家庭養護 (・里親、 ・ファミリーホーム)
家庭的な養育環境 家庭的養護 {グループホーム(・地域小規模児童養護施設 ・小規模グループケアの分園型)本体施設 (・小規模グループケア)} 家庭養護、家庭的養護をまとめて家庭的養護の推進
Cinii 検索語:小規模化の意義
・吉村 譲,2016,「児童養護施設の小規模化について子どもと職員の語りから考える」吉村 譲・吉村 美由紀『研究紀要』49: 89-98
file:///C:/Users/nanami/Downloads/KJ00010184199.pdf
・橋本 好市,2014,「児童養護施設の小規模化に関する考察と課題 : 大舎制から小規模ケアヘ」橋本 好市・明柴 聰史『園田学園女子大学論文集』(48): 147-163→富大にあり
・new社会的養育の推進に向けて (https://www.mhlw.go.jp/content/000503210.pdf)令和2年4月 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
5.乳児院・児童養護施設の高機能化及び多機能化・機能転換、 小規模かつ地域分散化の推進 (2)小規模かつ地域分散化の状況(形態ごとの定員数)の表 p55
定義として使用。・小規模グループケアを、「本体施設内・別棟・分園型」に分類。ほかのものは「別棟」の認識なし
問題関心
・施設養護は小規模化すべきなのか。
・施設養護は家庭化すべきなのか。
概念
・社会的養護
保護者のない児童や,保護者に監護させることが適切でない児童を,公的責任で社会的に養育し,保護するとともに,養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行なうことであり、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われている。
参考ページ:厚生労働省,「社会的養護」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo)
「家庭的養護」と「家庭養護」の用語整理 「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会 第13回 平成24年1月16日(月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000202we-att/2r985200000202xv.pdf」
p173
社会的養護の家庭化
大舎・中舎・小舎/小規模グループケア・地域小規模児童養護施設(グループホーム)の定義
以下二つの文書は、・厚生省児童家庭局長,2017,「社会的養護に関する法令・通知等一覧」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/syaiteki_yougo_tuuchi.html 2020年9月5日取得)の「大区分・施設、小区分・小規模化」のページから入った。
p1・児童養護施設等のケア形態の小規模化の推進について(*目的)
「近年、児童養護施設等には、虐待を受けた子ども等の入所が増加しつつあるが、虐待 を受けた子ども等が他者との関係性を回復させることや愛着障害を起こしている子ども のケア(養育)には、これまでの大規模な集団によるケアでは限界があり、できる限り 家庭的な環境の中で職員との個別的な関係を重視したきめ細やかなケアを提供していく ことが重要とされている。 このため、児童養護施設等において、小規模なグループによるケアを行う体制を整備 するため、別紙のとおり、児童養護施設、乳児院、情緒障害児短期治療施設及び児童自 立支援施設における小規模グループケア実施要綱を定め、平成17年4月1日から実施 することとしたので、その適正かつ円滑な実施を期されたく通知する。」
p2・定員は児童養護施設の場合、原則6人以上8人以下
p2~3・設備等 「(1)小規模なグループによるケアは、各グループにおいて居室、居間及び食堂等入所している子どもが相互に交流できる場所その他生活に必要な台所、浴室、便所等 を有し、かつ、保健衛生及び安全について配慮し(*小規模に限らないのでは)、家庭的な雰囲気の中で(*抽象的)、担当職員が入所している子どもに対して適切な援助及び生活指導ができること(*小規模じゃなくても該当)。(2)入所している子どもの居室の床面積は、施設の種別に 応じ、次のとおりとすること。ただし、平成22年度において指定を受けているも のにあっては、なお従前の例による。 ① 児童養護施設 1人当たり4.95㎡以上(乳幼児のみの居室については3. 3 3㎡以上)(*面積だけ記載されており、居室の定員は記述なし) (3)小規模なグループによるケアは、①本体施設の敷地内で行うものと②本体施設の 敷地外においてグループホームとして行うもの(以下「分園型小規模グループケ ア」という。)とがあること。」
p3・職員 「専任の職員として各グループににつき児童指導員又は保育士(児童自立支援施設にあっては、児童自立支援専門員又は児 童生活支援員)1名及び管理宿直等職員(非常勤可)を加配し、他の職員と連携して ケアを行うこと。 なお、管理宿直等職員は、管理宿直を行う職員の配置のほか、繁忙時間帯の家事支 援を行うパートタイム職員の配置にも活用できるものであること。」
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長,2013,「児童養護施設等のケア形態の小規模化の推進について」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/tuuchi-28.pdf 2020年9月5日取得)
厚生省児童家庭局長,2017,「地域小規模児童養護施設の設置運営について」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000161323.pdf 2020年9月5日取得)
・施設への入所理由に関して
乳児院児は母の精神疾患等を理由に施設に入所する割合が高い。生まれて幼い乳幼児の母親が精神疾患になる理由の一つとして、母親が出産後にうつを患い、子どもの世話をすることができないということが挙げられる。情緒障害児は虐待を理由に入所する割合が高い。発達の遅れた自分の子どもに耐えられず暴力を振るってしまうことが考えられる。養護施設児、自立施設児ともに母の放任・怠だを理由に入所する児童の割合も高い。
参考ページ
検索語:児童養護施設 入所理由(厚生労働省)
児童養護施設入所児童等調査( https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/69-19.html)
結果 以下のURLのp9、10に入所理由記載あり
検索語:児童養護施設 入所理由 推移(IT検索
