2011年10月3日 女王様のイングリッシュ
出張明けの月曜日,予想に違わず最初の仕事はメールチェックだった.そして数あるメールの中に待ち焦がれていた1通を発見.JFBに投稿していたカワヤツメ種分化論文の返事だ.前回の改訂稿提出からほぼ半年が経っていたのだが,届いたメールの差出人をみると,担当エディタではなく,JFBのチーフエディタだった.そして本文には,『受理の前に,この部分を直せ!』との指摘が.ようやくここまで来た.そこで,何よりもまず,この対応に専念した.よくよくメールの内容を読むと,本文の論理展開とかではなく,標記の方法に対する指摘が大部分だった.多くはすんなりと直せたのだが,う~む,と言いたくなるところも.
なんと”lamprey”という単語を使えない!
正確に言うと,初出ではOKなのだが,2回目以降は『科学的な名称』にしなさい,とのこと.lampreyは,『一般名称』になるのだとか.このような指摘をみると,さすがは女王様の国だ(JFBはイギリス発行)と実感させられる.ちなみに,『科学的な名称』とする場合,カワヤツメそのものを指す場合は学名で標記し,『ヤツメウナギ全般』を言いたい時は,"petromyzontid"を使うのだとか.う~む,,,
何はともあれ,昼過ぎまでかかって改訂稿を完成させ,返送した.時間を要してしまったが,意味のある時間だろう.これですっきりと収まることを祈るばかりだ.
その後は,もっぱら研究計画練り.特に卒論関連について考えた,,,と言いたいところだが,これは概ね長崎出張中にアイディアを出していた.今日はまとめる作業を少し行った.それよりも,やはり出張明けの定番である事務書類対応が多かった.
一方,自宅残業では,『お勉強』をすることにした.『種分化』論文に続けとばかりに『分散』論文を書いているのだが,その理論武装だ.遺伝子流動の計算に関する勉強をしている.今時の解析では,当たり前のようにベイズ推定とか,コアレセンス理論だとかが出てくる.大学から関連する本を持ち帰ってきた.ただ,本を読むだけでは寝てしまうので,分散論文で用いる解析プログラムのマニュアルを理解することを目指し,そのための参考として,本のページをめくった.子供を寝かしつけた後の1時間ほどの勉強だが,それなりに理解が深まったような気がする.1週間,ほぼ同じことを勉強すれば,何とかなるだろうと高をくくっている.もっとも論文原稿の方は,早めに直していく予定.だらだらやっても仕方が無いので,来週早々には共著者に送ることを目標にしたい.
ということで,明日は論文書き.そして,実験も進めたい.さらには,卒論打ち合わせも.みんなデータを用意しておくように.
2011年10月2日 長崎帰り
今回の出張は,予定通りにことが運んだ.ただ,始めからわかってはいたが,遠い.8時間くらい電車に乗りっぱなし.さらに中日に訪問した佐世保も長崎から遠かった.主要駅間だかでも2時間くらい.さらに目的の施設までの時間なども合わせて,結局1日かかってしまった.ただ,当初考えていた以上の成果があがった.これを始めとして,今回の長崎出張の実りは大きい.一緒に行ったTSさんの初学会発表も上々に終わり,同時にサンプル提供や新たな共同研究の話など,今後が楽しみな成果が得られた.また要所要所で自分の考えをまとめる時間も持つことができ,特に山崎研の卒論の当面の方向性を私なりに考えることができた.早い時期(今週中)に個別面談を行おう.
ところで,今回長崎を訪問し,次の週末は私用で広島を訪問する.学会参加と教え子の結婚式.それぞれ重要なイベントだ.ただ,慌しい日常の中の訪問なので,どこへ行くのかを漠然としか考えていなかった.が,よくよく考えるまでも無く,日本人にとって,きわめて重要な2つの都市を連続で訪問することに,今回の出張の途中で気がついた.というよりも,このことにしばらく気がつかなかったことが情けない.言うまでも無く,共に原爆投下を受けた町である.このことに気がついた時には,さすがに身震いした.今回の長崎では,時間のゆとりがなく,各地を回ることはできなかった.ただ,車中でTSさんから,この2つの町については,彼の母国でも必ず教えられることを聞いた.改めて考えてみると,自分の仕事が忙しい,などということとは,全く次元の異なる話だ.広島へは,気持ちを改めて,訪問したい.
