高齢者に対するふさわしい環境とは
高齢者に対するより良い働く環境を作るために
就労に年齢差別をなくすべき
高齢者は若者と同じように働かせる
働くために高齢者の健康維持
労働はどの程度高齢者に社会参加し、生きがいを感じされるのか
富山県内のセンターについては以下
書籍:
シルバー人材センター関連
石橋智昭, 2016, 「生きがい就業を支える社会システム——シルバー人材センターの貢献と課題」藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,110-119
・安保明子,1983,『おんな理事長奮戦記 : シルバー人材センターを育てて』 ミネルヴァ書房。中央図-5階研究用図書, 369.26||An7||On。
社会状況の変化と高齢者就労
稲葉陽二,2016,「QOLの向上と社会的孤立予防――ソーシャル・キャピタルからみた高齢者就労の意義」藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,2-29
塚本成美, 2016, 「労働社会の変容と高齢者就労」藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,30-55
渡辺修一郎・鈴木宏幸, 2016, 「高齢者の健康と労働能力との関係」藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,75-99
高齢者就労を支援する団体・組織
田尻孝二, 2016, 「高齢者による就労支援」 藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,145-168
渡辺吉靖, 2016, 「能力開発から職業紹介まで」 藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,169-199
高齢者の就労支援を支える体制
渡辺修一郎,2016,「高齢者の就労を支える重層的ケア——保健・医療・福祉システムの視点から」 藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,200-228
南潮,2016,「就業システムは「社会窓口」となれるのか」 藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,229-247
倉岡正高,2016,「就労形態の変化と多様な支援プログラム」 藤原佳典・南潮編『就労支援で高齢者の社会的孤立を防ぐ――社会参加の促進とQOLの向上』ミネルヴァ書房,248-265
*社会関係資本の定義について稲葉(2011)
①高齢者就労の現状
高齢者就業率 日本 OECD加盟国の中もっとも高いグループ
2012年 65-69歳 (3人に1人)37.1% 2015年 失業率 65歳以上 2.0%
70-74歳 (4人に1人)23.0% 15-64歳 3.5%
75歳以上 (12人に1人)8.4% 労働力人口:就業者に求職中の失業者を加えた
2014年12月 60歳以上 男女 「高齢者の日常生活に関する意識調査」設問→「あなたは、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいですか」
総計 65歳ぐらいまで = 71.9%
70歳ぐらいまで = 55.3%
75歳ぐらいまで = 38.7%
80歳ぐらいまで = 31.6%
高齢者の就労希望率 ⇔大きな乖離⇔ 実際の就業率 =高齢者の就労意欲高い
②ソーシャルキャピタル
世間と人と同時に表しているのが「人間」
社会関係資本=この世間と人を同時に表す「人間」を対象した概念 だが、”同時に”は難しい
(*)人や組織間のネットワーク、それに伴う信頼、規範、 社会関係資本をネットワーク、信頼、規範をすべて含めて包括的にとらえる広義の立場と、いずれに焦点を当てて論じる狭義の立場がある。
③高齢者のソーシャルキャピタル
1)構造的ソーシャルキャピタル=具体的な個人や団体との関わり
2)認知的ソーシャルキャピタル=どの程度信頼するか、信頼や互酬性の認識に関わる社会関係資本
構造的社会関係資本が認知的社会関係資本に影響を与えるとするなら、男性高齢者の就労が近所づきあいや団体参加を高め、心と身体の健康の改善。維持に有効
④高齢者のQOL
社会関係資本はQOLに大きな影響を与え、QOLは「生活満足度」「抑うつ度」「主観的健康(Self-rated Health)」「生活上の孤立」などが大きく関連している。
第2 章労働社会の変容と高齢者就労
①経済的側面と社会的側面
pg33「老人福祉法」は高齢者の社会参加活動としての労働の意義を規定したが、高度経済成長期頃までの高齢者就労は中高年期以降の生活不安に対する収入を目的とした経済問題であった。
高齢者就労の社会的側面とは労働に際して不可欠の協働やコミュニケーションから生じる社会関係の次元である(Lampert 1992:125)。
