2012年6月5日 公約実行
今日は,1限目に進化生態学の講義.本来ならば,この後にひみラボへ行きたいところなのだが,夕方に会議が一つ入ってしまっている.そのため,仕方が無く在学.この機会に,以前今週中の改訂稿完成を公約に掲げていたカワヤツメ分散論文に取り組もう,と思ったのだが,居室があまりに雑然としている.そこで,整理整頓.これに結構時間を要してしまった.この過程で,進行中の研究テーマ毎に,関連論文や資料をファイルボックスにまとめていったのだが,「ヤツメウナギ」「イタセンパラ」「ひみラボ」「クマ・イノシシ」「ナマコ」などなど,多くのテーマを抱えていることを改めて実感.
その後,気分一新,論文直しに取り組んだ.そして,改訂稿完成!もっとも,これまでに共著者から有益なコメントをいただいていたので,それを参考にして,オーバーディスカッションや疑わしさが残る解析を削除し,全体をすっきりまとめた.何はともあれ,形になったので,共著者全員にメール送信.公約を果たせた.
さて,夜の自宅残業で,この後の方針を練ってみた.もちろん,上記の通りやるべきことは盛りだくさんなので,どれも同時進行ではあるのだが,特に自分の実験や論文書きとして,何を優先すべきか,を考えてみた.結局のところ,答えは「ヤツメウナギ」.ただ,最近始めた新規研究だ.これまでもサテライトブログで書いてきたが,内緒な点も多い.まずは「とある領域」をシーケンスすることから始めるのだが,同時にこれまでのデータだけでも,1報まとめることも可能かも.そこで,この手の分野の勉強も兼ねて,論文読み書きを進めて行こう.
明日こそは,ひみラボ.1限目の基礎生態学の講義後に向かう.DNA実験を少しやって,その合間に水族館造りだ.
2012年6月20日 エピジェネティクス
連日ひみラボへ行っていると,大学で過ごす日の時間は貴重だ.もちろん,ひみラボで過ごす時間も十分とはいえない.もっと行くことができれば,やるべきこと,やりたいこと,は沢山ある.ただ同時に,大学でもやりたいことが山ほどある.そのひとつが実験だ.秋の魚類学会での発表のためのデータとりではあるのだが,それ以上に結果を知りたい実験がある.大きく言えば,『エピジェネティクス』だ.もっとも,この言葉を正確に説明するほどの知識はまだないが,端的に言えば,塩基配列は同じでも違った発現パタンを示す遺伝的現象,というところだろうか.ここに『メチル化』などのキーワードが絡んでくる.定義云々はさておいて,目的とするのはヤツメウナギの生活史進化だ.
何故今,このようなテーマに関心を持っているかと言えば,「今時の流行」というだけではない.そもそも私は,遺伝子だけで進化を語ることを毛嫌いしてきた.往々にして,実験動物だけを対象として,自然現象に目を向けずに,進化のすべてがわかったかのような語り口が嫌いだからだ.生物を考える際には,自然の中の生物をみて,初めて何事も始まるという考えをもっている.だからこそ,日ごろの研究活動では,常に自然のなかに目を向け,そして自然の中で活動している.
そんな私が,一見して毛嫌いしそうなエピジェネティクスなるものに関心をもったのは,その方法論が先行したのではない.これまで継続してきた,泥臭いヤツメウナギ研究を進めて行く過程で,ヤツメが自然界で示す現象を説明するために,この方法が有効だとの判断に至ったからだ.
それともうひとつ自分の中で納得していることがある.このエピジェネティクスももちろんそうだが,進化に関する遺伝子研究というと,やたらと機械任せの力技を駆使することが多い.最先端の大型機械で,遺伝子を片っ端から調べていき,その中で,何でも良いから進化に関連付けできそうな遺伝子や現象をひねり出そうというスタンスが,私は嫌いだ.兎に角,お金をとって,人を並べて,力任せに結果をだしていく.そういうものには,興味が無い.それよりも,1本1本PCRをして,シーケンスをして,そして結果を考え,また次の工夫をしていく.こんなやり方が好きだ.そして今,エピジェネティクスに直面するに至っても,基本はこの姿勢を貫いていくつもりだ.
何はともあれ,今,エピジェネティクスに進んでいくかはまだわからないが,ヤツメの生活史進化においては,大変興味深い結果が得られ始めている.まずは明日,シーケンスをして,その結果を検討しよう.
2012年6月18日 ナガモノを踏んでしまった
悪いことをした.今更言うまでも無いが,私はナガモノが嫌いだ.みかけると,往々にして私が逃避行動をとる.そしてこれまで,ナガモノをいじめたことや,ましてや危害を加えたことはほとんど無い.一回だけ,道をふさぐナガモノをどかそうと石を投げたことがあった.ちなみにそのときも,ナガモノが動かなかったので,私が退散している.
