レイトガイジェン国憲法

なりたち

 レイトガイジェン国は玄暦1477年にレイトガイジェン王国を引き継ぎ誕生した。同年に憲法草案が出され、民主主義的内容を盛り込み、1479年1月11日発布、同年5月11日に施行された。レイトガイジェン王国が倒された原因が王族による支配への叛乱であったため、民主的政治が望まれたのである。

 ヴェクラムダー総統が就任すると彼の打ち出した国家改造計画の一環として、大幅な憲法改正が行われ、レイトガイジェンは以前よりやや全体主義的な雰囲気をまとった国家となった。今までに憲法は8回改正されている。最新の改正は1632年。

 憲法はレーゲン語でousenjonlaizinkqaiという。国家第一の法律という意味である。

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Leitgaijen Jeebrals Ousenjonglaiszinkqai

レイトガイジェン国憲法

前文

 わが国、及びわが国民は世界で最も偉大なものどもである。燦爛たる文化を築き上げ、壮麗な領土、文化をこの手で守り、長きに渡って保持させてきた。我々レイトガイジェン国民はこの憲法を恒久に遵守し、我らの名誉を発展させ、世界を平衡へと導くことを誓い、この憲法を制定する。

 レイトガイジェン国民は、世界を、我らがこの世に生を受けた時より自然に有する正義、博愛の精神を以て平和と繁栄へ嚮導し、自ら及び自らの子孫たちを安全と自由の下でその命を終えられるようにするための不断の努力を続けることを決意する。そしてそれと同時に、祖国では、我らを世界より突き落とそうとする不要な慣習、法を攻撃廃止し、基本的人権の尊重という絶対不朽の礎の上に平和、文化、地理、人間社会の高楼を、永久の祖国の下に築き上げる所存である。

 かの如き目標を掲げたからには、我らは必ずこれを達成しなければならず、その為には国民の聡い智慧が不可欠である。左様であるならば、レイトガイジェン国民はその智慧を身に付けるための綿密な教育の施しを必要とする。政府は教育を実施するために学校を置かねばならず、また国民は教育を受ける権利を有する。教育を以て理性人間を育成することにより、レイトガイジェンは初めて世界で最も強大な国家となることができるのである。

 そして、国家を発展させる為には、一切不要な国民同士の争いを消滅させ、労働者も、農民も、知識者も、全てが一つに団結しなければならない。今までも国内での紛争は幾度かあったが、それは全くもって不要かつ非合理的な時間であったし、このような愚かな行動に対し、大多数の智慧ある国民達はこれを最大限迅速に収束させようと行動してくれた。今後は更に団結を深め、益々自身を高みへ引き上げることを国民は宣誓する。

 この憲法は、レイトガイジェンを世界の頂点へとひたすらに牽引し続ける国民の精神の結晶であり、レイトガイジェンの最高法規であって、他のあらゆる法律にも妨害されないことを確約する。国内の全ては、政府、機関、軍事力、国民などは勿論のこと、獣畜の一匹一匹、草花の一本一本、血の一滴一滴までもがこの憲法を原則のものとし、尊厳を害することなく、実施し続けなければならない。

第一章 総則

第一条[国民主権] 

1.レイトガイジェン国は、国家の根源である国民を主とする民主主義国家である。

2.すべて国民は、選挙や請願などの行為によって自らの権威を実現することができる。

第二条[国民による国家経営] 

レイトガイジェン国は、国民によって経営される。レイトガイジェン国は、国会がこれの指針を決定する。

第三条[基本的人権の尊重]

すべて国民は、基本的人権を有する。国家は、これを侵してはならず、常に向上発展に努めなければならない。

第四条[主権と法律の及ぶ範囲]

1.レイトガイジェン国は、国土全てにその権力を及ぼす。

2.レイトガイジェン国の法規は、国土全てにその効力を持つ。

第五条[土地利用の自由]

レイトガイジェン国のすべての土地の資源は、国民がこれを利用できる。

第二章 国民の権利と義務

第六条[法の下の平等]

1. すべて国民は、法の下に平等である。すべて国民は、勲章、栄典、表彰、先祖の身分、あるいは法律の定め等によって、いかなる特権も授与されることはなく、又、性別、人種、先祖の出自、元の身分、現在の身分、障害の有無、信条などのあらゆる性質において差別されない。

2. 貴族、王位などの特別身分及び奴隷などの下等身分は、これを絶対に認めない。

3. 国家は、特に大きな快挙を成し遂げた者を、勲章、栄典、賞状などの名目で讃えることができる。ただし、これらの賞讃は、一切の権力を伴ってはならない。賞状の種類は、法律でこれを定める。

第七条[基本的人権]

1. すべて国民は、生まれたときからその命を終えるときまで、全ての期間において基本的人権を有する。

2. この基本的人権は、これまで幾千万の人々が、長い間、世代を継いで幾多の暴力や暴虐、権力と闘い続けた果てに、夥しい犠牲を代償として手に入れた燦爛たる絶対不朽の権利である。国家は、常に基本的人権を現在及び将来の国民に与え、かつ改善し続けなければならない。

3. 国家は、国民の権利と自由を、社会の公序良俗、国民の健康、国家の存続等が著しく脅かされる状況でなければ、これを侵害することができない。

4. 権利と義務は、互いに独立した関係を保つ。

第八条[基本的人権の尊重、保持の義務]