子供・若者白書について(旧青少年白書)(http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html)
平成26年版 子ども・若者白書(全体版)(http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/index.html )
第2節 犯罪や虐待による被害 ( http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/b1_05_02.html)
p1・地域小規模児童養護施設の設置運営について (*目的)
「児童養護施設に入所している子どもについては、早期の家庭復帰を通じた自立支援を 図る観点から家庭環境の調整に取り組んでいただいているところであるが、地域の中の 住宅地などに新たな小規模な施設を設置し、近隣住民との適切な関係を保持しつつ、家 庭的な環境の中で生活体験を積むことにより、入所している子どもの社会的自立が促進 されるよう、別紙の通り「地域小規模児童養護施設設置運営要綱」を定め、平成12年 10月1日より適用することとしたので、その適正かつ円滑な実施を図られたく通知す る。」
p2・定員「地域小規模児童養護施設の定員は、本体施設とは別に6人とし、常に現員5人を下回らないようにすること(ただし、指定の直後はこの限りでない。)」
p2~3・設備等「日常生活に支障がないよう必要な設備を有し、職員が入所している子どもに対し て適切な援助及び生活指導を行うことができる形態であること(*GHに限らないのでは)。 (2)個々の入所している子どもの居室の床面積は、一人当たり4.95㎡以上(幼児 については3.3㎡以上)とすること。ただし、平成22年度において指定を受け ているものにあっては、なお従前の例による。 なお、原則として、一居室当たり2人までとすること。 (3)居間、食堂等入所している子どもが相互交流することができる場所を有している こと。 3 (4)保健衛生及び安全について配慮されたものでなければならないこと。(*GHに限らないのでは)」
p3・職員「(1)地域小規模児童養護施設専任の職員として児童指導員又は保育士を2人置くこと。(2)その他の職員(非常勤可)を置くこと。」
l 厚生労働省,2011,「社会的養護の課題と将来像 (児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・ 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会とりまとめ 平成23年7月)」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001j8sw-att/2r9852000001j8ud.pdf 2020年5月9日取得)
P7②小規模化と施設機能の地域分散化による家庭的養護の推進
・平成12年度:地域小規模児童養護施設(グループホーム)実施 ・平成14年度:里親制度改正(専門里親・親族里親、里親最低基準) ・平成16年度:小規模グループケア実施
・平成21年度:小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)実施 ・平成21年度:里親制度改正(養育里親、里親手当引上げ、里親支援機関)
P9・小規模グループケアは、1グループの児童定員が6人~8人で、これを生活単位(ユニット)とするもので、1人部屋又は2人部屋の居室と、居間、キッチン、浴室、洗濯機、トイレなどの家庭的な設備を設けるとともに、グループ担当の職員を置く。本体施設内にいくつかのグループホーム(*グループ単位のケアを行っているということを言っているのか?不明)が集まって設けられる形態であり、家庭的な環境を作ることができる一方、個々のホームが孤立化せず、施設全体での運営管理が行いやすいメリットがあるため、特別なケアが必要な子どもを入所させやすい。
・また、小規模グループケアは、職員間の連携がとれる範囲で、本体施設から離れた地域の民間住宅等を活用して、グループホームの形態で行うことも可能であり、さらに家庭的な形態である。
・地域小規模児童養護施設(グループホーム)は、1ホームの児童定員6人で、本体施設を離れて、普通の民間住宅等を活用して運営するもので、(*略してあるから使いづらい上の説明にある小規模化と)同様に家庭的な形態である。なお、措置費の仕組みとして、小規模グループケアはグループホーム形態の場合でも本体施設と一体の保護単価となるのに対し、地域小規模児童養護施設では区分して設定される。
・ファミリーホームは、1ホームの児童定員5~6人で、養育者の住居で行う里親型のグループホームである。交代勤務である地域小規模児童養護施設と異なり、養育者が固定していることから、子どもにとって、さらに家庭的な環境である。
・家庭的な養育環境として、本体施設内の小規模ケアよりグループホームが、グループホームよりファミリーホームの形態の方が、より家庭的な環境であり、推進していく対象となる。
(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/121001_honbun.pdf 2020年9月23日取得)
P7~8 5.小規模化を推進するための予算制度
(1)小規模グループケア
○本体施設の敷地内で行うものと、敷地外においてグループホームとして行うもの(分園型小規模グループケア)
○定員は、児童養護施設は6人以上8人以下
(注)平成22年度までの実施要綱では、「ケア単位は、原則6名とする」とされていたが、8名定員のものが実際に行われており、運営の弾力化の観点から、平成23年度の実施要綱改正で、「定員は、原則として6人以上8人以下とする」と改められた。
○本来の基本的配置に加算: ・児童指導員又は保育士 1人 ・管理宿直等職員 1人分(非常勤) ・年休代替要員費等加算
○1本体施設につき6か所まで指定できる ・3か所を超えて指定する場合には、施設の小規模化及び地域分散化の計画を策定し、推進すること。
p8 (2)地域小規模児童養護施設
○定員6人
○人員配置: ・児童指導員又は保育士 3人(うち1人は非常勤とすることが可能) ・管理宿直専門員 1人分(非常勤) ・年休代替要員費等
〇1施設で複数か所の設置が可能であり、本体施設1施設につき2か所を超える指定をするときは、家庭福祉課と協議することとされている。
(注)・分園型小規模グループケアも、地域小規模児童養護施設も、グループホームという点では、目的も形態も同じである。措置費上の仕組みが異なり、分園型小規模グループケアは、本体施設と合算して定員区分に応じて保護単価が設定され、小規模グループケア加算がされるのに対し、地域小規模児童養護施設は、措置費上、本体施設や他のグループホームと切り分けて1か所ごとに保護単価が設定される。
