Instagramの利用に伴うストレス
問題意識
近年、SNSの普及によって誰でも簡単に情報を発信したり、情報を取り入れたりできるようになった。その反面、他人の投稿を見て自分と比較し、自信がなくなったり自分の価値が分からなくなってしまうことも多いのではなかろうか。そんなSNSが自己肯定感に関係しているのか調べたい。
基礎概念
・SNS疲れ…SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を用いたインターネット上のコミュニケーションによる気疲れ。サービスの特色によって気疲れを感じる点が異なることもある。例えば、LINEでは自分の発言が読まれたにもかかわらず返信がないことが気にかかる、Twitterでは他人のネガティブな投稿が目に入ってくる、Facebookでは知人の充実した生活ぶりに嫉妬を感じる、Instagramでは写真映えする被写体を探すことに疲れる、といった具合である。また、SNSへの投稿が広く読まれる著名人の中には過剰な批判や的外れな反応に接して気疲れや苦痛を感じる者もいる。(2018-9-13)
コトバンク 知恵蔵mini https://kotobank.jp/word/SNS%E7%96%B2%E3%82%8C-674492
基礎データ(量的)
・https://www.asmarq.co.jp/data/mr201903sns-tired/
ASMARQ「SNS疲れに関するアンケート調査」
調査対象:全国20代から60代男女1000人
SNS疲れを経験したことがある割合は全体では42.7%と半数以下である。
20代女性が65%で、SNS疲れを経験したことある人が最も多い。
年代によって割合の高い性別が異なるため、どちらの性別がSNS疲れを感じやすいかは判断できない。
(質的)
・https://hermandot.co.jp/topics/instagram-likes-not-see/
Herman Dot「インスタグラムのいいね数が見れない仕様に!2019年インスタグラム仕様変更」
いいね数を気にするあまり、写真の内容だけでなく投稿する時間も気にしたり、いいねが集まらなかったら投稿を削除したりするユーザーが非常に多かった。いいね数が周りから見れなければ、周りにどう思われているかなんて気にせず、自分が投稿したい写真をアップして楽しめるのではないかという理由で仕様変更がされたそうだ。
年表
調査計画
調査対象 SNS(特にInstagram)を使っていてストレスを感じたことがある人
調査方法 インタビュー
質問 ・どのようなときにストレスを感じるか。
・どのような投稿を見たときにストレスを感じるか。
・どれほどのストレスを感じるか。
・どのような気持ちになるか。
分かること SNSストレスの原因、その他のストレスやネガティブ感情との因果関係など
研究者
・井川純一
所属:大分大学経済学部准教授、広島修道大学非常勤講師
研究キーワード:Instagram、集団間葛藤、スティグマ、後悔、風評被害、主観的報酬、バーンアウト
研究分野:社会心理学、産業組織心理学
主な論文:「Instagram における「いいね!」が気分及び対人認知に及ぼす影響―大学生を対象とした場面想定法実験―」
・中山満子
所属:奈良女子大学人文科学系教授、教育研究評議会評議員
研究キーワード:対人心理学、社会心理学
研究分野:社会心理学
主な論文:「SNS 利用に伴うネガティブ感情の検討 ─女子大学生を対象としたインタビュー調査より─」
文献リスト
〈論文〉
〇井川純一、2020、「大学生のInstagram利用とSNSストレス:いいね!が気分に与える影響に着目して」、大分大学経済論集、72、1-21
検索ワード:Instagram
△大石沙耶・土方嘉徳、2020、「SNSにおける投稿内容が引き起こす嫉妬に関する基礎調査」
検索ワード:Instagram
△前田彩花、2021、「SNS 疲れによって引き起こされるネガティブ感情について」、甲南女子大学大学院論集、19、37-48
検索ワード:SNS ネガティブ
△中山満子・二宮麗、2018、「SNS利用に伴うネガティブ感情の検討:女子大学生を対象としたインタビュー調査より」、奈良女子大学文学部研究教育年報/奈良女子大学文学部 編、15、45-54
検索ワード:SNS ネガティブ
・若本純子、2021、「子どもたちはなぜSNSにハマるのか―2010年代のSNS利用とトラブルの動向―」、教育実践学研究:山梨大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要、26、19-31
〈書籍〉
・土井隆義、2004、『「個性」を煽られる子どもたちー親密圏の変容を考える』、岩波書店
・上地雄一郎・宮下一博、2004、『もろい青少年の心―自己愛の障害 発達臨床心理学的考察』、北大路書房