レーゲン語には曖昧母音 /ə/ が存在する。文法書にもそう書かれている。ここでは、どのような場合に、どんなところに曖昧母音が現れるかを述べる。
このページでは、アクセントの位置は、アクセントを置く母音の直前にアポストロフィ(')を置くことで表す。
レーゲン語の発音記号における曖昧母音は、中舌中央母音 /ə/ の範疇に入る。いわゆるシュワー(Schwa)である。地球の言語だと、たとえば英語の generation /d͡ʒɛnəɹ'eɪʃən/ や conduntor /kəndʌktə(ɹ)/ などに現れる。
レーゲン語の曖昧母音は、綴りに影響されて微妙に音が変化する。たとえば、もともと u という綴りのところの発音が曖昧母音になるとき、やや後ろ寄りになったり、場合によっては円唇化したりする。
曖昧母音は、ふつうに発音される場合には、主に末尾に現れる。-en, -em, -un, -um, -ess などが、曖昧母音になりやすい。
例1:Leitgaijen (レイトガイジェン) /'leɪtgaɪd͡ʒən/
例2:nusbadem (鉛) /'nusbadəm/
例3:buttun (トウモロコシ) /'butən/ この ə は、やや後ろ寄り。
例4:zenum (インク) /'zɛnəm/ 同上。
例5:ceetosess (教師) /'t͡ʃ e:tosəs/
やや急いで発音される場合には、語中の e や i も曖昧母音になることがある。語中の曖昧母音は、ややもとの綴りに近い発音になる。
例1:hulteness (レンズ) /'hultənəs/
例2:aldeqeit (~を管理する) /'aldət͡seɪt/
例3:bondinfool (洞窟) /'bondənfɔ:l/
格変化語尾や活用語尾、短い前表詞は、一般に急いで言うときは曖昧母音になる。ただし、強調して言うべき場合は別である。
例1:Tuvet keiniz ten ze xinslaanail isten xapen berdook. (私たちはベルドーを食べるためにそのレストランに行った。) /'tuvət 'keɪnəz tən zə 'ʃ'ɪnsla:naəl ɪstən 'ʃapən 'bɛɹdɔ:k/
例2:Tuu xvandort isten doim Dour ten welen /tu: 'ʃvandoɹt ɪstən dɔɪm douɹ tɛn 'wɛlɛn/ (お前に会うため、ここに来たんだ!) ten と welen から曖昧母音が消えている。
そのほか、dnやmnといった子音の連続について、曖昧母音が挟まれることがある。これは発音しやすくするために挟まれるもので、本来の発音には存在しない。また、レーゲン語の二重母音でない母音の連結(oaなど)の場合にも、曖昧母音が生じる。
例:Kaaldomn /'ka:ldomən/ カールドムン(地名)
例2:hadn /'hadən/ 血
例3:eftxrron /'ɛftəʃron/ 儀式
例4:dimoanzanaun /'dɪmoənzanaun/ アンモニア
極端な場合には、曖昧母音さえ消えることがある。ラップやポップスなどで、韻を合わせたりリズムをよくするために意図的に起こされることがある。
例1:banzil-hestix bailslande jelid'mf /'banzɪl hɛstɪʃ 'baɪlslandə 'd͡ʒ ɛlɪdm(f)/ (空っぽな箱に娘を閉じ込めてやる)