2010年9月30日 山崎研 満10年!
私が富山大学に着任して、満10年を迎えた。よくぞここまでたどり着いたって感じだ。自分で自分をほめてあげたい(懐かしい)。10年間というのは、私の人生の中でも2番目に滞在期間の長い土地となった。最長は出生から高卒までの18年間を過ごした鎌倉だが、北海道の9年(正確には札幌1年半+函館7年半)を抜いた。月並みだが、あっという間に過ぎた。幸いにして、それなりに地に足が着いた感じがする。もちろん自己評価だが。
さて、10年を迎えて、何かまとまったことを書こうかと思ったが、浮かばない。そこで、先の魚類学会での印象も踏まえてちょっと述べたい。何かといえば、山崎研は今後どうアピールしていくか?ということ。もちろんできるだけ多くの論文を書いて、それと同時に地元の生物を研究して、とかは間違いない。ただその中でも、特に若者へのアピールとしては、『マイクロサテライト』が結構有効かもと思っている。魚の世界に限った話になるかもしれないが、このマイクロサテライトを用いた研究や、あるいは集団遺伝学をやっている研究室って、案外少ない。ミトコンの塩基配列を呼んで、種内の遺伝的分化の話をする研究はザラにあるが、集団遺伝と呼べるものは少ないようだ。そして需要はそれなりにある。ありがたいことに何人かの若者から、山崎研でマイクロサテライトをやりたいとの要望を受けた。もちろん大歓迎だ。
ちょっと前までは、対外的なアピールとしては、外部から大学院生として迎え入れる(名実ともに山崎研に配属する)ことのみを考えていたが、マイクロサテライトとか、テーマ毎の受け入れ・共同研究でも悪くはない気がしてきた。
ということで、11年目を迎えるにあたって一言:『論文共著ならば、金・機材・技術、場合によっては宿泊は、すべて提供するので、山崎研でマイクロサテライト他をやりたい若者大歓迎!
ちなみに、大学院生だけではなく、もっと若い高校生相手にもマイクロサテライトを教えている。興味のある顧問の先生は、ぜひご一報を。
2010年9月29日 動物生態研究会
今夜、毎月開催されている動物生態研究会に出席・発表してきた。久しぶりにヤツメウナギの遺伝子研究の発表で、富山のスナヤツメ南方種を中心に遺伝的多様性を空間スケールごとに評価した研究を紹介した。質問も多かったが、その中で、久しぶりに建設的な批判をいただいた。その方は、生物多様性については十二分に御理解されている方で、『その上で』と質問された。その内容は『国内外来生物が入ってくると多様性は増すが、それがなぜ問題なのか?』というもの。繰り返すが、『わざと』質問されている。これに対して私は、『そもそも在来の生物多様性を守ることが大切で、、、』と返答。また次の質問(コメント)で、遺伝子解析の結果を一義的に解釈しているのでは、というのもいただいた。
これらの質問(コメント)は、実に大切なこと。ついつい、『生物多様性が大切なのは当たり前』とか、『遺伝子解析結果は都合よく解釈しないとアピールできない』という状況の中で過ごすことが多かったので、久しぶりに考えさせられた。このような質問・コメントをくれる人は、研究を進めていく上でとても重要だ。そして減ってきた。ともすると批判を受けたような印象をもつこともあるが、この人に関しては、その人となりをよく知っているので、決して無闇な批判ではない。叱咤激励というところだろう。正直、学生時代に戻ったようで、うれしかった。
ところで、先の『外来生物は多様性を増加させるので、何が悪い』という質問だが、確かにこのような考えをもつ人は少なくないようだ。この質問に対しては、どのように対処すればいいのだろうか。もちろん、上述のような『お決まり』の返答が必要だろう。それと同時に、質問する人の考えを確認することも大切だろう。例えば、『その人にとって、なぜ生物多様性は大切なのか?』。これに対する答えによって、その人の考えがわかるかもしれない。もしかすると、『人間にとって有益だから』かもしれない。ただこれに偏りすぎると、場合によっては、利便性を優先させた開発行為と違いがなくなってしまう。あるいは、確かに、希少種保護プログラムの方法としては、他集団や近縁種との交雑により個体の存続とか、多様性の回復とかも無いわけではない。ただそれは、よほど差し迫った状況であるため、現状がそれに該当するかを精査する必要がある。それと同時に、そのような行為が、他の生物多様性に与える影響も考える必要があるだろう。そしてそもそも、『生物多様性を増加させる』という発想に対しては、慎重にならなければいけない。『増加』とは、どういう状況を指しているのか、が問題だ。在来の生物多様性を考える際、『増加』させる必要はない。最大限の行為は『現状維持』だ。あるいは失われた多様性を元に戻したいならば、誤解を招く『増加』ではなく、『回復』とかを使うべきであろう。
何はともあれ、今夜は久しぶりにいろいろと考えることができた。明日は、実験の世界に舞い戻ろう。
2010年9月28日 名古屋・三重雑考
魚類学会で訪れた名古屋と三重を振り返ってみたい。
まずは名古屋。なんと言っても外人が多かった。特に帰りの電車に乗るときに、乗客の半分は外国人。普段からこんなものなのだろか、それともCOP10の影響なのだろうか。でもイメージとしては、買い物目当ての東洋人って人がほぼいなかったので、後者ではなかろうか。
で三重。街中は、、、富山といい勝負。でも刺身はいい意味でいい勝負。太平洋の魚は美味しかった。それよりも『意外』だったのは、自然が結構あった。太平洋側は相当手を加えられているという印象だが、そうではなかった。特に仕事がら川に目が行くが、しっかりと水が流れていた。やはり鈴鹿山脈の存在は大きいのだろう。
でも、電車で富山に入ったとき、やはり富山の川はいいな~。
2010年9月28日 富山県動物生態研究会例会の御案内
9月29日(水)の19時から,富山市科学博物館(セミナー室)で,富山県動物生態研究会9月例会が開催されます.私も発表を担当しています.演題は,『ヤツメウナギからみた生物多様性の現状と課題』です.富山県のヤツメウナギを中心に,遺伝子解析からみえる現状と課題を紹介します.先の富山県主催の生物多様性シンポジウムで話した内容の改題版です.
