ツーリズムEXPO学生スタッフに聞く
ー 企画・運営体験で磨いた「実践力」と【就活力】ー
ー 企画・運営体験で磨いた「実践力」と【就活力】ー
国際観光学部の学生たちが企画・運営するツーリズムEXPOジャパン出展プロジェクトは、毎年業界から高い評価を受け、2024年度には実行委員長賞を受賞しています。今回、2025年度の中心メンバーである4年生6名と、3年生1名にインタビューを行い、彼らがこの実践経験から得た成長と、4年生が掴んだ就職先内定の結びつきについて深堀りしてみました。
世界最大級の観光イベント「ツーリズムEXPOジャパン」において、東洋大学国際観光学部は毎年出展し学習成果を発表しています。2025年度は愛知県開催となり、初の東京以外の出展という大きな困難に直面しながらも、学生スタッフは、企画から運営まですべてを学生主導で完遂しました。
本記事では、このプロジェクトを通じて、彼らがどのような成長を遂げ、内定を掴み、そして大学の魅力を再確認したのか、中枢メンバー7名による座談会の模様をお届けします。
2025年度ツーリズムEXPO出展の詳細はこちら
ー 皆さんは数ある大学の活動の中で、なぜこのツーリズムEXPOスタッフへの参加を選んだのでしょうか?
長井さん:せっかく国際観光学部に入ったからには、座学だけじゃなくて実践的な活動に挑戦したかったんです。ツーリズムEXPOは、観光業界のプロの方々や多くの来場者と直接関われる、とてもリアルな現場だと感じて志望しました。私は1年生の時からずっと関わっています。
小森さん:わかります。私は中高生のときに生徒会を務めていた経験から、大学生になっても学生主体で活動できる団体に所属したいと考えていました。このツーリズムEXPOは学部を背負って長期的に関わることができ、自らが学ぶ観光にも絡めながら活動できると思い、希望しました。
ー 加瀬さんはリーダーとして、この主体性のあるメンバーをどのように組織化していったんですか?
加瀬さん:じつは、私から「あなたはこれをやってください」と割り振る必要がほとんどなかったんですよ(笑)。今回集まったメンバーは、デザインが得意、動画編集ができる、機器に詳しい…と、それぞれ強みが明確でした。だから、得意な人が自ら役割に就いていく、専任体制が自然と出来上がっていました。
蒲地さん:そうそう。役割分担は「やれる人がやる」という形でしたよね。小澤さんや私であれば、白山祭実行委員会でパンフレットを作っていた経験から広報を担当したりと、皆の得意分野を尊重し合うことができました。
齋藤さん:役割分担はスムーズだったけど、気を付けていたのは「情報共有」でしたね。皆がそれぞれの担当業務で動く分、各自の進捗がバラバラになると困るので、加瀬さんがメンバーと密に連絡を取り合って方向性をとりまとめてくれました。
加瀬さん:私が心がけたのは、メンバーの「やりたい」という気持ちを尊重しつつ、頻繁に連絡を取り合うことで方向性を統一化することだけでした。皆が各々得意分野で動く分、トップダウンではなく、情報共有だけはしっかり行いました。
ー 今年度のツーリズムEXPOは愛知開催となり、初の東京以外での出展という、前例のない大きな課題がありました。この挑戦には様々な困難が伴ったと思いますが、学生スタッフとしてどのように乗り越えたのでしょうか?
小澤さん:最大の壁は、「愛知と東京を中継でつなぎゼミ発表を行う」というライブ配信運営でした。前例がないうえに、東京から遠隔で愛知会場のスタッフと連携し、さらに東京会場ではゼミ発表の段取りをしなければなりませんでした。東京会場は限られた人数での運営だったこともあり、機材やネット環境のトラブルが怖くて担当としては胃が痛かったです(笑)。 事前の技術的なリハーサルは何回やったかわかりません。
蒲地さん:何度もリハーサルは行ったのに、それでも本番中に危機的瞬間があったんです!中継発表で機材トラブルが発生し、映像が表示されないというアクシデントが起きてしまって。あの時は本当に焦りましたが、素早くトラブルシューティングを行い、なんとか発表を最後までやり遂げました。リスクマネジメントの大切さを学んだので今となっては良い経験です。
小森さん:私たち3年生にとっての挑戦は、企業との協賛企画でした。特に成田国際空港の「人材獲得大作戦」動画では、空港で働く魅力を伝えるというミッションに対し、3年生メンバーが企画を考えました。
※成田国際空港「人材獲得大作戦」動画はこちら
ー 成田空港の動画は特に反響が大きかったですよね。具体的に、学生側からどんな提案をしましたか?
