掌の月が微かに揺れた。
盃になみなみと注がれた液体の上で、骨よりも白い月がゆらゆらと踊っている。
顔を上げると、星一つない真っ暗闇が、底無し沼のように大きな口を開けて空を飲み込んでいた。
ここはどこだ、と声にならない呟きが口を衝いて出た。
それまで自分が何をしていたのか。一体どうやってこの場所に来たのか。京楽には何一つ思い出せない。「ここ」が何処なのかも、「今」が何時なのかも分からない。
見渡す限り白銀の砂漠が地平線の果てまで続いている。砂が波打ち地面に幾何学模様を描いているのを見ると、風が吹いているようだった。
だが、京楽は何も感じない。皮膚が何の反応も示さないのだ。それに、砂の上に腰を据えているというのに全く冷たくない。それだけではない。何の音も聞こえなければ、匂いもしない。無音で無臭の、ただ、黒と白と灰色だけが支配する世界。そんな場所に京楽は独りぼっちで取り残されていた。
手の中の盃の上では、相変わらずまるい月が眩い光を放っている。無機質な世界を照らす、硬い光。
世界をすっぽりと覆う暗闇の中で、その光は唯一の篝火だった。
光は影を呼ぶ。誘蛾灯に導かれる昆虫のように、京楽の元へ向かう人影があった。
「よう」
どこからともなくやってきた男は、京楽から数歩ほど離れた場所で向かい合って立ち止まった。眉間に皺を寄せて京楽を見下ろすのは、
「十刃さん――」
その男と自分とは、つい先程まで戦っていたのではないか。名は、コヨーテ・スタークといっただろうか。男の視線を受けながら京楽はぼんやりとそんなことを考えたが、立ち上がろうという気は起こらなかった。男からは殺気を感じない。それに、男の腰には刀が無かった。
「奇遇だね、こんな所で会うなんて」
ここがどこかも分からないくせに、よくもそんな軽口が叩けるものだと揶揄するような声が頭の奥で聞こえる。それを無視して京楽は余裕綽々という風な笑みを顔に貼り付けようとした。しかし、京楽の思惑に反して無様に唇の端が歪むだけだった。目の前の男の表情は更に険しくなり、眉間の皺が深くなる。
何故彼はこんなにも苦しそうなのだろう。誰のためにこんな顔をしているのだろう。そんな疑問が浮かぶ。分かるのは、それは京楽のためではありえないということだけだ。
何故なら、彼と京楽とは、敵同士なのだから。
「敵、か……」
男がぽつりと呟いた。まるで京楽の考えを読んだかのような言葉にぞわりと悪寒が走る。
そういえば、一体何故自分はこの男と戦っていたのだろうか。彼と殺し合いをしていたのは確かなのに、その理由が思い出せない。だが、記憶の大部分が欠落していることに気付いたというのに、京楽の頭の中は不思議と冷え切っていた。
戦争の理由なんて概してくだらないものだ。それに、只の兵隊である自分には関係のないことだ。それは恐らく目の前の破面にとっても同様だろう。戦わなければ死ぬ。だから戦う。それだけだ。それだけのことなのだ。
「なあ、隊長さん」
男が再び口を開いた時、常に帯刀している筈の花天狂骨が見当たらないことに京楽はやっと気が付いた。いままで丸腰で敵と対峙していたのかと軽い驚きを覚えたが、やはり危機感はなかった。それよりも、結局自分は目の前の男に名乗ることはなかったのだな、とぼんやり思った。そして、彼の名を呼ぶこともなかった。
「何だい、十刃さん」
困惑した時の彼の癖なのか、無造作に髪をくしゃくしゃと掻き回しながら、
「あー、何て言ったらいいのかわかんねえけど……」
と、何やらぶつぶつ呟いている。その全くと言っていいほど戦意の感じられない仕草に、京楽はふと懐かしさを覚えた。
