★希薄化説が先行研究ではあまり支持されていないことを地図で表現(主要な論者を挙げて、何を根拠に希薄化説を批判しているのかをまとめる。また、希薄化説を唱えているのが誰だと言われているのかに注意する。
★では、なぜ希薄化していると言われるのか?←本当に言われている?
→聞蔵検索して、記事は手元に保管して、主要なものをここにコピーしてみる。若者の人間関係がどのように扱われているのか。
若者の対人関係の希薄化
問題意識
とりわけ衝撃的な少年犯罪やいじめの事例などがメディアに取り上げれるたびに、しばしば若者の友人関係の変質がその背景とされたりする。若者は人間関係が希薄化していると言われているが、それは本当なのか。そして、なぜ希薄化していると言われるのか。
研究者・論者
浅野智彦 東京学芸大学教育学部教授
希薄化説の批判(浅野智彦)
「若者の友人関係は希薄化している」という語り方は1970年代から見られるもので、もしそれが正しいのだとしたら、若者の友人関係は半世紀近くにわたって希薄化してし続けてきたことになる。データで(内閣府が定期的に行っている世界青年意識調査:調査対象は18歳から24歳までの日本の男女)実際に見てみると、どのようなときに充実感を感じるかという質問に対して、「友人や仲間といるとき」と回答した若者の比率を見てみよう。友人といるときに充実感を感じるという若者は、1970年代から現在(2008年)にかけて一過して増大してきている。他方、他人にわずらわされず一人でいるときにこそ充実感を感じるという若者はおおむね低いままで推移している。
⇒友人といるときに充実感を感じ、学校に行くのも友情を育むためであり、友達がいるから地元が好きという若者がこれほど明瞭に増えているのに、彼らの友人関係が希薄化しているというのは、少々無理のある断言ではないだろうか。
では、誰の人間関係が希薄化したのか?
社会学者の北田暁大は、NHK放送文化研究所が長年行ってきた意識調査のデータを再分析して、興味深い事実を見出した。
職場での人間関係に着目し、希薄な人間関係に対応する「形式的」な付き合い方を望む人の割合がどのように推移したのかを年齢層別に見てみる。すると、1973年から2003年までの30年間で最もこの割合が増えたのは40代、50代なのである、他方で20代についてはほとんど変化が見出されない。
つまり、少なくとも職場について言えば、この30年間で希薄な関係を最も望むようになったのは、40代、50代の人々であるということだ。大人の側の希薄化を若者の上に投影しているのではないか?
聞蔵検索の結果
http://database.asahi.com/library2/main/top.php
→いじめ、引きこもり、リストカット、ケータイ依存。私たち大人はその非社会性に眉をひそめ、異質な存在として若者世代を批判する。あげく、若者たちのコミュニケーション能力や規範意識の欠如に原因を求めて教育改革の柱に据える。この本は、ドラマ、ウェブ日記、歌詞やケータイ小説などを素材として、若者の行動が時代の社会状況に「正常に」適応した帰結であることを主張する企てである。
貫流するキーワードは「優しい関係」。彼らは、互いの対立の回避を最優先課題として高度な人間関係能力を駆使する。対立点をあらわにしないための繊細な気配りが大人の目には人間関係の希薄化と映る。
大人文化に対抗することすらかなわずに優しい関係の中に囚(とら)われ続ける若者たちの陰が、大人世代の抱える人生の陰によって産み落とされたものであることを教えている。
http://database.asahi.com/library2/main/top.php
→ 新成人は、小さいころからケータイやパソコンがあった。
「だからリアルな人間関係が希薄になっている」とか、逆に「いつもケータイを気にして、友だち地獄に悩んでいる」とかとりざたされる。
しかし、生協連をはじめ各種の調査結果を見ると、どちらもそうは言えない。東京学芸大の浅野智彦准教授はそう語る。
大半は腹を割って話せる人がいるし、ケータイ依存が深まっているともとれない。つまり、世間の見方とデータの間にはギャップがある、という。
「若者を『問題』としてみようとする大人の視線が、むしろ問題かもしれない」と浅野准教授は指摘している。
私たち大人の側から世代の壁を築いてしまわないよう、胸に刻みたい。
文献リスト
2016.5
学術研究データベースより
検索語「若者の対人関係」
〇宮台,真司 (Miyadai,Shinji),1990「高度技術社会における若者の対人関係の変容」,竹内,啓 / 松岡,秀雄(編)(編) (Takeuchi,Kei / Matsuoka,Hideo (ed))『21世紀高度技術社会を迎えるに当たって』: ,コスモ情報サービス(株). //JPN 20160527
⇒付属図書館なし、県内図書館なし。→図書借用済み
メモ:
・1990年に書かれた物だったためか、1980~90年代の話であった。
・1980年代に入ると、連続幼女殺害事件など若者が起こす不可解な事件がたくさん起こる
→最近の若い連中は何をするかよく分からない というイメージが起こっていた。
相手が若者だということだけでは、相手がどういう人間なのか分からなくなった。
検索語「若者」and「関係」