就労は有償労働であっても単に収入を得るだけの経済活動ではなく、高齢者が働くことによって共同者と協力し合い、社会に参加し、生きがいを感じて生活を充実させるとともに、地域福祉の支え手として地域の社会関係を形成する社会活動でもある。((高齢者に対する社会的孤独も防げると考えられる))
②「生きがい就労」と「第三の働き方」
高齢者の就労を対象とする問題となるのは、市場メカニズムを前提とした雇用政策措置によっては網羅されない高齢者である。
2つの全く異なるタイプの高齢者に企業における雇用以外の働き方:
(1)相対的に労働能力が低く労働市場における競争力が弱い高齢者
(2)定年後に企業における従属的労働関係ではなく任意の就業で自由に働きたい健康で働く意欲のある高齢者
(1)は貧困対策の意味合いが強く、(2)は生きがい対策の意味合いが強い これらは「福祉的就労」または「生きがい就労」と呼ばれた。生きがいは加速度的に増大する高齢者の福祉の増進を目指すもの
pg34高齢者無料職業紹介所に来る高齢者が生活のための就労を求めるものであったのに対して、健康で働く意欲があり生活費を得ることよりも生きがいを求める高齢者を組織したのが東京都高齢者事業団であった。初代会長の大河内一男は、「、、あくまで地域の高齢者たちが自主的に働こうとするところの互助と共働のための就労活動であり、むしろおおよそ60歳以上の高齢者たちが、自分の長い人生の中で身に付けた経験と支能と生活の智慧とでもいうべきものを地域のために提供することに、老後の積極的生きがいを身に付け出そうとする運動なのである」という(大河内1985:xiv)。
高齢者事業の理念と狙いは、「高齢者にとっては『働く』ことのうちに真の福祉と生きがいがあり、この二つのものは高齢者にとって別個のものではなく、むしろ進んで高齢者が『働く』ことのうちに生きがいと高齢者としての孤立自主の気概を持つことができるようになるための環境作りである限りにおいて、老人福祉は有意義なものだと考えて出発した」(大河内:xviii)
[第三の働き方」とは、高齢者就業対策検討会議自立・自営化委員会が名付けたものである。
特徴:1)雇用労働でも自営業でもなく賃金以外の何らかの収入を伴うこと
2)収入などの経済的報酬よりも活動の理念や精神的な報酬を重視すること
3)雇用労働に伴う従属関係や拘束関係からできるだけ距離をたもち、任意就労や短時間就労を志向するものが多い こと
4)組織としての確立度や行政支援の程度などには大きな相違があることと述べ、具体的には、シルバー人材センター、**ファミリーサービスクラブ、**ワーカーズ・コレクティブを挙げている
**ファミリーサービスクラブ:Googleより、近隣地域の会員同士で家庭内の仕事を有料で援助し合う、「相互援助活動」を行う組織
**ワーカーズ・コレクティブ:Googleより、働く人全員が出資し、経営に責任をもち、労働も担う働く人の協同組合
③労働社会の多様化と高齢者就労
第一次石油危機以降の産業構造の変化や急速な高齢化の進展は高齢者の就労のあり方を変え、1980年代以降には、労働社会を大きく変容させるいくつかの潮流が生じる。
第1に労働市場の多様化と非典型労働(正規雇用労働以外の多様な労働形態や働き方)の増加
第2にポスト工業化の進展
第3に新しい公共社会形成の流れ
同基本計画では、高齢労働者の大幅な増加に対応するための60代前半層を中心に実質的な就労の場の確保に向けて、第1に、60歳以上への定年延長を含めた雇用延長、第2に、定年後の再雇用や勤務延長促進のための断続雇用奨励金などの助成措置の充実と離職者雇い入れ促進のための奨励措置に検討、第3に、常用雇用的な就労に限らず自営業やパートタイマーなどの多様な形態で就労の場の確保に努めるとしている。
「高齢者能力活用事業」は、定年退職後等いおいて雇用関係ではない何らかの就業を通じて労働能力を活用し、追加的収入を得るとともに生きがいの充実や社会参加を希望する高齢者に対して、地域社会の日常生活に関連した補助的、短期的な仕事を提供することで活力ある地域づくりに寄与することや、高齢者の「職業生活からの引退過程をできるだけ円滑に移行」することをめざす、「高齢化社会に適切に対応するための労働対策の一環をなす新たな施策」であった。
第5 生きがい就業を支える社会システム――シルバー人材センターの貢献と課題
‣シルバー人材センターの組織的特徴
1)法制化から30年で1304団体――沿革と制度
・「高齢者が地域で、自主的に、仕事の機会を開拓、創出し、就労することを通じて生きがいを充足させること」目指した
・市区町村、都道府県、国の3層の構造をもっており、その総体によってシルバー人材センター事業が推進されていることになる
・就業を支えるセンターの登録会員数は72.1万人であり、加入率は男性2.7%、女性1.0%に相当する
2)会員による自主的運営と補足金の依存――組織運営
・運営費: ①受注した仕事による事業収入 ②公費による運営補助金 ③会員からの年会費
・②の運営補助金は会員数と就業延人員によって定められた「国からの補助金」と任意に定めた「市区町村からの補助金」
・補助金の大幅縮減は、事務局職員の削減や非正規化による事務局体制の弱体化へとつながっており、事業停滞の注因として現在(2016年?))も苦しめている((2022年は?)
