テーマ マッチングアプリ 現代の結婚観・恋愛観
問題意識
近年、マッチングアプリを利用が増えている。なぜ、マッチングアプリを利用する人が増えてきているのか。そこから、現代人の結婚・恋愛への考え方にどのような影響をもたらしているのか明らかにしたい。
基礎概念
・マッチングアプリ マッチングアプリとは、インターネット上、多くはスマートフォン上で、アプリを利用しなければ知ることのできなかった相手と簡単に知り合いになることができるアプリケーションである。(鈴木、2019)
・婚活 結婚活動の略語であい、就活のアナロジーとして用いられたこの言葉は「よりよい結婚を目指して、合コンや見合い、自分磨くなど、積極的に行動する活動」を称して名付けられた。(山田 白河、2008)
・iモード NTTドコモグループが提供する携帯電話の付加サービス。携帯電話からインターネットに接続して、電子メールの送受信、ホームページへのアクセスなど、いろいろなサービスが利用できる。
・マッチングアプリの仕組み
①登録 個人ページにニックネーム、移住地、身長、職業、学歴などの個人情報を任意で記載する。②検索 登録するとすぐに登録されている異性のプロフィールが検索可能になる③アプローチ 気になる相手がいれば「いいね」を送る④マッチング お互いに「いいね」を送り合うとマッチングとなる⑤メッセージ マッチングするとメッセージが交換できるようになる⑥メッセージを通じて意気投合したら、実際に会う(2020、軽部)
・ロマンティックラブ・イデオロギー
愛と性と生殖とが 結婚を媒介とすることによって一体化された規範。19世紀に誕生し、20世紀に普及したとされる。(千田 2011: 16)→恋愛・結婚・出産の3つがセット
特徴
①自らの感情に基づき、恋愛相手や結婚相手を選ぶ。(愛の個人主義)
②愛のゴールには結婚がある(恋愛結婚)
③いったん結婚すれば配偶者以外の異性と性交渉や親密な関わりをしてはならない(性・愛・結婚の三位一体)
④一人の人と添い遂げる(関係の永続性)
量的データ
・MMD研究所 2020年のマッチングアプリサービスの利用実態調査
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1887.html
→マッチングアプリの認知度は27.0%。そのうち利用経験率は57.1%。実際に利用し、相手とその後どのような関係なったかの回答で、「現在付き合っている」男性25.6女性25.%
・日本の恋愛、結婚意識に関する調査 pairs×山田昌弘
https://eure.jp/press/20191128/
→交際相手を見つけるための手段は「友人の紹介」に次いで「マッチングアプリ」が2位。
・各マッチングアプリ利用率
谷本 奈穂、渡邉 大輔、ロマンティック・ラブ・イデオロギー再考―恋愛研究の視点から―、理論と社会、数理社会学会 [編] 31(1)=59:2016 p.55-69
質的データ
◯身元確認の徹底
「出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)」により、利用者が18歳未満でないことの確認が義務付けられている。ユーザーは身元証明書の画像写真をアプリの運営元に提供する必要がある。タップルの運営元であるマッチングエージェントは、2019年にパナソニックCNSの顔認証APIを導入。(2020、軽部)
◯マッチングアプリ誕生のきっかけ
元々はLGBTの方達が、同様に人を探すためのサービスとして誕生した。条件の明示によって理想の相手と巡り会う可能性が上昇。(2020、有薗)
出会い系アプリ
他の婚活サービスとの違い
〇各マッチングアプリの特徴
ペアーズの場合は、検索して気に入った異性にいいね!を送る。その異性がありがとうの返信をするとマッチング成立となり、直接メール交換ができるシステム。月間で最大260人までいいねが送れる。「恋愛観/恋愛歴」など、自分好みの相手を検索してマッチングできる。例えば、自分のプロフィールで結婚に対する意思を「すぐにでもしたい」にすると、同じ条件の相手だけに「いいね」が可能。
タップルは、カード式なので出てくるプロフィールをいいかもかイマイチの2択で振り分ける。いいかも→向こうもいいかもと返信でマッチング成立。月間で600人ほどまでいいねが送れる。
ペアーズ→全会員0円でプロフ閲覧可能→100万人規模
①検索機能 外見から価値観、結婚に対する考えまで検索で絞ることが可能。
②コミュニティ機能 趣味や好きなことから相手を探すことができる。
タップル手持ちのカード枚数しかプロフ閲覧不可→月間で約600人。
①スワイプ式で「いいかも」「イマイチ」どちらか選ぶだけ
②「おでかけ機能」とは「おでかけしたい!」と思い立った女性ユーザーを男性ユーザーがチェックして、都合があえば「おさそい」できる仕組みのこと。
③「趣味タグ」で同じ趣味の相手が見つかる
研究者
山田昌弘
1957年東京生まれ。中央大学文学部教授。1981年東京大学文学部卒。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。専門‥家族社会学。愛情やお金を切り口に、親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行なっている。「婚活時代」「パラサイトシングルの時代」が主な著作。
