セケシ語

 セケシ語(瀬:sekexirük, 麗:Reftialenq, Sekexilenq) は、セケシヤムス社会主義国で話されているという設定の人工言語である。母語話者数は152000万人。

文字

 ユステュン文字(Üstün)とよばれる表音文字(アルファベット)を使って表記する。ユステュン文字は古代のオークヮン王国時代にはすでに成立していた、世界的に見ても古い文字体系である。左から右に向かって書く。母音字11字、子音字18字の計29文字で構成される。

 セケシ語は、発音と綴りの乖離は非常に少ない。これは、スュラミャムス帝国時代に第三代皇帝が綴字改革を断行して綴りを発音に合わせたためである。それ以前では、発音と綴りにはズレがあった。

 ユステュン文字には大小の区別がない。これをラテン文字に転写する際には全て小文字を使う。一部の文字を除いて、基本的に単語単位でつなげて書く。また、続け書きを容易にするための工夫として、アラビア文字と同じように、単語の前後中どこに来るか、あるいは単独で用いるかによって形が変わる性質を持ち、単独形、語頭形、語中形、語末形がある。したがって、実際には29*4=116 の形を覚える必要があるが、形状変化にはある程度の規則性があるので暗記はそれほど困難ではない。点や線、マルなどを加えた文字を除けば、文字の種類は15まで減る。

 なお、ユステュン文字はラセギ語(羅犀語)やパルト語などの表記手段としても用いられている。これらの言語では、発音を正確に表記するための追加文字や補助記号が加えられていることが多い。

音韻

 11個の基本母音と、それらの組み合わせで作られる多くの連母音、及び18個の子音からなる。ただし、ここでの「母音」は半母音+母音の組み合わせを含むため、音韻学的に考えれば母音の数は a, i, u, ü, e, o の6つになる。

 子音は、口の前で出る音から順に記し、その中でも 摩擦音→破擦音→破裂音→鼻音→その他 の順に並べた。清音は濁音よりも前に配した。

母音

・a /a/ ・i /i/ ・u /ɯ/ ・ü /y/ ・e /e̞/ ・o /o/

・ya /ja/ ・yi /ji/ ・yu /jɯ/ ・ye /je̞/ ・yo /jo/

子音

・p /p/ ・b /b/ ・m /m/ ・w /w/

・s /s/ ・z /z/ ・sfh /θ/ ・zvh /ð/ ・t /t/ ・d /d/ ・n /n/ ・r /ɾ/

・x /ʃ/ ・j /ʒ/ 

・h /x/ ・k /k/ ・g /g/ ・ngh /ɴ/


註:簡易表記として、sfh を θ, zvh を ð, ngh を N で表記することが許される。

発音

 セケシ語は閉音節言語である。昔は開音節言語だったが、中世以降、母音の無声化が進んだために閉音節言語に分類されるようになった。もともと開音節言語だったという事情があるため、母音の割合は他の閉音節言語とくらべて多めである。

 参考までに、無声化された部分は以下の通りである。例外もある。

・語末の u, o 

例:rakatesu(話す)→rakates /rakate̞s/

・k, h, x, j のあとにつく i 

例:kimongh(鳥)→kimongh /kʲmoɴ/ (表記は同じだが発音は異なる)

アクセント

 セケシ語は高低アクセントであり、語の始まりが高いか低いか、および単語の音がどこで落ちるかの2つで区別する。したがって、関西日本語のように聞こえる。音の高低は相対的なものとして判断される。

文法

 文型はVSO型である。日本語で表すと、「話す私はセケシ語を」といったような感じ。地球では SOV, SVO に次いで多い文型。ただし、繫辞を使った文だけはSVCになる(厳密には、これは倒置)。

 セケシ語は膠着語であり、日本語と同じように、名詞は活用しない。その代わりに格法詞(かくほうし)という活用しない品詞によって格を表す。格法詞には前置されるものと後置されるものの双方がある。格法詞と名詞の間はスペースなし。

例:rakates tezvhen witosekexirük. 私はセケシ語を話す。(逐語訳:話す - は(主格)- 私 - を(対格) - セケシ語。)

例2:tezvhen je ga sekexiyamus rüngh. 私はセケシヤムス人です。(逐語訳:は - 私 - です -- セケシヤムス - 人。)

 時制は過去非過去かの二通りである。非過去形=現在形がデフォルト。相はいろいろある。代表的なものは、開始、進行、終了、完了。時制は、動詞の活用によって表す。動詞の活用形は、場合によって4つある。規則変化が三つ、残り一つが不規則変化である。

 相は、補助動詞によって表す。補助動詞は、本来の意味を失い文法を表す動詞である。たとえば日本語の「食べている」の「いる」は、補助動詞である(進行を表している)。

 態は受動態能動態の二つ。デフォルトは能動態で、受動態は格法詞で表す。

 法は直説法、仮定法、命令法、希求法などがあり、基本的に格法詞により表す。直説法がデフォルトである。

例:pax rakates tezvhen witosekexirük. 私はセケシ語を話したい逐語訳:したい - 話す - は(主格)- 私 - を(対格) - セケシ語。)

例2:zbex, kidangh dirüs nyahwoke! じゃあ、(セケシ語を)たくさん学びなさい!(※zbex=zbes+i)

例3:kidangh rakates witosekexirük. セケシ語を話しなさい。(逐語訳:しなさい - 話す - を - セケシ語。)

 動詞の原形は必ず -am または -i で終わる。たとえば、rakates の原形は rakatesi である。動詞は活用する。

 否定は動詞の活用による。副詞は用言に前置することを基本とする(例外もそれなりに多い)。

例:pax nierakates tezvhen witosekexirük. 私はセケシ語を話したくない。

 疑問は動詞の活用による。語尾に格法詞

代名詞

・私:zvhen ゼン ・あなた(一般):heix ヘイシュ ・あなた(丁寧):riyas リヤス ・彼:srati スラティ

・彼女:sratin スラティン ・彼ら:sratize スラティゼ ・彼女ら:sratizen スラティゼン 

※男女混合ならば sratio。ただし非常に女性の割合が大きい場合は sration になる。

・これ:tii ティー ・あれ:üti ユティ

格法詞

格を表すもの

<前置>

・主格(一般):te テ ・主格(主題の提示/強調):hüsfhez ヒュセス ・属格:ye イェ 

・直接対格1:wit ウィト ・間接対格:ga ガ ・処格:da

<後置>

直接対格2:o オ ・間接対格(方向性が決まっていない時):rox ロシュ

 ・奪格:baasfh バース  ・具格:swomp スウォンプ ・共格:i イ

法を表すもの

 kidangh, pax 以外は後置。

・仮定:jox ジョシュ ・命令:kidangh キダン ・希求:pax パシュ ・条件:zbes ベス ・穏和:myi ミィ

態を表すもの

・受動態:üran ユラン(後置)

あいさつ

・こんにちは(朝昼晩すべてOK):itansarises. イタンサリセス (wit amisari seski "良い日を" のつづまったもの) 

・ありがとう:baasfh jeako. バース ジェアコ (misara baasfh jeako "心から嬉しく思う" を省略したもの)

・どういたしまして:dannyekabos. ダンニェカボス (kidangh nie kabos "言わないで" のつづまったもの) ※丁寧にして dannyekabos myi. ともいう。

・さようなら:paxuyiyazi. パシュイヤズィ (pax hwau yiyazii. "また会いたい" のつづまったもの)

・ごめんなさい:kidangh beküm. キダン ベキュム ("許しなさい" の意)