小森さん:成田国際空港はこれから第3滑走路を整備し、スタッフを拡充していくにあたって、空港で働きたいと思ってもらえる人を今後いかに増やせるかが課題だと伺いました。そこで、国際観光学部卒業生で現役CAの方に出演交渉を行い、CAだけでなく、あまり知られていない空港内の業務や職種にスポットをあて、やりがいや魅力をインタビュー形式で紹介する、という内容を提案しました。そして、その動画をEXPO会場や大学公式サイトで上映したのですが、私たちの想像以上に反響が大きく、東洋大学や複数の他大学の先生からも「授業や就活指導に利用したい」と声をいただきました。これら協賛企画の裏側では、企業との細かい連絡のやり取りや、数え切れないほどの打ち合わせを重ねる必要があり、私たち3年生はビジネス的な調整力を徹底的に鍛えられました。
▲ツーリズムEXPOジャパン2025。来場者で大賑わいの東洋大学ブースの様子。
ー 他に印象的だった企画はありますか?
岩沢さん:私と長井さんが担当したのが、一般来場者向けの「観光クイズ大会」です。今回は昨年度までの運用とガラッと変更し、スマートフォンを使用したクイズアプリを導入しました。
長井さん:そうなんです。アプリを導入したことで、来場者の方がより参加しやすく、回答を即座に集計できるようになりました。システム導入自体は大変でしたが、そのおかげで大盛況となり、人が溢れるほどの人だかりを見た瞬間、本当に苦労が報われる気持ちでした。
岩沢さん:じつはこのアプリを使用するアイデアは、昨年度のツーリズムEXPOの会場で様々なブースを回った経験がヒントになったんです。ツーリズムEXPOは多くの企業・団体が工夫を凝らしてブース運営をしているので、とても良い刺激になりますし、なにより楽しかったです。
ー 観光クイズ大会も大賑わいでしたよね。 これらの企画を成し遂げるために、大学からの具体的なサポートはあったのでしょうか。
加瀬さん:はい。先生方には本当に感謝しています。じつは当初、2025年度は愛知開催で遠方ということもあり、出展は見送られる予定だったのですが、私たちはそれが残念で仕方がなくて・・。でも担当の先生方が出展できるようなんとか調整してくださったんです。そして初の愛知出展が決まってからは、一から考えなければならないことが多かったのですが、私たちの意見を尊重しつつ、特にリスク管理や協賛企業とのやりとりを陰ながらサポートしてくださいました。私たち学生スタッフの「自分たちの力で、もっと国際観光学部を盛り上げたい!」という熱意を信じ、実現のために尽力してくださったことに、本当に感謝しています。学生の挑戦を全力で支援してくれるのが、国際観光学部の魅力です。
ー 4年生の皆さんは全員、既に就職活動を終え、内定を持っていると伺いました。EXPOでの経験が、就職活動でどのように役立ちましたか? 特に、面接官の反応が良かったエピソードがあれば教えてください。
齋藤さん:はい、確実に大きな武器になりました。私は旅行会社に内定をいただきましたが、面接ではこの経験をガクチカとして話したら、深掘りされたことが何度もありました。
ー どのような点が評価に繋がったと思いますか?
齋藤さん:私がEXPOスタッフとして特に心がけたのは、「自分の言葉でわかりやすく伝える」ことだったんですが、協賛企業やメンバー、先生方など、立場が違う人たちとビジネスメールを何度も交わした経験が、どう伝えれば相手に内容がスムーズに伝わるのか考えさせてくれました。面接という短い時間で、複雑なプロジェクトを簡潔に説明できる力は、ここで鍛えられたのだと面接後に実感しました。
ー ありがとうございます。他のみなさんはどうでしたか?