・このため、施設で1、2か所目のグループホームを設置する場合は、地域小規模児童養護施設の方が設置しやすい。他方、本体施設の定員が小さく、グループホームを多数持つ施設の場合、施設長や家庭支援専門相談員などの施設共通の職員の費用がグループホームの保護単価にも分散して反映される分園型小規模グループケアの算定方式の方が、本園と分園の児童の保護単価の差を小さくできる。
・このことから、制度上、両方の制度を設け、かつ地域小規模児童養護施設の1施設当たりの数を制限している。なお、小規模グループケアの数についても、施設全体の定員数を一定範囲以下とする観点から、6か所までとしている。
(注)・施設の認可定員は、本体施設(本園)の定員と地域小規模児童養護施設や分園型小規模グループケアなどのグループホーム(分園)の定員を合算したものである。一方、地域小規模児童養護施設を除く分園及び本体施設の措置費の算定に当たって用いる定員は、地域小規模児童養護施設の定員を含まない定員となる。
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/dl/working3.pdf2020年5月9日取得)
「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」の上に導入が付いたもの。これを使う部分は今のところない。
l 厚生労働省,2014,「社会的養護の現状について(参考資料)」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/yougo_genjou_01.pdf)2020年5月10日取得
P7「大舎」:1養育単位当たり定員数が20人以上、「中舎」:同13~19人、「小舎」:同12人以下、「小規模グループケア」:6名程度 (2019年の「社会的養護の現状について(参考資料)にも同じ記載あり)
p8(5)児童養護施設の形態の現状 (参考)児童養護施設の形態 (2019年の「社会的養護の現状について(参考資料)にも同じ記載あり)
大 舎 制 の 例
・児童数20名以上 ・原則相部屋、高年齢児は個室の場合もある(*居室の定員は家庭的養護の定義には入らない?)。 ・厨房で一括調理して、大食堂へ集合して食べる。
小規模グループケアの例
・児童数6~8名 ・原則個室、低年齢児は2人部屋など(定義のなかに含まれるのか?) ・炊事は個々のユニットのキッチンで職員が行い、児童も参加できる。
p9(6)施設の小規模化と家庭的養護の推進 *施設数、ホーム数、定員、現員、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設の数は、平成25年10月1日家庭福祉課調べ。
・児童養護施設 大舎(20人以上)、中舎(13~19人)、小舎(12人以下) 1歳~18歳未満(必要な場合0歳~20歳未満) 職員は施設長等のほか就学児童5.5:1、3歳以上 4:1、3歳未満2:1
・地域小規模児童養護施設(グループホーム) 本体施設の支援のもと地域の民間住宅などを活用して家庭的養護を行う 定員6人 職員2人+非常勤1人+管理宿直
・小規模グループケア 本体施設や地域で、小規模なグループで家庭的養護を行う 1グループ6~8人 (乳児院は4~6人) 職員1人+管理宿直 を加算
p17・児童養護施設の居室定員の上限の引き下げ 平成23年15人以下 平成23年6月~4人以下 (乳幼児のみの居室は6人以下)*小舎の居室の定員については記載なし
l 児童福祉の架け橋 愛知県の児童福祉施設ポータルサイト,「児童養護施設とは?どんな施設があるの?」(http://jidoufukushi.jp/jidoufukushi/ 2019年8月21日取得)
大舎制
1舎につき20人以上の児童が生活する施設。一つの大きな建物の中に必要な設備が配置され、一般的には一部屋5~8人、男女別・年齢別にいくつかの部屋があり、食事は大きな食堂で一緒に食べる。共同の設備、生活空間、プログラムのもとに運営されているため、管理しやすい反面、プライバシーが守られにくい、家庭的雰囲気が出しにくいなどの問題点あり。
中舎制
1舎につき13~19人の児童が生活する施設。大きな建物の中を区切りながら、小さな生活集団の場を作り、それぞれに必要な設備を設けて生活している。
小舎制
1舎につき12人までの児童が生活する施設。一つの施設の敷地内に独立した家屋がいくつかある場合と、大きな建物の中で、生活単位を小さく区切る場合があり、それぞれに必要な設備が設けられている。 大舎制に比べるとより多くのスタッフが必要となるなど難しい点もありますが、生活の単位が小集団なため、より家庭的な雰囲気で生活できる。
グループホーム
原則として定員6名。本体の児童養護施設とは別に、一軒家などの小規模化された生活空間で、職員と密接な関係を築きながら家族的な生活を送ることで子どもの心の安定をはかり、成長を育んでいくのがグループホームです。少人数の人間関係の中で、より家庭的な生活経験を通して自立につながる力をつけていくことを目標にしている。
用語説明 児童養護施設以外の施設種類
・児童自立支援施設
子どもの行動上の問題、特に非行問題を中心に対応し、「家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」も対象にした施設のことである。他の施設では対応が難しくなったケースの受け皿でもある。
参考ページ:厚生労働省 社会的養護の施設等について 4児童自立支援施設の概要 6自立援助ホームの概要(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/01.html)
・自立援助ホーム
なんらかの理由で家庭にいられなくなり、働かざるを得なくなった原則として15歳から20歳までの青少年達に暮らしの場を与える施設のことである。家族も含め他の援助を受けることができない状況で「自立」を強いられた児童は、職場や生活場面でも困難をかかえることが多い。そのような困難を抱えた児童に対し、社会的援助を行う。
参考ページ:全国自立援助ホーム協議会 自立援助ホームとは (http://zenjienkyou.jp/%e8%87%aa%e7%ab%8b%e6%8f%b4%e5%8a%a9%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%81%a8%e3%81%af/)
・児童心理治療施設
児童福祉法に定められた児童福祉施設で、心理的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに、医療的な観点から生活支援を基盤とした心理治療を中心に、学校教育との緊密な連携による総合的な治療・支援を行う施設のことである。 心理(情緒)的、環境的に不適応を示している子どもとその家族を援助の対象とする。子どもの対象年齢は小・中学生を中心に20才未満だが、施設への入所(宿泊)・通所は児童相談所(長)が適当と認めた場合に「措置」として決定される。