国民は、基本的人権を尊重しなければならず、常なる努力によってこれを保持する義務を負う。

第九条[基本的人権の制限]

国民は、基本的人権を自己中心の武器として濫用してはならず、常に公共の福祉のためにこれを利用する。

第十条[生存権]

すべて国民は、人としての尊厳を保って生存する権利を有する。

第十一条[個人の尊重]

1. すべて国民は、個人として尊重される。国家は、公共の福祉と、実に最低限度の公共の利益に反しない限りの範囲で、いかなる国民の権利も侵害してはならず、これを最大限尊重しなければならない。

2. すべて国民は、身分を不当に、あるいは任意強制的に拘束され、国家のために強制的に貢献させられない。

第十二条[文化慣習の自由]

すべて国民は、自らが使う言語、自らが行う文化や慣習を国家により制限されない。言語は、国民がこれを自由に用いることができる。

第十三条[信教の自由]

1. 何人も、信教の自由を有する。

2.国家は、いかなる宗教団体に対しても、特権あるいは政治的権力を付与してはならず、経済的支援を行ってはならず、又、国教を定めてはならない。国家及び全ての地方公共団体は、いかなる宗教教育も行ってはならない。

3. 何人も、宗教的行事に参加することを強制されない。

第十四条[労働の権利、団結権、団体交渉権、争議権]

1. すべて国民は、労働する権利を有し、又、労働者を保護するために労働組合を結成し、資本家や企業に対し、交渉又は労働争議を行う権利を有する。労働者は国家を維持する重要な存在であって、国家は、これの保護に努めなければならない。

2. 何人も、犯罪を犯さずして、強制的に労働させられない。

3.何人も、自らの労働に関し、安全、衛生を確保し、生存に必要な休息を得ることができ、又、労働内容によって差別されない。

4. 児童を酷使することは、これを固く禁ずる。

5. 労働時間、賃金、休息などの労働条件その他労働に関する事項は、法律でこれを定める。

第十五条[表現の自由]

何人も、公共の福祉に反しない限りで、あるいは著しく公共の利益を侵害しない範囲で、出版、創作、結社、言論、集会など一切の表現の自由を有する。

第十六条[検閲の許可、通信の秘密]

1. 検閲は、人間社会及び個人、人類の道徳又は倫理の権威性を著しく損害することが確実である出版物又は作品、及び学校教育にて用いられる書物に対してのみ、法務大臣の許可を得た上で、これを認める。

2. 検閲を行う機関は、法律でこれを定める。この機関は、国家に帰属しなければならない。検閲は、単に国家の利益に反することを根拠として、これを行ってはならない。

3. 個人による頒布は、検閲対象の出版物又は作品であっても常に認められる。

4. 検閲によって発行禁止の処分を下された出版物又は作品の作者は、検閲に該当するものを作成したことを理由として罰されない。

5. 通信の秘密は、これを保障する。これを、裁判所の許可なくして侵害することは許されない。

第十七条[思想の自由]

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。何人も、国家により思想を転向させられず、思想を原因として身柄を拘束されない。

第十八条[身柄の拘束及び苦役の禁止]

何人も、その意に反すると反しないとにかかわらず身柄を拘束されない。何人も、犯罪を犯さずして、苦役を科されない。

第十九条[居住の自由、職業選択の自由]

1. すべて国民は、公共の福祉に反しない限り、移動の自由及び居住地の選択の自由、及び職業選択の自由を有する。

2. すべて国民は、公共の福祉に反しない限り、国外へ移住する権利及び国外から再び移住する権利と、国籍を離脱する自由を有する。

第二十条[公務員]

1. すべて公務員は、国家の公僕である。

2. すべて公務員は、一部のために奉仕してはならず、国民全部へ奉仕する存在であらねばならない。

3. すべて国民は、選挙によって公務員を選定及び罷免できる。選挙は、普通選挙である必要がある。投票の秘密は、これを侵してはならない。

4. 何人も、選挙に参加したために、あるいは参加しなかったためにいかなる差別的待遇を受けることはなく、又、投票する対象によっても差別されない。

5. 成年者の国民は、性別、人種、先祖の出自、元の身分、現在の身分、障礙の有無、信条などの性質において、選挙を行う自由を侵害されない。成年の条件は、法律でこれを定める。

6. 何人も、公務員の不法行為によって経済的、精神的、身体的損害を負った場合、国家及び地方公共団体に対し、正当な手続きを経て賠償を求めることができる。

7. すべて国民は、不当な行為を行った公務員に対し、罷免を求め、実行する権利を有する。

8. 第十四条の規定にかかわらず、公務員は、全体の奉仕者であるから、法律の定めるところにより、第十四条に定める権利の一部を制限されることがある。ただし、その場合においても、労働条件の改善は、常に求めることができ、国家及び地方公共団体は、これを怠ってはならない。

第二十一条[請願権]

1. すべて国民は、正当な手段を以て、平穏に請願する権利を有する。すべて国民は、請願を行ったことにより、差別的待遇を受けることはない。

2. この請願は、直接的又は間接的、個人又は団体など、行う形によって効力を左右されない。

3. 請願を受けた国家及び地方公共団体は、速やかに問題の解決に努めなければならない。

第二十二条[学問の自由]