有薗隼人
株式会社GEAR代表取締役。青山学院大学卒業。2011年に株式会社GEARを設立。同社をIT企業として事業拡大してきたが、婚活事業への取り組みを2017に開始。婚活情報ポータルサイトミラコロや結婚相談所ミラージュの企画運営を手掛けている。著書に「0円企業 働きながら小さく始めて大きく稼ぐ」
年表
結婚活動の歴史(2017、桑原)
? 結婚相談所(紙のプロフィールを見ながら相手を選ぶ)
2000年 ブライダルネット誕生→同時に、IT革命によりパソコンが一般家庭に普及、インターネット利用者伸びる)
2000年頃 結婚情報サービス(データ化したプロフィールで相手を選ぶ)
2008年 婚活サイト(2008年に婚活という言葉が誕生)
? 婚活サイトカテゴリーの細分化
・婚活サイト(web、ブラウザを利用するもの)
・恋活アプリ(Appstore、GooglePlayからスマートフォンにインストールして利用するもの)
2010年 婚活サイトにSNS的要素の導入
・日記投稿(条件以外の価値観のマッチングを重視)
・事前の相互承認によって、メッセージのやりとりが可能に
マッチングアプリ年表
2012年2月 omiai
2012年9月 tinder
2012年10月 ペアーズ
2014年 タップル
2015年 With
2017年 Ⅾian
出会い系メディアの歴史(2006、まるた)
80年代初め パソコン通信
1985 テレフォンクラブ
1989 ダイヤルQ2(電話風俗)
1987
1995 ベル友(ポケベルの流行)
1990年代後半 メル友(インターネットの)
2000 出会い系サイト(NTTがiモードサービスを開始)
SNSの歴史
2008 Facebook配信開始
2010 Twitter
2011 LINE
2012 YouTube
2014 Instagram
2018 tiktok
調査計画
調査対象…利用者、お見合いや街コンなどの他のサービスを利用した人、マッチングアプリの運営者
調査方法…インタビュー 実際に利用してみて感じた感想、結婚相手を選ぶ上で重視している点、トラブルなとのエピソード
文献
論文
〇軽部弥生、2020,コロナによるマッチングアプリへの影響、世界の情報通信サービスの情報誌、378号20~26p
藤村ひかる、福井康貴、2020,匿名の異性との出会いと信頼 マッチングアプリにおける相互行為に着目して、名古屋大学社会学論集、41号、59~87p
永久ひさ子、寺島拓幸、2015,未婚男女における結婚価値と結婚活動、文京学院大学人間学部紀要、16号、63~72p
牛窪恵、2017,「これから」の婚活支援 若者の恋愛観から見る(特集人口減少社会を豊かに生きる)、マッセosaka研究紀要 大阪府市長村振興協会おおさか市町村職員
研修研究センター編、20,p89~101
△古村健太郎、松井豊、2020、マッチングアプリの利用とリスクのある性交経験との関連、地域未来創生ジャーナル、6,15~25p
ロマンティックラブ・イデオロギー
伊藤雅子、1995、家族と愛 -結婚の社会学的考察をめぐって-(特集/愛)、12,1-9
山田陽子、2009、恋愛の恋愛の社会学序説--"コンフルエント・ラブ"が導く関係の不確定性、 現代社会学 2009 p.133~144
年表づくり
〇富田英則、2003、出会い系サイトの変遷、月刊少年育成、569,24~30p
◎桑原英太郎、2017,日本発婚活サイト『ブライダルネット』の創世記・現在・未来について、映像情報メディア学会誌、71巻9号、605~610
〇圓田浩二、2006、出会い系メディアのコミュニケーションに関する分析、沖縄大学人文学部紀要、7,75~85p
書籍
△山田昌弘、1996、結婚の社会学 未婚化晩婚化は続くのか、丸善ライブラリー
◎有薗隼人、2020、〈婚活ビジネス〉急成長のカラクリ、扶桑社新書、320,扶桑社
〇山田昌弘、2013、婚活症候群、ディスカヴァー携書、107、ディスカヴァー・トゥエンティワン
メモ
問い…マッチングアプリ(新)と従来の出会いサービスの利用者の認識を比較することで、マッチングアプリの特徴・傾向があるのか
今後…それぞれのマッチングアプリの特徴、結婚観・恋愛観の文献収集、
しかしながら,結婚情報サービス業界は「婚活」ということばが出現した2007年を境に大きく変化している。「婚活」ということばは,2007年11月,社会学者山田昌弘とジャーナリスト白河桃子が提唱したことばである(『AERA』,2007年11月5日号)。「婚活」は「結婚活動」の略語であり,就活のアナロジーとして用いられたこのことばは,「よりよい結婚を目指して,合コンや見合い,自分磨きなど,積極的に行動する活動を称して」名付けられた(山田・白河,2008)。
山田・白河(2008)は,恋愛結婚化にともない,現代社会では結婚のための特別な活動, つまり「婚活」が必要となったと指摘した.婚活とは,「結婚活動」の略であり,よりよ い結婚を目指して,見合い,合コン,自分磨きなどをおこなうことと定義される(山田・ 白河 2008: 3).