長井さん:私はEXPOでの活動を通じて、就活のグループディスカッション(GD)に必要なスキルが自然と鍛えられていました。たくさんのメンバーと意見を出し合い、組織として一つの結論を出すプロセスを常に経験していたので、GDではスムーズに立ち回ることができました。
岩沢さん:2人と同じく、私も面接やGDの場面でEXPOの活動が役立ったと感じることが多かったです。来場者の前で発表した経験から自信がつき、面接官の前でも落ち着いて話すことができるようになっていて。自分の言葉で伝える力や臨機応変に対応する力が身についたと感じています。
加瀬さん:私が内定をいただいた企業はチームで業務にあたることが多いため、チームで活動したEXPOでの経験が評価され、内定に繋がったと感じています。社会人として必要なチームワークを自然と身に付けることができるのが、この活動の大きな魅力だと思っています。
ー 自然と必要なスキルが磨かれていったのですね。学生スタッフとして関わることについて、他にも魅力があったら教えてください。
蒲地さん:最大の魅力は「縦のつながり」です。会場ではOB・OGの方々や、観光業界の様々な企業の方がブースに来てくださり、私たちの活動を見て「EXPOといえば東洋大学」とまでおっしゃってくれるようになったんです。観光業界の様々な社会人と学生のうちからコミュニケーションをとることができたのは、かけがえのない財産です。
小澤さん:そして、大切な仲間と巡り会えることも大きな魅力です。ゼミや学年を越えて集まったメンバーと目標に向かって長い期間を共に過ごすことで、周りと協力しながら動く力や、人とのつながりを大切にする姿勢が身についたと思います。
齋藤さん:うんうん。一緒に頑張っていると自然と仲良くなれるよね。他にも、1つのイベントが作り上げられるまでの過程をスタッフとしてすべて体験することができるのは、他では味わえない魅力だと思います。一見華やかで楽しそうに見えるイベントの舞台裏では、実は緻密な調整を繰り返したり、大変なこともたくさんあって・・(笑)。その分達成感も大きいです。
ー 3年生の小森さんは、先輩たちの意志を継いで、来年度はどのように運営をしていきたいか聞かせてください。
小森さん:はい!先輩方が築いてくださった実績に負けないよう、来年度は入賞を目指して頑張ります!そのためにも、今年度の活動を通して見えた課題点を改善し、学生目線だからこそ伝えられる想いや提案を、より多くの人に届けていきたいです。今よりもっと国際観光学部全体で盛り上がれるイベントにしていきます。
小澤さん:本当に素晴らしい意気込み・・!
蒲地さん:ここまで言ってくれる後輩たちがいるなら、来年も安心だね(笑)。
ー ありがとうございます。それでは最後に、在校生や国際観光学部に興味がある高校生へ、メッセージをお願いします。
岩沢さん:国際観光学部は、観光を旅行だけでなく、地域づくりや文化、ビジネス、環境など多角的な視点から学べるのが魅力だと知りました。授業だけでなく、今回のような学外イベントや、留学、インターンシップなど実践的に学べる機会も数多くあります。
私自身、国際観光学部に進学して本当に良かったと感じています。進学を考えている高校生の皆さんも、在校生も、ぜひ自分の「好き」や「興味」を大切にしながら、後悔のない選択をしてほしいです。
加瀬さん:私は、高校生の頃は自分から何かにチャレンジをする機会がありませんでした。でも国際観光学部に入学してから「挑戦」することの大切さに気付いたんです。チャンスはいつ来るかわからないもので、それを逃がさず、挑戦し続けたことで、現在の自分があると思っています。観光業界は様々な業界とつながりがあるため、多くのチャンスが潜んでいます。行き詰まっても必ず先に繋がるので、頑張ってください。
高校生の皆さんは、大学の授業は専門的で難しいと考えていると思います。私も同様に考えていましたが、どんな授業を受けても、必ず自分に興味があるものに行きつきました。それが全てつながった時が、一番観光を学んできてよかったと感じる瞬間です。ぜひ、皆さんもこの世界へ挑戦してきてほしいです!
掲載されている内容は2025年11月現在のものです。