2011年10月10日 幸せの代償!?
土曜日は山崎研出身のH君の結婚披露宴のため広島へ.前日夜に広島入り.出発ぎりぎりまでMIGRATEと格闘し,ばたばたと電車に乗り込んだ.そのため,頭の中が論文モードになっていたため,持ち込んだ論文草稿を確認.マテメソとリザルトの部分を一通り読み直し,文章はもちろん,データ解析の不足分を確認できた.広島到着後は,少し遅めの晩飯.地元の魚とお酒を美味しくいただいた.
披露宴当日.午前中はフリーだったので,市内観光.まずは広島城を流した.長らく手付かずの石垣と,そこをのぼる石段がなんとも趣があった.石垣が予想以上に高く,柵もないのでちょっとびっくり.でもこれもよし.ただ,お堀にはバス稚魚の群れが...残念.その後,やはりここは見ておくべきであろうと,原爆ドームへ.いまでは観光地となっており,外国の方も多数訪れていた.なかなか,重厚だ.ちなみに,原爆ドームの写真を何枚かスマホで撮ったのだが,その場を離れようとした時に,突然スマホの通信エラーが発生.原因は,,,わからず.とりあえず再起動して回復.う~む,ちょっと重い.
披露宴はとてもいい感じだった.フレンドリー感満載.その後の二次会,三次会もなかなか.三次会ではH本君と,広島友達,富山友達,そして私ともう一人の『恩師』のYさんとで,夜更けまでカラオケ.なかなかよかった.彼の人柄?が伺える.末永くお幸せに.
さて,幸せをおすそ分けいただいた代償なのか,我が家の幸せの代償なのか.今朝,子供みこしに参加した際に,ちび介を肩車したとき,肩から背中にかけて激痛が.疲れの蓄積があったのだろう.兎に角,今でも痛い.が,それでも午後はちび介たちを連れて海へ.魚釣りだ.実は昨日も行ったのだが,ちび介のたっての要望があったので,痛い体を押しての家族サービス.ちなみに成果は,サヨリ5匹,アジ2匹,メジナ1匹,ヒイラギ1匹.ヒイラギ以外は美味しくお刺身でいただきました.ちなみに,刺身作りのときも体がこわばり,今度は首に激痛が...明日はゆっくり休みたいところだが,午前来客,午後学外会議.晩酌でもして,痛みを麻痺させよう.
2011年10月6日 MIGRATEと格闘,,,が,進まない
朝一の講義ガイダンス以外は,自分の時間が使える一日.さっそくカワヤツメ分散論文のための遺伝子流動解析に没頭した.特に解析プログラムMIGRATEの活用が一番の目的.プレゼン作成用に購入したパソコンを,『計算機』に変え,様々な条件設定やコマンド操作をしながら理解を深めた.その結果,今になってようやくこのプログラム(の一端)を理解できた,と言う段階まで到達できた(気がする).これと同時に,共著者のYさんとメールでやりとりしながら,解析方法を検討.いろいろ聞いていると,まだまだ勉強すべきところは多そうだ.そうこうしながら,やりたいと考えている方法を扱っている論文を発見.それを参考にしながら,さらに解析,と思ったのだが,ここら辺で時間切れ.あっという間に夕方になってしまった.そもそもこのプログラムは,1回の解析に時間を要する.10集団も対象とした本番の解析だと,2-3日でも終わらないことがある.今日もためし解析(RUN)をしたのだが,それでも丸一日かかってしまった.でも結局,方向性は見えた.解析回数が多くなるので,時間はかかるが,確実にやっていくしかない.この間に原稿直しもやっていこう,と思ってはいるのだが,なかなか進まない.正直なところ,最近は自宅残業が全く出来ていない.疲労蓄積が一番の理由だろう.さすがに週明けの初稿提出は無理.ただ,今進めておかないと,だらだらと行ってしまう.ということで,明日からの『お出かけ』はお仕事を持っていかないつもりだったが,論文原稿を持っていくことにしよう.案外,こういう時の方が,仕事が進む,,,と淡い期待をしながら.
