IDセレクタによるデバイス識別

Explicit Device Identification

EhterCATスレーブを識別するための方法としてEtherCATではExplicit Device Identificationという仕様が規定されています。これを日本語化すると「明示的なデバイス識別」になります。Hot Connect機能を使用する場合にHot Connectグループの先頭のスレーブに対して識別情報を設定します。

Explicit Device Identificationには3種類あります。

Configured Station Alias

EtherCATスレーブコントローラには不揮発性メモリが接続されていて、この中にノードアドレスのエイリアス (Alias) を保存できます。スレーブコントローラは起動時にエイリアスの値を不揮発性メモリからリードし、設定を行います。スレーブはマスタからライトされたノードアドレスまたはエイリアスのどちらでも自スレーブ宛のコマンドとして処理します。Configured Station Aliasはスレーブコントローラの機能であり、全てのスレーブで使用できます。

エイリアスを設定するスレーブをクリックし、「EtherCAT」タブ内の「Advanced Settings」をクリックします。

「Advanced Settings」ダイアログのツリーメニューで「ESC Access→E2PROM→Configured Station Alias」を選択します。

「New Value」に設定する値を入力し、「Write to E2PROM」ボタンをクリックします。

不揮発性メモリへエイリアス値のライトに成功すると、以下のダイアログが表示されるので「OK」をクリックします。

スレーブの電源を再投入すると不揮発性メモリからエイリアスが使えるようになります。

ヒント: TwinCATはノードアドレスとして1001から順番に番号を使用します。エイリアスとノードアドレスの値が重複しないように設定してください。

マスタからの識別を有効にします。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Identification」を選択し、「Configured Station Alias (ADO 0x0012)」にチェックを入れます。

「Value」にエイリアスの値を入力します。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Behavior」を選択し、「Check Identification」にチェックを入れます。

シンプルデバイスのIDセレクタ

シンプルデバイスでIDセレクタを実装している場合、IDセレクタの値をスレーブの識別に使用できます。IDセレクタの値は、EtherCATマスタがデバイスを起動したときに参照しますが、ノードアドレスやエイリアスとしては使用されません。

ベッコフ製品では、EtherCATカプラ EK1101/EK1501/EK1541が該当します。

IDセレクタの値を他のスレーブと重複しないように設定します。

ここでは、「10」と設定されているとして説明します。

IDセレクタで識別情報を設定するスレーブをクリックし、「EtherCAT」タブ内の「Advanced Settings」をクリックします。

マスタからの識別を有効にします。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Identification」を選択し、「Data Word (2 Bytes)」にチェックを入れます。

「Value」にIDセレクタの値を入力します。

「ADO (hex)」の値はベッコフ製品の場合は変更する必要はありません。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Behavior」を選択し、「Check Identification」にチェックを入れます。

コンプレックスデバイスのIDセレクタ

コンプレックスデバイスでは、IDセレクタの値は識別情報としてだけ用いられる場合と、識別情報に加えてその値をエイリアスとして使用する場合があります。詳しくは製品の説明書を参照してください。

IDセレクタをエイリアスとして使用するスレーブの場合、IDセレクタにより識別情報を設定するときはConfigured Station Aliasを必ず「0」にセットします。同様にConfigured Station Aliasを設定するときはIDセレクタの値を「0」にセットします。

シンプルデバイスと同様に、IDセレクタで識別情報を設定するスレーブをクリックし、「EtherCAT」タブ内の「Advanced Settings」をクリックします。

マスタからの識別を有効にします。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Identification」を選択し、「Explicit Device Identification (ADO 0x0134)」にチェックを入れます。

「Value」にIDセレクタの値を入力します。

スレーブの「Advanced Settings」ダイアログで、「General→Behavior」を選択し、「Check Identification」にチェックを入れます。