現代の健康広告に関する考察
松崎 一真
1.問題関心
現代では機能性表示食品や特定保健用食品など健康食品を分類する制度がいくつもある。これは高齢化社会や医療費増大などにより、健康維持について薬によるものから食による日常的な健康維持、疾病予防へ発想が転換した背景があると考えられる。本調査ではこうした背景があることを理由に、健康食品広告の実態と健康、病に対する悩みの語られ方に着目して現代の人々の健康観や病のとらえ方について見ていく。
2.先行研究
〇「健康食品」とは
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているもので。
そのうち、国の制度としては、国が定めた安全性や有効性に関する基準等を満たした「保健機能食品制度」がある。
(厚生労働省HPより)
亀山 聖未 「病と健康の物語--健康食品の広告における体験談に関する考察」『中央大学社会科学研究所年報』 (8), 127-141, 2003
健康食品広告の真偽についてではなく、病、健康の語られ方や、新聞折り込み広告といった宣伝メディアのスタイルについて関心がある。2001年6月から2002年5月にかけての新聞折り込み広告計149枚をあつめ、その中から何らかの食品と関連で病からの復活をうたいかつ体験談を語っているものを厳選し分析した。部分的な例として「がんが消えた医師もびっくり」「先生からも『奇跡だ』と言われ、まるで夢でも見ているみたいでした。」などの広告は医療は否定せずその権威を認めたうえで「その先生・医者でさえ」驚く効果を示しさらにそういった人々たちの登場と相まって健康食品そのものの信頼とかかわってくるところであると分析している。
3.調査計画
先に述べた論文では新聞折り込み広告をもとにデータを収集していたが、今回の調査ではより現代に合わせるべくインターネット上の広告から集めていく。集めるもの通販サイトAmazon、楽天から健康食品カテゴリの売れ筋ランキング上位〇〇位(広告内容や量によって変動)のものを選び分析の対象とする。これは上位のものは多くの人に受け入れられ、より分析対象として適切ではないかと考えたからである。
〇分析枠組みを決める(発行者,商品種類,食品の種類,高齢者など広告で語られる対象者、期待される機能、宣伝文句など)
〇これらの収集したデータを分析枠組みにあてはめ分析する
4.予備調査(例)
楽天サイト健康食品カテゴリ週間ランキング1位 「大塚製薬オーエスワン(OS-1) 500mlX24本」
楽天サイトでは広告部分がなかったのでは大塚製薬オーエスワン(OS-1)のHPに記述されていることについて https://www.os-1.jp/(2021-6-01)
表示されている内容は効果を表す文句、受賞に関する表示、許可された表示(個別評価型病者用食品)、消費者の疑問についての回答、脱水症状や経口療法について、CMへのリンクである。
商品の対象者として2010年脱水症状で運ばれた所ジョージさんが映っていてフレーズとして「脱水を伴う熱中症に 吸収スピード OS-1」とある。
5.参考文献
亀山 聖未 「病と健康の物語--健康食品の広告における体験談に関する考察」
『中央大学社会科学研究所年報』 (8), 127-141, 2003
亀山 聖未 「"いわゆる"健康食品をめぐって--<健康>のポリティクス」
『中央大学文学部紀要』 (198), 57-67, 2003-03
赤松 利恵 , 梅垣 敬三 「新聞に掲載された健康食品に関する広告の内容分析」
『日本公衆衛生雑誌』 57(4), 291-297, 2010
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/57/4/57_291/_pdf/-char/ja(2021-6-1)
作道 信介 「健康への対処 : 健康食品の広告分析からの予備的考察」
『弘前大学保健管理概要』 (17), 29-47, 1995
「健康食品」のホームページ|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html (2021-5-25)