興味のある方は,是非ご参加ください.詳細等は,私のメール宛にお問い合わせ頂いても結構です.
2010年9月27日 魚類学会報告
魚類学会に参加してきました!、、、と言いたいところですが、実質的な参加はシンポジウムのみ。
まずは道中、電車を乗り継いで三重県の津まで向かった。およそ5時間。決して近いとは言えなかった。ところが、そんな疲れも吹き飛ぶかのような偶然が。名古屋で乗り換え、津に向かう電車の中で、1本の携帯メールを受け取った。差出人は、山崎研OGのIさん。内容は、アドレス変更の連絡。ただそれよりも偶然だったのが、そのメールを受け取った時に、彼女の出身地(確か)にちょうど差し掛かるところだった。う~ん、なんという偶然。
で、本題のシンポジウムだが、タナゴ中心の話題。イタセンパラ関連の話もあり、有益な情報を多く得ることができた。企画・運営された方々もよく知っているし、大変なご苦労とご尽力には敬意を表したい。ただその上で言わせてもらうと、どことなく物足りなさが。それは各論ではなく、総合討論のこと。端的に言えば、何を議論するのかが見えなかった。タナゴ研究や保全活動、あるいはそれらに対する立場の違う人たちの関わり方、などが各論での話題提供の中心であったが、それに対してどんな意見を会場(フロア)からもらいたかったのかがよくわからなかった。言い換えると、それぞれの話題は、当然ながら個々の課題はあるにしても、完結したもの、先が見えているものばかりだった気がする。もちろんそれ自体は悪いことではないので、確実に課題を解決し、保全の目的を達するべきであろう。ただ今言いたいのは、あのシンポの会場で、総合討論の時間に、何を引き出そうとしていたのかがよくわからない、ということだ。確かに、事前打ち合わせが明白な総合討論も面白くない。が、議論すべき内容や方向性は考えておくべきであろう。そしてあの場で議論すべきこととは、私なりに邪推すると、コメンテーターのMさんが言っていた『なぜタナゴか?』の答えを出し合ってみてもよかったのではないだろうか。この『なぜ?』に対しては、もちろん趣旨説明のときに話されていた。が、それを聴いた上で、Mさんはコメントをしたのだ。私もその答えを少し考えてみた。そして私なりの答えは出た。ただそのメモを大学に忘れてきてしまったので、答えを書くのはまたの機会にしたい。それはさておき、各演者が、あるいはフロアの聴衆が、どのような『なぜならば』をもっていたのか、聞いてみたかった気はする。
さて、私は『なぜ、ヤツメを研究しているのか?』。研究を始めたころから、いろんな人に、おそらくMさんからも、聞かれた質問だ。それに対しては、その時々に自分の中では答えを出してきた。ただ、今の時点での答えを、久しぶりに考えてみるのもいいかもしれない。ただしこれも、また今度。
2010年9月24日 内堀を埋めながら
今日は論文直しに専念するはずだったのだが、もろもろの仕事に追われた。外堀が埋まったと思ったら、内堀が残っていたって感じ。大手門を打ち破って、内堀を埋めながら三の丸を攻めている感じ。この先、二の丸、本丸と続く。まだまだ先は長そうだ。もちろん大砲のような飛び道具は持っていないので、ちまちまとやっていくしかない。結局のところ、学会から戻ってきたら、本腰を入れよう。
で、その学会だが、今頃は懇親会後の飲み会で盛り上がっているころだろう。私は明日から参加だ。長い道中、何して過ごそうか。
ところで、論文直しを後回しにさせた「仕事」のひとつに、地図ソフトのお試しがあった。カシミールを導入してみたのだ。今時は地形図などから3D地図を作ってくれるようだ。でもそんなお遊びはそこそこに、これまでの調査地を記録していった。するとなかなかgoodな感じ。2万5千分の1の地形図を使って、正確に記録すれば、地図を縮小してもその地点情報が活きている。もちろん縮尺はいつでも自由に変えられる。印刷もそこそこできそうだ。こんなソフトが欲しかった。とりあえず、県内調査記録とヤツメ分布図を作成中。イノシシの情報も記録すると、有効活用できそうだ。ただ、やはり難点は、入力する時間がないこと。若い学生さんにお手伝いとしてやってもらうのが一番なのだが、この手のことは自分でやらないと気がすまない正確でもある。折を見て進めていこう。
2010年9月23日 残業代わりの研究テーマまとめ
今夜は自宅残業の代わりに、研究テーマについてまとめてみた。このサテライト・サイトの「研究内容」ページを一新、というか作成した。これまで公式サイトとかにも書いていたことなので、特段目新しいわけではないが、山崎研究室の方針も含めてまとめた。
これとは別に、最近ひとつの結論に至った問いがある。もっとも傍から見れば『何をいまさら』ということかもしれないが、最近の研究活動の中で得た答えだ。その問いとは、
「ジェネラルな研究って何?」
端的に言えば、「国際誌には、どのような論文を書けばいいのか?」ということだ。
少し前に、ヤツメの種分化に関する論文をMolecular Ecologyに投稿したら、『話がヤツメに偏っているので(ジェネラルではないので)、対象生物に特化した雑誌に投稿しろ!』とのコメントももらった。一方で、今直している論文はConservation Geneticsに投稿したものだが、『面白い(ジェネラルだ)!』との評価をもらった(ただし、アクセプトは未だ)。対象生物はどちらもヤツメ。データの量や力の入れ方からすると、前者の方がはるかに上だ。それに種分化の実例を発見!みたいなことをアピールした内容だ。