参考ページ:児童心理治療施設ネットワーク全国児童心理治療施設協議会(http://www.zenjotan.org/jotan.html)
先行研究 藤間公太の経歴、主な文献
藤間公太:慶應義塾大学大学院社会学研究科博士後期課程社会学専攻修了。社会保障応用分析研究部の研究員を務める。研究分野は、家族社会学、教育社会学、福祉社会学、質的調査法。
<著書> 藤間公太、2017、『代替養育の社会学――施設養護から〈脱家族化〉を問う』晃洋書房
<著書分担執筆> 藤間公太、2017、「離婚、再婚と子育て」永田夏来・松木洋人編『入門 家族社会学』新泉社、101-117
西村幸満・藤間公太、2018、「管理職の意思決定過程」、遠藤久夫・西村幸満監修、国立社会保障・人口問題研究所編『地域における生活支援――自治体の
役割と連携』東京大学出版会、81-103
藤間公太、2018、「ひとり親就労支援の実態と困難」、遠藤久夫・西村幸満監修、国立社会保障・人口問題研究所編『地域における生活支援――自治体の役
割と連携』東京大学出版会、213-228
藤間公太、2018、「地方自治体における子育て支援の様相」、遠藤久夫・西村幸満監修、国立社会保障・人口問題研究所編『地域における生活支援――自治
体の役割と連携』東京大学出版会、257-278
<共訳> S.Lush & J.Urry著、安達智監訳、中西眞知子・清水一彦・川崎賢一・藤間公太・笹島秀晃・鳥越信吾訳、2018、『フローと再帰性の社会学――
記号と空間の経済』晃洋書房
<論文> 阪井裕一郎・藤間公太・本多真隆、2012、「戦後日本における<家族主義>批判の系譜――家族国家・マイホーム主義・近代家族」『哲学』
128: 145-177
藤間公太、2013、「子育ての脱家族化をめぐる『家庭』ロジックの検討――社会的養護に関する議論を手がかりに」『家族研究年報』38: 91-108
藤間公太、2014、「子育ての脱家族化論の問題構制――『支援』と『代替』をめぐって」『人間と社会の探求 慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要』77:
1-17
藤間公太、2014、「家族再統合の諸相――ある児童自立支援施設の実践から」『家族社会学研究』26(2): 127-138
藤間公太、2016、「施設養護家庭論の検討――児童自立支援施設での質的調査から」『社会学評論』67(2): 148-165
藤間公太、2017、「ライフヒストリー研究法から家族研究への示唆――政治性の観点から」『法学研究』90(1): 261-282
藤間公太、2017、「家族研究からみた子育て支援の課題」『教育』853: 44-51
藤間公太、2017、「社会的養護にみる家族主義」、『三田社会学』22: 38-54
藤間公太、2017、「現代日本における家族と要保護児童」、『社会保障研究』2(2・3): 158-170
参考ページ:社会保障応用分析研究部 研究員 藤間公太(国立社会保障・人口問題研究所)(http://www.ipss.go.jp/pr-ad/j/soshiki/kozin/toma.html)
文献リスト
検索語 小舎 居室
new・二井るり子,2014,「ケア形態から見た子どもの生活 空間の現状と小規模化に対する 施設職員の評価 −全国の児童養護施設調査による−」今井範子・山本直彦『日本建築学会技術報告集』20(44):213-217
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/20/44/20_213/_pdf/-char/ja
p214 メモ:「小中高生全てにおいて、 大舎より小舎において個室化が進み、また、ケア形態にかかわらず 高学年ほど個室化が進んでいる(図 4)。」
p217 ケア単位=日々の生活プログラムを共にする単位
意見:家庭的養護をする上で、居室の人数が要件かは読み取れなかった。
new家庭化論に関するもの
・爪巣憲三,1950,「養護の指導性と技術の問題」『社会事業」33(12):6-18
・堀文次,1950a,「養護理論確立への試み(その1)」『社会事業」33(4):10-7
・堀文次,1950b,「養護理論確立への試み(その2)」『社会事業」33(6):12-9
検索語:社会的養護(社会学データベース)
・渋谷,敦司 ,2010「<書評> 『この国の子どもたち: 要保護児童社会的養護の日本的構築』(津崎哲雄著) (<Book Reviews> )」,『家族研究年報』35: 99-103,家族問題研究学会.→蔵書なし
・曾和,信一,1987「教育福祉論ノート (IX) : 社会的養護問題についての理論的一考察,関西大学大学院社会学研究科院生協議会『人間科学』編集委員会(編)『関西大学大学院人間科学 : 社会学・心理学研究 』29: 1-15,関西大学大学院社会学研究科院生協議会
・中里,操夫,1994「社会的養護におけるアイデンティティーの形成について (<Articles> Social Care And Child's Identity : In Case of Residential Child Care Facility)」,「白山社会学研究」編集委員会(編)『白山社会学研究 』4: 43-52,白山社会学会
検索語:柏女 霊峰(cin)
✔・柏女 霊峰,「子ども・子育て支援制度を読み解く/その全体像と今後の課題」『 淑徳大学大学院総合福祉研究科研究紀要』103-125 コピー有り 家庭的の意味記載なし
✔・柏女 霊峰, 2017,「要保護児童福祉施策の展開と今後の課題 : 社会的養護を中心に (特集 : 要保護児童支援の現状と課題 : 国際比較からの示唆) 『社会保障研究 』 2(2・3): 144-157→コピーあり 家庭的の意味記載なし
メモ:社会的養護下にある子ども約4.6万人。施設養護は約84%、都市部を中心に満杯状態。子ども虐待の件数は平成2年から25年にかけて約67倍。虐待の内訳は心理的虐待38.4%、身体的虐待32.9%…。平成25年に初めて心理的虐待が身体的虐待を上回る。平成24年に子どもの保護のため親権の一時停止制度が認められた。タイガーマスク運動が契機となり社会的養護関係施設への寄付が増加、社会保障・税一体改革で新たな子ども・子育て制度創設。平成20年に都道府県での社会的養護整備に関する目標値が定められた。レジデンシャルワーク=ケアワーク(子どもの年齢に応じた一貫した支援)+ソーシャルワーク(幅広い関係機関との連携の中行われる)、面としての支援必要。施設入所児童の高等教育進学率は低く、中退率、若くして働く子どもの職場への定着率も低い。自立支援=施設からの措置を継続した中での就職、退所児童の自立定着指導、就職に失敗した子どもの就職斡旋、再措置、児童自立生活援助事業、ピア・グループ型のNPO等に対する支援事業、民間の給付型奨学金、協同組合型の支援。就業支援事業はまだ不十分。施設の利用は20歳まで延長可能。政策として打ち出すことが必須。里親委託率上昇のために、家庭養護が不適当なら施設入所という視点が必要。
