生物を撮る

生物を撮る マクロ撮影ほか

私は敗戦後間もない時期に生まれ、安濃川に面した家の周りには水田と山野が広がっていましたから幼児より動植物に親しみながら育ちました。

そのため、いまでも昆虫や植物には目がなく、毎年決まって現れる生物であってもその時々に新鮮な感動を覚えてカメラを向けます。

植物や動物を写すことは四季を見つめることであり、時の流れを捉えることでもあります。開花期の短い花の姿を美しく撮るにはその開花時期を心得ていなければなりませんし、植物の成長に合わせて現れる昆虫なども、出現期を逃せはまた次の年まで撮影を諦めなければなりません。

普段は普通のカメラを提げて散歩に出ますが、時に撮影対象に合わせて小さな昆虫や植物などのマクロ撮影には、低倍率の場合はフィルター型のマクロレンズやエクステンダーを用い、高倍率の場合には手製のマクロレンズや顕微鏡用の対物レンズを流用して撮影を行いました。

距離のある植物や昆虫の撮影、大型の動物の撮影は望遠の効くズームレンズを用いることが普通で、画角が固定される焦点の望遠レンズはまず使用しません。シャッターチャンスは数秒、相手と目が合った次の瞬間には逃げられてしまうことも多いので、被写体を見つけたら迷うことなくカメラを構えて相手を捉え、すぐさまシャッターを切る訓練が要ります。

散歩がてらに出会った動物を撮ろうとすれば、カメラは機動性が一番で、重くて取り回しに難のある大型の望遠ズームよりは望遠の効くコンパクトカメラに分があり、レンズ交換しなければ画角の変わらない単焦点の望遠レンズなど如何に画質が優れていてもまず使い物になりません。

20年ほど前までは家の周りにもキツネやノウサギが沢山いたが、ここ20年でその足跡もすっかり見られなくなつた。半面 野猿、猪、鹿は頻繁に見かける

毎年身の回りから少しづつ自然が喪われてゆく悲しい時代ですが、日々カメラを携えて散歩していると動物の方でもそんな人間に同情してくれるのか、時として思いがけない出会いを見せてくれることもあり気を抜かずに散歩を楽しむ毎日です。

レンズ交換式のカメラは取り扱いに注意しないとカメラ内部に埃が入り撮像面に付着して映り込む。このため機材にセットしたカメラはなるべく取り外さず機材の専用機となることが多い


また岩石の薄片写真や実体写真も日常的に撮影します顕微鏡や実体鏡撮影のためのカメラは機材に取り付けたままにしており、自然所持するカメラの台数が多くなります。

私は高校の頃から電子技術を学び生涯の仕事としていたので家の2階は電子制御の作業場になっていすが近年この部屋をカメラ機材が占拠するようになって部屋はどんどん手狭になる一方です・・

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