3)提供されるのは「臨・短・軽」――仕事の内容
提供される仕事の内容は「臨時的かつ短期的な就業」または「その他の軽易な業務」に限定されている。
最も多いのは公園などの除草や室内外清掃、梱包・運搬、皿洗い・配膳、チラシ・ビラ配り 「一般作業群」
4)請負・委託による就業が主流――仕事の提供方法
シルバー人材センターが企業、家庭、公共団体などの発注者から請負・委託によって仕事を引き受け、希望する会員に再請負・再委託の形で提供する。
発注者と就業する会員との間に雇用関係はなく、会員への指揮命令権もたない。
会員に支払われる報酬は「配分金」という名称になっている。
労働者保険法の適用除外となっている。
5)安全就業への重層的な取り組み
全てのシルバー人材センターには、安全・適正就業委員会が設置され、事故防止に向けた研修会や担当委員による就業先への巡回パトロールが計画的に実施されている。
第6章 ボランティア就労の境界――社会福祉協議会の活動から
pg123 社会福祉協議会とは
1)地域福祉の推進を担う組織
2000年、社会福祉法第4条に「地域福祉の推進」が規定された。
「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」
「ソーシャル・インクルージョン:Googleより、全ての人々が社会に参画する機会を持ち、共に生きていくこと。 高齢者や障がい者、外国人や失業者など、社会的に弱い立場と言われる人々を排除するのではなく、社会の一員として包み支え合うという理念」に基づいている。
2)民間の社会福祉団体として
社協は誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、「住民主体」の理念に基づき、地域の福祉課題の解決に取り組む社会福祉法人
補助金や委託金などによる収入が多く
行政経験者や派遣職員が管理職等として事務局を運営していることもある
「半官半民」の組織とも見られる
3)社会福祉協議会の事業
市区町村社協は各種福祉機関・団体等と連携して、地域福祉活動計画の策定と推進、住民の福祉理解と参加の促進、ボランティア活動の推進とNPO 活動の支援、当事者や社会福祉事業関係者への支援、小地域福祉活動、在宅福祉サービスの推進などの事業に取り組んでいる。
2012年、全社協は個別ニーズへの支援を充実させる。
多様なネットワークと地域の特性を活かした創意工夫により、市区町村ごとにそれぞれ独自の事業に取り組んでいる
第7章 高齢者による就労支援――高齢者協同組合が手がけてきた高齢者就労
pg154高齢者協同組合の事業活動
1)生きがい事業 2)地域活動 3)仕事起こし 4)介護事業 I )ホームヘルパー講座 Ⅱ)介護事業所の出発
III)介護事業所の経営
5)指定管理者制度による高齢者施設の管理 6)全国の高齢者協同の生活支援事業
pg160 生活協同組合・東京高齢協の労働環境
1)高齢者の働く姿
I)ケアワーカーの意識 II)事業所の労働環境 III)訪問介護
2)ケアワーカーの高齢者
3)ケアワーカーの不足