彼に自分達は似たタイプだと思っていたと言われた記憶が蘇る。だが、果たしてそれは真実だろうか。少なくとも、京楽は自分には敵の前で彼のように振舞うことは出来ないと思った。ふざけた態度で敵意のない振りを装うことは出来るが、彼のように本当に戦いを憂いているかのような表情を繕うことが出来る程器用ではないのだ。
否、もしかしたら彼は本当に戦うことを嫌っているのかもしれない。あの裏表の無い素振りは、ありのままの彼の姿なのかもしれない。その可能性に思い当たると同時に、誰よりも大切な男の面影が瞼の裏を過ぎった。
目の前の男は勘違いをしている。京楽は笑い出しそうだった。
彼と自分とはこれっぽっちも似てはいない。京楽は、彼のように優しくはない。
「いや、やっぱりどうしてもこれだけは聞いておきたかったんだよ」
京楽の心中を知ってか知らずか、男は渋面とも泣き顔ともつかない表情で、京楽を真っ直ぐ見下ろしていた。
「もし、俺が藍染サマの誘いに乗らず、もっと別の形でアンタと出会っていたら……俺達は――」
戸惑いがちに紡がれた言葉の最後は、突然ざざあと吹き荒れた砂嵐に掻き消されてしまった。
だが、京楽には彼が何を言い、どんな答えを欲しているのか手に取るように理解できた。理解できてしまった。
「……君は破面で、ボクは死神だ」
しかし、京楽には彼の欲する言葉を口にすることは不可能なのだ。
それは真実ではないのだから。決して真実にはなりえないのだから。
「その事実はどうしたって変わらない。ボクが死神になる道を選んだ瞬間から、遅かれ早かれボク達がこの結末を迎えるのは避けられなかった。違うかい……?」
真実に如何ほどの価値があるのかなど知らない。京楽自身常に真実を口にすることを正しいと思っている訳でもない。彼の望む答えを与えることは容易かったし、ここで優しい嘘を吐いても許されただろう。
それでも、京楽には自分の心を裏切ることは躊躇われたし、彼に対してとるべき態度ではないと思われた。その結果が、残酷な真実を彼に突付けることになったとしても。
酷い男だと、喉の奥から乾いた笑いが漏れた。
「……そうかい」
京楽の答えを予想していたのか、男は落胆の色を見せることもなく軽く肩を竦めただけだった。恐らく彼もまた、京楽の言葉の真実を痛いほど感じているのだろう。
「あんたの口からそう言って貰えて良かったのかもな」
そう言った男の顔には、清清しい笑みが浮かんでいた。
ああ、彼と別の形で出会っていれば――その時、京楽は心の底からそう願った。
と同時に、決して超えられない溝が、死神である自分と破面である彼との間にあることが、どうしようもなく悲しかった。
だが、ifの可能性を祈ることは無意味だ。どんなに強く願おうと、幾千の祈りを捧げても、京楽と男の真実は変わらない。それが現実なのだと言うのは簡単だ。運命だと諦めてしまえば、慰められるのかもしれない。だが、そんな陳腐な決定論など京楽は信じていないし、恐らくそれはこの男も同じだろう。信じていないからこそ、今の自分達はこれまでの選択の結果であると、骨の髄まで理解しているのだ。これが自分達の選んだ道ならば、どれ程後悔しようとも前に進み続けるしかない。
「あんたはこんなこと言われても嬉しくないだろうけど、俺は、最後に戦ったのがあんたで……いや、あんた達で良かったと思ってる」
晴々とした笑顔のまま、男はそう言った。とても自分を殺した男に向けた表情とは思えない。
「ボク達……?」
「ああ。あんたと、あの白い隊長さんだよ。リリネットが世話になった」