学問の自由は、人類を滅亡へと導くことを目的とした学問を除き、これを侵してはならない。

第二十三条[教育を受ける権利、受けさせる義務]

1. 何人も、その能力に応じた教育を受ける権利を有する。又、国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に教育を受けさせる義務を負う。

2. 国家は、前項の目的を達するため、教育を受ける環境を整備しなければならない。

3. 義務教育は、これを無償とし、その期間は、6年を下回ってはならない。

第二十四条[環境権]

何人も、自らの住む環境を改善する権利を有する。

第二十五条[個人情報保護権]

1. 何人も、個人情報を許可なしに取得、利用、公開されない。ただし、個人情報を利用しなければ社会秩序が著しく乱されると確定できる場合を除く。 

2. 個人情報の定義は、住所、名前、生年月日、国民番号の4つである。その他の情報を個人情報とする場合は、法律でこれを定める。

第二十六条[プライバシーの権利]

何人も、自らの私生活を許可なく公開されない。ただし、私生活の内容を取得しなければ社会秩序が大きく乱されると確定できる場合を除く。 

第二十七条[納税の義務]

1. 国民は、納税の義務を負う。

2. 租税の種類は、法律でこれを定める。

3. 国家は、租税を、国民の生活環境、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の発展に用いなければならない。

第二十八条[家族]

1. 家族は、社会の自然な基本単位であり、国家及び地方公共団体、その他の団体により保護される。

2. 前項の規定は、家族を持たない者を冷遇することを意味しない。

3. 婚姻は、両者の合意により成立する。両者ともに、両者の権利は等しいことを互いに確認し、相互に協力すべきである。一夫多妻制及び一妻多夫制は、これを認めない。

4. 家族においても、個人の尊厳は常に維持される。

第二十九条[財産権]

1. 財産権は、これを保障する。

2. 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

3. 何人も、正当な理由の下に司法官憲が発行する令状なしに、私有財産を掠奪されない。

4. 私有財産は、国民がこれを自由に用いることができる。

第三十条[知的財産]

1. 文化、技術、科学、藝術の全ては、わが国の知的財産であり、国民は、これらを公共の福祉の範囲内で自由に利用し、又、創り、発展させることができる。

2. 国家は、国民と協力し、これらの保持と発展に努めなければならない。

第三十一条[裁判を受ける権利]

1. 何人も、裁判所で裁判を受ける権利を有する。

2. 国家は、被告人が裁判を理解して受けることができるように、その環境を整えなければならない。

第三十二条[身体及び精神の自由]

何人も、犯罪を犯さずして、その意に反して身体、精神の自由及び生命を奪われない。

第三十三条[逮捕の制約]

1. 何人も、正当な手続きを経て、正当な理由を以て、司法官憲により発行される令状なしに、かつ、正当な理由を告げられずして逮捕されない。

2. 前項の規定は、現行犯の場合には適用されない。

第三十四条[弁護人の付与]

1. 何人も、裁判において、自らの無罪を自ら立証する必要はない。

2. 何人も、無罪の立証のため、資格を持つ弁護人を雇うことができる。弁護人を雇う余裕のない者に対しては、国家が弁護人を無償で手配しなければならない。

3. 何人も、弁護人をあてがわれずして、拘留されることも、裁判を受けさせられることもなく、又、罰されることはない。

第三十五条[推定無罪の原則]

何人も、定められた法律を根拠として、裁判によって、有罪が確定するまでは、無罪として扱われる。疑わしきは被告人の利益に供する。

第三十六条[侵入、捜索及び押収の制約]

1. 何人も、正当な手続きを経て、正当な理由を以て、司法官憲により発行される令状なしに、捜査、侵入及び書物、物品、住居などの押収を受けることはない。

2. この場合においても、最低限の人権は保障される。

第三十七条[黙秘権]

何人も、取り調べにおいて自己に不利益な証言をすることを強制されない。

第三十八条[拷問の禁止]

1. 公務員及び軍人、私人の全ては、何人に対しても、拷問を行ってはならない。拷問の禁止は、公共の福祉と公共の利益に影響されない。

2. 拷問及び長時間の苦痛を伴う取り調べ、拘留によって得られた証言及び自白は、何ら効力を有さず、証拠として用いることもできない。

第三十九条[遡及処罰の禁止]

何人も、実行したときに適法であった行為によって、逮捕されず、罰せられない。刑罰の遡及は、これを禁ずる。

第四十条[二重処罰の禁止]

何人も、同一の事件について、重ねて刑罰を科されない。

第四十一条[一事不再理]

何人も、一度無罪とされた行為について、再び刑事上の責任に問われない。

第四十二条[刑罰の目的]

刑罰は、基本的に受刑者の更生を目的としなければならない。

第四十三条[刑事補償請求権]

何人も、有罪判決を受けた後に無罪となった場合、法律の定めるところにおいて、国家に対し必要な賠償を求めることができる。

第四十四条[二重国籍の許可]

1. すべて国民は、法律の定めるところにより、特定の外国の国籍とわが国の国籍の両方を所持することができる。

2. 法律の定めによらない限りで、外国の国籍を持つ国民と、わが国の国籍のみを持つ国民は、差別されない。

第三章 立法府

第四十五条[国会の地位]

