1月16日(月)午後4時までに教務係へ提出する。
少しでも遅れれば大問題になりますので、必ず期限に遅れないようにしてください。提出に際しては以下のような準備が必要なので、余裕をもって準備すること。
· 表紙の作成
端末室にある過去の卒論を参考にして表紙を作成する。
· 論文のコピー
自分用に1部コピーをとっておく。
· 提出前に教員とタイトルの確認をする。
分量は400字詰め原稿用紙換算で50枚から100枚程度(図表は含まない)を標準とする。ただし、これはあくまでも目安である(例年、ほとんどの学生が問題なくクリアしている)。
用紙はA4の白地の普通紙を使用する。用紙は縦置きにし、横書きで印字する。
1文字の字数と1ページの字数は自由であるが、字間は詰め、行間はゆったりととること。40字×36行程度が良い。
各ページの下中央にページ番号をつける。
構成は、表紙(学部指定のもの)、表題紙、目次、本文、注、資料、引用・参考文献(第○章という章番号は与えない)、裏表紙(学部指定のもの)の順とし、本文から文献までに通しページをつける。表題紙には表紙と同内容を記す。目次では、各章だけでなく各節にもページ番号をふること。
2月上旬に卒業論文発表会行う。卒業論文発表会の日程や詳細については12月中旬~1月中旬に決定する。
卒論執筆作業の終結は、「学校に提出して先生にOKと言われる時」ではなく、「自分の研究結果を社会に投げ返す時」である。ところが、非常に残念なことに、この作業に対して、正面からきちんと取り組める学生と出来ない学生とがいる。
(1)提出し終わったら、調査協力者のうち誰に、どのように卒論を送る手はずになっているのかを自問せよ。それが明らかでない場合には、教員と打ち合わせること。送り状で(あるいは別途電話などで)ホームページ上での公開を打診する。
(2)コピーは、必要部数の分だけ、社会学分野のコピー・カードを用いてよい。製本には、演習室の簡易製本機「とじ太くん」を使う(製本用のカバーは伊藤が保存)。
(3)卒業論文のファイルを伊藤まで提出する。締切は卒業論文発表会まで。提出方法;演習室の伊藤のレターボックスに専用のUSBメモリを入れておくので、そこに卒論ファイルをコピーし、伊藤のレターボックスに戻す。さらに、その旨伊藤(tomoki@hmt.u-toyama.ac.jp)に報告する。なお、メール(添付ファイル)での提出は基本的にやめてほしい(どうしても必要が生じる場合は相談すること)。
ファイルの形式は、卒論をMicrosoft Wordで書いた場合は、そのままでよいが、読み取り専用にしておくこと(ファイル名を右クリック→「プロパティ」で「読み取り専用」チェックボックスをオンにする)。伊藤が受け取った後、PDFファイルに変換してアップロードする。それ以外のワープロソフトを用いた場合は、伊藤に相談すること。
(4)調査協力者からホームページ上での公開について同意が得られた場合、直ちに教員に報告する。拒絶にあった場合も、善後策を考えるので、できるだけ詳しくやりとりの内容を報告すること。また、待っていても返事がない場合、頃合を見計らって教員に相談すること(その際、手紙の文面や送付日時などを報告して欲しい)。
迷ったときは以下を熟読すること。
算用数字
算用数字を全角にすべきか、それとも半角にすべきかは、書き始めてから迷うことが多い。各自の一貫した方針があればそれで構わないが、特になければ「基本的にはすべて半角」とシンプルに考えておけば、楽に一貫性が確保できる。「年齢は全角で、年号は半角で、それから…」などと考えていると、後で思わぬ混乱を招くことになるので気をつけよう。
空白行
空白行は、章や節などのタイトルの前後や、数行にわたる引用の前後、図表の前後など、すべて見やすさを意図して挿入するものである。「なんとなく気分で…」と空白行を挿入するのは避けよう。
先行研究を引用する場合、敬語は用いる必要はない。たとえ尊敬する先生でも、例えば「○○教授は次のようにおっしゃっている」などとは表記せず、「○○は次のように述べている」と表記すればよい。
質的調査の場合、調査協力者の名前が(実名にせよ記号にせよ)論文の中にあらわれることがある。この場合も原則として敬語を用いる必要はない。例えば「○○氏は次のように述べている」などと表記する。しかし、執筆者である学生や調査協力者の中には、こうした慣習的な文体を心情的に「そっけない」「冷たい」と感じる人もいる。したがって、卒論では、調査協力者の場合には、執筆者の判断で「○○さんは、~されている。」などと敬語を用いてもよい。ただし、論文の中で一貫するよう気をつけること。
注は本文中にその位置をアラビア数字で指示し、注の内容は論文末尾(文献リストの前)に「注」と題してまとめて書く。注は通し番号をつけ、本文末尾に一括する(章、節ごとにはつけない)。
例
{本文中}
・・・ニーチェの思想はさほど明確には知識社会学のなかに引き継がれはしなかった(7)。
{論文末尾}
(7)知識社会学にとってニーチェの業績のなかで最も重要 なのは『道徳の系譜学』と・・・
他著作をそのまま引用する場合は、本文中で必ず「 」でくくり、自分の主張と引用文を明確に区別する。また、他著作を要約して述べる場合や、他著作を参考にした場合も原著者名を明示し、引用または参考にしたページが特定できるようにする。他人が読んでも、どこからどこまでが引用で、どこからどこまでが自分の主張なのかがきちんと分かるように工夫すること。
