「SNSにおけるデマの拡散とその抑制」
問題関心
地震や豪雨などの自然災害、現在のコロナによる自粛生活などの非常事態時、市民が情報を得る媒体として、テレビやラジオ、新聞に加えて、近年ではSNSなどのインターネット上のメディアが存在感を増している。TwitterなどのSNSは情報の伝達速度が早い反面、誤情報や虚偽情報が拡散されて混乱が発生する危険性もある。デマの予防、抑制はどのようにすれば行えるのか。この問いの答えを見つけ出し体系化することができれば、災害時に発生する混乱の規模や被害を小さくすることに繋がるだろう。
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◯福長秀彦,2019,「『北海道胆振東部地震』と流言の拡散ーーSNS時代の拡散抑制を考える」『放送研究と調査』69(2): 48-70 富大なし J-STAGEにて閲覧可
・デモ情報がTwitter上に発生してからの時間経過によるデマツイートや打ち消しツイート数の推移の観察(Yahoo!リアルタイム検索を使用)
・災害発生→デマ情報発生(らしい)→デマツイートと打ち消しツイートが混在(デマ情報が具体化する場合有り)→政府や行政からの打ち消し報道→打ち消しツイートが大半を占める→沈静化
・災害再来流言では「らしい」という推定形 +「怖い」という恐怖感のパターンが終始一貫して多い。
・恐怖感情の強い,つまり集合的興奮の強い流言の場合は,そうでない流言に比べて,否定情報の伝播が速い。
◯福長秀彦,2018,「流言・デマ・フェイクニュースとマスメディアの打ち消し報道ーー『大阪府北部の地震』の事例などから」『放送研究と調査』68(11),:84-103 富大なし J-STAGEにて閲覧可
・ キーワードを含むツイートの投稿数の推移の観察(Yahoo!リアルタイム検索を使用)
・大阪府北部の地震での事例、「京阪脱線」(流言)
「 脱線したかと思った」 →「脱線したのか?」(疑問)→「 脱線しているらしい 」(推測)→ 「脱線した」(確定的な表現)
・平常時の流言拡散の仕方は比較的緩慢。その分寿命は長くなりがち。
・筆者は報道される事実が「公共財」としての信頼を失いつつあるのではないかと危惧している。
池田圭祐,榊剛史,鳥海不二夫,栗原聡,2018,「口コミに着目した情報拡散モデルの提案およびデマ情報拡散抑制手法の検証」『情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM)』11(1): 21-36 富大なし
伊藤一成,2015,「道聴塗説と同調圧力について考えさせるコンテンツ GODOUCHO(ご道聴,ご同調)」『情報教育シンポジウム2015論文集』 (2015):185-191 富大なし
◯岩橋瑠伊,矢吹太朗,2018,「SNSにおいてフェイクニュースを拡散するユーザの特徴抽出」『第80回全国大会講演論文集』2018(1):113-114 富大なし 情報処理学会電子図書館にて閲覧可
デマを拡散するような ユーザーはリツイート機能を多用する傾向にあり,ツ イート内容の真偽を確かめる前にリツイートをし,デマ 拡散者の一員となっていると考えられる。
牛込龍太郎,松田健,園田道夫,趙晋輝,2018,「語句の関係性に着目したSNS投稿の真偽分類の検討」『第80回全国大会講演論文』 2018(1):329-330 富大なし
内田理,宇津圭祐,2020,「災害時のソーシャルメディア利活用」『電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review』13(4):301-311 富大なし
◯須田剛裕,小嶋和徳,伊藤慶明,石亀昌明,鳥海不二夫,2013,「震災時におけるツイッターのトレンドワードと拡散情報を利用したデマ推定の一考察」『第75回全国大会講演論文集』2013(1):99-100 富大なし 情報処理学会電子図書館にて閲覧可
考察が不十分?
◯村山優子,向井未来,西岡大,斎藤義仰,2013,「緊急時のTwitterにおけるデマ情報拡散を考慮したリツイートの意思決定モデルの提案」『マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集』 (2013): 873-879 富大なし 情報処理学会電子図書館にて閲覧可
リツイートされやすいツイート 「ネガティブな内容が書かれている」もの,「不安を煽る表現が使われている」もの,「今すぐ行動しなければならないと思わせる」もの
◯安田雪,2013,「ソーシャルメディア上の情報拡散の特性 : 東日本大震災時のデマの事例とハブの役割」『関西大学社会学部紀要』45(1): 33-46 富大なし ネット上で閲覧可
・東日本大震災発生直後の「コスモ石油千葉製油所火災に関するデマツイート及びデマ否定ツイート」を事例として検討
Tiny Tweet Crawler(略称TTC)を用いて「コスモ石油OR有害物質OR傘ORカッパ」を検索して収集した40,711ツイートから手作業でノイズを取り除いた
(デマツイート4451件、デマを否定するツイート12017 件、真偽ないし判断を問う疑問ツイート651件、救助依頼ツイート635件)
・デマの否定情報が膨大に発信されたにもかかわらず、デマ情報は早期の完全な沈静化を果たしていない
・多数リツイートされているものはデマツイート、否定ツイート共に、情報源が明確、情報源を示唆するインサイダー形式をとっているなどの特徴がある
・リツイートを20回以上されているツイートの、全てのツイートが拡散されていく過程で10人目までに1000人以上のフ ォロワー数を持つアカウントにリツイートされている。
→ツイートが拡散されていく上ではフォロワー数が多いアカウントの早期リツイート(ハブ)が決定的な役割を果たしている(発信者が一般人、有名人問わず)
誤情報・虚偽情報の類型
うわさ系(うわさ、流言、デマ、ゴシップ、伝説、都市伝説)
マスメディアの誤報・虚偽報道
行政機関の誤報・虚報
フェイクニュース
G.W. オ ルポートと L. ポストマンによると,流言が拡散す る 強 さ ( 流 布 量 ) は 以 下 の 公 式 で 表 さ れ る 9 )。 R~i×a
こ の 公 式 の 意 味 は「 流 言 が 拡 散 す る 量( R: Rumor)は,それに関係する各個人にとっての 問題の重要性(i: importance)と,その論点に 関する証拠の曖昧さ(a: ambiguity)の積に比 例する」というものだ。つまり,流言は,人びと がある問題を重視しているときに,かつ,その 問題の論拠が曖昧であるときに拡がる。
→流言が拡散するのは,社会不安などが高じている非常時にマスメディアの情報が状況を曖昧にしか説明できない場合である。曖昧さを少しでも払しょくす る ために ,流 言 や デ マ,フェ イク ニュースの打ち消し報道をする必要がある。