国会は、わが国の立法機関であり、国権の最高機関である。

第四十六条[両院制、組織]

1. 国会は、上級院と下級院の二院で構成される。

2. 両議院は、国民によって正当に選挙された国会議員で構成される。

3. 両議会の定員は、法律でこれを定める。

第四十七条[議員の選挙]

1. 国会議員の資格及び選挙方法、選挙区などは、法律でこれを定める。

2. すべて国民は、性別、人種、先祖の出自、元の身分、現在の身分、障害の有無、信条などの性質によって、国会議員となることを妨害されない。前項の規定は、本項の規定を逸脱しない範囲で行使される。

第四十八条[上級院]

1.上級院の任期は、3年とする。ただし、解散があった場合は、それよりも早まる。

2. 18歳未満の者、過去10年以内に犯罪を犯した者、レイトガイジェン国民となってから2年以内の者は、上級院議員となることができない。

3. 上級院議員は、一つの県から50人以上選ばれてはならない。又、上級院議員は各県から必ず3人以上選挙される。

4. 上級院議員の任期は、戦時のみ、臨時法の定めにより、最大5年まで延長することができる。

第四十九条[下級院]

1.下級院の任期は、5年とする。下級院に解散は存在しない。

2. 20歳未満の者、過去15年以内に犯罪を犯した者、レイトガイジェン国民となってから3年以内の者は、下級院議員となることができない。

3. 下級院議員は、一つの県から60人以上選ばれてはならない。又、下級院議員は各県から必ず5人以上選挙される。

4. 下級院議員の任期は、戦時のみ、国会議員の過半数の賛成を以て、最大6年まで延長することができる。

第五十条[両議院相互兼職の禁止]

何人も、同時に両院の議員となることはできない。

第五十一条[国会議員の弾劾]

1. 不法行為や著しく道徳、倫理に反する行為など、およそ国民の代表者として不相応な行為を行った議員は、所属する院の議員10人により構成される弾劾裁判を受けなければならない。

2. 弾劾裁判長は、弾丸裁判官同士の協議によりこれを決定する。

3. 弾劾裁判の判決は、弾劾裁判官の3分の2以上の賛成で効力を有する。

4. 弾劾裁判は、刑事罰を下すことができない。それ以外の刑は、裁判所によりこれを科す。

第五十二条[不逮捕特権]

1. 議員は、国会の会期の間、法律の定める場合と国会の承認があった場合を除いて、逮捕されない。

2. 前項の規定は、現行犯の場合には適用されない。

第五十三条[歳費の賦与]

議員は、議員資格を持つ間、国家から必要な歳費を受ける。

第五十四条[発言評決の無問責]

議員は、審議中の発言、評決について、後から責任を問われない。

第五十五条[兼業の禁止]

1. 議員は、兼業をしてはならない。ただし、当選してから1年の間は、兼業を行わなければ生活に著しい支障が出る場合のみ、法律に定める申請を行った上で、兼業を許可しうる。

2. 兼業を許可された議員は、決して私企業及び私人と癒着してはならない。又、兼業を行わなくても経済的に支障ない状況になった場合には、議員は、速やかに兼業を中止しなければならない。

第五十六条[終身下級院議員]

1. 一度総統あるいは副総統の職に就いた者は、終身下級員議員の権利を得る。ただし、これを辞退することもできる。

2. この権利は、第五十一条の規定によって剥奪されうる。

第五十七条[終身議員の指名]

1. 国家は、科学、藝術、文学、学問の分野において、特に素晴らしい偉業を成し遂げた議員を、国会議員の過半数の賛成を以て、終身議員とすることができる。

2. 終身議員も、第五十一条の規定によって議員資格を剥奪されうる。

第五十八条[常会]

1. 両院は、1月と8月の第1日に、常会として必ず開かれる。

2.常会の期間は、165日とする。

第五十九条[臨時国会]

常会の期間外に、いずれかの院の総議員の3分の1以上から開会要求が出された場合、内閣は臨時国会を開かなければならない。

第六十条[役員の選出]

議会の議長及び事務局員は、議員の中からこれを選出する。

第六十一条[上級院総選挙]

1. 上級院が解散した場合は、解散の日から30日以内に総選挙を実行し、総選挙の終了後24日以内に臨時国会が招集されなければならない。

2. 解散は、下級院選挙中に行われてはならない。

3. 解散が実施されてから臨時国会が招集されるまでの期間では、下級院は上級院と同等の権限を持つ。ただし、この期間中に下級院で決議された事項は、臨時国会の開会後16日以内に上級院で過半数の賛成を得なければ、効力を失う。又、憲法改正の発議及び採決を行うことはできない。

第六十二条[議員の定足数]

両院は、総議員の5分の2以上の出席がなければ、議決をすることができない。

第六十三条[院の独自規則]

各院は、総議員の過半数の賛成を以て、独自規則を採択することができる。

第六十四条[過半数議決]

議決は、基本的に出席議員の過半数の賛成でこれを決し、可否同数の場合は、議長によって決する。

第六十五条[議会の公開]

1. 両院共に、会議は公開されなければならない。ただし、各院において、総議員の3分の2以上の賛成があった場合は、秘密会を開くことができる。

2. 両院は、各々の会議の様子を記録し、法律に定めのある場合を除いて、それを一般に公開しなければならない。

第六十六条[法律の制定]