この2つを比較してわかったことが、「ジェネラル」とは、対象生物ではなく、対象地域でもなく、話題の新規性・独創性や他の研究に対するアピール度を問題としているということだ。もっともこんなことは、論文の書き方の指南書には当たり前のようにつづられている。もちろん私も何度も目にしたことがある。ただし、やはり実体験・体得は大きい。
ちなみに、CGに投稿している論文の内容を、つまらなく書くと次のとおりだ。
《富山県の小河川内3箇所で採集したヤツメの遺伝子を比較した。》
これではまさに卒論レベルだ。Ichthyological Researchも難しく、魚類学雑誌に和文として載るのが関の山だろう。これに対してCGに投稿した内容は次のようなものだ。
《水田生態系の構成要素であるヤツメの遺伝子流動は、小さな水門などの人工構造物によっても阻害を受ける》
、、、う~む、こう書くとイマイチかも。。。とにかく、遺伝子流動を異なる時間スケールで計測するなど、保全の分野では今後重要視されるであろうテーマということで評価を得たようだ。
ということで、なんとなくまとまりがなくなってしまったが、とにかく論文を書く際には、アピールが大切ってことだ。
2010年9月23日 まったり休日
今日は買い物に出ただけで、まったりと休日を過ごしている。昼飯は久しぶりに味噌ラーメンを作った。毎週のように食べていた時期もあったのだが、さすがに夏は敬遠。でも急に涼しくなったので、久しぶりに恋しくなった。私の味噌ラーメンはとにかく濃い。大蒜と葱と味噌をごま油で焦げるまで焼くところからスープ作りが始まる。さすがに麺をうつことはないが、それ以外はとことん手作り。美味しかった。
ちなみに最近自宅残業を再開した。もっぱら後期の講義ノート作りだ。今年度から新規に担当する講義が1つある。内容は生態学の基礎を教えるものだ。教科書があるのだが、講義用にまとめなければならないので、今のうちからノート作りを進めておく必要がある。論文直しもやりたいところだが、集中する必要があるので、大学でやることにした。明日、ある程度形を完成させてから、学会に挑みたい。
2010年9月22日 ようやく参戦決定!
今週末から始まる魚類学会に参加することがようやく決まった。そもそも私自身の発表は無かったのだが、シンポジウムに参加したかった。ただ所要で一般発表日には間に合わない。ぎりぎり二日目の夜に現地入りし、その日は『研究打ち合わせ』の集いに参加。翌日はンポジウム参加だ。学会にはいろいろな要素や目的があって参加するのだが、年に1回、さまざまな研究者と顔をあわせて情報交換をするのは最重要課題と言ってもいいだろう。特に今年のシンポジウムはタナゴ関連。山崎研のNさんも発表するし、他にもイタセンパラの発表もある。現在の遺伝子解析だけではなく、Nさんを中心とした生態研究の発展のためにも、関係者と顔をあわせておくことは重要だ。もちろん私も『手土産』をもっていく。イタセンパラ遺伝子解析の途中経過だ。第二段階といったところ。もっとも表に出すかはその場次第だが、関連研究の発展、あるいは新規研究の受注のためには、有効なカードだ。もっともお堅い話はさておいて、ざっくばらんな情報交換をしたいところだ。イタセンパラ関連の研究者には、なんだかんだで知り合いが多い。というより北大の同期や後輩がいる。当時はお互いにイタセンパラを研究するなんて思ってもいなかったのだが。
ところで、今日も大学ではデスクワークに追われた。それも事務仕事ばかり。論文直しは夕方に少しだけ手がけることができた。一応、資料収集ということで、図書館の書庫に積まれていた、調査地の『町史』を紐解いて、水門工事がいつごろ行われたかを調べ当てることができた。当たり前だが、昨日書いた水門が昭和10年完工だったことが裏付けられたし、別のところは昭和50年代後半とかもわかった。まさに文献調査って感じだ。一方で、実験は全くできなかった。頼まれていたシーケンス用のプライマーやイノシシ用のマイクロサテライトプライマーも届いたのだが、時間がない。金曜日もできれば論文直しに集中したいし、本格実験は学会後になりそうだ。
2010年9月21日 調査とナガモノと私
野外調査へ。出発時には雨が降っており、どうなることかと思ったが、午後は暑いくらいの晴れ間が。
まずは論文改訂対策として、調査地の水門調査。レフェリーから水門設置時期を尋ねられたので、その確認。が、、、今時なら堰堤脇にプレートが埋め込まれているのだが、昔はそんなの無かったみたい。で、どうにかこうにか探しだしたら、『昭和10年施工』。う~む、先達のご苦労が伺える。
で、続いて氷見へ。イタセンパラのいいものを見せてもらった。今後の研究発展のアイディアがいろいろ湧いてきたが、ここでは秘密。
でで、その後は近隣の河川で魚類調査。一応の目的は希少種調査だが、研究室の学生を鍛えるのが主目的。それにしても長いものが沢山いたな~、、、昔ならば私は一目見ただけで戦意喪失。それに比べればマシになったが、やはりまだダメ。
2010年9月20日 三連休最終日
久しぶりにのんびりと過ごせた休みだった。