意見:著者は平成2年と25年の全国集計でとられたデータをもとに約67%虐待が増えたと言っているが、藤間(2017)によれば、平成2年から統計を始めたデータは虐待の件数ではなく、虐待通知件数のデータである。虐待の範囲が広がっていること、誤報が通告件数に含まれていることから通告件数=虐待件数とは言えない。したがって、虐待の件数は約67%増加しているとは言えない。実際より虐待の増加が大きく捉えられている。施設を小規模化する場合、資金だけでなく職員の数も大幅に増やさなければならないので、現実的に難しい。家庭養護を推進する取り組みと並列して、少ない職員でよりよい養育をするための策を考えたほうがよいのではないか。
・柏女 霊峰,2013-06,「社会的養護の動向と心理職の役割 (小特集 社会的養護における家族から分かれた子どものケアと育ち : 関係性のアセスメントとは)」『 子育て支援と心理臨床』7;40-46,
・柏女 霊峰,2009,「社会的養護改革への道のり[含 質問と意見交換] (これからの社会的養護体制) 新しい家族」(52),;35-53
・小西 暁和, 2013 ,書評 相澤仁[編集代表]、柏女霊峰・澁谷昌史[編集]「子どもの養育・支援の原理 : 社会的養護総論(やさしくわかる社会的養護シリーズ(1)」 『司法福祉学研究 = Japanese journal of forensic social services』 (13), 260-262
・徳永 聖子,2016,書評 柏女霊峰著「子ども・子育て支援制度を読み解く/その全体像と今後の課題」『 淑徳大学大学院総合福祉研究科研究紀要』 (23);143-148,→人文研究室(コピー有り)
検索語:土屋 敦(cin)
・土屋 敦,2017-07,「戦後の社会的養護と子どもの権利の系譜 : 敗戦後から現在までの歴史を振り返る (特集 子どもの権利を守る)」『月刊福祉 = Monthly welfare』100(7);28-31
✔・2017書評 野辺陽子・松木洋人・日比野由利・和泉広恵・土屋敦著「〈ハイブリッドな親子〉の社会学 : 血縁・家族へのこだわりを解きほぐす」野沢 慎司 『社会学評論 = Japanese sociological review』 68(3);450-452 →人文研究室コピー有り
メモ:1960年代から70年代は親がない子供が社会問題として注目された時期。家族規範は特殊西洋近代社会のもの、日本には1950年代後半から60年代に顕れる、この頃捨て子は「母性愛の欠如」として報道される。子どもの施設養護が劇的に増加するのは戦後。施設数は現在まで数がほぼ同じ。浮浪児は上野駅に多かった。慈善家による孤児救済←児童福祉法が後追い。1950年代後半、60年代まで「家庭で育てられる子ども」と「施設養護問題」は切り離して考えられていた。ホスピタリズム=実親特に母親と離れて暮らす子どもが発達上で身体的・精神的に障害をもつこと。→子どもは実親とくに母親に育てられるべき(実子主義)この規範は近代社会で形成されたもの(歴史普遍的規範じゃない)。1950年代のホスピタリズム論争から「最良の施設よりも最悪の家庭を」という標語ができ、施設を家庭に近づける動きが開始。1960年代後半から1970年代前半に、親がいない子どもが減ったという考えの「施設養護の削減論」vs問題がある家庭で育つ子を保護すべき「施設養護の必要論」→90年代以降、児童虐待問題の認識が強まってこの対立は解消。50年代「実態としての親」の元で育つべき→60年代後半から70年代前半「理想的な育児規範を遵守する実親」の元で育てられるべき
9/1 「ホスピタリズム論」→実態としての実親の下で(実子主義)、家庭の中で育てられるべき(家族主義)。 1960~70「新しい児童問題」→実親のもと、家庭で育てられるという条件だけでは健全な成長は約束されない。これらより、「実子主義」と「施設養護」の境界線での育児規範は、実子主義、家族主義といいう軸に照らし合わせて、見えてくる事態は、子どもの健全な育成は「理想的な育児規範を遵守する実親」「理想的な育児規範を遵守する家庭」によって養育されなければ達成されない。育児規範の「理想形の上昇」という結果。
・土屋 敦,2016-03,「REPLY 大岡頼光氏の『はじき出された子どもたち : 社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』の書評に応えて (書評特集 社会学の現在 : 最近の著作をめぐって)」『中京大学社会学研究科社会学論集 = Journal of Sociology, Graduate School of Sociology, Chuykyo University』(15);75-77
・土屋 敦,2017-03,「REPLY 高田佳輔氏の『子どもと貧困の戦後史』への書評に応えて (特集 子どものケアをめぐる家族、制度、ネットワークの比較検討 : ヨーロッパ、東南アジアおよび日本の事例をとおして)」『中京大学社会学研究科社会学論集 = Journal of Sociology, Graduate School of Sociology, Chuykyo University』 (16);109-113
・土屋 敦,2017-03,「内本論文へのコメント (特集 子どものケアをめぐる家族、制度、ネットワークの比較検討 : ヨーロッパ、東南アジアおよび日本の事例をとおして) 」『中京大学社会学研究科社会学論集 = Journal of Sociology, Graduate School of Sociology, Chukyo University 』 (16);27-30
・土屋 敦,2017-03,「岩佐論文へのコメント (特集 子どものケアをめぐる家族、制度、ネットワークの比較検討 : ヨーロッパ、東南アジアおよび日本の事例をとおして) 」『中京大学社会学研究科社会学論集 = Journal of Sociology, Graduate School of Sociology, Chuykyo University』 (16);56-59
・土屋 敦,2017,「保護されるべき子ども」と親権制限問題の一系譜 : 児童養護運動としての「子どもの人権を守るために集会」(1968-77年) 『子ども社会研究 = The Journal of child study』(23);113-131
検索語:藤間(とうま) 公太(cin)
✔余裕があれば読む・藤間 公太,2012,「5. 児童自立支援施設の運営形態についての一考察 : 「小舎制化」をめぐる言説の検討を通して(IV-8部会 【一般部会】教育問題,研究発表IV)」『日本教育社会学会大会発表要旨集録』(64);346-347→国立国会図書館デジタルコレクション コピーあり