1. 国会で採決できる法律は、高等法規、通常法規、臨時法規の3種である。高等法規は通常法規及び臨時法規に、通常法規は臨時法規に優越する。

2. 法律案は、原則として上級院で先に採決する。

第六十七条[通常法規]

1. 通常法規案は、両院での出席議員の過半数の賛成を以て可決される。

2. 上級院で可決され、下級院で否決又は部分修正を受けた案、あるいは総統が署名を拒否した案は、上級院において、総議員の3分の1以上の要請があったとき、上級院でこれを再び採決することができる。このとき、上級院で出席議員の3分の2以上の賛成を受けた案は、可決される。

3. 可決された通常法規案は、総統の署名を受けた16日後に施行される。ただし、前項に定める形式で可決された通常法規案は、総統の署名を必要としない。

第六十八条[高等法規]

1. 高等法規案は、上級院での出席議員の3分の2以上、下級院での出席議員の過半数の賛成を以て可決される。

2. 上級院で可決され、下級院で否決又は部分修正を受けた案、あるいは総統が署名を拒否した案は、上級院において、総議員の3分の1以上の要請があったとき、上級院でこれを再び採決することができる。このとき、上級院で出席議員の4分の3以上の賛成を受けた案は、可決される。

3. 可決された高等法規案は、発効のために総統の署名を必要とせず、可決された16日後に施行される。

4. 上級院で可決された高等法規案が、閉会中を除いて、上級院で可決されてから64日以内に下級院で議決されなかった場合、上級院は、下級院が案を否決したと断定できる。

5. 高等法規を改廃する際には、上級院及び下級院にて、それぞれ出席議員の5分の3以上の賛成が必要である。

第六十九条[臨時法規]

1. 臨時法規案は、上級院での出席議員の過半数、下級院での出席議員の5分の2以上の賛成を以て可決される。

2. 上級院で可決され、下級院で否決又は部分修正を受けた案、あるいは総統が署名を拒否した案は、上級院において、総議員の4分の1以上の要請があったとき、上級院でこれを再び採決することができる。このとき、上級院で出席議員の5分の3以上の賛成を受けた案は、可決される。

3. 可決された臨時法規案は、発効のために総統の署名を必要とせず、可決された8日後に施行される。

4. 臨時法規は、臨時のものであるから、施行から1年でその効力を全て失う。ただし、上級院の出席議員の3分の2以上の賛成があれば、効力を失うまでの期間を最大2年延長できる。

第七十条[条約の承認]

条約の締結に関する国会の承認は、第六十七条の規定を準用する。

第七十一条[法律の廃止]

法律の一部又は全部の廃止は、両院の出席議員の過半数の賛成を以て行われる。ただし、高等法規の廃止については除く。

第七十二条[予算]

2. 予算額は、法律の定めのある場合を除き、前年の2倍を上回ってはならない。

3. 予算案の議決は、第六十六条一項の規定を適用する。

4. 上級院で可決された予算案が、下級院で否決された場合、あるいは上級院で可決されてから閉会中を除いて、可決されてから32日以内に下級院で議決されなかった場合、上級院の議決が適用される。

第七十三条[閣僚の発言権]

閣僚は、両議院の議員でない場合においても、議会での発言権を有し、又、発言を要請された場合は、それに応ずる義務を負う。

第七十四条[証人、証拠の召喚]

国会は、審議を進める上で必要な場合に限り、証人の召喚及び証拠の提出を求めることができる。

第七十五条[裁判官の弾劾]

1. 上級院は、裁判官を裁判する裁判官弾劾裁判を、上級院議員10人で開くことができる。

2. 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第四章 行政府

第七十六条[行政権の所属]

行政権は、内閣に属する。

第七十七条[内閣の構成]

1. 内閣は、国民による選挙によって選ばれる総統、副総統を基本として構成される。

2. 総統及び副総統は、必要な場合、国務大臣を任命することができる。ただし、任命できる最大人数は19人とする。

3. 国務大臣は、文民でなければならない。ただし、軍事に深く関与する業務に任命される大臣は、軍人であってもよい。

4. 総統は、任意に国務大臣を罷免することができる。

5. 内閣は、行政権の行使について、国会と連帯して責任を負う。

第七十八条[総統及び副総統の選出]

1. 総統及び副総統は、第八十一条の場合を除き、上級院総選挙後24日以内に実施される指導者選挙によって選ばれる。

2. 指導者選挙の立候補者は、必ず与党議員でなければならない。

3. 指導者選挙の立候補者は、国会議員となってから5年以上が経過していなければならない。

第七十九条[総統及び副総統の任期]

1. 総統及び副総統の任期は、4年とする。ただし、解散がある場合は、それに準ずる。

2. 総統及び副総統、国務大臣は、連続して就任することができる。

第八十条[職務の代行]

1. 総統が疾病にかかる、事故に遭う、死亡するなどして職務遂行が不可能となった場合は、副総統が職務を遂行する。副総統も職務遂行が不可能である場合は、予め指名されていた国務大臣がこれを遂行する。

2. この場合には、内閣は速やかに指導者選挙を実施しなければならない。

第八十一条[内閣総辞職]