で,その『お出かけ』だが,ここでも今日は時間を要した.ずばり,当研究室を出たH君の結婚披露宴への出席だ.初めて任された『乾杯の発声』の原稿がなかなかまとまらなかった.ヤツメの2時間講演の準備をする方が,よほど楽だ.それでも彼の晴れ舞台である.しっかりとお役目を果たそう.それから多少は自由時間がある.『市内観光』もしてこよう.今回は完全なる個人旅行なので,もちろん行動に制約は無い.しっかりやるべきことをやってきたい.
2011年10月5日 祝!アクセプト!!
先日返送したカワヤツメ種分化論文が,JFBにアクセプトされた.今朝,メールが届いているのを確認した.長かった.JFBに投稿してからも1年半が経過していた.それ以前の原稿作成,そして共著者からのコメントなどでもかなりの時間を要した.もちろん,コメントはどれも有益なものであり,であるからこそ,今日のアクセプトがある.何はともあれ,大きな仕事が1つ片付いた.気分も晴れ晴れ,といくかと思ったら,そこまででもなかった.おそらく,書くべき論文がまだまだ溜まっているからであろう.
そんな書くべき論文,いやいや,書いているカワヤツメ分散論文の直しを今朝取り組んだ.特に,MIGRATEを使った解析について,マニュアルやらプログラムやらと格闘.migration modelのところの理解に勤めた.そして実際に手を動かしていると,どうにかこうにか,理解が進んだ(と思う).モデルごとにRUNして,AICとかをみればいいみたい(たぶん).ただマニュアルによると,集団数が増えると,計算時間が膨大になるのだとか.5集団以上だと無限大!なんて脅し文句が書かれていた.ほんとかどうか,明日試してみよう.ということで,明日は大学で過ごせそうなので,論文直し,特に解析関連を一通り終わらせてしまいたい.そうすれば,あとは本文書きと図表作成だけ.草稿は出来ているし,イントロも先日いい具合に読み直すことができた.自宅残業で全体像を再確認しておいて,しっかりと直していこう.
ところで,今日の一番の仕事は,久々の野外調査.「T君の卒論研究の一環」兼「富山RDB調査」だ.ひたすら採集して,魚種の確認が主目的だったので,予想以上に調査がはかどった.卒論まとめの上でも重要なデータ追加であろう.でもそれにしても,ヤツメはいるところにはいるものだ.かなり狭い
枝沢でも出てきた.おそらく狭いながらも山からの水が絶え間なくながれ,曲がりなりにも生息地が維持されているのだろう.氷見研究室の周辺に,これだけヤツメが棲んでいると,いろいろと調べたくなってくる.支流間の遺伝子流動とか.来年の卒論有力候補その2か!?ちなみに,その1は,氷見の魚のDNA種判別.いずれも氷見ラボで大体の実験ができるように設備を整えていこう.
2011年10月11日 多少は回復
朝目覚めたときは,『今日は休もうかな』と思うくらいの体の痛み.というか,起き上がることもままならなかった.むしろ横になっている方が体が痛い.それではと身を起こすのだが,体をひねることができない.そんな今日に限って,学外での会議がある.朝の状態では,この会議すら休むことも致し方ない状態であった.
それでもどうにかスーツに身を包み,大学へ.机に座ると,案外体が楽だった.今週の計画練りや,講義の準備,そして来客対応をしているうちに,気がつけば体はずいぶんと楽になっていた.未だ体をひねると痛みが走るが,それ以外はどうにかなりそうだ.そこで予定通りに学外会議へ.水産関連とだけ言っておこう.県内外のお偉いさんが集まり,『なんで私(みたいなペーペーな人間)が出席するんだ?』といった感じ.それでも言いたいことは言って来た.