彼が浮竹のことを言っているのだというのは分かったが、真意が分からず困惑する。彼と最後に戦ったのは自分と後輩達ではなかったか。彼との戦闘の顛末を思い出そうとして、ずきんと米神に鋭い痛みが走った。記憶の断片が万華鏡の様に京楽の頭の中でくるくると踊る。何か大切なことを忘れている気がして胸がざわめく。自分は彼との戦闘の最中に、とても怖ろしい思いをしたのではなかったか。
盃を支える手がカタカタと震え、白銀の水面に漣が立つ。
「俺は、ずっと孤独を恐れていた」
相変わらず男の表情は柔らかい。男を纏う雰囲気は凪いだ海のように静かだが、その不気味な静かさゆえに気圧されてしまい京楽は口を開くことが出来なかった。
ただ、黙って男の次の言葉を待つ。
「俺は、独りでいることが怖くて堪らなかった。独りは寂しい。だから、傍にいてくれる仲間を求めた。だが、皆すぐに死んでしまった。俺を置いて逝ってしまった」
ほんの一瞬、男は苦しげに目を閉じる。死んでいった仲間の顔を思い出しているのだろうか。
「俺は、俺と同じ位強い仲間を探すことにした。強い奴なら、俺を置いて死ぬことはない。強い仲間を見付ければ、きっと俺は孤独から救われる。そう思っていた」
ああ、そうか。
京楽は、彼が自分に向ける視線の意味を理解したと思った。敵である自分へ向けられるにはあまりにも不可解だった、憧憬と切望の入り混じった眼差し。
その裏には、こんな悲痛な思いが隠されていたのか。
「けどよ、そんなの最初から無理な話だったんだよな。絶対に死なない奴なんて、この世界にいる訳がねえ。それに、死ななくたって仲間になった奴がずっと俺の仲間でいてくれるとは限らねえ。愛想を尽かして俺の前から姿を消しちまう可能性だってあるんだぜ。俺と同じ位強くて、決して死なない奴が俺の仲間になってくれたとして、そいつがずっと俺の傍にいてくれる保証なんてどこにもない。そんな簡単なことに気付かなかったんだよな」
馬鹿だな、と続いた呟きは、聞こえなかった振りをした。
「結局俺が欲しかったのは何だったんだろうな。俺が恐れていた孤独ってのは、一体何だったんだろう――魂を二つに引き裂いてまで、俺は何を求め、何から逃れようとしていたんだろう……あんたと戦いながら、ずっとそんなことを考えていた」
「……随分と余裕があったみたいだねえ。こっちはそれどころじゃなかったっていうのに」
「俺だってあんたの攻撃をかわすので必死だったさ。けど、勝手に頭ン中に色々浮かんでくるんだから仕方ねえだろ」
「やっぱり君は、嘘が下手だねえ」
彼と刃を交えていた時もこうして軽口を叩き合っていたな、と京楽はふと懐かしさを覚えた。同時に、彼に対して、そんな昔ながらの戦友に対するような感情を抱いてしまった自分自身に愕然とした。
だが、京楽はどうしても目の前の彼を、単純に倒すべき敵として看做すことが出来ない。戦場にいた時からそうだった。敵対することしか出来ない二人なのに、何故こんなにも京楽は彼の言葉に心を動かされるのだろうか。
寂しい、独りは嫌だという彼の嘆きに、京楽もまた、覚えがあるからだろうか。
「十刃の独りになって強い仲間が出来たってのに、それでも俺の孤独は癒されなかった。あんたらが殺しちまうんだからな。折角仲間が出来てもすぐ死んじまうんだったら、最初からいねぇのと同じだと思ってたんだろうな。十刃の誰かが死ぬ度に、もっと強い仲間はどこかにいねえのか、って、そんなこと考えてたよ……酷ぇ奴だよな」
彼の口調に自嘲の色が滲む。
もし彼の言葉が真実なら、確かに彼は残酷だ。仲間と呼んだ相手の死に直面して、別の仲間を欲するなんて。残酷で薄情で、それでいてあまりにも悲しい――
「今だから分かるけどよ、そんなんで『仲間』だなんて、お笑い種だろ?あいつらは仲間だと口では言いながら、俺の心はあいつらを仲間だなんてこれっぽっちも認めちゃいなかったのさ」