1. 内閣は、上級院で総統不信任決議が可決された場合、総統が自ら辞職を希望した場合、及び任期満了になった場合には、10日以内に総辞職しなければならない。

2. 総辞職後は、16日以内に指導者選挙を実施しなければならない。

第八十二条[総辞職後の職務遂行]

前二条の場合には、内閣は、次の総統及び副総統が就任するまで職務を遂行する。

第八十三条[総統の権限]

1. 総統は、国民の意志によって選ばれたレイトガイジェンの最高指導者であり、レイトガイジェンを代表する偉大な存在である。副総統は、総統に次ぐ地位を持つ高位の指導者であり、総統を補佐する。総統は一般の行政業務以外に、以下のような権限を実行できる。

第八十四条[総統の無問責特権]

1. 総統は、職務行使にあたって起こった結果について責任を問われない。ただし、国家反逆及び憲法違反は除く。

2. 前項但し書きの場合、総統は、第五十一条の規定に従って弾劾される。

第八十五条[国家への忠誠]

1. 総統及び副総統は、就任前に国会で、憲法の遵守及び国家への忠誠を誓う。

2. 国務大臣は、総統及び副総統の宣誓の後に、同様の行為を行う。

第八十六条[国務大臣訴追の制限]

1. 国務大臣は、総統及び副総統からの同意がなければ、訴追されない。

2. 前項の規定は、現行犯の場合には適用されない。

第五章 司法

第八十七条[司法権の所属]

司法権は、裁判所に属する。裁判所は、法律に定められた方法にて任命された裁判官により権力を行使する。

第八十八条[国民の司法権の代行]

裁判は、国民の名の下に行われる。

第八十九条[裁判官の職務上の独立]

すべて裁判官は、この憲法及び法律にのみ従う。

第九十条[裁判規律]

1. 最高裁判所は、訴訟の手続き、執行、弁護士、検察などに関わる規律である裁判規律を定める権限を有する。

2. 裁判規律は、最高裁判官全員が出席する裁判規律会議において、最高裁判官の過半数の賛成を以て、これを改廃することができる。

3. 裁判規律は、わが国全ての裁判所及び検察官、弁護士、その他裁判に関与する者に適用される。

第九十一条[裁判所の種類]

1. 裁判所は、原則として普通裁判所のみを認める。行政裁判は、普通裁判所でこれを行う。

2. 普通裁判所は、最高裁判所と下級裁判所に分かれる。

3. 国家は、法律の定めるところにより、軍人を裁判するための軍事裁判所を設けることができる。軍事裁判所は、軍事犯罪を犯した軍人のみを裁判することができ、文民を裁判することはできない。ただし、退役から3年以上経過していない退役軍人は、この限りではない。

第九十二条[最高裁判所]

1. 最高裁判所は、全ての裁判所に優越する司法権の最高機関であり、終審裁判所であって、一切の法律、政令、省令、条例等の規則、及び命令、処分がこの憲法に反しているかどうかを審査できる唯一の機関である。

2. 最高裁判所は、最高裁判所裁判官の長たる最高裁判所裁判長と、その他の最高裁判所裁判官によってこれを構成する。最高裁判所裁判長は、裁判官に就任してから15年以上経過している裁判官の中から、内閣がこれを任命する。最高裁判所裁判官は、裁判官に就任してから10年以上経過している裁判官の中から、最高裁判所裁判長がこれを任命する。

3. 最高裁判所裁判官は、最低で11人これを任命しなければならず、又、20人以上任命してはならない。

4. 最高裁判所裁判官は、次項で定める場合以外では、終身罷免されない。

5. 最高裁判所裁判官は、裁判官弾劾裁判で罷免が決議された場合、死亡した場合、心身の故障によって職務遂行が不可能となった場合に、罷免される。

6. 最高裁判所裁判官は、在任中、定期的に一定額の報酬を受け取る。この報酬の額は、4年おきにこれを変更することができる。

第九十三条[下級裁判所]

1. 下級裁判所裁判官は、最高裁判所裁判官全員が出席する下級裁判所裁判官任命会議において、これを任命する。

2. 下級裁判所裁判官の任期は7年とし、再任は妨げられない。

3. 下級裁判所裁判官は、在任中、定期的に一定額の報酬を受け取る。この報酬の額は、3年おきにこれを変更することができる。

第九十四条[軍事裁判所]

1. 軍事裁判所裁判官は、内閣がこれを任命する。

2. 軍事裁判所には、軍人を補佐として置くことができる。補佐の任期は3年とし、再任は妨げられる。ただし、内閣が特別に指名した軍人については、この限りではない。

3. 軍事裁判所裁判官の任期は5年とし、再任は妨げられない。

4. 軍事裁判所裁判官及び補佐は、在任中、定期的に一定額の報酬を受け取る。この報酬の額は、2年おきにこれを変更することができる。

第九十五条[裁判所の理由説明の義務]

裁判所が出す全ての命令には、理由が付されなければならない。

第九十六条[裁判の公開]

1. 裁判の対審及び判決は、原則としてこれを公開で行わなければならない。

2. ただし、特に公開すべきでない理由が存在する場合は、裁判は、裁判官の全員一致によって、これを公開せずに行うことができる。ただし、この憲法の第二章の規定に関わる裁判は、いかなる理由があろうともこれを必ず公開しなければならない。

第九十七条[上訴]