が,今日,車で踏んでしまった.軽いアップダウンのある道だったこともあり,気がつくのが遅かった.加えて,避けられるかな,と思ったが,ナガモノが移動してしまったため,結果的に胴体部分がタイヤの下へ.バックミラーにはのた打ち回る姿が...ごめんなさい.
2012年6月15日 イタセンパラ採集
今年度の飼育実験等で用いる個体確保のためにイタセンパラ稚魚採集を行った.諸事情により昨年度よりも遅い採集となったため,浮出直後の群れがすでに「解散」されていた.そのため,低層を泳ぐイタセンパラを採らなければならず,昨年よりも多くの時間を要した.それでもNさん始め,研究室総出で採集を試み,どうにか必要数は確保することができた.あとはしっかりと飼育をしていくことが重要だ.理想は1個体も無駄なく,各種実験や次世代創出に貢献してもらうことだ.
ところでタイヤの件だが,試行錯誤の結果,どうにか車屋へ.調べてもらったところ,タイヤの側面に傷がついていることが判明し,修理不可能とのこと.仕方なく,新品タイヤと交換.これからは慎重に運転しなければ.
そしてこちらも昨日のことになるのだが,タイヤ修理の後に大学で遺伝子実験の続き.結果は良好.PCRは軒並み成功を収めた.次はシーケンスをするのだが,,,時間が無い.週明けはひみラボが続くので,水曜・木曜に実験をやろう.結果が楽しみだ.
それからもうひとつ.カワヤツメ分散論文をどうにか英文校閲まで持っていくことができた.共著者の最終チェックを残すが,投稿まで後一歩だ.ここ数年の自分の中での目標は,First authorとしての投稿を年間2報としている.理想は掲載が2報なのだが,審査の進み具合にもよるので,まずは投稿2報.ということで,カワヤツメ分散が今年の1報目になりそうだ.となると,次なる論文は,今実験しているヤツメの生活史に関するものか.もっとも今の実験を論文にするのはまだまだ先なので,これまでの結果をなんとかまとめたい.さしずめ『カワヤツメMS淘汰』とでも言っておこう.ちなみに次なる魚類学会のネタは,これプラス今の実験,というところだろうか.
2012年6月13日 パンクしていた,,,
夕方,子供を迎えるために定時帰宅.いざ車で出発と,公道へ出ると,何かおかしい.タイヤから変な音がする.そして車が右に傾いている.もしや,と思い窓からのぞくと,案の定,前輪がパンクしていた.家の近くで気がついたのがせめてもの幸い.前輪を引きずるように車庫へ戻った.お迎えは同居人に任せ,とりあえず冬タイヤに交換して,近くのGSへ行こうとしたのだが,タイヤが外れない.車やに電話をしたら,定休日.いかんともしがたい.結局,パンク修理は明日の朝.朝の講義はないので,大学へは少し遅く行くことになりそうだ.
おそらく,昨日の調査のときにタイヤに傷がついたのだろう.途中の道で砂利を沢山かんでいたのが原因か.確かそのときもタイヤの音が気になって,車を止めて目立った砂利は取り除いた.しかし,今日みてみると,まだまだ沢山の砂利が挟まっていた.あるいは脱輪した側のタイヤがパンクしていたので,脱出の際に負担がかかったのか.何はともあれ,無事に富山に戻って来れただけ,よかったと言うべきだろう.
こんなことがあるとは予想だにせず,今日は講義と会議の合間に予定(公約)どおり論文直しを行った.といっても,共著者からのコメントと文案がパーフェクトだったので,ほぼそれを打ち直すだけでよかった.加えて,投稿先変更に伴うフォーマット修正.これはこれで,仕事を完結することができた.
一方,実験も再開.学会ネタのヤツメ生活史関連の新規遺伝子解析だ.納品されたプライマーを使ってPCRをスタート.明日は朝から電気泳動をやろうと思っていたのだが,,,修理が手早く終わることを祈るばかりだ.
2012年6月12日 痕跡は見つかれど,,,
イノシシそのもの,あるいは糞がみつからない.特に糞.イノシシの場合,毛が落ちている状況は,なかなか期待できないため,糞が唯一のDNA源といってもいい.しかし,掘り起こし痕と思しきものは多々あれど,糞は見つからない.もっとも,はじめてからまだ1ヶ月そこそこ.こういうものは,根気良くやるしかない.