初日。午前中は子供たちを連れて近くの公園へ。富山はほんとに公園が多い。車は必需品だが、5分も走れば、立派な公園に着く。ちなみに10分走れば動物園だ。で、午後は買い物の後、部屋の片付けと料理の仕込み。そして夕方から研究室の学生たちが遊びに来てくれた。恒例の山崎宅飲みだ。
2日目。昼間でゆっくりと過ごし、午後は魚津水族館へ。月に1度は行く。今日の目当てはウナギ展。なかなか楽しませてもらった。ちなみに家人は「お魚ショー」に見入っていた。どうやって教え込むのだろう?と興味津々。そして夕方からは、子供たちのお友達ご家族が遊びに来てくれた。この日も私が料理担当。我々が仕事で遅い日に子供たちを預かってもらうことが多いので、そのお礼のご招待。予想外に、フクラギの解体ショーにみんな興味津々。
3日目。今日も昼間でまったりと過ごしてから、郊外型ショッピングセンターへ。
さて、明日は野外調査だ。久しぶりなので、肩慣らしってところだろう。10月、11月は調査をバンバン入れてく予定。実験は合間を縫って、効率的にやっていこう。
ところで、メンバーのページを作成した。個々の学生の情報は今後了解が得られたものを掲載する予定。卒論テーマは近々掲載。私のプロフィールも作成した。ただし、書き始めてみると時間がかかるので、おいおい更新の予定。
2010年9月16日 明日は健康診断
明日は大学で定期健康診断だ。そのため今夜は年に数少ない「健康」に過ごす夜。まずお酒を飲んでいない。それから早寝の予定。お酒を飲んでいないのが功を奏し、先ほど明日用のゴミ袋を買いに車でコンビにまで行って来れた。もっとも一日くらいお酒を飲まないからといって、急に健康な体になるわけではないのだが、これも毎年の恒例行事ということで。
ところで、今日はようやく論文直しに取り掛かった。埋めてきた外堀を乗り越えて、本丸に突入!と言ったところだ。レヴュアーが4名もいたのだが、コメントはどれも似たようなもの。3人目まで読んだところ、どれも好意的なコメントが多かった。が、4人目が、、、今日はここで時間切れ。明日続きをやろう。
ところで、今度の土曜日は恒例の山崎宅飲みだ。研究室の若者からの要望で、ピザを焼く。その他のメニューも考えておいてもらおう。OB・OGの参加は難しいかな。でもこれそうならば、飛び入り大歓迎!
2010年9月16日 アジアのヤツメ
アジアのどれくらいの国に,ヤツメは住んでいるのだろうか?
「アジア」といっても定義は様々だろう.ユーラシア大陸東部という広い枠で捉えたとき,いったいどれだけの国にヤツメが住んでいるのだろうか.ちょっと列挙してみよう.
日本:言うまでもない.カワヤツメ,シベリアヤツメ,スナヤツメ北方種,南方種,ミツバヤツメ,そして,,,が住んでいる.
韓国:私も何度か行った.経験と文献も含めれば,カワヤツメ,スナヤツメ南方種,アリナレスナヤツメといったところか.
北朝鮮:情報は極めて乏しいが,周辺国から判断すると,アリナレスナヤツメ.カワヤツメとシベリアヤツメもいてもいい.
中国:アリナレスナヤツメとアムール川水系のカワヤツメ.シベリアヤツメもいるかも.揚子江下流部にも大昔はいたとか.ただし出典は忘れた.
モンゴル:これもアムール水系のカワヤツメとアンガラ水系のシベリアヤツメが可能性あり.
ロシア(ここではアジアに含める):カワヤツメ,シベリアヤツメ,ミツバヤツメ,そしてカスピ海ヤツメ.ただし,ヨーロッパ圏に行くと他にも沢山.最近,黒海流入河川からの新種記載もされている.
カザフスタン:シベリアヤツメがいる.私自身が確認した.それからカスピ海ヤツメもいるかも.
概ねこんなところだろうと思っていたのだが,先ほど文献探しをしていてビックリ!なんと,
イラン:カスピ海ヤツメがいる.
となると,他のカスピ海周辺国にもいるのかも.ただ,イランのヤツメは絶滅の恐れが高いらしい.周辺国の状況も懸念される.
2010年9月15日 外堀が埋まってきた
今日も仕事内容は盛りだくさんだ.イタセンパラMSの試し再実験の結果がよかったため,アリルが読めなかった個体を中心にPCRを行った.310RUNは明日以降.
実験が一息ついたところで,郵便を受け取った.魚類学雑誌に受理されていたイタセンパラMS論文(第一弾)の初校校正が届いた.お決まりの「72時間以内に返却」とあったので,早速読み直し.特段問題がなかったので,午後には返送した.それにしても今時は本文だけではなく,図表も電子データを提出してあるので,間違いがほとんどない.ひと昔前は,表がずれていたり,学名がイタリックに直っていなかったりしたものだ.特に引用文献リストでの学名ローマン表示が多かった.そして私は,このミスをちまちまと探すのが好きだった覚えがある.見つけだすと,何となく勝ったような気がしたものだ.
ところで,現在富山県では,県版レッドデータブックの再検討に取り組んでいる.私も淡水魚などで参加.今日はそのリストまとめなどを行った.そろそろ涼しくなってきたので,現況調査にも出かけなければならない.そのための日程調整もしたところで,本日のお仕事終了.
ということで,この他にも講義準備などの懸案事項も幾つか片づいてきた(外堀が埋まってきた)ので,そろそろ本丸を攻めに入ろう.CGから戻ってきたスナヤツメ北方種の分散を扱った論文の直しだ.まずはレフェリーコメントの吟味,というか解読から.