メモ:藤間(慶応義塾・院)、相馬直子 (2004) と松木 洋人 (2009)は子育ての責任を社会に課すことが近代家族的な子育ての規範が再生産させると考える。子育て の 祉会化の 4 つ の 位相:「家庭的」「施設」「支援」「代替」。里親の施設養護に対する優位性は、養育者との一貫した関係、個別性を生かした養育。一貫性、個別性のニーズの高まりから施設の「家庭化」、小舎制が評価されている。ここでは「家庭化」の短所が批判されず、「標準的家族」を理 想的なケア 環境とする 「家族主義」が支配的な考え方になった。施設の小舎制の難点は、関係が固定化し何か齟齬が起きた時一貫性が崩れること。集団生活の良さが生かされないこと。家庭主義が生み出す問題=「家族主義」強化、入所者の生きづらさを再生産、家庭外の養育は二次的。
意見:家庭主義は一貫性、個別性を重視すべきという考え方をしており、施設でも小舎制を取り入れるべきだとしているが、施設の特性を生かして養育することを考えたほうが良いのではないかと思った。例えば、小舎制にすると集団生活という特性が消えてしまい、集団生活で得られるものがなくなる。
・藤間 公太,2013,「5. 子ども間の関係性と社会化 : 児童自立支援施設での処遇への活用に着目して(I-2部会 子ども(1),研究発表I)」『日本教育社会学会大会発表要旨集録』(65);20-21
・藤間 公太,2015,「社会的養護措置・委託にかかる児童相談所の機能 : 参与観察・インタビュー調査を通じて(IV-1部会 社会的包摂,研究発表IV)」『日本教育社会学会大会発表要旨集録』(67);328-329
✔先行研究として挙げられる具体的な点が多い・藤間 公太,2016 「施設養護家庭論の検討」『社会学評論 』67(2);148-165→人文研究室コピー有り
メモ:支援の個別性が集団生活をおくる施設の課題(個別性→子どもそれぞれの個別性、ニーズに対応、特定のケアラーと継続的、応答的な関係の下支援が提供される)。ホスピタリズム論→施設の子ども特有の身体的、心理的問題は施設での集団生活のせい(爪巣1950)。藤間:家庭化論(集団生活の非家庭だから個別性がない)ではなく、家庭—非家庭と個別性は分けて考えた。
施設での問題化(90年代からの施設内虐待等)から家庭化論争(和泉2013)。施設でのケアは二流は問題(上野2011)。集団生活の中で子どものニーズを拾うのは職員の専門性(★語りにあった)。複数の職員がいることで個別性を保障。民主的にルール決め(★分析項目)。複数の大人がいることで支援の継続性が担保される←関係性の在り方分散。家庭をモデルにすると「周回遅れ」での改善しかできない。家庭並に小規模化ではなく、職員を増やすというケアの仕方を検討すべき。
new・家庭化論の意義は、「施設ケアの改善という論点を提起したこと」家庭化論の問題提起を受け、家庭で育たない子どもにも家庭で育つ子どもと同等の権利を保障すべきという視点から施設改革が進められた
・家庭化論は90年代以降の、施設の生活水準、養護水準の押し上げに小さくない役割を果たした。(谷口由希子2011)
・「小規模化」という語は、1950年代には使われていた。ホスピタリズム論。堀、爪巣の文献読む。
・「家庭化論,およびそれに対する批判は,この 2つの位相(個別性の①、②)を一括して「家庭的か否か」をめぐって争ってきた」=藤間は家庭的の中に①、②が含まれる、もしくは=と考えていると読み取れる。
・個別性は①子どもそれぞれのニーズへの配慮と、②ケアラーと子どもとの関係性がもつ応答性,継続性という二つの位相に分節化できる。(*研究に使える)
・「一方で小規模な寮のそれぞれにおいて特定の職員がケアを提供するという点では家庭的とされる要件がみられるが,他方で日課や食事はZ全体で動き,1日の流れが時間によって明確に枠づけられている点(後述),寮についても1人の職員が6~9名を見ている点では非家庭的ともいえる.以上のように,Zはこれまで家庭的,非家庭的とされてきた特質の双方を備えている点で,本稿の目的に適している.」p152-153
→藤間は、家庭的の特質(そのものだけが持っている特別の性質)として、「小規模な寮のそれぞれにおいて特定の職員がケアを提供するという点」(②ケアラーと子どもとの関係性がもつ応答性,継続性)を考えている。非家庭的の特質として、「日課や食事はZ全体で動き,1日の流れが時間によって明確に枠づけられている点」「寮についても1人の職員が6~9名を見ている点」(小規模性)を挙げている。
表現:「集団生活において子どもへの対応が画一的にならざるをえない」
意見:小規模でなくても個別性は保証できる。職員の数が多いことで子どもと大人の関係の幅ができ、個別性を保障できるというのは施設という特性を活かしたケアの仕方。家庭化せず施設ということを活かした方法で子どものケアをすればよい。
✔・藤間 公太,2017a,『代養育の社会学――施設養護から脱家族かを問う』晃洋書房→本あり
出てくる政策文書で社会的養護の歴史に関係のありそうなもの
・厚生労働省,2007,「子ども虐待対応の手引きの改正について」
・厚生労働省,2008,「平成20年度社会的養護における施設家ケアに関する実態調査(タイムスタディ調査)」
〇厚生労働省,2011,「社会的養護の課題と将来像」
〇厚生労働省,2012,「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために」
〇厚生労働省,2014,「社会的養護の現状について(平成26年3月版)」*23年→26年→29年(以降のものなさそう) 平成29年12月版 施設の形態についての記述がなくなっている。施設の定義も詳しく書かれていない。(*定義に関する変更がないのだろう)そのため定義などが載っている26年3月版を基本的に使う。最新の情報が欲しい時だけ29年12月版を参照。
p5・社会的養護の歴史展開は、以下のものに述べられていると藤間は言う。
・阿部,1999,「児童養護の理論とその展開」鈴木政次郎編『現代児童養護の理論と実践――新しい福祉ニーズに対応する児童養護の展開』川島書店,41-93→購入
・岩崎,1999,「児童養護の理論とその進展」鈴木政次郎編『現代児童養護の理論と実践――新しい福祉ニーズに対応する児童養護の展開』川島書店,15-39
・谷口純世,2003,「児童養護の基本的な枠組み」谷口純世・斎藤美江子・近江宣彦・鈴木力編『児童養護実践の新たな地平 : 子どもの自立支援と権利擁護を実現するために』川島書店,15-71→購入
・大嶋,2012,「社会的養護の歴史的展開」書評 相澤仁[編集代表]、柏女霊峰・澁谷昌史編『子どもの養育・支援の原理 : 社会的養護総論(やさしくわかる社会的養護シリーズ(1))』明石書店,73-88→取り寄せ テキストのようなもの。