その後,大学へ戻り,もっぱらカワヤツメ分散論文用の解析方法の検討.MIGRATEのやり方がなかなか定まらない.主に2つの論文に絞って,方法を参考にしているのだが,悪戦苦闘.が,じっくり論文を読み比べてみると,表現は違うのだが,実はどちらもほぼ同じ条件設定でやっていることが判明.これでどうにか,解析の方向性が定まった.そこで早速解析開始.MIGRATEは1つの解析が長い.数日を要する場合だって少なくない.そして,実質的に解析をすべてやり直すことにした.特に遺伝子流動を評価する際に,距離が離れすぎた集団を加えると,予期せぬ誤差を含んでしまうことも考えられたので,MIGRATEに関しては対象集団を減らすことにした.今後しばらくは解析が続くが,方向性が明確になれば,後はパソコンに任せて,順番にやるだけだ.待ち時間に別の仕事に専念しよう.
ということで,明日からバリバリと仕事を!,,,と思ったのだが,やはりちび介を抱っこすると背中に痛みが走る.幸か不幸か今週は講義と会議が続くので,氷見を始めとした野外調査は無し.体を休ませてもらおう.
2011年10月12日 徐々に日常生活へ
朝一で講義が本格スタート.大学院生向けの講義だ.明日も3年生向けの講義がある.講義の後は,会議.その間に物品,試薬類の発注.そして雑多な事務対応.
長かった出張生活が終わり,久しぶりに『日常』の活動が戻ってきた.年度後半戦,これからは自分の論文書きもさることながら,学生の面倒もしっかりとみていかなければならない.そして同時に頼まれ仕事や来年度の研究費獲得に向けた申請書作成も大切だ.そう考えると,今後もばたばたと過ぎていきそうだ.が,そんな中でもしっかりと楽しんでいきたいところだ.幸いにして,なんだかんだと言っても拘束時間は週2回の講義のみ.当面はそこまで大きな『お仕事(海外学会とか)』は入っていない.見方によっては,学生指導も新たな研究を形作っていく,と考えれば楽しいものだ(そう願う).前期に比べたら,ゆとりがある方だろう.
特に,氷見での活動を改めてスタートさせたい.幸いにして,前半戦は予想以上の成果が得られたと思う.後半は,野外調査,ヤツメ,そしてDNA実験がキーワードになる.特に,DNA実験は,機材関係をすべて注文した.実験室の配置換えや整備を進めていきたい.今週は無理だが,来週は出来る限り氷見だ!
2011年10月13日 今後のスケジュール
おそらく,まだ誰も気がつい無いだろうが,卒論まとめに関連する後学期のスケジュールを山崎研公式HPに掲載したので,確認しておいてもらいたい.スケジュール自体は『例年通り』といってもいいのだが,いざ書いてみると,我ながら緊迫感を受ける.卒論提出・卒論発表から逆算して,スケジュールを組んだのだが,今年もあとこれだけか,と実感.これからは(も)あっという間に時がたつだろうから,先を見ながら,しっかりと今をこなしていってもらいたい.
気がつけば10月も中旬だ.気ばかり焦る.ただ,時間を見つけて,自他の仕事をこなすことは出来ている方だろう.特に昨日から,Nさんの卒論データ解析に欠かせない解析プログラムを探していたのだが,今日のお昼になって,ナイスなソフトを見つけた.目的の解析は,ダイレクトシーケンス法で読まれた核DNAの部分塩基配列から,アリルを推定するもの.『核』なので,ヘテロの場合がある.対象領域に1箇所だけならば,アリルの特定は簡単だが,複数箇所でヘテロだと手作業ではアリル推定が難しいことがある.そんな状態の配列から,個体ごとにアリル組成(遺伝子型)を推定してくれるのだ.データファイルも至って簡単だし,操作も最初は戸惑ったが,結構親切なエラーメッセージがその都度出るので,それに対応していけば解決することが多い.とりあえず,模擬配列からのアリル推定はできた.あとは実データを使うのが楽しみだ.もちろん,私はサポートだけ.学生本人が,趣旨をしっかり理解したうえで,解析を進めてもらうことを期待したい.
そんな中でも自分の『お仕事』も進めたい.カワヤツメ分散論文だ.卓上パソコンの1台は,ひたすらMIGRATEを解析してくれている.今朝,full modelの2回目の計算に入った.予定では,明日の夕方に3回目がスタートし,週明けには別のモデルの解析を始める.そこで,今のうちにモデル設定の準備をしておく必要がある.今夜の自宅残業はそれをやろう.もちろん,本文直しも重要だ.時間を見つけて,確実に進めていこう.