マッチングアプリの利用経験とリスクのある性交経験との関連 マッチングアプリとは、イ ンターネット上、多くはスマートフォン上で、アプリを利用しなければ知ることのできなかった相手と比 較的簡単に知り合いになることができるアプリケーションである(鈴木,2019)。マッチングアプリの利 用法は、登録をし、出会いを希望する相手を検索し、「いいね」とメッセージを送り、互いに「いいね」 を送りあった後、メッセージを交換し、意気投合すれば会うという手順を踏むことが多い。
谷本 奈穂、渡邉 大輔、ロマンティック・ラブ・イデオロギー再考―恋愛研究の視点から―、理論と社会、数理社会学会 [編] 31(1)=59:2016 p.55-69
質的データ
◯身元確認の徹底
「出会い系サイト規制法(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律)」により、利用者が18歳未満でないことの確認が義務付けられている。ユーザーは身元証明書の画像写真をアプリの運営元に提供する必要がある。タップルの運営元であるマッチングエージェントは、2019年にパナソニックCNSの顔認証APIを導入。(2020、軽部)
◯マッチングアプリ誕生のきっかけ
元々はLGBTの方達が、同様に人を探すためのサービスとして誕生した。条件の明示によって理想の相手と巡り会う可能性が上昇。(2020、有薗)
出会い系アプリ
他の婚活サービスとの違い
〇各マッチングアプリの特徴
ペアーズの場合は、検索して気に入った異性にいいね!を送る。その異性がありがとうの返信をするとマッチング成立となり、直接メール交換ができるシステム。月間で最大260人までいいねが送れる。「恋愛観/恋愛歴」など、自分好みの相手を検索してマッチングできる。例えば、自分のプロフィールで結婚に対する意思を「すぐにでもしたい」にすると、同じ条件の相手だけに「いいね」が可能。
タップルは、カード式なので出てくるプロフィールをいいかもかイマイチの2択で振り分ける。いいかも→向こうもいいかもと返信でマッチング成立。月間で600人ほどまでいいねが送れる。
ペアーズ→全会員0円でプロフ閲覧可能→100万人規模
①検索機能 外見から価値観、結婚に対する考えまで検索で絞ることが可能。
②コミュニティ機能 趣味や好きなことから相手を探すことができる。
タップル手持ちのカード枚数しかプロフ閲覧不可→月間で約600人。
①スワイプ式で「いいかも」「イマイチ」どちらか選ぶだけ
②「おでかけ機能」とは「おでかけしたい!」と思い立った女性ユーザーを男性ユーザーがチェックして、都合があえば「おさそい」できる仕組みのこと。
③「趣味タグ」で同じ趣味の相手が見つかる
研究者
山田昌弘
1957年東京生まれ。中央大学文学部教授。1981年東京大学文学部卒。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。専門‥家族社会学。愛情やお金を切り口に、親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行なっている。「婚活時代」「パラサイトシングルの時代」が主な著作。
有薗隼人
株式会社GEAR代表取締役。青山学院大学卒業。2011年に株式会社GEARを設立。同社をIT企業として事業拡大してきたが、婚活事業への取り組みを2017に開始。婚活情報ポータルサイトミラコロや結婚相談所ミラージュの企画運営を手掛けている。著書に「0円企業 働きながら小さく始めて大きく稼ぐ」
年表
結婚活動の歴史(2017、桑原)
? 結婚相談所(紙のプロフィールを見ながら相手を選ぶ)
2000年 ブライダルネット誕生→同時に、IT革命によりパソコンが一般家庭に普及、インターネット利用者伸びる)
2000年頃 結婚情報サービス(データ化したプロフィールで相手を選ぶ)
2008年 婚活サイト(2008年に婚活という言葉が誕生)
? 婚活サイトカテゴリーの細分化
・婚活サイト(web、ブラウザを利用するもの)
・恋活アプリ(Appstore、GooglePlayからスマートフォンにインストールして利用するもの)
2010年 婚活サイトにSNS的要素の導入
・日記投稿(条件以外の価値観のマッチングを重視)
・事前の相互承認によって、メッセージのやりとりが可能に
マッチングアプリ年表
2012年2月 omiai