メモ:藤間(家族社会学)、子育ての脱家族化 愛着=小規模限定のものではない。ホスピタリズム=子どもから母親を略奪するのはだめという考え。施設養護は家庭的養護と対立してはいない(長谷川、竹中)。積極的養護=科学的に分析(石井)。施設は家庭に劣らない(積)。同居しない家族維持、家族再統合が必要。ネグレクトを受けた子のほうが親に依存しやすい。施設を退去後、良好に退去した子ほど施設職員に頼ることをタブー化し、「出戻り」はだめと考える。夫婦制の自立支援施設約3割、職員確保難、家庭に近い。家庭的処遇とは固定的な人間関係の中で子どものために一生懸命対処をすること。子ども自身の意志大事。個別を重視しすぎない。
意見:家庭的、施設的という軸ではなく、科学的に分析して施設でできることをするという積極的養護の考え方は面白い。退所後、施設に頼ることを躊躇する児童養護施設児童がいる。その場合問題を一人で抱えてしまうことが考えられる。
✔家族主義・藤間 公太,2017b,「社会的養護にみる家族主義 」『三田社会学』(22);38-54→機関リポジトリコピーあり AA11358103-20170701-0038 (4).pdf
newメモ:(12/3)この文の目的→社会的養護を対象としたときにみえてくる家族主義の問題点を議論すること。
家族主義の定義はこの文において、Esping(書くことになったら再度確認)を参考に、「家族を理想のケア環境とみなし、ケアに対する家族の責任を強調すること」。敗戦後から1950年代まで:戦災孤児が収容施設に。1947年の児童福祉法=すべての子どもを対象に。育成責任を国、地域団体に帰する。高度成長期からオイルショック(1960年代~1970年代):高度成長→地縁・血縁関係の希薄化、親の失業、家出、病気、離婚、長期間の出稼ぎから家庭崩壊。社会的養護政策の対象に実子家族(問題がある家庭)も含まれた。日本は1994年に子どもは自らの権利を主張する自由を持っているという「児童の権利に関する条約」(=子どもの権利条約)批准。1998年も児童福祉法改正→自立支援がキーワード。厚労省は1990年から虐待通告数の統計を取り始める。法的整備(2000年「児童の虐待の防止等に関する法律」施行。2007年 「児童の虐待の防止等に関する法律」、児童福祉法の一部改正)→制度改革①施設内の虐待への策。苦情解決、サービス評価が具体化。②「虐待により精神に傷を負った子どもを癒すことが集団生活では困難であるという認識」のもと、2000年に「地域小規模児童養護施設(グループホーム)」ができる。2002年に里親の制度改正、被虐待児などに対応→専門里親,子どもにより身近→親族里親。2003年、児童福祉法改正→受け入れ子どもの年齢の上限を上げる。不調のリスク配慮→里親への委託へ慎重、里親が日本では少ない。家族主義から保護されるべき子どもが保護されていない→社会的養護を必要とする子どもが少ないのではない。2008年 再度の児童福祉法の改正により、虐待を受けた子どもなどを養育者(里親等)の住居で養育する「ファミリーホーム」を創設。虐待を受けた子どもに対する「家庭的養育」における養育の充実などの措置。子どもの虐待が社会問題として関心を集めるようになり、子ども、家族を対象とする総合的な支援の必要性が強く認められた。→子どもの権利を親の親権に優先させる機運が健在化。「このなかで,社会的養護の環境をより「家庭的」に小規模化することが目指されるようになった」(*小規模化の始まりは子どもの虐待問題が要因?)「社会的養護の家庭化」で想定される「家庭」は、藤間がファミリーホーム、グループホームの制度を踏まえると。「⑴家庭,あるいは家屋のなかで,⑵6人未満の子どもを,⑶2名前後の職員がケアをする]というありかたであると考えられる.」このありかたが「家庭的なもの」として想定されていると言っている。 「家庭的なケア」として、家庭における「二人制」(久保田)の言及 「家庭的」という言葉は「よき養育環境」を意味する、マジックワードとして使われている。
意見:子どもの権利条約は子どもが客体ではなく主体であることを意識させたもの。家族主義により保護を受けるべき子どもが保護されず、よくない環境で育てられている。家族主義は子どもがいい環境で成長することを阻む恐れがある。虐待通告件数がよく虐待問題でデータとして示されており、誤解が生じている。報道をうのみにし、実際より虐待が多いととらえている人は多いと思う。また、虐待事件が起きた際に、養育者である家族が責められるのはよく見るが、支援制度に関してあまり触れられていない印象がある。報道にも家族だけで子育てはするものだという家族主義的な考えがみられる。
✔児童虐待と家族主義、直接は関係ないため読まなくてもよい・藤間 公太,2017,「現代日本における家族と要保護児童 (特集 : 要保護児童支援の現状と課題 : 国際比較からの示唆)」『社会保障研究 』(2・3);158-170→コピーあり 家庭的の意味記載なし
メモ:敗戦直後から1970年代にかけて、社会的養護の対象となる児童が、家庭のない児童から、問題のある家庭の児童へと変化した。その背景には子ども中心主義(資源のすべてを投入し子どもを育てるべき)がある。1990年から2015年にかけて虐待相談件数は100倍へと増加。子ども中心主義により子育ての水準上昇。安全が当たり前になり危険が浮き彫りになる→虐待の範囲が広がる。都市では積極的に虐待を発見していった→都市(地縁・血縁が希薄といった虐待の要因が多い)での虐待が多い、という誤った認識。マスメディアの過剰な報道。家族への監視強化→問題の医療対象化(療法で解決しうる)→保護体制の変更要請。リスクアセスメント=児童虐待の発見方式(アトピー、母の年齢が若いなど)家族への監視強化の問題点→養育者の規範的想定を強化し、家族に虐待の原因を集約すること。児童虐待相談件数≠虐待の増加相談件数増加の要因→児童虐待の定義の変更、「虐待に関する告知義務」、児童虐待の社会的認知上昇→養育者が子育てを見返す、誤報も件数に含まれている。家族の個人化の問題:ケアをするのは家族だけ、子どもと養育者の非対称性。
意見:リスクアセスメントは虐待の新たな要因を見つけるために必要かもしれないが、若い母親×アトピーをもつ子ども=虐待、という短絡的な考え方につながるのではないか。
・藤間 公太,2013 ,「子育ての脱家族化をめぐる「家庭」ロジックの検討」『家族研究年報』38(0);91-107
・藤間 公太,2015,「橋本伸也・沢山美果子(編)<br>保護と遺棄の子ども史」『家族社会学研究』27(1);87-87
・藤間 公太,2014,「家族再統合の諸相」『家族社会学研究』26(2);127-138
・藤間 公太,2014,「子育ての脱家族化論の問題構制 : 「支援」と「代替」をめぐって」『慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学・心理学・教育学 : 人間と社会の探究』(77);1-17
検索語:社会的養護 現状(cin)
