鈴鹿川・閃緑岩

深成岩・閃緑岩

角閃石の微晶がめだつ角閃石閃緑岩。中央下はアプライト質花崗岩と花崗閃緑岩の境界のような石

さらに関町金場の加太川周辺や支流の越川上流部、鈴鹿川支流の小野川上流の明星ヶ岳周辺には無色鉱物がほぼ斜長石からなり有色鉱物の目立つD表記の閃緑岩やR表記の斑糲岩が分布しますから、これらの岩体を起源とする転石も目にすることができます。

亀山大橋・小野川分流点の斑状角閃石閃緑岩転石。岩脈との距離が小さいため、手に載せられない大きな転石も多い。

上は亀山大橋・小野川分流点の斑状角閃石閃緑岩転石のオブジェ。角閃石の斑晶部と斜長石が分離したペグマタイト風で閃緑岩よりも斑糲岩に近いかも・・

適当な大きさで面白そうな模様の石を見つけると数個拾って帰って標本にします。また最近では行いませんが以前はディスクグラインダーで形を整え表面を研磨して上に見るようなオブジェに仕立て歩いた場所の記念にして一人で楽しんだりしていました。

上は同じく亀山大橋・小野川分流点の斑状角閃石閃緑岩転石で角閃石斑晶の大きなもの。下は忍山大橋の転石で針状角閃石閃緑岩。黒雲母のように見えるがほとんどが角閃石

閃緑岩における有色鉱物・角閃石と黒雲母の比率は斑糲岩脈に近いとほとんど黒雲母を含みませんが、加太花崗閃緑岩に近いものではある程度の比率で黒雲母を含むものが見られます。

下は鈴鹿川・忍山大橋の転石 閃緑岩の薄片写真で、一部の鉱物( 角閃石 )が欠損してしまい良い薄片ではありませんが有色鉱物の20~30%に黒雲母が混じっているのが分かります。

忍山大橋の転石 閃緑岩。有色鉱物は右側オープンニコルで緑に見える角閃石と茶色に見える黒雲母。無色鉱物は殆が斜長石

左側のクロスニコルでは雲母類は色鮮やかな干渉色になる。角閃石は地の色が勝ってか全体に濃緑色。斜長石はブルーでストライブ状の双晶を示す。

どの石でもそうですが、河原に落ちている見た目は唯のつまらない石ころでも、持ち帰って少し削ったり磨いたりして形を整えてやると思いの外美しい姿に変わるものです。写し手の悪い平板な写真では中々質感が伝わりませんが、大抵の石は写真よりも実物のほうが美しく面白味があります。