋につき一つの共同トイレが設置されています。風呂は存在しませんが、共同水道でタオルを濡らすなどして、身体を拭くことは可能です。ずっと体を洗わないと疾病の蔓延にも繫がりますから、できる限り身体の清浄を行ってください。

部屋は小部屋と大部屋があり、3人世帯までは小部屋、それ以上は大部屋に入っていただきます。小部屋は4畳ほど、大部屋は6畳ほどの広さを確保しております。どの部屋にも3日分の食料と水、および電子レンジとポットが備え付けられておりますので、入所した方はこれらをご飲食ください。

地下にあるため、風臓での突風攻撃の影響をほとんど受けず、安全です。過去にはアルゴイレレスが天井を踏み抜いてしまい、入所者が死亡することがありましたがが、これも度重なる天井の強化により心配には及びません。シェルターはおおむねアルゴイレレスから人々を守るための最善策といえるでしょう。

対アルゴイレレス防御壁

一部の国で作られています。我が国は採用していません。アルゴイレレスが乗り越えられないほど高く、突き破れないほど分厚い壁です。小型のアルゴイレレスが多い穏広洋沿岸の国で実施されています。

小型のアルゴイレレスは風臓を持たないか、あっても貧弱であるので、破られる心配がありません。とはいっても稀に大型の個体が出現した場合、突破されることがあるので、防御壁は見直すべきとの声も存在します。

耐風建築

風臓での突風攻撃に耐えるため、改正建築基準法に基づき、家屋は従来より強靭に建てられます。

対アルゴイレレス用兵器の開発

現在、国軍は皮膚を貫通することに重きを置き、高貫通徹甲弾などの貫通を目的とする弾丸の開発を進めております。実際、13クダム程度までの小型の個体には充分な有効打を与えることができております。

機関砲射撃などの軽い攻撃が功を奏さなかった場合、爆撃を行いますが、この際にも貫通力を極限まで高めた地中貫通爆弾を用い、確実に標的を殺害します。

海上で攻撃する場合には電磁投射砲(レールガン)を大量に装備した戦艦が迎え撃ちます。

また、アルゴイレレスが出す特殊な波を検知できるレーダーも存在します。探索範囲が狭いなどの欠点はありますが、世界中で用いられています。

アルゴイレレス迎撃作戦

レイトガイジェンでは2059年に対アルゴイレレス迎撃作戦が構築され、幾度の変更を受けながらも現在まで運用されています。以下に、大まかな作戦綱領を掲載します。作戦標語は「発見、攻撃、殲滅(Keix, Zigaat, Daizigateeqjibeirrkenx)」です。

1.海上迎撃作戦「R-n作戦」

アルゴイレレスを海上・海中で捕捉した際に発動する、水際での迎撃作戦。作戦開始前にはレイトガイジェンの海域をまずAからCまで大まかに区分し、さらに1~9に分ける区画分けを行い、作戦を開始する場所を指定します。この区画分けの結果がそのまま作戦名となります。ただし、重大な作戦においては別に作戦名が与えられることもあります。

作戦は主に海上・海中で行われるため、艦隊戦が主となります。作戦は以下のように進行します。

第一段階:哨戒機による威力偵察、および戦闘ヘリによる威嚇射撃。効果がなければ、対戦車ミサイルの発射も行う。個体が海中深くにいる場合は、対潜爆雷の投下のみを行う。

第二段階:艦隊による艦砲射撃、ミサイルの発射。ここに対潜爆雷攻撃が加わる場合もある。

第三段階:第二段階の攻撃に加え、駆逐艦および潜水艦による魚雷・爆雷攻撃。

第四段階:空軍による水中用貫通爆弾の投下。個体の殲滅を完了する。

現在ではアルゴイレレスが作戦途中に撤退した場合、作戦を中断し、30分(=36分)経過しても再来しない場合、その時点で作戦を中止することになっています。これは陸上迎撃でも同様です。

対象がかなり陸に近づいている場合、陸軍とも連携して作戦を展開いたします。


2.陸上迎撃作戦「R-n-n作戦」

アルゴイレレスを陸上で捕捉するか、海上迎撃が間に合わなかった場合に発動する、陸上での迎撃作戦。作戦開始前にはレイトガイジェンの国土をまずAからCまで大まかに区分し、続いて1~9に分ける区画分けを行い、それをさらに1~9に分け、作戦を開始する場所を指定します。この区画分けの結果がそのまま作戦名となります。

作戦は陸上で行われるため、主に陸空軍が主戦力となります。作戦は以下のように進行します。R-n作戦の後継で発動される場合は海軍からの掩護攻撃も行われます。

第一段階:哨戒機による威力偵察、および戦闘ヘリによる威嚇射撃。効果がなければ、対戦車ミサイルの発射も行う。

第二段階:戦車部隊による砲撃および戦略部隊による火力投射。

第三段階:空軍部隊によるミサイル攻撃及び地中貫通爆弾による爆撃。個体の殲滅を完了する。

最終段階:事前に周囲の国民、軍を避難させた上で、目標の強さに合わせた威力の水素爆弾の投下を行う。確実に個体の殲滅を完了する。

ほとんどの場合では第三段階でアルゴイレレスは死亡しますので、核兵器を使用することはほとんどありません。ご安心ください。

<過去に実行または検討されたが、今は使われていない対処法>

生物兵器

致死性の高い細菌・ウイルスを培養し、皮膚に撒布することで、アルゴイレレスを病気にして殺す方法です。倫理的に問題が多いうえ、撒布した所に数年間は近づけなくなるという問題点が存在したのですが、5回実行されました。全く効果が無かったため中止となりました。

超酸・超塩基兵器

超酸や超塩基を内部に満載した物体を投下し、皮膚を溶かしてダメージを与える兵器。アルゴイレレスにも有効でしたが、環境団体より環境破壊につながるとの抗議を受けたため、現在は使用を停止しています。


今後も、我が国は国民をアルゴイレレスより守るため、最大限の努力を尽くしてまいります。

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