山崎研究室では,常に自然科学研究者としての自覚を持ちながら,研究活動を展開しています.研究者に必要なことは,現在の自然科学において何がわかっていないか(研究課題・問題)を理解すること,その課題を解決するためにはどうすればいいかを考えること,そのために幅広い知識・技術を習得すること,問題解決のための手段を実行に移すこと,得られた成果を多角的に評価・検証すること,そして成果を発表すること,といえます.
自然科学における研究とは,「わかっていないことを明らかにする」ことです.しかし,わかっていないこと(研究課題)は山ほどあります.そのように山ほどある研究課題の中から,適切なテーマを選び出すことが重要です.この際,興味のある課題を闇雲に選んでいくだけでは,研究者や研究室としての発展はあり得ません.
多くの場合,一つの研究課題は,一つの研究(例えば卒業研究)だけで解決できるものではありません.一つの研究課題を解決するためには,そこに含まれる幾多のサブ課題の存在を見抜き,それらの解明に向けた研究を計画的に遂行していくことが重要になってきます.さらに,一つの研究課題は,別の研究課題と関連を持ち,そして互いに発展していくものです.つまり,そのような関連性を見抜き,長期的な視野を持ちながら,研究に取り組んでいかなければなりません.
山崎研究室では,研究に取り組むこの姿勢を常に心がけています.そして共同研究者や新たに山崎研究室に配属する学生に対しても,同様の視点を求めています.
あなたに与えられる研究課題は,きっとあなたの興味をそそるものでしょう.では,その課題の位置づけを考えてみてください.なぜその研究をやる必要があるのか,その研究の背景にある大きな目的・目標は何か,その大きな目的・目標を達成するには,次にどのような研究をすればいいのか.
もちろん,山崎研究室で学生に与えられる研究課題は,常に上のことを考えながら決められています.しかし,そのような研究の全景を,始めから学生に伝えることはありません.各学生が自分で考え,その全景を見つけだすことを望んでいます.その目的を達成するためのお手伝いはします.ですから結局は学生自身が考え,行動しなければ,何も得るものはありません.
研究活動の中で得られた成果を発表すること,特に科学論文を執筆することは,当然ながら山崎研究室でも重要視しています.卒論研究だから手を抜く,ということはありません.多くの場合,科学論文として発表することを前提に,研究をスタートさせます.実際に,山崎研究室で行われた卒論研究の中には,その後に科学論文として公表されたものは数多くあります.論文執筆は,研究者としての義務であると同時に,楽しみでもあります.その楽しさを共有することが,学生指導の目標の一つでもあります.
山崎研究室では,研究室を出た後に,社会で自立した活動を行える人材の育成を目標としています.ここでいう社会とは,もちろん研究の世界を含みますが,それだけではなく一般社会の全てを対象とします.そして自立した人材とは,目標を持ち,その達成に向けた計画を練り,それを実行する能力を有し,また社会の中で自己主張と協調性のバランスを保つことが出来,もちろん社会人としての一般的な素養を有する,そんな人材を指します.要するに自分で考え,周囲とともに自ら率先して行動できる人材の育成が目標と言えます.
そのような人材を育てるに当たっては,上記の方針に沿った指導を行います.ただし,すべての学生に対して,必ずしも同じ方法を採用するわけではありません.学生個人個人に応じて,研究目標および人材育成の目標を達成するために最も適した指導を常に模索しながら,柔軟な対応をしています.
また,教育・研究活動を進めるうえで,当然ながら最新の研究情報や周囲の状況に目を向ける一方で,そのような情報・状況に安易に流されることなく,時には一歩引いて,自分たちの目標に向かった取り組みを行っています.
『大きな目標を見据えながら(超然),緻密かつ地道に進めていく(愚直).』
山崎研究室では,常にこの考えを持ちながら,研究・教育を行っています.
【山崎研30by30について】
2022年11月5日から、『山崎研30by30』の取り組みを開始しました。「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」とは、環境省が進める生物多様性保全のための取り組みですが、これをもじったものが『山崎研30by30』です。
この取り組みでは、「2030年までに、査読付き論文30報以上発表、あるいは発表論文のインパクトファクター合計が30以上」を目指しています。研究目標の数値化といえます。山崎研の研究のさらなる発展を目指し、自らモチベーションを高め、研究活動を進めていくために、少し高めの目標を設定しています。
この目標達成は、これまでの山崎研活動から見ると、決して楽なものではありません。そのため、これまで以上に「上」の論文(そのための研究)を目指すと共に、共同研究等も積極的に取り組んでいきたいと考えています。
この取り組みの経緯については、2022年11月5日の山崎研ブログも参照してください。進捗状況については、研究業績のページをご覧ください。
これからも山崎研の活躍にご期待ください。
【他大学・公的機関等との連携について】
山崎研究室では,学内の他研究室,学外の他大学や公的機関等との連携活動を展開しています.協同研究等については,まずはご連絡ください.
【営利企業等への対応について】
山崎研究室では,営利企業等には個別に対応しております.ただし,遺伝子実験等の依頼については,多くの場合,受け付けておりません.
当研究室で行う研究の基本方針として,あくまでも基礎研究を展開し,その成果を論文等で公表することを通して,広く社会に貢献することを目指しております.
企業等(例えば、環境コンサルタント会社)から,生物種の同定や,遺伝子分析の依頼が来ることがありますが,原則として受け付けておりません.このような際に依頼される内容の多くは,これまで当研究室が行ってきた研究に関連することであり,その多くは論文等で公表しています.すなわち,当研究室でなくても,論文等を参照することで,実施可能なものばかりです.そのため,依頼の大半は,「研究」ではなく,「作業」であり,当研究室が請け負う事柄ではありません.
もちろん,挑戦的な研究については,個別に対応しますので,まずはご連絡ください.
【SDGsへの対応について】
山崎研究室では、最近注目されるSDGs(持続可能な開発目標)を支持はしますが、研究テーマを考える際に、積極的に取り入れることはしていません。
SDGsで扱うSustainability(持続可能性)には、「人間の手で維持される状態」という意味が強く含まれます。また、SDGsには、生物多様性保全に合致しない側面もあります。当研究室では、生物と人間とのかかわりに注目する面はもちろんありますが、自然界における生物と環境とのつながりに関する基礎研究に主眼を置いているため、Sustainabilityを積極的に追い求め、あるいは推奨する研究を積極的に行うことはありません。
(2022年11月18日更新)