・石田 雅弘,2012-11-01,「児童虐待の現状について【概要】」, 『Ishida Masahiro 紀要 = Study reports of Narabunka Women's Junior College 』43;25-40
・山本 恒雄, 2012-03,「子どもの虐待の現状と支援 (第7回日本司法精神医学会大会 公開シンポジウム 子ども虐待と法的問題 : 子どもの権利擁護,社会的養護,親権をめぐる課題) 」『司法精神医学』 7(1);33-40
検索語:地域小規模児童養護施設(cin)
・合田 誠 , 2014,「社会的養護の近未来 : 児童養護施設の「小規模化」に向けての序説」『四條畷学園短期大学紀要 = Annual reports of Shijonawate Gakuen Junior College』47;6-11
・伊藤 龍仁,2016-08,「まとめにかえて : ファミリーホームとは何かを考えるために (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか) 」『社会的養護とファミリーホーム 』7;118-121
・上利 久芳,2002-03,「多くの課題の具体的な解決を図りながら (特集1 地域小規模児童養護施設の課題と展望)」『児童養護』32(4);18-20
・影山 和輝,2002-03,「実践レポート 「私たちの家」への取り組み 地域の中で新たな出会い (特集1 地域小規模児童養護施設の課題と展望) 」『児童養護』32(4); 12-15
・喜多 一憲,2016-08,「施設の小規模化と地域小規模児童養護施設の歴史・制度について (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか) 」『社会的養護とファミリーホーム』 7;96-100
・佐賀 豪,2016-08,「東北取材 「子どもの村東北」を訪ねて (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか) 」『社会的養護とファミリーホーム 』7;85-88
・佐藤 恵,2006 ,「地域小規模児童養護施設における家庭的養護の実証とその有効性--新たな施設養護のあり方とその支援 」佐藤 恵 , 松浦 邦彦 , 丸山 和恵 『研究助成論文集 』(42);181-189
・高橋 久雄,2002-03,「安心感を与え安定した制度として (特集1 地域小規模児童養護施設の課題と展望)」『児童養護』32(4); 4-11
『社会的養護とファミリーホーム』
・卜蔵 康行,2016-08,「制度化から7年、ファミリーホームの今 : その課題、そしてファミリーホームの多様化とこれから (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか)」;105-113
・西川 信,2010-07 ,「地域小規模児童養護施設「フォワィエ」の取り組みを振り返って (特集 児童養護施設の小規模化) 」『子どもと福祉』3;13-17
・細田 勝実,2016-08,「地域小規模児童養護施設からファミリーホームの運営に (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか) 」『社会的養護とファミリーホーム』 7;114-117
・宮島 清,2000-09,「児童養護施設の今と地域小規模児童養護施設創設の意味を考える 」『児童養護』31(1);33-36
『児童養護』
・武藤 素明 ,2010-07,「地域小規模児童養護施設における実践と課題 (特集 児童養護施設の小規模化)」『子どもと福祉』3;22-28
・山田 大介,2016-08,「樹心寮における地域小規模児童養護施設の実践 : 児童養護施設 樹心寮の歩み (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか) 」『社会的養護とファミリーホーム』7;101-104
・若狭 一廣,2016-08,「東北取材 「かりんの家」を訪ねて (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか)」『社会的養護とファミリーホーム 』7;82-84
・若狭 一廣,2016-08,「鼎談 特別企画の取材を終えて : ファミリーホームの課題を考える (ファミリーホームと地域小規模児童養護施設 : どこがどう違うのか)」若狭 一廣 , 伊藤 龍仁 , 佐賀 豪『社会的養護とファミリーホーム』7;90-95
・和久井 和子,2002-03,「子どもも施設も地域に育てられて (特集1 地域小規模児童養護施設の課題と展望) 」『児童養護』32(4);15-18
・渡辺 利子,2001-04,「社会的養護の新展開 (特集 21世紀 子ども家庭福祉の展望) -- (子ども家庭福祉の新しい展開) 」『世界の児童と母性』(50);26-29
施設入所理由
厚生労働省,2012,「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について(平成24年11月)」
厚生労働省,2012,「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために (施設の小規模化及び家庭的養護推進ワーキンググループ 平成24年9月)」藤間が「代替養育の社会学」で取り上げているのはこちら。
進学・就労の問題
児童養護施設児の高校進学率が高くなっている中、大学進学率はいまだに低い。平成28年度では、児童養護施設児のうち、退所児の大学進学率は10.5% である。全高卒者の大学進学率は52.2%であり、児童養護施設児の大学進学率がとても低いことがわかる。児童養護施設退所児は親に頼ることができない。また社会からの支援も行き届いていない。柏女(2017)は現在行われている自立支援がまだ不十分であるといっており、藤間(2017)も児童養護施設退所児が退所後に施設を頼れないという問題があると述べている。親、社会からの支援を受けられない児童養護施設退所児が進学をするためには自分で学費を稼がなければならない。その大きな負担があるため児童養護施設児の進学率が非常に低い。就労においても支援は不十分であり、児童養護施設退所児の職場定着率も低いのが現状だ。
参考ページ:厚生労働省 社会的養護の現状(file:///C:/Users/user/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/SCVDZC94/0000187952.pdf)
柏女 霊峰, 2017,「要保護児童福祉施策の展開と今後の課題 : 社会的養護を中心に (特集 : 要保護児童支援の現状と課題 : 国際比較からの示唆) 『社会
保障研究 』2(2・3): 144-157
藤間 公太,2017,代養育の社会学 施設養護から脱家族かを問う