山田,祐子 (Yamada,Yuko),1999「コミュニケーションの変容とメディアの発達 : 若者の人間関係を中心に (Change of Communication and Development of Media : from a Viewpoint as Young relation ship)」,関西大学大学院社会学研究科院生協議会『人間科学』編集委員会(編) (Graduate Students' Association, Kansai University (ed))『関西大学大学院人間科学 : 社会学・心理学研究 (Human science, the Graduate Course of Kansai University)』51: 23-38,関西大学大学院社会学研究科院生協議会 (Graduate Students' Association, Kansai University). //JPN 付属図書館なし、県内図書館なし。
検索語「若者」and「希薄」
松田,美佐 (Matsuda,Misa),2000「若者の友人関係と携帯電話利用 : 関係希薄化論から選択的関係論へ (Friendship of Young People and Their Usage of Mobile Phones : From the view of 'superficial relation' to 'selective relation')」,日本社会情報学会「社会情報学研究」編集委員会(編)『社会情報学研究 (Journal of Socio-Information Studies)』4: 111-122,. //JPN
検索語「若者」and「関係」
藤村,正之 (Fujimura,Masayuki),1995「現代若者たちの価値意識の動向-自我意識・対人関係意識・社会意識 (Transition of Value Conscious for Modern Youth People)」,国民文化総合研究所(編) (Kokuminbunkasougoukenkyuujo (ed))『教育総研年報'95』: 221-234,国民教育文化総合研究所. //JPN 付属図書館なし、県内図書館なし。
CiNii Artcles より
検索語「若者」and「対人関係」
『大学生の思いやり行動躊躇と対人関係特性の関連』満野 史子 , 三浦 香苗 It was hypothesized that modern youth behave pro-socially by taking the feelings of receivers into consideration. In a pilot study, a questionnaire containing three measures was administered to studen … 昭和女子大学生活心理研究所紀要 12, 75-85, 2010-03-31 CiNii有
『若者達と対人関係ストレス 』渋谷 優子 , 濱中 喜代 日本看護学教育学会誌 9(4), 41-42, 2000-03-01 CiNii無
検索語「若者」and「希薄」
〇「管理職必携 安心・安全の新常識 若者の生活世界(上)友人関係は希薄化しているのか 」浅野 智彦 週刊教育資料 (1236), 24-25, 2013-01-07
⇒ 付属図書館無し、CiNii無。→複写依頼済み
メモ:内閣府が定期的に行っている世界青年意識調査<2009年3月発表>によると、(調査対象は18歳から24歳までの日本の男女)どのような時に充実感を感じるかという質問に対して、「友人や仲間といるとき」と回答した若者の比率は1970年代から現代にかけて一貫して増大している。友人といるときに充実感を感じ、学校に行くのも友情を育むためであり、友達がいるから地元が好きという若者がこれほど明瞭に増えているのに、彼らの友人関係が希薄化しているというのは無理がある。
〇『「若者の友人関係の希薄化」という言説に関する考察 』杉本 裕司 The aim of this study is to examine the argument "the friendship of young people has been getting superficial", which has begun to prevail among some famous psychiatrists, social psychologists and mas … 文学部論叢 80, 53-69, 2004-03-20
⇒CiNii有→印刷済み
メモ:筆者は「希薄論」を唱える(携帯電話の普及によって若者の対人関係の希薄化が促進された)このような論調をとる人々は世代的には中高年層者が多い。
逆に若い研究者たちは、携帯の利用はかえって対面コミュニケーションを増加させている、と唱える。電話機能は待ち合わせや約束に使われ、メール機能などは気持ちの伝達に使われる。
→携帯は出会いとコミュニケーションを豊かにしてくれるものだ
2016.6.10
・『考える力が身につく社会学入門』浅野智彦編著
⇒付属図書館、研究室に有。→借りた
メモ: ・実は「濃密な人間関係」を求める現代人
「希薄化」を感じる人々が多数存在するというデータ自体が、現代日本人において人々が人間関係に関して高い関心を持ち
「希薄でない人間関係」を志向していることを示していることになる。
・現代人は対面的な状況でもコミュニケーションをとりつつ、それ以上のコミュニケーション(SNSなど)の機会をも求めている。
・『検証・若者の変貌:失われた10年の後に』浅野智彦編著
⇒『考える力が身につく社会学入門』の参考図書から拝借
付属図書館に有。→借りた
メモ: ・今日の若者の友人関係は総じて、付き合いの内容に応じた様々な関係がその時々に応じて選択的に使い分けられている。
・友人との付き合い方が状況指向型になっている。例;遊ぶ内容によって一緒に遊ぶ友達を使い分けている