2010年9月14日 部屋掃除
今日は朝からこまごまとしたことに対応した。事務書類作成や来客応対、学生指導や共同野外調査の準備など。そして合間を縫って、居室の大掃除を実施。と言っても机の上に山と積まれた書類を整理したのだ。もっともそこまで急いで片づけを行う必要はないので、現実逃避というのが正確かもしれない。そしていざ初めてみると、予想通りに難航した。学会誌や会議書類、業者がもってきたチラシなどなど。まさに地層を掘り進むがごとくの作業で、次第に出てくる書類の年代が古くなる。おおよそ半分くらいまで片づけが終わった段階で、2年前の学会要旨集が出てきた。そして最後には4年前の入試要綱が、、、そんなに前から積まれていたのか、と妙に感慨深くなってしまった。何はともあれ、机が広くなった。これでもろもろの仕事がはかどるといいのだが。
実験の方は、イタセンパラのマイクロサテライトのうち、私が担当する分がほぼ終了。増えの悪いプライマーの再実験が必要かもしれないが、それも含めて明日データ読み取り(「アリル拾い」と呼んでいる)をやっていこう。そして卒論でやってもらっているSさんの分の実験が終わったら、1つの論文としてまとまるだけのデータになるだろう。
論文と言えば、本家サイトの日記で夏前に書いているのだが、イノシシのこれまでの結果の論文化を目指していた。が、文章書きがさして進んでいない状態でそれ以前に投稿していたヤツメ論文が戻ってきてしまったので、しばらくはイノシシ論文化を保留しておこう。さすがに慣れない生物なので、片手間に書き進めることはできそうにない。ヤツメ論文(2報)に目処がついたら、一気に書き上げることを目指そう。ということで、夏休み中の草稿完成の予定だったが、年内完成を目指す!ということで。
そして、そうこうしているうちに、例の高山に棲む鳥のためのDNA抽出キットやプライマーが納品されてしまった。これも手がけたい気もするのだが、いざはじめると他のことが何もできなくなりそう。もう少し様子を見てから動こう。
2010年9月13日 COP10のその後を見据えて
このサテライトサイトが、ようやくgoogle検索に引っかかるようになった。【山崎研究室 サテライト】で検索してもらうと、2番目くらいに出てくる。1番目はもちろん本家サイトだ。これを記念して、というわけではなく、青背景だと長時間の書き込み後に目がしょぼしょぼするため、これを改善する目的もあり、サイトの背景を変えてみた。ちょっと可愛いかんじ。
ところで、先週末のことになるが、私も参加している富山大学内の研究プロジェクトの会議があった。「高低差(高度差だったっけ?)4000mの環境」をテーマに、生物系だけではなく、環境、化学、地学の先生も参加するプロジェクトだ。名称が長いので、私は『4Kプロジェクト』と呼んでいる。そして今年も年末にフォーラムを開催することになった。で、気がついたときには今年のテーマが『生物多様性』に決まっていた。ま~、流行ですから。それはさておき、今時は生物多様性をテーマにしたシンポジウムなどは掃いて捨てるほどある枚挙に暇がない。他との違いをアピールすることが必要だ。そこで私が出したアイディアが、タイトルにある『COP10のその後』だ。世間では10月のCOP10そのものが注目されるが、行政やそれに応える現場からすると、まずはその先2年間が重要だ。特にCOP10で方向性が示されるであろうさまざまなことを実現していかなければならない。これを考えたとき、『その後を見据える』ことは重要だろう。基調講演もこのテーマに沿って話していただける方にお願いできそうだと聞いた。私も各論報告として20分程度を受け持つ予定。話の詳細はまったく組みあがっていないが、乞うご期待!(ということにしておこう)
2010年9月12日 お茶会
私が学生時代をすごした研究室では、毎週月曜日の9時から「お茶会」と銘打って、前週の報告とその週の予定とを教員(当時は教官)に報告する集まりがあった。この手の集まりは、学生と教員が互いの状態を知り合うことができるのが利点である反面、毎週やっているとマンネリ化し、形骸化してくるのは否めなかった。山崎研でも曜日と時間、そして呼び方こそ違え、このような集まりをもった時期がある。ただそれは、割とたくさんのメンバーがいたとき。そして、なぜだか覚えていないが、私が今より雑事に追われていた時だった。が、今は形式ばった集まりは特段開いていない。そして、それで何とかなっていると思う。なぜならば、メンバーが少ないので、一声かければみんなに話が行き届く(はず)。だから、当面は形式ばった集まりはやらない。ただ、実質的な指示出しは頻繁にするからね。それとゼミは全く別物。全員で集まって近々再開だ。
ところで、「お茶会」と書いたのには意味がある。今朝、お茶会に参加してきた。それも『本当の』お茶会。我が家の子供が、保育園の行事としてお茶会のお手伝いに参加した。で、その付き添いのつもりだったのだが、会場についてみると、和装の方々が。そして一同の流れにのって、気がついたらお座敷で正座していた。それも全くの普段着。もちろん作法なんて知ったことではない。幸い、お菓子やお茶をもらうのが後のほうだったので、前の人のやり方を見ながら、どうにかこなした。もっともお茶の先生からすれば、ど素人が混ざりこんだのは一目瞭然なのだから、開き直ってしまえばよかったのだろう。
2010年9月10日 あっという間の一週間
今週は速かった。月曜日の野外調査の後は、事務仕事の対応と実験解析が中心だったのだが、あっという間に時間が経ってしまう。ついつい『今週は何をやったのだろう?』と考えてしまうことが多い。でも生データを見直したりする作業も、その場では時間だけを浪費しているように見えるときもあるが、地道な作業の積み重ねが、近い将来の論文になると思って、抜かりなくやっていきたいところだ。
ところで、先週のシンポジウムを契機に、山崎研究室では新たな生物を対象とした研究をスタートさせることになった。富山を代表し、電車の名前にもなっている『あの鳥』である。地元の生物をいろいろと研究する機会をもらってきたが、山崎研もついにここまで来たか、と感慨深いものがある。もちろん集団遺伝学的な解析が当面のテーマだ。この鳥の仲間は、北半球高緯度地帯を中心に結構たくさんいるようだ。そして研究も盛ん。今回も事前の論文検索してみたところ関連報告は海外を中心に結構ある。今考える点は、マーカーだ。最近マイブームとなっている「糞」からDNAをとるため、mtDNAがやりやすい。ところが、立山あたりでは、ハプロタイプ多様度が極端に低いようだ。一方で、海外では別種・別亜種だが、マイクロサテライト・プライマーも報告されている。ということで、いきなりマイクロサテライトに挑戦することにした。
またもや仕事が増えそうだ。幸いなことに後期は講義が少ない。毎週開講の講義は木曜日の2コマだけ。前期が相当にハードだった分、講義では楽をさせてもらおう。もちろんその時間は自他の研究にあてたいのだが、何かと仕事が入ってくるのが世の常だ。だができる限り時間をつくって、実験や論文書きをやっていこう。
2010年9月9日 日本建築学会
『昨夜通り過ぎた台風が富山を被っていた熱波を運び去り,久々に清涼感を感じながら迎えた朝.しかし大学構内に入るとすぐに我が目を疑う光景に出くわした.早朝,それも夏休みにも拘わらず多くの学生がたむろし,そしてみな一様に緑色の衣を身にまとっている...』
って,別に下手な小説の書き出しではない.緑色のおそろいのTシャツを着た沢山の学生が,朝から正門近くにいたのだ.何でも今日から日本建築学会が富山大学五福キャンパスを主会場として始まるらしい.そしてお手伝いのアルバイト学生さんにそろいのTシャツが支給された模様だ.確かに学生の背中には学会のロゴがはいっている.もっとも学会開催自体は事前に知っていた.前日には新聞見開きで宣伝が載っていた.どれをとっても『お金持ちだな~』と感じる学会.もちろん私が参加している学会と比べての話だが.