1. 被告あるいは原告は、裁判における判決を不服とした場合、上級の裁判所に上訴することができる。

2. 上級の裁判所は、上訴の理由によっては、上訴を棄却することができる。ただし、この場合には、上級の裁判所は上訴を棄却するに足りうる適切な理由を一般に公表しなければならない。不適な理由により上訴を棄却された場合は、原告あるいは被告は、上訴を棄却した裁判官への訊問あるいは弾劾を求めることができる。

第九十八条[被告人の権利の保障]

刑事裁判においては、被告人は以下の権利を保障される。

第六章 財政

第九十九条[財政処理の承認]

財政は、国会の承認の下にこれを行う。

第百条[課税の要件]

新たな租税を課し、又は廃止、改正するには、高等法規又は通常法規によることを必要とする。

第百一条[予算の作成]

内閣は、毎年計年度の予算案を作成し、国会に提出し、審議の上で議決を受けなければならない。

第百二条[予備費の設定]

1. 内閣は、予見し難い事態が発生し、予算が不足した時の対処のために、予備費を予め設定することができる。予備費は、国会の議決を得て決定され、これに関する責任は、内閣が負う。

2. 予算が不足した後に予備費を設けることもできるが、この場合、内閣は国会の事後の承認を必要とする。

第百三条[財政の検査]

歳入及び歳出は、財務省に属する会計状況監視委員会により監査される。内閣は、次の年度に、監査の内容を国会へ提出しなければならない。

第百四条[歳出の使用用途の制限]

歳出は、すべて国民の生活状況、公衆衛生、社会保障、社会福祉の発展のため、及び公務員が職務を遂行するのに十分な環境を整えるために費やされる。宗教団体、慈善事業、博愛事業に対して、公費を費やしてはならない。ただし、国家に帰属する団体への支出は除く。

第百五条[財政状況を知る権利、財政状況の報告義務]

国民は、内閣に対し、国会を通して財政状況を公開するように求めることができる。又、内閣は、毎年2回以上、国会及び国民に対し、財政状況を報告しなければならない。

第七章 国防

第百六条[国際平和の発展]

レイトガイジェン国は、自国の利益を追求するために行われる侵略戦争を放棄し、国民と共に、国内及び国際社会において、世界を平和へと導くように最大限の努力をする。レイトガイジェン国は、平和と正義を目的とする機関及び組織を振興し、支援する。

第百七条[国軍の設置及び運用]

1. レイトガイジェン国は、自国の主権と独立を維持し、国民の生命と権利を擁護するために、国家を護る国軍を持つ。

2. 国軍は、国軍省により運用され、内閣及び国会により統制される。

3. 国軍は、総統がこれを統帥する。総統は、総帥権を副総統や、指名された大臣に委託することができる。この場合、副総統あるいは大臣は、総統から総帥権の返却を求められた際には、直ちにこれを返却しなければならない。

4. 国軍は、他国若しくは国家に準ずる軍事組織の侵略を受けた際には、国家及び国民の生命、権利、財産を護るため、使用可能な武力を用いて反撃する。

第百八条[国軍の活動目的]

1. 国軍は、前条に書かれた目的以外にも、国内の治安及び秩序の維持のために活動することができる。この場合、国軍の活動には国会での事前の承認を必要とする。

2. 国軍は、法律の定めるところにより、国際社会と協力して、国外で平和、安全を維持する活動に参加することができる。

3. 国軍は、法律の定めるところにより、国家及び国民に危害を及ぼす、人間でない有害生物を排除若しくは殺害する。

第百九条[国軍の詳細]

国軍の組織、構成、機密、統制などに関する事項は、法律でこれを定める。

第百十条[徴兵制の禁止]

1. 徴兵制は、これを認めない。ただし、戦時においては、国家は、両院での過半数の賛成を以て、最大2年間徴兵制を実施することができる。この場合においても、児童を徴兵することは、これを決して認めない。

2. 前項の規定の場合では、上級院は下級院に優越しない。

第百十一条[軍人の裁判]

1. 軍事犯罪を犯した軍人は、軍事裁判所で裁かれる。

2. 裁判の詳細は、法律でこれを定める。

第八章 地方自治

第百十二条[地方自治の目的及び意義]

1. 地方自治は、地方の発展のため、国家が行いきれない地方の詳細の行政を、広範かつ綜合的に実施するために行う。住民は、地方自治に自主的に参画し、その維持及び発展に努める。地方自治は、住民が自らの住まう所を国家のみにではなく、自らで統治することを以て意義とする。

2. 地方自治は、住民に正当に選挙された地方公務員で構成される地方公共団体がこれを行う。

3. 地方公共団体は、国家と協力し、地方の独立と自由を保持する。国家は、地方公共団体を、その意義が失われる程に支配してはならない。

第百十三条[住民の権利]

すべて住民は、属する地方公共団体から与えられる福利を享受する権利を有する。

第百十四条[地方公共団体の分割、地方公共団体の相互協力]

1. 地方公共団体は、県を広域地方公共団体とし、県は、基本地方公共団体に分割される。区分の詳細は、法律でこれを定める。

2. 地方公共団体の運営、権限等の事項は、法律でこれを定める。

3. 地方公共団体は、相互に協力すべきである。又、国家は、地方公共団体を庇護し、支援する。

第百十五条[条例の制定]