彼の後悔が空気の振動を伝わり、じくじくとした痛みとなって京楽の耳から侵入する。覚えのあるその痛みは、胸の一番奥の柔らかい場所で激しい炎となって京楽を内側から焼き尽くすようだった。
これは彼の心の痛みだ。そう直感した。
破面が心について語るなど、理に反しているのかもしれない。だが、京楽は彼に心があることを微塵も疑ってはいなかった。
心を失くした存在が、こんな風に寂しさに身を震わせる筈がない。孤独の苦しみを知る者に、心が無いなどということがあるものか。
「失うことを恐れてばかりで、最初から手に入れることなんて不可能な幻影を追い求めて――俺が孤独だったのは当然の報いだ」
喪失の恐怖と向き合うことが出来なかったから、自らの心を閉ざしたというのか。
自らを、誰の手も届かない硝子の檻に閉じ込めたというのだろうか。
彼の懺悔にも似た告白に京楽は返す言葉を持たない。京楽には彼を慰めることも、赦しを与えることも出来ない。
出来るのは、ただ、彼の哀しい言葉を一言一句聞き漏らさずにいることだけだ。
「俺が欲しかったのは……俺に必要だったのは、未来永劫を共に過ごしてくれる仲間ではなく、今俺の隣で笑い、共に在る未来を夢見てくれる、そんな存在だったんだってことが、あんたと戦ってる内にすとんと胸ン中に落ちてきたんだ」
そう言って彼が指差したのは、ぽっかりと開いた胸の孔。心を失くした虚の証である真っ暗な孔。
京楽が無残に斬り捨てた場所だ。
「俺は、俺に必要だったものをもうずっと前から手に入れていた。あんたにココを斬られた痛みが教えてくれたんだ。最後の最後で気が付くなんてな、滑稽な話だぜ」
「……大切なことに気付いた時には、遅過ぎたってことか。皮肉なことだね」
「ああ、本当に皮肉なもんだ」
まるで、鏡に映った自分を見ているようだと京楽は思った。独りになることを恐れているくせに、拒絶されることに怯えて全てから逃げていた昔の自分。
浮竹が差し伸べてくれた手を拒み続けていたら、きっとこうなっていたであろう自分。
もしどこかでほんの少し何かがずれていたら、京楽もまた彼のようになっていたのだろうか。
もし彼がほんの少しだけ早く気付いていたら、あんな最期を迎えることもなかったのだろうか。
孤独から抜け出した京楽が、今やっと孤独から救われようとしていた彼の未来を奪ったのだ。これが彼と京楽の選んだ結末なのだとしたら悲劇としか言いようがないではないか。
いや、最早悲劇と言うより喜劇だ。どこまでも救いの無い世界だな、と暗い嗤いが腹の底からふつふつと湧くのを感じた。
「あんたはさ、怖くないのか。あの白い髪の隊長さんを失うことが」
大切なんだろう、と言外に問われ、京楽は素直に肯いていた。今ここでなら、心の内を吐露しても構わない気分だった。
「怖いさ……怖くて怖くて、気が触れてしまわないのが不思議なくらいにね」
何百年を共に共に過ごそうと、浮竹を失う可能性を思い浮かべるだけで心臓がばくばくと早鐘を打ち、全身から冷汗が吹き出るような心地になる。
それは、京楽にとって決して慣れることのない、克服することの出来ない恐怖だ。いつも胸の奥底は、浮竹を失うかもしれないという不安で戦慄いているのだ。
「そんなに怖くて仕方がないってのに、あんたはあの隊長さんの隣にいることを止めないんだな」
そういった彼の声に憧れと愛しさを聞き取ったのは京楽の傲慢だろうか。
浮竹を失うかもしれないと考えると怖くておかしくなりそうだ。だが、それでも京楽は浮竹を愛することを止められない。
