5:火山岩の雲母

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火山岩類のマイカ・六角板状結晶

深成岩の中に含まれる雲母は、結晶が成長する過程で、どうしても周りの他の鉱物結晶に邪魔されて綺麗な自形結晶として成長するのが難しくなります。これに対して火山岩の場合は、マグマの漿液中で成長した結晶(斑晶)が火山活動によって一気に地表近くに上昇して急冷すると石基中に斑晶が閉じ込められた形で固結するため、晶出条件が合えば自形の綺麗な形をした結晶が見つかります。

サンプルH 国道1号線の鈴鹿峠を越え滋賀県側に少し走ると猪ノ鼻集落に出ます。この辺り一帯には猪ノ鼻トーナル斑岩と呼ぶ火山岩脈が幅数百m、南北1.5km程の範囲に分布しています。岩相は場所によって異なり、明確な斑晶と石基を持つ安山岩風のものからほぼ完晶質で半深成岩風のものまで変化しますが、どちらも黒雲母が2-7mm程の六角板状で綺麗な斑晶持つのが特徴です。

サンプルH 猪ノ鼻トーナル斑岩・安山岩質で石基中に斜長石と石英の斑晶に混じって多数の黒雲母六角板状結晶が見られる


サンプルH 上二枚の写真はほぼ完晶質で半深成岩風。やはり黒雲母の六角板柱状結晶


サンプルH 上二枚の写真は暗緑色の石基中に斑晶を持つ。後代の熱変成により石英バンドが発達している

ただし火山岩でもこの様な整った形の斑晶が見られるものは稀で、私の手元には方々の地域の火山岩サンプルがありますが黒雲母の綺麗な斑晶を見られるのはこの地域の石だけです。ことに流紋岩質の火山岩は、石英と長石の斑晶ばかりで有色鉱物が殆ど見つからないものも多いです。

次のページでは変成岩に含まれる雲母について取り上げてみます。

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