1. 地方公共団体は、法律の範囲内で、その地方公共団体内でのみ効力を有する条例を制定することができる。

2. 条例には、罰則を設けることができる。ただし、死刑及び使役労働刑を科すことはできない。

3. 条例は、省令と同等の権限を持つ。

第百十六条[地方公共団体の機能]

地方公共団体は、前条の機能の他、事務を処理し、財政を行い、方針を決定する機能を有する。

第百十七条[地方議会]

1. 地方公共団体は、条例の制定、予算の決議等の行政機能を果たす場として、地方議会を置く。地方議会は、地方公共団体における最高機関であり、一院制とする。

2. 地方議員及び地方公共団体の長は、当該地方公共団体の住民たる国民の選挙によってこれを選出する。

第百十八条[経費の出自]

1. 地方公共団体は、経費を、条例の定めるところにより徴収する地方税や、その他国家あるいは団体内からの財源を以て、これを充てる。

2. 国家は、地方公共団体が予算のみでは機能を果たすことが困難であると認められた場合には、適切な支援を行わなければならない。

第百十九条[特別法の制定の制約]

1. 国会が、特定の地方公共団体のみに効力を有する対特定地方公共団体法を制定する際には、地方公共団体は、制定前に法の是非を問う投票を実施し、当該地方公共団体の住民である国民の過半数の賛成を得なければならない。国会は、過半数の賛成を得られなかった場合は、法を制定することができない。

2. 投票の前には、国家は、当該地方公共団体の住民に対し、法に関する充分な説明を行わなければならない。

第九章 緊急事態

第百二十条[緊急事態宣言の発令及びその期間]

1. 総統は、国家が他国あるいは国に準ずる組織、その他軍事組織や有害生物からの攻撃を受け、国家の主権、独立が著しく脅かされていると上級院議員の出席議員の過半数が承認した場合において、法律の定めるところにより、閣議を経た上で、緊急事態宣言を発することができる。

2. 総統は、緊急事態宣言を発すると決定した場合、速やかにその旨を国民及び国会に告知しなければならない。

3. 総統は、国会が緊急事態宣言の解除を議決した場合、又は緊急事態宣言の継続を不要とする状況となった場合には、法律の定めるところにより、速やかに緊急事態宣言を解除しなければならない。

4. 緊急事態宣言の効力は、発令から120日間存続する。総統は、発令から120日が経過してもなお緊急事態宣言の継続が必要であると認められる場合には、事前に国会にてその承認を必要とする。ただし、本項の定めるところにより延長できる緊急事態宣言の日数は、380日までとする。

第百二十一条[緊急事態宣言の効果]

1. 緊急事態宣言の発令中には、国会は、上級院議員10人と下級院議員10人で構成される緊急時立法委員会に立法権を委託しなければならない。緊急時立法委員会委員は、抽選によりこれを選出する。

2. 緊急時立法委員会は、憲法改正の発議、高等法規の廃止を行うことはできない。

3. 緊急事態宣言の発令中は、何人も、法律の定めるところにより、国家及び地方公共団体が国民の生命及び財産を守るために発する命令に従わなければならない。ただし、緊急事態宣言の発令中においても、この憲法の定める全ての基本的人権は、最大限に尊重されなければならず、本項に定める理由以外によって国民の基本的人権を制限することは禁じられる。

4. 緊急事態宣言の発令中は、国会は解散せず、選挙も行われない。

5. すべて国民は、国家及び地方公共団体が、前項に定められた理由以外によって国民の基本的人権を制限することがあれば、これらに対して全力を尽くして抵抗する権利を有する。

6. 緊急事態宣言が解除された時点で、緊急時立法委員会が改定した法律の条文は改定前の条文に戻され、本条第三項にて定められる命令は、一切の効力を失う。選挙を停止していた場合は、内閣は、速やかにこれを実施しなければならない。

第十章 最高法規性

第百二十二条[憲法の最高法規性]

この憲法は、前文にも書かれている通り、わが国の最高法規であり、その条項に反する全ての高等法規、通常法規、臨時法規、政令、省令、条例、その他命令や処分、行動、行為、規律規則等の一部または全部は、その効力を有しない。

第百二十三条[条約の遵守]

わが国が締結した条約及び国際法規は、誠実にこれを遵守しなければならない。

第百二十四条[公務員の憲法の尊重擁護義務]

国会議員、地方議員、総統及び副総統、その他一切の公務員は、この憲法を誠実に遵守し、擁護し、実施し続ける義務を負う。

第十一章 改正

第百二十五条[憲法の改正要件]

1. 両院の議員の発議により、両院の総議員の過半数が賛成した場合に、憲法改正の審議を行うことができる。審議において、各院における総議員の5分の3以上の賛成を以て、この憲法を改正することができる。

2. ただし、前項に述べた憲法改正の可決後、いずれかの院の出席議員の10分の1以上から、国民投票を実施するよう要求がなされた場合は、両院の賛成を経て、国民投票を行い、有効票のうちの過半数の賛成を以て、この憲法を改正する。

3. 国民投票は、投票する資格を持つ国民のうち、半分以上が投票しなければ無効となる。

4. 改正された憲法は、総統が、国民の代表者としてこれを公布する。

第十二章 附則

以上