理学部,それも私の居室の前の多目的ホールも会場になっている.時間と共に緑の学生さんに交ざってスーツのおじさま方(失礼,きっと偉い先生方でしょう)が増えてきた.私自身,この手のイベントは嫌いではない.まったく関係ない学会でもなんだがワクワク感が揚がってくる.
そんな中,私はいつも通りの実験三昧.といきたいところだが,目先の実験が一息ついているのと同時に,事務仕事やら,実験解析の依頼やらが溜まっているので,それらの対応に追われた.中には数ヶ月寝かしておいた解析もあり,以前を思い出しながらパソコンに向き合った.またイタセンパラのマイクロサテライト分析のデータもチェック.多少わかりにくアリルを出す遺伝子座があったので,再実験の後に過去の全データの見直し.これは明日も継続だが,データとしては落ち着きそうだ.
それはそうと,Conservation Geneticsに投稿中だった論文の審査結果が帰ってきた.結果は『大幅な改訂をすればアクセプトできるかもね』というもの.『リジェクト』でないだけマシだ.それにレフェリーのコメントからみても,内容の面白さは伝わったようだ.ちなみに,田圃脇の水路に棲むスナヤツメ北方種が,小さな水門の存在により水路内での遺伝子流動を妨げられているというお話.得意の『異なる時間スケールによる遺伝子流動の異質性』をまとめたものだ.来週あたりに集中して改訂してしまおう.
2010年9月6日 筑波大の学生さんとヤツメ採り
毎年恒例となりつつある筑波大学との合同ヤツメ採りを行った.今回は院生・学生4名に来てもらった.山崎研の学生SさんとY君にも協力してもらって県西部の河川で採集.湧水性河川なので水は冷たく,気持ちがいい.ただ担いだ電気ショッカー(使用許可は取得済)が重い.それでもヤツメの密度が高い川なので,成果は上々.加えて,外の研究者,それも若い人たちとの交流はいいものだ.昨夜は富山の海の幸を一緒に堪能したのだが,研究者に没頭している若者と飲むのは久しぶり.アカデミックな話題は半分もなかったが,それでも元気をもらえる.山崎研の学生も真面目に実験に取り組んでくれるのはいいのだが,もう少し『研究に対するアホさ』がほしいところだ.ま~まずはしっかりと実験をやって,卒論に備えてもらいたい.
今頃は未だ車中かもしれないが,まずは筑波まで安全運転で戻ってもらいたい.またのお越しも大歓迎!
2010年9月4日 ちょっと訂正
先の書き込みをした後に,読み返してみたところ,「冷血」という表現は必ずしも正しくはないのかも.いわゆる「変温」ってことで,血液が暖まることも当然ある.というか,暖めようとする行動をよくするので,私の目に映ることが多々あるのだ.ナガモノとか.ま~いずれにしても俗な表現を使っているだけなので,お許しいただこう.
それよりも発表スライドの見直しをしなければならない.
2010年9月4日 冷血四足動物
今日は昼からシンポジウムに参加.これに備えてほぼいつも通りに大学に来た.ただいつもと違うのはスーツを着ているということ.暑いです!日頃スーツを着てお仕事されているかたに敬意を表します.
ところで,私の記憶が正しければ,人生で初めては虫類を触った.それも今朝の出来事.着替えをしようとスーツを洋服ダンスから取り出し,振り返ったところで,白い壁紙の上を移動するものを発見.やや長細かったのでゴキブリではないことはすぐわかった.ムカデの類かな,とよく見ると,全長3cmほどのヤモリ.以前も私が不在の時に出た(入ってきた)ことがあると聞いた.大した悪さもしないし,そのまま放っておこうかとも思ったが,家人はこの手の生き物が大の苦手.実は私もは虫類系は苦手だ.というよりも足のないは虫類(名前を出すのもおぞましい...)は大嫌い(ってうか無理).だが,四つ足があれば何とかなるかも.それに小さいし.ってことで,意を決してつまんでみた.キーキー(?)と鳴いていたが,そのまま窓の外へ.朝から大仕事をしたという感じだ.でも小さいヤモリは,結構かわいかったかも.が,ナガモノ(私の用いる隠語)は無理.