2011年10月16日 野外調査週間
今週は,野外調査に出たい.まずは,月・火と氷見方面へ.T君の卒論調査兼RDB調査だ.できれば仏生寺川以外の川もみてみたいが,時間次第だ.週の後半では,久しぶりに県東部にも行ってみたい.RDBの確認調査になる.ただ,詳しくどこになるかは未定.過去の情報と,RDB調査の進み具合を確認して,場所を決めよう.
これとは別に,氷見連携研究室のDNA実験の立ち上げもやりたい.一通りのものは発注した.届き次第,研究室に持ち込み,実験が出来る体制を整えたい.さて,体制が整ったとして,何をするかが大切だ.もちろん,今後(速ければ来春),DNA実験がらみの新テーマを幾つか,連携研究室でスタートさせる.ただそれ以外にも,対外的な実習などで使いたい.そのためにピペット等も多数購入してある.この際のターゲットをどうするかが考えどころだ.小中学生を相手にすることも大切なのだが,それよりも,実際に手を動かし,できれば独自のテーマで実験が出来た方がいいようにも思える.例えば,高校生の活動とか,あるいは『大人』の人たちの研修のようなものでもいい.学校での将来のDNA実験を見越した教員研修とか.いずれにせよ,もう少しこちら側で準備を整えた方がいいだろう.時間をみつけて,考えておこう.
自分の論文書きの方は,そこそこ順調,ということにしておこう.解析は進んでいる.パソコンの結果待ちだが,解析はまだまだある.この間を利用して,出来る限り本文を書き進めよう.1日30分だけでも集中できれば文章書きは進むものだ.野外調査前とかを有効活用したい.
2011年10月20日 野外調査週間(3日目)
予想以上の成果だ.詳しくは書けないが,とある魚が本日の氷見調査で捕獲された.と言ってもRDBに記載されてはいるが,富山県全体でみると,決して珍しい魚ではない.しかし,氷見での公式記録は,もしかしたら無いかもしれない(アセスがらみであるかもしれないが).もっとも地元の方の話では,昔からいたようだ.富山平野にいて,能登半島にいるのだが,氷見ではほとんどの河川で確認されていない.数年前に,当研究室でそこそこ詳しく調べたときも見つかっていない.言い訳をするならば,その時の調査河川に本日の河川は含まれていなかったのだが.何はともあれ,この成果は大きい.当然ながら保全を考えなければならないが,実情から考えると改善策は見当たらない.ちなみにその魚は今,氷見研究室で飼育中.見たい方はご連絡を.
さて,明日は会議の連続だが,それが終われば久々の山崎宅飲みだ.これを書いている今は「本日」の2時.もちろん,お化けが動き出す時間だ.先ほどまで仕込みをしていた.どんな料理かは非公式ブログに書いておきたいが,兎に角たくさん買い物をした.明日が楽しみ.
2011年10月19日 野外調査週間(2日目と中日)
今週は長い.充実していると言ってもいいだろうし,週末が待ち遠しいと言えるかもしれない.ここで思いついたのだが,ものは考えようである.最近は,日々が『楽しい』.お休みの日はもちろん楽しいが,仕事日だって楽しい.仕事そのものも大半は楽しんでいる.だから,時間がたつのが速く感じてしまうのかもしれない.そこで,月曜日になったら『早く週末にならないかな~』と考えると,つまり仕事日をいやいや送っている素振りをして自分をだますと,案外時間が長く感じられるのかもしれない.
...などと訳のわからないことはさておき,昨日も氷見へ野外調査.短時間ではあったが,成果はあったであろう.体も良く動かした方だと思う.が,その甲斐あって(?),筋肉痛だ.体が痛い.しかし,10時間も電車に座っていた結果として体が痛くなるのとは,大きな違いだ.健全なる痛さ,とでも言うのだろうか.何はともあれ,そんな充実の痛み?を感じながら,今日は調査の中日を過ごした.
