04 合意形成のキーパーソンは誰か ー他者の状態推測の影響ー

藤江遼(神奈川大)

合意形成の最も単純なモデルの一つであるネットワーク上のVoter modelを,観測範囲,参照範囲が異なる場合が扱えるよう拡張する.あるノードが状態を選択する際に,m次近接までのノードを観測可能,n次近接までのノードを参照可能とする (m<=n).参照範囲のノードを一つ選び,それが観測可能であればその状態を模倣し,観測可能でない場合,他のノード情報から推測した状態を模倣する.理論解析の結果,m=1, n=Nの場合,各ノードの状態をBetweenness PageRankを重みとした加重和が保存することを示した.この保存量は固定確率と一致する.つまり,他者推測が,意見普及のために重要なノードを高次数ノードからBetweenness PageRankの高いノードへとシフトさせることを示した.