そういえば,最近の遺伝子実験の中で,は虫類ではないが,冷血四足動物を扱った.依頼を受けたものだ.この実験は概ね成功裏に終わった.一方で,温血四足動物の遺伝子解析の依頼も幾つか受けている.イノシシはこれまでもやっており,順調に進んでいるのだが,それ以外のものは悪戦苦闘中.というよりも白旗を挙げたい状態だ.昨日も書いたが,そろそろ実験内容をシフトさせるので,白旗とまではいかないが,今後は時間のある時に補足的な実験として行っていこう.
2010年9月3日 準備順調
9月は富大生にとっては夏休み.さぞかしノンビリと過ごしているであろう.そして9月は教員にとっても,時間を比較的自由につかえる貴重な一ヶ月だ.自由にといっても,当然ながら論文書きや実験に専念できる,と言う意味.かく言う私も,実験を中心とした一日を過ごすことが多い.ただ時に諸々の仕事が入ってくる.例えば,明日の生物多様性シンポジウム.正確には,
生物多様性シンポジウム「つながるいのち生物多様性とは」(主催:富山県)
9月4日(土) 13:30から
富山大学五福キャンパス 黒田講堂にて
この中で基調講演とパネルディスカッションがあり,私は後者のパネラーとして参加する.そして約15分間の研究紹介を任されており,以前も書いたがスナヤツメ(南方種)の遺伝的多様性について話す.そのため,ここ数日は,このプレゼンテーションの準備に力を入れている.内容からして,スライド自体はこれまでの使い回しでも対応できるのだが,シンポジウムの意図や聴講者層に合わせて,ほぼ全面的にリニューアルした.また私の性格からしても,スライドを作り始めると,ついつい凝ってしまう.でもその甲斐あってか,なかなかのプレゼンが出来たと思う.ただ,プレゼン準備に集中しすぎると,その時には気づかない,ちょっとした見落としが生じることがある.だから,明日の本番まで,適度に間を置きながら見直して,プレゼンを完成させていこう.
一方,実験の方は,いろいろな理由で一段落.順当に終わった実験もあれば,万策尽きてお手上げな実験もある.いずれにしても,来週からは別の実験に取り組むことにしよう.やるべき実験は盛りだくさん.来週は「魚」に関する頼まれ実験だ.自分自身のヤツメウナギの実験も進めたいのだが,本格稼働は10月になってからかもしれない.そして実験もいいが,そろそろ論文書きも専念しなければならない.現在2報投稿中だが,当初の予定ではそれらが査読から戻ってくるまでに,次の論文の骨子を作成するはずだったのだが,,,来週から頑張ろう.
2010年9月1日 雷と310
昨日の話になるが、夕方、富山市では短期集中的な大雨と落雷に見舞われた。俗に言う「ゲリラ豪雨」というやつだ。市内では冠水被害も生じたようだ。これにはお見舞い申し上げたい。一方、富山大学では、大雨の影響はそれほど多く受けなかったようだ。ただ、落雷については、少なからぬ影響を受けた。実験機器への影響だ。特に、現在山崎研究室の遺伝子実験には不可欠なジェネティック・アナライザーABI310だ。ほとんどの実験機器にとって、停電はよくない。310も例外ではない。ただ富山大学では、停電が生じることは多くは無いが、「瞬時停電」は落雷によって生じることが少なくない。これが310稼動中に起こると、よろしくない。単に機械が止まって、再実験が必要になるだけなら、まだマシだ。悪い状況として、再通電後にオートサンプラーやシリンジポンプがなぞの動きをすることがある。下手をすると故障につながってしまう。これが心配だ。
昨日は落雷が長引いたため、久々に瞬時停電を覚悟した。しかし、それは無かったようだ。ただ、過電流は発生したらしい。落雷直後に稼動中だった310のレーザー出力がゼロになってしまった。
幸いなことに、1分もたたないうちに自然に回復してくれた。オートサンプラーも変な動きをしなかった。ただ今回はよかったが、今後は過電流対策も必要になるだろう。
話は変わって、今週の土曜日(9月4日)に、富山大学の黒田講堂を会場として、富山県が主催する生物多様性に関するシンポジウムがある。私もパネリストとして参加する。ぜひご参加いただきたい。そして今日は、実験や会議の合間をみて、プレゼンテーションを準備した。いつもながら細かいところに凝ってしまうため、時間だけを費やした感が否めない。ちなみに、私の話題提供は、最近力を入れているイノシシではなく、ヤツメウナギからみた遺伝的多様性の話。乞うご期待。
2010年8月31日 イノシシはなぜ増えた?