自他の解析が順調だ.今更ながらカワヤツメ分散論文用のMIGRATE解析を見直した.そして少なくとも方法的には確立(納得)することができた.その上で,同様の解析を行うTSさんに伝授.覚えたての解析を英語で説明するのは,とても苦労する.それでも私の英語力ではなく,TSさんの理解力のおかげで,どうにか伝えることができたようだ.そして今日は,これと同時に(先駆けて),彼の投稿論文原稿をチェック.初稿の段階なので,全体的な流れを中心に指摘をした.
さて,明日は調査3日目.希少種調査を行いたい.入りたい場所は沢山あるので,久しぶりに暗くなるまで調査,になるかも.ただその前に3年生向けの講義.今日,生物学科の若手の先生に聞いたところ,来年度の配属に関する学生の活動が,ぼちぼち始まったとのこと.例年,学生同士でお互いの動きに影響を受けるので,一人が動くと全体が動き始めることが多い.うちにも見学に来るのだろうか.もしきたら相手をしておいてもらいたい.ただし,学生の視点と教員の視点は異なることもあることだけは,くれぐれも忘れないように.学生としての視点で,いろいろと話しておいてもらいたい.
2011年10月17日 野外調査週間(初日)
順調な滑り出し.天気もどうにかもってくれたので(途中降られたが),まずまずの魚類相調査ができた.仏生寺川の上流から中流にかけての部分の調査が概ね終了した.それにしても,魚が多いと改めて思う.もちろん『川を埋め尽くすような』とか,『何十種類もの』とかのレベルではないが,この規模の川としては,十分な種数,個体数を有していると言っていいだろう.そしてそれら魚たちが,『雑魚』として我が物顔で泳ぎまわっているのがいい.個人的には,スナヤツメが沢山いるのもうれしい.
その一方で,気になることもある.今日入った場所では,特に感じたのだが,『汚い』.人家の間を流れていることもあるのだろうが,ぱっと見ただけでは,川に入る気がしない.また同時に,川に入ることが困難な場所も多い.2mくらいのコンクリート護岸が設置されている場所が多い.河道を狭めた分,水路全体に水があり,水深もある.これでは,子供達が川や魚や自然に親しむ機会を減らしてしまうだろう.そしてこのような川を前にしたら,私でも子供に対しては『危ないから近づくんじゃないよ』というに違いない.なんとも残念な限りだ.それから場所によっては,外来生物が多かったことも残念なところだ.明日は氷見の小学生と合同魚類調査.比較的きれいな川に入る予定.子供達がどのように感じてくれるだろうか.
ちなみに連携研究室では,DNA実験スペースを整えた.いい感じだ.あとは発注した機材を運び込むだけ.今後が楽しみ.
結局,そんなこんなで,昼間はデスクワークはできなかった.だが,自宅残業で,そこそこ筆が進んだ.どうにかマテメソの改訂が終了.昨夜は,草稿の考察部分を読み直すことができた.もちろん,まったく使えない文章が羅列されているだけだったが,それでも全体像を再構築する上での材料になはる.継続が大切だ.
2011年10月25日 悪戦苦闘中
週明けから,もろもろのことで悪戦苦闘中だ.まずは,科研費申請書類書き.毎年恒例,と言いたいところだが,ありがたくも昨年の申請が通っているため,あと2年間は申請書を書かなくていいはず,というか,重複申請が出来ないために,新たな申請はしないのが原則.が,原則にも例外はある.大型研究費については,『別枠』であることが多い.そして今年は大型研究費の募集課題が,現在の研究の発展系にぴったりだったこともあり,急遽申請書書きに取り組んでいる.が,学内の予備確認締め切りは明日.で,先ほど自宅残業で,どうにか申請書を揃える(完成ではない)ところまでいった.明日の朝一講義の前に事務提出しよう.ちなみに申請内容は,,,もちろん内緒.でもいつもながら,『なんだか,いけそうな気がする~~』(もはや古い?)
次なる悪戦苦闘は,ArcGISのインストール.研究費でアカデミック版を購入することができたのだが,上手くインストールできない.そもそも手元にあるのは認証番号だけ.ソフト自体はネットからダウンロードするのだが,これが上手くいかない.結局丸一日かけて,インストール成功.が,今度は使い方がわからない.当面は,T君にがんばってもらおう.