ところで,今日もはまってしまった.田んぼのあぜ道で,車をバックさせていたところ,水溜りに入ったな,と思ってさらにバックしていったら,側溝にタイヤが落ちてしまった.やば~,と血の気が引いたが,思いっきりハンドルを切って,アクセルをゆっくり吹かしていったら,車が動く.そこで,その勢いのままに車を進めると,無事に脱出.やれやれ.疲れもあるので,判断が鈍るのだろうが,車の運転には特に注意が必要だ.
さて,明日と明後日は,講義や会議のために在学.共著者からコメントをもらっているカワヤツメ分散論文を仕上げてしまいたい.雑多なことに追われる日々だが,論文書いて,それが形になれば,最低限の活動実績にはなる.それさえあれば,日ごろ好きな研究活動をやっていても引け目がない.幸い論文ネタは新旧こと欠かないので,常に継続して実行することを意識していこう.
2012年6月11日 ゼミ日程
前期分の英語論文紹介ゼミの日程をカレンダーに掲載しました.しっかり準備して,発表に挑むように.ゼミ論文を早めに決めること.4年生にはこちらから渡します.このゼミでは,特別な論文を読むのではなく,自分の研究に直結した論文を読んで,紹介してもらいます.そのため,『普段通り』に論文を読んでいれば,対応に大きな問題はないはず.院試勉強も兼ねるので,しっかりと英語論文を読んでおくこと.
また,院試勉強や卒論レベルの教養の蓄積のために,英語のお勉強会の開催を計画中.夏前(すぐ)に始めることになるので,そのつもりで.
今日は,日程決めを行った以外にも幾つか研究計画をまとめた.特に「クマ」が本格始動.夕方,クマをテーマにする研究生のMさんが来室され,今後の打ち合わせ.それに先立ち,現在保有しているクマサンプルやクマ用プライマーなどを確認した.その結果,今すぐにでも実験が開始できることが判明.もちろん,今年度のサンプルは,Mさんの調査により,今後入手される予定だが,できるところからやっていこう.論文で使われているMSプライマーも早めに発注する予定.実験指導については,私ももちろん担当するが,夜の実験が多くなるため,院生などにも手伝ってもらうことになるかも.
ところで,310のメンテナンス日程が明らかに.もろもろの事情により,従来どおり使えるまでにはまだ1ヶ月以上かかりそう.ということで,学科シーケンサーを多用していくことにしたい.特に,取り急ぎデータを出す必要のある実験も少なくない.学科シーケンサーが空いているときに,どんどんやっていこう.
2012年6月7日 二週続けて「親子」
先週の土曜日は,次男の保育園で開催された「親子ふれあい祭り」に参加した.そして今週の土曜日は,ひみラボで開催される「親子イタセンパラ教室」に参加,というか,講師を務める.今日はもっぱらその準備.プレゼンが大方完成した.当初は以前小学校で話をした時のプレゼンをそのまま使いまわせばいいだろうと思っていたのだが,いざ準備を進めると,追加したいスライドや,話の流れの変更など,結構でてきた.でもなかなかいい感じにまとまったと思う.いい準備ができると,話すのも楽しみになるものだ.当日は楽しもう.そういえば当日は,去年の卒業生のB君も来るとか.それも楽しみ.
その他,もろもろの実験対応.その中で,310のレーザーがダメになったことが判明.寿命だろう.ほぼ2年間,休むまもなく,毎日のように頑張ってもらっていたので,大往生といったところか.予算の目処もつきそうなので,早速修理の依頼をだした.1本キャピラリーとはいながら,あると非常に便利.すべてが自研究室で完結するのは魅力だし,安心感がある.これから自他の実験も本格化するし,早めに元の状態に戻そう.
自分の実験といえば,今はプライマーが届くのを待っている段階.でも,学会要旨まであと1ヶ月ほどになった.早めにこれまでのデータで,追加解析をやっておこう.口頭かポスターか,悩むところだ.長旅でポスターかかえるのも大変なので,ひさびさ口頭発表にしようかな.
2012年6月22日 予想外のヤツメ
詳しくはひみラボHPに書いたが,今日は氷見の小学校を対象とした河川生物調査に参加した.みんなとっても元気があり,こちらとしてもやり甲斐があった.そして調査の中で副産物が.スナヤツメ南方種が沢山採集されたのである.そこで,Iさんの卒論実験用に,小学生が帰った後に追加採集調査.それをひみラボに持ち帰り,3つの実験水槽をセットすることができた.今後の結果が楽しみだ.ただ小学生相手の調査をしているなかで,少し気になったことが.その小学校では,毎年恒例となっている行事があるらしい.それは,『ニジマス』のつかみ取り.何人かの生徒さんは,それを誇らしげに語っていた.もちろん,生徒さんに悪気は無いし,悪くは無い.だが,言うまでも無く,ニジマスは問題の多い外来生物である.それをわざわざ放流して,子供達につかみ取りさせるイベントだ.加えて今日,地元の方から聞いた話だと,その川にはサクラマスが遡上しており,それをとても大切にしているとのこと.それはもちろん結構だ.だからなおのこと,外来生物であるニジマスを放流することが懸念される.建前上は,川をせき止めて,放流した虹鱒はすべて捕まえるとのことだが,採り逃がしたニジマスがいないとは限らない.今日の調査で,その場所には多くの魚を始め,豊かな自然が残されていることを認識できた.だからこそ,その自然を守るためにも,ニジマスとは縁を切ってもらいたいものだ.