浮竹の隣にいられる幸せは、どんな恐怖をも凌駕するのだから。
「あの子の笑顔があれば、ボクはほんの一瞬でも恐怖を忘れることが出来るのさ。だから、身の内に巣食う恐怖は決して消えないけれど、ボクはあの子を愛さずにはいられない。
あの子と共に生きたいと、願わずにはいられないんだよ――」
普段の京楽ならば決して口にしないような言葉であったけれど、それは紛れもない京楽自身の本音だった。
未来に何があろうとも、京楽が今望むことは唯一つ、浮竹の傍にいることだけだった。
京楽の答えを聞くと、彼は深く溜息を吐いて
「二人でならどこへだって行ける、何だって出来る、か――アイツと初めて会った時、確かにそう思ったんだけどよ。俺の言葉にアイツが笑顔を返してくれた瞬間の、あの時感じた幸福(しあわせ)を、どうして忘れちまったんだろうな、俺は……」
だが、言葉とは裏腹に彼の顔には屈託の無い笑顔が浮かんでいた。どこか神々しさすら感じるほどの、優しい笑顔だった。
「難儀なことだな」
彼の呟きと同時に、ぴちょんと水の跳ねる音がした。
はっとして京楽が手の中の盃に視線を移すと、白い光が水面の上で粉々になってきらきらと輝いていた。その幻想的な光の動きを見詰めていると、再び盃の上に雫が落ちた。
これは涙だ――
零れ落ちる雫は、京楽の左目から流れ出たものだった。と、その時、砂漠の向こうで狼の遠吠えが響いた。
空っぽの闇をぐるぐると廻り続ける孤独なほうき星のように、その鳴き声は長い尾を引いていつまでも京楽の耳に残った。
京楽が再び顔を上げると、そこにはまたどこまでも続く白い砂漠が広がっているだけたっだ。まるで、初めからここには京楽しかいなかったかのようだ。
「……難儀だねえ」
誰にともなく低く呟くと、盃を一気に飲み干す。
酒が喉を通るにつれて温かな白い光が身体の芯から己を満たしていくのをぼんやりと感じながら、京楽はそっと瞼を閉じた。
***
京楽が意識を取り戻した時、最初に目に映ったのは安堵の微笑を浮かべた浮竹の姿だった。
うきたけ、と掠れた声で名を呼ぶと、右手をぎゅっと握り返された。京楽が意識を失っている間ずっと手を握っていてくれたのだろう。
そこから伝わる体温が、全て終わったのだと教えてくれた。
「浮竹」
と、今度ははっきりと彼の名を呼ぶ。それだけで京楽の言いたいことを悟った浮竹は、一言「皆大丈夫だ」と告げた。疲れの滲んだ声だった。
浮竹の死覇装は胸の辺りが血で汚れていたが、あの破面に貫かれた傷は塞がっているようだった。地面に横たわったまま耳を澄ませると、四番隊の救護隊士達が治療のために指示を出し合っている声が聞こえる。本当に全てが終わったのだ。
まだ痛みの残る身体を無理矢理起こすと、開いていた左手で浮竹を抱き寄せ、耳元で小さく「よかった」と呟いた。
辺りに溢れる噎せ返るような埃と血の臭いが、こうして京楽と浮竹が生き残ったという事実が夢ではないのだと教えてくれていた。
「帰ろう、京楽」
重なり合った身体を伝わって、浮竹の声が京楽の胸に響く。帰りたい場所は、既に腕の中にあった。
「ああ。一緒に帰ろう」
二人には、帰る場所がある。だから帰ろう、手を取り合って。こうしてまた、二人出会えたことの喜びを噛み締めながら。
終戦の喧騒に紛れて、京楽の耳に微かな狼の咆哮が届く。
夢の世界で出会った、仲間を求めて止まない孤狼の悲しい叫びを鼓膜に焼き付けながら、この繋いだままの手の温もりを決して忘れまいと、京楽は何度も何度も心に誓った。
07/07/14
京楽←スタークっぽいけど、京浮です。Liliumと対になるイメージのお話。
私はいつまで京浮vsスタリリ戦に拘るのか...