この他,悪戦苦闘とまではいかないが,自他の論文用解析に取り組んでいる.特にカワヤツメ分散論文については,『計画的に』解析が進行中.ただ,1つ1つが時間を要するのと,幸いなことに解析の方向性がナイスな感じでまとまったため,ひたすら解析を続けることに.今月中に解析が終わるだろうか.さすがにそろそろ原稿を完成させたいところだ.
それから今日の午後,氷見市の方々がご来学された.もろもろの打ち合わせ.私にとってはやりやすいようにしていただいた.何から何まで,感謝です.兎に角,少しでもお役に立てればと思うばかり.その氷見と言えば,先週に続き,今週も『希少種』が見つかったとの情報が入った.それも私の研究材料.まずは明日行って,お顔を拝見だ.もしかしたら,富山で生きた『大人』を見るのは初めてかもしれない.それはそうと,これを採集してくれたのは,インターンシップに来ていた高校生だとか.『高校生お手柄!希少種GET!!』とか,マスコミに売り込めば,結構アピールになるかも.などと考えながら,夜が更けていく...
2011年10月27日 持っている
なかなかの逸材か.ドラフト1位指名したいくらいだ.今日もカワヤツメを採集してくれた.でもこれが,カメラがあるときだったら,もっと「持っている」のだろうが.
今日の報道発表は,予想をはるかに上回る数の局に来ていただいた.やはり,地元の高校生が採集したというのがアピールになったのだろうか.緊張気味の彼らが初々しかった.その分,こちらは気楽に説明ができた.すでに幾つかの局のHPに記事が掲載されている.明日はコンビにで新聞を一通り買ってみよう.
明日も取材を受けることになった.今日も着ていただいた新聞社だが,今日とは別の記者さんだ.それはともかくとして,明日は朝一の会議の後は,しっかり調査をしよう.
一方で,某高校から頼まれている「魚」の遺伝子解析もそろそろやらなければならない.そこで今日は氷見から戻った後,サンプル整理を行った.来週から順次310していこう.ただ,検体数は決して少なくない.あまりここで時間をとられると,別の仕事(実験)が出来なくなる.ほどほどにせざるを得ないだろう.
2011年10月26日 DNA実験準備
昨夜の自宅残業で仕上げた(?)科研費申請書類は,今朝無事に事務提出完了.もっとも本提出までは1週間あるので,それまでに再考しておこう.
また今日は,大学院生向け講義.受講者は少ないが,しっかりと講義を行った.そしてその後,氷見へ.今日の目的は,DNA実験環境を整えることだ.機器類はそこそこ納入された.が,細かいものはまだまだ.だが,実際に実験をやってみてから,気がつく物品もある.来週あたり,1回実験を回してみたい.
さて,氷見と言えば,明日,例の件で報道発表することになったらしい.私も出席する.今夜の自宅残業では,そのためのパワポファイル作りをおこなった.夕方には,私自身現地をみてみたい.もしかしたら,他にも遡っている個体がいるかもしれない.ひさびさ,戯れてみたい.
2011年10月30日 休日出勤
と言っても,大げさなことではない.同居人と子供達が一緒に出かけたので,私は昼過ぎに大学へ.予告どおり,頼まれていたマイクロサテライトのために310RUN.300検体ほどあるので,学生の利用状況を見ながら,そして時に強権発動(俺が流す!みたいな)しながら,11月中には終わらせてしまいたい.例年だと,年明けまで引きずるのだが,自分の仕事でも310を使いたいので,早めにけりをつけよう.他にも頼まれDNA実験がいくつかあるが,これ以上はこの手の仕事を増やしたくは無い.適度にお断りすることも覚えなければ.
