久門正人(野村證券),守真太郎(弘前大)
デフォルト率の推計には2種類の相関が関係します。ひとつは通常の資産間の相関。もうひとつは時系列の相関です。デフォルト率が高くなった場合、高い水準のデフォルト率が数年にわたって続きます。これを時系列の相関と呼んでいます。
この時系列の相関が長期にわたる場合、相転移がみられます。このため長期記憶を持つ場合、データが十分にあってもデフォルト率の予測が難しくなります。一方、短期記憶しかない場合は、データが十分あれば予測することができます。このような相転移を短期-長期記憶相転移と呼びます。
実際の格付け機関の公開されたデフォルトのデータを用い、その影響を考えます。