今日もイノシシによる被害の話が新聞に載っていた。文化財を壊してしまったそうだ。農作物の被害は、いちいち新聞記事にならないくらい沢山おきているのであろう。このような被害増加の根底には、全国的にイノシシが増えていることが挙げられる。富山県についてみても、この傾向は間違いないようだ。ではなぜ、イノシシは増えたのだろうか?富山の状況を中心に、私の知りうる情報をまとめ、多少の私見を述べたい。
時々、『昔は富山県にはイノシシはいなかった』という記述を目にする。ただこれ自体は誤った情報のようだ。江戸時代や明治の初めころには、被害の状況に関する記録やイノシシの毛皮生産に関する記録があると聞いたことがある。ただし、大正から昭和にかけては、そのような記録が無く、この時期に富山のイノシシが減少したことは間違いないようだ。そして平成に入ってからの増加。つまり、再び増えてきたということらしい。
では、改めてイノシシ増加の原因はなんだろうか。上の記述から言えることは、『雪が多いから、富山にはイノシシは少ない』、だから『最近は暖冬で雪が減ったからイノシシが増えてきた』ということだけでは、今日のイノシシ増加の原因のすべてを説明することはできないだろう。なぜなら、雪が多かった昔にもイノシシは生息していたのだから。
また、そもそもイノシシが日本列島に渡ってきたのが数十万年前から数万年前と言われている。その後、日本列島において大型の哺乳動物の絶滅が生じている。ナウマンゾウとか、ニホンオオカミとか。このような競争者や捕食者の減少もイノシシ増加の一因として指摘されることがある。ただしこれも、長い時間スケールで考えた際の一因として扱った方がよさそうだ。
これらに対して、私が(私だけの考えではないが)もっとも大きな原因と考えることは、山地利用の変化(低下)だろう。そもそもイノシシが減少した大正・昭和の時代には、山が利用されていた。木を薪に使ったり、森林を切り開いて耕作地を広げたりしていたそうだ。また農作物を守るために、野生動物を監視していたとも聞く。もちろんイノシシは害獣であると同時に貴重な食料だ。これではイノシシにとっての安住の地は減るであろう。
そして今、山の利用は減っている。これは、「里地里山の荒廃」として注視されることがあるのと同時に、「過度な利用がなくなり、森林が復活してきた」という結果ももたらしている。これと同時に、食料として、あるいは毛皮として、イノシシが狙われる機会も昔に比べれば減っている。いずれにしてもイノシシにとっては、住みやすい場所が増えたことには違いない。これと同時に、確かに雪が減っているかもしれないし、それによって餌が増えているかもしれない。これらが重なって、個体数増加の方向に、今現在は進んでいると考えることができるだろう。
では、このように増えているイノシシに対して今後どのように接していくべきか、あるいは今後イノシシはどうなるか、もう少し考察が必要だろうが、また今度。そしてイノシシだけではない。ニホンジカがそれを追うように迫ってきている。この話もまた今度。
2010年8月30日 臨海実験予備調査
今年度の臨海実験は,8月上旬に無事終了しました.今回の予備調査とは,来年度に向けての準備です.と言うのも,来年度は8月上旬に日程を組めないことになりそうなので,お盆明け開催予定を考えています.ただ,お盆を過ぎるとクラゲが出る,というのは良く聞く話.いくら自然を満喫できる野外実習とは言え,クラゲがうようよ泳いでいる海に,学生を飛び込ませるわけにはいきません.ただこの時期の富山の海には,実際にどの程度クラゲが出現するのかがわかりませんでした.そこで,来年に備えて,今の予備調査となったわけです.
そして結果から言うと,クラゲ問題は解決.今日の午前中に,例年実習を行っている氷見の海で泳いでみたのですが,目撃したのはアンドンクラゲ1個体だけ.これは今年度の実習の時と同じ状況です.これならば問題なく実施できます.そして,先の実習から1ヶ月ほどしか経っていないのですが,海は結構違った姿をみせてくれました.一番の特徴は,海藻の多くが枯れていたこと.私は海藻や植物には詳しくないので,よくわかりませんが,いわゆる夏枯れなのでしょうか.何はともあれ,海藻が少ない分,海の中がよく見えます.岩肌が露呈した場所が多く,イソギンチャクなどが以前よりも多く目に入ってきました.一方で,ウミウシの類が見あたらなかったのが気になります.いつもなら,海藻の上で日向ぼっこ?しているのですが.
立派なお仕事として行ってきましたが,晩夏の海を楽しんだ一日でした.
2010年8月29日 ジンベエザメ
観てきました.石川県ののとじま水族館で先週から公開がはじまり,早速行ってきました.ジンベエザメ自体は,以前にも大阪の水族館で観たことがあるのですが,近場で観られるのはうれしい限りです.そしていざ観ると,なかなかの迫力.正直言って,大阪よりも迫力がありました.そして「大きい」ことを実感.ジンベエザメが水槽のなかを周遊してくれたため,目の前を通り過ぎた時にその大きさを実感できます.また,通路が円形水槽の周りに螺旋状に設置されており,様々な深度から観られることも魅力です.私の一番のお気に入りは,入り口から最初に観られる「上からの眺め」です.水面近くを泳ぐジンベエザメを水上から観ることができ,ガラスを通さない分,その大きさを実感できます.
2010年8月29日 イノシシ研究が新聞に紹介されました
今朝の北日本新聞(富山)で、山崎研究室で取り組んでいるイノシシの遺伝子研究が紹介されました。
イノシシ研究については、3年くらい前から本格的に取り組んでいます。研究の発端として、ここ数年で、富山県内でのイノシシの出現やイノシシによる農作物被害が増加していることがあげられます。これに対して県の自然保護課が中心となり、多方面からの取り組みが始まりました。この中で、基礎情報の収集・集積を目的とした遺伝子解析が、当研究室に依頼されました。
これまでも、県庁を介して猟友会から捕獲イノシシの提供を受け、遺伝子解析を行ってきました。ただ、県内のイノシシ生息状況を詳細に把握するためには、野外から多くのサンプルを収集し、解析することが必要となります。その1つとして、糞からの遺伝子解析に取り組み始めた、というのが今回の新聞記事の内容です。
詳細はまた後日。
2010年8月28日 新サイト開設
山崎研究室の新しいサイトの作成を進めています。とはいいながら、まとまった時間が取れないため、またこのサイトの扱いになれないため、試行錯誤の連続です。
そもそもこのサイトは、富山大学理学部生物学科の山崎研究室のサテライト・サイトです。サテライトと謳うくらいですから、ステム・サイトがあります。富山大学内のサーバーに設置された山崎研究室公式サイト(ホームページ)があります。この公式サイトもそこそこ充実していますが、管理等に制約が多く、更新が容易ではありません。そのため、よりリアルタイムな情報発信を目指して、このサテライト・サイトを開設しました。
もうひとつ状況説明をすると、山崎研究室には裏ブログが存在します。こちらは開設当初からの方針で、意図的に伏字を用いて裏話を載せています。そのため、まじめな研究話を載せにくい状況にあります。そこで、公式サイトよりもフランクに、それでいて裏ブログよりもリアルに、情報提供することをこのサテライト・サイトでは目的としています。