今日一日遼達の遊び相手をして随分疲れてしまった。でも、くたくたの筈なのに妙に頭は冴えていて眠れない。この手紙は縁側で夜風に当たりながら、月明かりを頼りに書いている。
筆を滑らせる手を止めて顔を上げれば、夜空に瞬く星が見える。尸魂界の空も、これでしばらく見納めだな。
なあ春水。
お前も今、流魂街の果ての駐屯地で、俺と同じ星空を眺めているのだろうか。
こんな風に泣きたくなるほど綺麗な月夜を、何度二人で過ごしただろう。お前は知らないだろうけど、俺はずっと昔から――それこそ院生だった頃から――月光に照らされたお前の横顔を見るのが好きだったんだ。月の光の下では、俺もお前も銀色に染まっていて……いや、世界そのものが銀色に染まるだろう?それが、とても心地良かったんだ。この世の全てが溶け合って一つになり、俺とお前を隔てるものは何も無い、そんな愚かな想像をしてしまう程に――。
春水。
いつの間にか、お前が俺の隣にいることが当たり前になっていた。お前と二人でいることがあまりにも自然なことになっていた。今の俺には、お前と出会う前の自分はどうやって生きていたのかも思い出せない。だから、現世に行っても、離れ離れになっても、俺は毎日お前のことを想うだろう。お前を想う心は、俺の一部だから。俺の心には、何時だってお前がいるから。
それ程までにお前を想うのなら、何故お前の元から姿を消すのかとお前は言うかもしれない。何故、ずっと共にいることが出来ないのかと。俺だって、許されるのならば永遠にお前の傍にいたい。永遠にお前の隣で笑っていたい。でも――でも、もうそれは出来ないんだ。
俺はどうしてもこの任務に出なければならない。何故なら――
何故なら、そうしなければ、きっと俺は壊れてしまうから――――