話は変わって,ようやくカワヤツメ分散論文の改訂稿が完成した.英文校閲も受けた.できるだけ早くに投稿したい.これでようやく,昨年のお盆のひみラボ合宿が意味を持つことになる.現時点で,今年もひみラボ合宿をする公算が高い.今年は『カワヤツメ淘汰』あたりが対象となるだろうか.
さて,毎年恒例の『お誕生会』が近づいてきた.今年は6月30日(土)に開催予定.新居お披露目も兼ねている.メニュー(案)は「催し関連」に掲載した.ただ,ややマンネリ化してきたので,今後も新メニューを開発予定.もちろん,リクエストも大募集!こんなのが食べたい,とかあれば御連絡を.そしてもちろん,飛び入り参加歓迎.お腹を満たしたい方,「岩」を登りたい方,芝生で転がりたい方,解放的な昼風呂を浴びたい方,御参加を.
2012年6月26日 最近のもろもろ
最近,ブログの更新頻度が低下してきたが,研究活動自体は充実している.
まずは山崎研の学生達の研究が軌道に乗ってきた.イタセンパラ飼育もスタートしたし,日ごろの管理についても各方面の協力を得ながら,どうにかこなしている.遺伝子実験も一通りのPCRはできるようになってきた.310も復活したので,順次データを取っていってもらいたい.またヤツメ飼育も順調だ.先日実験水槽の増設もできたし,なによりも良い結果が得られているのが,今後の研究にも期待が持てるところだ.イノシシ調査も,糞サンプルはなかなか集まらないが,調査自体は順調だ.今後,データ処理で試行錯誤していくこと自体が,勉強になるだろう.
一方,自分の研究も進んでいる.カワヤツメ分散論文もようやくまとまった.私の力・知識不足は否めなかったが,共著者のサポートを得ながら,いいものになってきた.あとは投稿規程に沿ってフォーマットを修正し,投稿だ.今週中には投稿してしまいたい.そして次なる実験が,ヤツメの生活史に影響を与える遺伝子の解析.今秋の魚類学会ネタだ.こちらも実験を本格始動した.ただ時間がなく,思うように仕事が進まないのが悩みの種.310が使えるのは幸いなので,時間のあるときに無理をしてでもデータをだしていこう.
これら自他の研究が順調な一方で,事務的な仕事が滞っている.書類山積み,って感じだ.こちらも出来る限りはやく取り組んでいくことが必要だ.特に,臨海実験とひみっ子ラボの準備を本格化することが必要だ.一両日中に,スケジュールや講師依頼などをやってしまいたい.
明日と明後日は,大学でお仕事だ.兎に角,上記仕事を順番に片付けていこう.
2012年6月28日 朝から盛りだくさんな一日
朝一で,メールを開いてみると,なんと他大学の学生さんから研究室見学の希望メールが.もちろん歓迎.早速,メールを返信.お待ちしております.
続いて,ヤツメ遺伝子実験.PCRからシーケンスまで,ほぼ一日かけて,盛りだくさん.ただ,SQ結果のアライメントをする時間が無い.
私用による一時外出をはさんで,来週の講義準備.夕方には基礎生物学セミナー.そして夜は富山県動物生態研究会.どれも興味深い話ではあった.山崎研関連の話は問題ないのだが,他研究室の発表には,少なからぬ難を感じる.研究とは程遠く,思い込みによる「作業」のようにみえてしまう.
それはさておき,今日はカワヤツメ分散論文を投稿することも視野にいれていたのだが,予定していた投稿先がイマイチだったので,投稿先変更.そこで,フォーマット修正などが必要になるのだが,大学で対応する時間は無い.ということで,自宅残業.そして先ほどどうにか終了.来週早々には投稿してしまおう.
気分一新,次なる論文に取り組みたいところだ.
それと(話の脈絡がないが),ひみラボのミニ水族館を,北日本新聞で取り上げていただいた.するとその記事を見たFMとやまの方から取材申し込みの電話をいただいた.もちろん,協力していきたい.
ということで,脈絡のない文章になてしまうくらい,今日は盛りだくさんだった.そろそろじっくりと考える時間が欲しいものだ.