マクロ撮影

マクロ・拡大撮影の手法

拡大撮影には幾つも方法がありますが、メーカー製のマクロレンズを購入するのがもっとも手早く簡単・綺麗に撮影できます。

中華製・マクロレンズ TTArtisan 40mm f2.8 MACRO 安価なマニュアルレンズだが下の写真のようになかなか素晴らしい解像感をみせる

しかしマクロレンズを用いなくともカメラのマウント側にエクステンダーや接写ベローズを入れて結像側の距離を広げれば普通のレンズも優れたマクロレンズになります。

電子接点付きの自動焦点・自動露出のレンズでも配線を延長すればある程度の範囲で自動動作するため接点延長できる接写用アダプタも販売されています。

CanonのEOS-Kissに装着したマクロエクステンション。三段入れるとかなりの拡大率になる

こちらはマイクロフォーサーズ機用エクステンション。電子接点付きのマクロエクステンションは電子レンズの絞り制御ができるので望遠レンズに取り付けると高倍率マクロレンズになる

マクロエクステンションを用いる場合、私の経験では50mm前後の単焦点レンズをマクロエクステンションで使うのが携帯性にも優れ、接写の際の手振れも、手振れ補正で楽に抑えられるので最も使いやすいように思います。


また遠方の対象をカメラ内の撮像部に相似形で縮小転写する一般のカメラレンズは、向きを逆にするとマクロレンズに流用できるのでマニュアルレンズであれば簡単にマクロレンズとして使用できます。

Aliexpressに出ていたマクロオートフォーカス延長チューブ。中国の機材は実に多彩で見ていても面白い


更に中華製の機材の中には電子接点付きのレンズを逆接続して絞りの自動制御も可能にしてマクロレンズに変換するアダプターまで売られていますが使った経験はないので何とも言えません。

専用の高価なマクロレンズを購入せずとも様々なレンズがマクロ撮影用に転用できるので、モノ作りが好きな人間にとっては自分で色んなレンズを取り付けて写してみる楽しみもありなかなか奥の深い分野です。

銀塩カメラのズームレンズを逆接続したマクロ。手製のレンズは乱反射による迷光が入ると画像のコントラストが失われるので鏡筒には迷光絞りを設けてカメラの光路以外から迷光が入らない工夫がいる

銀塩カメラのマニュアルレンズは手動で絞調整が効くのでマクロレンズに改造しやすい

こちらはNikonの顕微鏡対物レンズを直接カメラハウジングに取り付けるもの。鏡筒長が短縮されるため顕微鏡撮影より広視野で低倍率となる

こちらはVixenの天体望遠鏡接眼レンズを利用した高倍率マクロレンズ。レンズ径を絞り込み光路を制限して迷光が入り込むのを押さえコントラストを確保する

これはCマウント広角レンズを用いたもの。工夫次第手様々なレンズがマクロレンズに流用できる

電子接点付きレンズでベローズ撮影するためにカメラとレンズの接点を配線で結んだ撮影機材

ベローズ撮影はマクロの拡大率を大きく可変できる長所がありますが結像距離を変えるためにベローズを伸縮させるのでレンズが電子接点付きの場合、接点を延長するためにはカメラ側とレンズ側の接点をフレキシブルな配線で結んでやらねばなりません。

上写真にある手製マクロ改造レンズによる百日草の撮影例を下に上げておきます。

百日草の雄蕊と雌蕊の改造レンズによるマクロ写真。マクロ撮影では倍率を上げるとどうしても被写界深度が浅くなり十分に絞りこんでもフォーカスがシビアで難しくなる

もっとも近年のカメラは、携帯のカメラに見られるように標準撮影とマクロ撮影の垣根がなく、その気になって接写するとかなりの拡大率で撮影できますからあえてマクロ撮影やマクロレンズをもちだす必要はないのかもしれませんが、遠距離からマクロ撮影したいときや、接写の際のボケ味が欲しい場合など、携帯の広角レンズでは無理なところもあってマクロ機材にもそれなりに存在価値は高いと思われます。

改造レンズの分野は物造りが好きな私には、色々と試してみる面白さもあってその出来栄えや性能以上にも楽しみを感じる世界なのですが実際の撮影の利便性を考えると、やはりメーカー製のマクロレンズが手軽で使い良いと言うことになるかもしれません。