富山大学理学部の正規講義です。
対象:生物学科3年生
開講期間:前学期(2019年度は火曜日1限目)
※詳細は、富山大学のシラバスを参照してください。
★講義への質問と回答★
※以下では、講義内容等に対して、学生から寄せられた質問(の一部)に対する回答です。
※主に、講義中に回答できなかったものについて、記載してあります。
※質問・回答ともに、簡易的な表現にしてあります。一部正確性に欠ける点があるかもしれませんが、ご了承ください。
【2019年7月30日の講義に寄せられた質問と回答】
【質問1】イワナの生活史決定で,性成熟の体サイズを越えても性成熟せずに,スモルト化する個体がいるのはなぜか?
【回答1】講義では説明を省略しましたが,性成熟とスモルト化を決めるのは,体サイズだけではなく,季節も影響します。イワナにも個体差があるので,その季節に十分な大きさに達していない場合などは,次の季節(来年)に生活史を決めるタイミングが来ます。その結果,性成熟のタイミングを逃した個体がスモルト化することがあります。
【質問2】コウモリの飛膜の後端はどうなっている?
【回答2】種類によりますが,ほとんどは「尾っぽ」の骨格が伸び,飛膜を支えています。
【質問3】ヤツメウナギの体サイズと卵サイズの不一致はどうして?
【回答3】どうしてでしょう?私も知りたいです。
【2019年4月23日の講義に寄せられた質問と回答】
【質問1】遺伝的多様性を決定する要因として、集団サイズが挙げられるが、集団サイズが同じとき、遺伝的多様性を決定する要因は他にあるか?
【回答1】例えば、繁殖パタン。ペア産卵より乱婚の方が、多様性が高くなると期待される。また、寿命が長い場合や、世代間での交配がある場合も、多様性維持に寄与することが期待される。
【質問2】遺伝的多様性を高くするために、人間ができることは?
【回答2】基本的な考え方として、遺伝的多様性を高くすることはできない。維持することが目標。高くするためには、突然変異を起こさせたり、他集団から遺伝子型を人為的に持ち込んだりすることになり(国内外来種問題)、推奨はされない。強いて言えば、様々な個体間の繁殖を行わせ、「遺伝子型」としての多様度を高める。
【質問3】有害アリルの固定が、どのような結果をもたらすのか?
【回答3】様々なタイプの有害アリルがあるが、例えば、一次構造や高次構造の変化により、本来の機能が保てないなど。ヘテロで存在する場合は、もう一方の正常アリルが代役を果たすが、ホモ(固定)になると正常アリルが存在しないため、機能を失う。生存に関わる遺伝子であれば、個体の存続に大きな影響がでる。
【2019年5月21日の講義に寄せられた質問と回答】
【質問1】交雑したヒキガエル類に形態的差異はありますか?
【回答1】鼓膜の大きさが,親種の中間になるなどの特徴がみられる.
【質問2】サケの仲間では,なぜ大きい個体と小さい個体が生まれるのですか?
【回答2】生まれたときでは無く,成長の過程で決まることが多いと考えられている.
【質問3】アフリカの湖では,適応放散はなぜ生じた?
【回答3】生息環境や餌生物が多様であったこと,また適応放散した生物が多様な形質(遺伝的多様性など)を持っていたことも考えられる.
【質問4】「最近の遺伝子流動」は,どうしたらわかるのか?
【回答4】現在の個体・集団がもつ遺伝的情報に基づき,その前の世代の遺伝情報を推定する方法などがある.
なお,仮定の話や,可能性だけを問うような質問には,無数ある可能性を答えるしかありませんので,ここでは扱っていない場合があります.
以上。