今週,特に前半は,今のところ大した予定は入っていない.まずは科研費申請を確実に仕上げてしまおう.その後は,カワヤツメ分散論文だ.前にも書いたが,現在は文章の方は進んでいないが,しっかりと計算は進めている.速ければ明日中には,すべての計算が終わるかもしれない.そうなると,図表を作りながら,本文を練り直していきたい.難しく考えずに,短報に毛が生えた程度で十分なので,手早くやっていこう.TSさんが戻ってくるころには,彼の論文にじっくり対応した方がいいので,その前,11月上旬には,一通り完成させることを目指そう.
2011年10月28日 希少種調査
今日は予定通りの希少種調査.気がつけば,今週も3日氷見に来た.さらにもう一日は,氷見市からの来学対応があったので,なかなか濃い一週間だった.
さて,今日の調査であるが,収穫『大』!!とある希少種の生息確認ができたのと同時に,昔はもっといたはずなのに,,,ということも確認することができた.間近に迫った報告会とその前の調査まとめに向けて,大きな成果だ.本日で最低限の調査が終わったとも言えるだろう.もちろん,来週以降も調査が無いとは言わないが,そろそろまとめもやっていきたい.
ところで,最近気になるニュースとして,タイ中心部の大洪水がある.私自身はタイに行ったことがないので,この状況に対してお見舞い申し上げたいが,それ以上の直接的なコメントはできない.しかし,別の場所で似たような状況を実体験したことはある.もちろん,幼少期に大雨で自宅が大洪水に見舞われたと言う経験もあるが,それ以上にロシアでの経験の方が今回の状況に似ている.
そもそも洪水というと,その場で大雨が降った結果,というのが我々日本人にとっては一般的だろう.が,大陸だと事情が違う.もう10年以上前だろうか.ウラジオストックからウスリー川沿いに北上していたときに,突如として見渡す限り一面の『洪水』に出くわした.話を聞くと,『その場所』では雨は大して降らなかったとのこと.上流部で降った大雨が,ゆっくりと流れてきたとのことだ.この「ゆっくりと」というのが,タイとも同じなのであろうが,平坦な土地だと水の流れが非常にゆっくりと推移するようだ.今でも覚えているが,ある集落に差し掛かったときに,一面に広がる水面に家がぽつりぽつりと浮かんで見えた.道路は概ね盛り土の上に設置されていたので冠水を免れていたが,時折水しぶきを上げることもあった.こうなると大変なのが飲み水と寝床(キャンプ地)の確保だ.地元の人から情報を集めて,と言っても当然ながら我々ができるわけはないので,ロシア側の研究者にお任せしていたのだが,どうにか冠水していない井戸と,高台を見つけて一夜を過ごしたことを覚えている.この程度であれば,『得がたい経験』で済むのだろうが,今のタイの状況はそれどころではないであろう.改めてお見舞い申し上げる.
さて,なんとなく思い出に浸ってしまったが,来週は,,,雑多な用事が多数存在.週末には大学時代の後輩が魚採りにやってくる.場所を換えて(もしかしたら今年初!),希少種調査と洒落込もう.
2011年10月31日 実験三昧
速いもので,10月も終わりだ.あっという間だったが,ようやく地に足が着いた研究活動ができてきたようにも思える.今やるべき調査もそれなりにこなせたし,学生の面倒も数ヶ月前に比べれば,みることができているだろう.そして今日は,実験でスタート.頼まれている「魚」のマイクロサテライトRUNを済ませた後,学科共通シーケンサーの使い方をNさん,S君に教えた.これでもろもろの分散が可能となる.夕方には,別件で頼まれていたヤツメの抽出(溶かしだし)をスタートさせた.論文用の解析のことで,共同研究者のYさんとメールで打ち合わせもした.これに加えて,事務仕事.こうみると,結構いろんなことをやったものだ.
そしてもうひとつ.新たな動きがあった.生物圏の先生との共同研究として,『魚介類』のDNA解析を始めることになった.富山を象徴する『魚介類』だ.手を動かすのは,その先生のところの学生(4年生)さん.最初は私が実験指導をする.時間が出来てきたで,対応は可能だろう.ちょくちょく山崎研に来て実験をすることになるので,みんなで仲良くやってもらいたい.
今日の仕事の〆は,論文書き.カワヤツメ分散論文の考察の練り直しだ.この後も自宅残業でやっていく予定.そろそろ解析も終わるし,形にしよう.