07 語彙拡散の空間構造モデル

村脇有吾(九州大)

言語群の歴史的変化は系統樹、つまり時間的な木構造によってモデル化されることが多く、近年は生物学由来の計算モデルが語彙データに対して盛んに適用されている。しかし、言語間の接触が無視できない方言レベルのミクロな動態には系統樹が適さない可能性が高い。実際、方言地理学では、方言周圏論に代表される空間的な拡散モデルが支配的である。そこで、本稿では、時間構造ではなく空間構造により語彙分布をモデル化し、シミュレーションを行う。