『フィールドからDNAまで』をモットーに、『生物多様性の変動機構の解明と保全』を主テーマに研究しています。
【生物多様性の変動機構の解明と保全】
このテーマは、実に多くの内容を含みます。山崎研究室として、あるいは山崎個人として取り組んでいる研究をすべて網羅するテーマと言い換えることができます。
まず、生物多様性の各階層ごとにまとめると次のような生物を対象とした研究に取り組んでいます:
遺伝子多様性:
集団内の遺伝的多様性: ヤツメウナギ類、イタセンパラ、タナゴ類、ナメクジ類、イノシシ、シカ、キツネ、ライチョウ、サンショウウオ類
遺伝的集団構造: ヤツメウナギ類、イタセンパラ、ヨコエビ類、ナメクジ類、イノシシ、シカ、キツネ、ヤツデヒトデ、サンショウウオ類
系統地理: ヤツメウナギ類、ヨコエビ類、イノシシ、シカ、キツネ、サンショウウオ類、ナメクジ類、タテヤママリモ
種多様性:
種同定・分類: ヤツメウナギ類、ヨコエビ類、ヒキガエル類、サクラマス、ヨシノボリ類、サンショウウオ類
生物相: 高山動物相、淡水魚類相、動物プランクトン、湧水性水草相、藻類相、環境DNA
生態系多様性:
成長・生活史: ヤツメウナギ類、タナゴ類、ヨコエビ類、ハヤ類、ヤツデヒトデ
繁殖生態: ヤツメウナギ類、タナゴ類、ヨコエビ類、動物プランクトン、ヤツデヒトデ、サンショウウオ類
生物間相互作用: ヤツメウナギ類、ハヤ類、タナゴ類
以上は、生物多様性の各階層の記載ということもできます。そしてこの生物多様性は、時間スケールはさまざまですが、常に『変動』している点にも注目しています。
遺伝的多様性の変動:
遺伝子流動パタンの変化: ヤツメウナギ類、タナゴ類、イノシシ、シカ、ナメクジ類、高山蝶
系統地理: ヤツメウナギ類、ヨコエビ類、サンショウウオ類、イノシシ、シカ、キツネ、ナメクジ類、タテヤママリモ
遺伝子汚染: ヤツメウナギ類、サクラマス・アマゴ、タナゴ類、シカ、ナメクジ類
種多様性の変動:
種分化: ヤツメウナギ類
交雑: ヒキガエル類、サクラマス・アマゴ、タナゴ類、シカ類
絶滅: ヤツメウナギ類、イタセンパラ、タナゴ類、サンショウウオ類
生態系多様性の変動:
環境応答・適応: ヤツメウナギ類、ヨコエビ類、タナゴ類、タモロコ、ナメクジ類、高山蝶
群集の遷移: 水田群集、湧水河川群集、中山間地群集、高山群集
そして上記の生物多様性の『保存・保全』を目指す研究は、常に意識しておかなければいけません。例えば、次のような研究に取り組んでいます。
国内・国外外来生物対策: ヤツメウナギ類、タナゴ類、アマゴ、ブラックバス類
保存集団の維持: イタセンパラ
凍結細胞保存: ヤツメウナギ類
なお、以上の区分は便宜的なものであり、生物多様性の各階層はつながりを持ち、互いに影響を与え合っていることは言うまでもありません。もちろん個別の研究内容も他と関連するものが少なくありません。
以上のように、山崎研究室では、『生物多様性』に対して、多角的かつ総合的に注目し、研究を実践しています。
これまで、研究室の学生・大学院生が取り組んできたテーマ(一部上記と重複)については、メンバー紹介のページ(こちら)もご覧ください。
【フィールドからDNAまで】
山崎研究室の基本姿勢(モットー)です。すべての研究はフィールドワークに発します。そしてDNA分析はその研究を飛躍的に発展させます。これは理想論ではなく、研究者として自然と親しみ、そこで出会った課題の解決を目指す術として、体得してきたことです。実際に当研究室では、生物相調査、行動観察、環境測定・評価、形態計測、遺伝的多型分析、遺伝子発現解析などを手がけています。
【地の利を活かした研究の展開】
上記研究を展開するためには、フィールドを選びません。ただそれとは別に、ここ『富山』は生物多様性を研究するには実に適した場所と言えます。標高3000mの立山連峰から水深1000mの富山湾まで、多彩な地形が織り成す生物圏が存在します。そしてそれらがコンパクトにまとまっているため、高低差を伴う群集構造の違いを、同一のマクロ環境下で比較することが可能になります。もちろん調査地間の移動距離が短いことも、研究を実践する上では大きなメリットと言えます。
このように『日本の縮図』とも言える『富山』をフィールドとした研究に、山崎研究室では積極的に取り組んでいます。
2011年4月から、富山大学理学部・氷見市連携研究室(ひみラボ)(旧仏生寺小学校)を利活用した研究を行っています。特に、イタセンパラ当歳魚における成長条件把握のための水槽実験、ヤツメウナギ成長・変態決定要因解明のための水槽実験、サンショウウオの初期発育と個体レベルの遺伝子解析、ヨシノボリ類の種判別、河川底生層を利用する動物群の相互作用、など、連携研究室を使った飼育・実験や周辺地域における現地調査等を行っています。加えて、研究の遂行と成果の公表にとどまらず、地域への普及啓発活動として、地元住民や小学校・中学校等を対象とした講演、出前講義なども行っています。詳しくは、連携研究室のホームページもご覧ください。
多岐に渡る研究テーマの中でも、特に「今」注目しているテーマに関しては、最近の注目テーマをご覧ください。
(2022年2月20日更新)