「星をまく人」を読んで下さってありがとうございました。
ラブラブな京浮が死神らしく敵と戦う冒険譚を目指したのですが、いかがでしたでしょうか?
今回は京浮二人のの関係だけでなく、二人と世界の関係について少しでも表現出来ていたらいいなと思います。
皆さんもうお気付きかと思いますが、今回京楽さんと浮竹さんが遭遇した敵は「ユダヤ人の怨念」のような存在です。
「アンネの日記」のダークヴァージョンとでもいいますか。
私の乏しいナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺を動員して書いたお話なので、参考文献は幾つもあるのですが、7話に登場した「声」の言葉は全て「永遠の絶滅収容所(原題:Eternal Treblinka)」(チャールズ・パターソン著)でユダヤ人が実際に浴びせられた罵倒の数々を意訳したものです。只、敢えてユダヤ民族について言及しなかったのは、同じ様なことは他の民族にも起きているということを表現したかったからです。
同様の理由で、9話で京楽さんと浮竹さんが訪れた場所はアウシュビッツ・ビルケナウやトレブリンカ強制収容所・絶滅収容所の跡地をイメージしていますが、敢えてぼかした表現になっています。それに、実際の収容所で日記を隠し持つのは不可能に近かったでしょうからね^^;
日記の持ち主の性別が特定されていないのも、あの日記の持ち主は迫害を受けた全ての人の苦しみそのものだと考えているからです。
本当は犠牲者がどんな酷い扱いを受けたかについてどこまで書くべきか迷ったのですが、今回のお話は「声」や「言葉」がテーマだったので、敢えて具体的な肉体的虐待は書きませんでした。
ナチスドイツの人々は、ああやってユダヤ人達を常に馬鹿にし、侮辱し罵倒することで、彼らを「人間以下」であり「動物」だと自分達に思い込ませるようにしたそうです(Dehumanization)。そうすることで、彼らにとってユダヤ人達を虐待・殺害し易くしたそうです。まあ一種の自己暗示と言いますか、ユダヤ人を人間じゃないと自分に言い聞かせることで、ユダヤ人に何をしても良心が痛まないようにしたんですね。
京浮は長いこと生きてる筈なので人間の歴史を見てきたとは思いますが、彼等は戦争ばかりしている私達人間に何を感じるのだろう、とよく考えます。
「星をまく人」はその疑問に私なりに答えようとして出来上がったお話です。
最後になりましたが、色々時代設定に矛盾があるとは思いますが、そこはお察し下さいということで(笑)
それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました!
2010年9月22日
Erin