鈴鹿川・斑糲岩

深成岩・斑糲岩


上は亀山大橋下流、神辺小学校前の鈴鹿川転石・角閃石斑糲岩。この石の角閃石は方向性のない長柱状結晶からなるが顆粒状であったり点紋であったりと産状の変化は大きい

閃緑岩から斜長石に対する有色鉱物( この辺りの斑糲岩では輝石や橄欖石を含まずほとんどが角閃石 )の比率がより大きくなると斑糲岩となり見た目は殆真っ黒な石になります。

上は小野川分流点の河床で拾った閃緑岩~角閃石斑糲岩。角閃石は細粒から粗粒のものまでまちまち

上は亀山大橋下の斑状角閃石斑糲岩。20mm以上もある角閃石斑晶を含み左の優白部分は斜長石。下は忍山大橋の斑状角閃石斑糲岩。ともに細粒の角閃石から急激に大きな結晶に成長しているところが面白い

上は亀山大橋下流、神辺小学校前の鈴鹿川転石・顆粒状角閃石斑糲岩。最初に上げたものと同じ場所の転石だが、こちらは粒径5~10mm程の顆粒状角閃石が集まっている。

上は勧進橋上流の斑糲岩転石。このあたりの斑糲岩は楽に手に乗る大きさで有色鉱物の殆どが角閃石からなる角閃石斑糲岩。右側の2つは有色鉱物の比率が低そうで細粒の角閃石閃緑岩かも。中央下の石は泥質岩か。

上の写真の様に勧進橋上流でも小さい斑糲岩の転石が見られますから地質図には出ていませんが鈴鹿川・加太川の上流水系には閃緑岩脈に付随してか、どこかに斑糲岩脈があるはずです。これらの閃緑岩や斑糲岩は加太花崗閃緑岩の形成と殆ど同時期に形成され岩脈状に発達した様です。

これは隣の安濃川で言えることですが、閃緑岩脈の一部に有色鉱物が濃縮されて斑糲岩化している場所がありますから加太川流域の角閃岩脈についても部分的に斑糲岩化している箇所があるものと想像します。

忍山大橋上流の角閃石斑糲岩転石のオブジェ。緑っぽい部分が多く加太花崗岩の熱変成を受けているような感じの石

不勉強な私は、どうして沈み込み帯の火山フロントに生じる花崗岩脈中に有色鉱物組成比率の高い閃緑岩・斑糲岩脈が出現するのかその明確な説明を未だに目にしませんが、これはこの地域だけでなく他地域でも観察できる現象ですから、マグマ生成から上昇固結迄の何らかのプロセスで一般的に生じるようです。

亀山大橋下の細粒角閃石斑糲岩転石の文鎮と台座

細粒で緻密な角閃石結晶を含む斑糲岩の転石は、形の良い石を少し整えて磨いてやると、上の写真では腕が悪いので写っていませんが角閃石の結晶面がキラキラ輝いて中々美しいオブジェになります