その日

本文

Is ze vasil, solke gourant solkek.

Onfilt, Tuu vait anbaunv.

Is ze vasil, Tuu aufet pau aufzinkil.

Onfilt, Tuu impaset haavessolkeil.

Is ze vasil, rranxax kaung beirrant.

Onfilt, sfairr on goft dampe.

Aa, junt zain Tuu zen leezik?

Zara diirek!?

Sivam Toir yaak, zeustdatvaix hisenbiiba,

tasis atek…

その日、世界は自らを変えてしまった。

そして、私は巻き込まれた。

その日、私は通りを歩いていた。

そして、私は映画の世界に入った。

その日、住んでいた町は消えた。

そして、炎と塵が産まれた。

ああ、どうして私が語れようか。

あれの所業を。

あの私の街、滅ぼされた故郷が、

全てを語っているのだ……。

解説

 1603年10月、セケシヤムスの港町カヤソム(Kayasfhom)にアルゴイレレスが初めて出現し、カヤソムを焼け野原にした衝撃と悲しみを唄う詩。1604年1月、カソノム出身の作家であるセクヮジョック=ネイェルウィ(Sekwajok Neyerwi)によって発表された。原題は En Merü (エン・メリュ)。総計30言語で翻訳されている、世界的に有名な詩である。

 セケシヤムスの国語の教科書には、これを掲載することが暗黙の諒解になっている。

「あれの所業」の「あれ」とは、アルゴイレレス(名称は「ティワジート」)のことである。

詩の詳説

 セクヮジョック自身が後に書いた『「その日」を書いた理由』の解説をもとにしている。

・その日、世界は自らを変えてしまった。……1603年10月33日、ティワジートがカヤソムに上陸し、世界の常識が一変してしまったことを表している。

・そして、私は巻き込まれた。 (及び) その日、私は通りを歩いていた。……セクァジョック=ネイェルウィは、ティワジートが襲来したその時、カヤソム市街を散策していた。この文は、彼がティワジートの襲来の巻き添えになったということを表している。

・そして、私は映画の世界に入った。………「怪獣が人類を襲う」というのは、まさに映画でしかありえない出来事であった

・その日、住んでいた町は消えた。……カヤソムの市街地の大半は、ティワジートによって壊された。セクァジョックが住んでいた家も全壊した。この文は、文字通り、自らの故郷が消えてしまった(たとえ復興したとしても、復興後の市街は私が今まで住んでいたカヤソムではなく、別物である)ことを綴っている。

・そして、炎と塵が産まれた。……カヤソムの石油貯蔵庫は、ティワジートの攻撃によって爆発炎上した。石油貯蔵庫から離れた地でも、料理店から出火するなどして多くの家屋が焼けた。また、ティワジートの阿石投射や岩石の投擲は、カヤソムの市街地を破滅へと追い込んだ。

・ああ、どうして私が語れようか。 (及び) あれの所業を。……彼はティワジートの襲来によって現代でいう PTSD を発症した。この事件があまりに衝撃的過ぎたため、また、後述の理由のため、「私」がティワジートの襲来を語ることはできない、ということを表している。

・あの私の街、滅ぼされた故郷が、 (及び) 全てを語っているのだ……「私」が語らなくとも、散々に破壊されたカヤソム(や、他の街)を見たならば、ティワジートの所業は自ずと理解できるだろう、ということをセクァジョックはこの詩の最後に書いた。