2012年9月 tinder
2012年10月 ペアーズ
2014年 タップル
2015年 With
2017年 Ⅾian
出会い系メディアの歴史(2006、まるた)
80年代初め パソコン通信
1985 テレフォンクラブ
1989 ダイヤルQ2(電話風俗)
1987
1995 ベル友(ポケベルの流行)
1990年代後半 メル友(インターネットの)
2000 出会い系サイト(NTTがiモードサービスを開始)
SNSの歴史
2008 Facebook配信開始
2010 Twitter
2011 LINE
2012 YouTube
2014 Instagram
2018 tiktok
調査計画
調査対象…利用者、お見合いや街コンなどの他のサービスを利用した人、マッチングアプリの運営者
調査方法…インタビュー 実際に利用してみて感じた感想、結婚相手を選ぶ上で重視している点、トラブルなとのエピソード
文献
論文
〇軽部弥生、2020,コロナによるマッチングアプリへの影響、世界の情報通信サービスの情報誌、378号20~26p
藤村ひかる、福井康貴、2020,匿名の異性との出会いと信頼 マッチングアプリにおける相互行為に着目して、名古屋大学社会学論集、41号、59~87p
永久ひさ子、寺島拓幸、2015,未婚男女における結婚価値と結婚活動、文京学院大学人間学部紀要、16号、63~72p
牛窪恵、2017,「これから」の婚活支援 若者の恋愛観から見る(特集人口減少社会を豊かに生きる)、マッセosaka研究紀要 大阪府市長村振興協会おおさか市町村職員
研修研究センター編、20,p89~101
△古村健太郎、松井豊、2020、マッチングアプリの利用とリスクのある性交経験との関連、地域未来創生ジャーナル、6,15~25p
ロマンティックラブ・イデオロギー
伊藤雅子、1995、家族と愛 -結婚の社会学的考察をめぐって-(特集/愛)、12,1-9
山田陽子、2009、恋愛の恋愛の社会学序説--"コンフルエント・ラブ"が導く関係の不確定性、 現代社会学 2009 p.133~144
年表づくり
〇富田英則、2003、出会い系サイトの変遷、月刊少年育成、569,24~30p
◎桑原英太郎、2017,日本発婚活サイト『ブライダルネット』の創世記・現在・未来について、映像情報メディア学会誌、71巻9号、605~610
〇圓田浩二、2006、出会い系メディアのコミュニケーションに関する分析、沖縄大学人文学部紀要、7,75~85p
書籍
△山田昌弘、1996、結婚の社会学 未婚化晩婚化は続くのか、丸善ライブラリー
◎有薗隼人、2020、〈婚活ビジネス〉急成長のカラクリ、扶桑社新書、320,扶桑社
〇山田昌弘、2013、婚活症候群、ディスカヴァー携書、107、ディスカヴァー・トゥエンティワン
メモ
問い…マッチングアプリ(新)と従来の出会いサービスの利用者の認識を比較することで、マッチングアプリの特徴・傾向があるのか
今後…それぞれのマッチングアプリの特徴、結婚観・恋愛観の文献収集、
しかしながら,結婚情報サービス業界は「婚活」ということばが出現した2007年を境に大きく変化している。「婚活」ということばは,2007年11月,社会学者山田昌弘とジャーナリスト白河桃子が提唱したことばである(『AERA』,2007年11月5日号)。「婚活」は「結婚活動」の略語であり,就活のアナロジーとして用いられたこのことばは,「よりよい結婚を目指して,合コンや見合い,自分磨きなど,積極的に行動する活動を称して」名付けられた(山田・白河,2008)。
山田・白河(2008)は,恋愛結婚化にともない,現代社会では結婚のための特別な活動, つまり「婚活」が必要となったと指摘した.婚活とは,「結婚活動」の略であり,よりよ い結婚を目指して,見合い,合コン,自分磨きなどをおこなうことと定義される(山田・ 白河 2008: 3).
マッチングアプリの利用経験とリスクのある性交経験との関連 マッチングアプリとは、イ ンターネット上、多くはスマートフォン上で、アプリを利用しなければ知ることのできなかった相手と比 較的簡単に知り合いになることができるアプリケーションである(鈴木,2019)。マッチングアプリの利 用法は、登録をし、出会いを希望する相手を検索し、「いいね」とメッセージを送り、互いに「いいね」 を送りあった後、メッセージを交換し、意気投合すれば会うという手順を踏むことが多い。