■本文中での文献挙示および引用の仕方
本文中で挙げる文献情報の書式は次の通りである。
全角丸カッコ内に、著者名(名字のみ)、半角スペース、出版年(半角)、半角コロン、半角スペース、ページ数(半角、複数ページにわたる場合は半角ハイフンでつなぐ)という順で表記する。ただし、著者名の直後に表記する場合は、カッコ内の著者名を省略してもよい。
パターン1:他著作をそのまま引用する場合
(例)・・・井上俊が、「(恋愛と結婚の)相克、矛盾は(中略)社会制度ないし社会的役割期待と個人的欲求充足の矛盾であるとも言える」(井上 1973: 179)と述べているように、・・・
1~2,3行程度の短い引用の場合には、上の例のように、引用部分をかぎ括弧に入れて表記する。引用する部分が長い場合には(目安として4,5行以上)自分の言葉で言い換えることを検討するが、重要なのでやはりそのまま引用したい場合には、引用部分を、前後に空白行を入れ、他との区別を強調する。引用部分の最後には、もちろん引用元の文献情報を付す。引用部分には、1文字分のインデント(右側に下げること)をかけよう。Microsoft WordおよびOpen Officeの場合、ツールバーにインデントボタンがある(通常は太字や下線のボタンの右側にある→のあるボタン)。引用部分を選択した上で右側インデントボタンを1度押すと、選択した部分が右側に1文字分ずれる。
他著作をそのまま引用するのは、きわめて重要な部分に限られる、と頭に入れておこう。
パターン2:他著作の内容を自分の言葉で説明する場合
(例)・・・コルナイは、経済システムをコントロール・スフィアとリアル・スフィアに二分し(Kornai 1971: 39-42)、同様にして村上・熊谷・公文は、社会システム一般が制御空間と実行空間から成り立つとしている(村上・熊谷・公文 1973: 183)。
パターン3:ある程度まとまった分量を要約する形で引用・紹介する場合は、次のように、最初に「ここからが引用だよ」と分かるように記述するのも有効である。
(例)以下では、古谷野(1985:17-23)に従ってこの理論をまとめたい。まず、…(まとめ終わったら文献情報を付し、段落をかえる。)
例年「自分の言葉で、と言われても、どうやっていいのかわかりません」という相談が寄せられる。このような相談をする学生は、ほとんどの場合、まず「原文を写す」イメージが基盤にあって、それを「手直し」するというイメージを持っているように思われる。そうではなくて、基本的には自分の言葉でその研究を紹介しながら、効果的な部分だけ(非常に重要である、原文の表現が絶妙である、等々)引用の形をとる、とイメージしてほしい。自分の言葉による部分が「主」であり、引用部分が「従」である、また両者の区別が見た目にしっかりなされていることが必要である。
具体的には、まず、レヴューする部分を「何を言っているのか」と念じながら何度かよく読み返してみる(ほとんどの場合、この読み返しの作業が不足している)。そのあと、本または論文を伏せて、「この文献はこういうことを言っていますよ」と自分の言葉で書いてみようと試みてほしい。その後で、どの部分をもっと詳しくした方がよいのか、原文とまったく同じ表現になっているところはどこかを検討してみる。
まずはこのように自分で努力をしてみたうえで、原文を持参のうえ、指導教員のチェックを受けてほしい。
引用・参考文献は論文の末尾に「引用・参考文献」と題して一括して書く。文献リストには章番号(第○章)は与えない。文献は、日本語のものを著者名の五十音順に、その後ろに外国語のものを著者のアルファベット順に、その後ろに著者名のないものなど各種資料を列挙する。各々の文献の冒頭に「・」(ナカグロ点)をうつか、もしくは各文献の2行目以降をインデントする(microsoft Wordの場合、「ルーラー」という物差しのような目盛を表示させ(表示のさせかたはヘルプで調べてください)、砂時計のような形をしたアイコンの真ん中の△の部分をドラッグ&ドロップして動かす)。
各文献について記載する内容と書式は以下の通り。
■日本語の本の場合
著者名、全角カンマ、出版年(半角)、全角カンマ、全角二重かぎカッコ内にタイトル、出版社の順に表記する。政府刊行物などの例で、編集元と発行元が同一のときには、出版元を省略してもよい。サブタイトルがある場合は、タイトルとサブタイトルとの間を「――」(全角2倍ダッシュ)でつなぐ。全角:「きごう」と入力して変換すると「―」(全角ダッシュ)が出てくるので、それをふたつ続ける。全角分に届かない半角ダッシュ「-」とは異なるので注意。)
(例)町村敬志,1994,『「世界都市」東京の構造転換――都市リストラクチャリングの社会学』東京大学出版会
(例)経済企画庁,2001,『国民生活白書(平成13年度版)』
■邦訳書の場合
原典の書誌情報(たいてい本の冒頭数ページまでにあるが、「訳者あとがき」や「解説」の最初に書かれている場合もある)の後に丸カッコで訳書情報をくくる。訳書情報は、最初に全角イコールを付け、その後は上記「日本語の本の場合」に従う。
(例)Lofland, J. & L. H. Lofland, 1995, Analyzing Social Settings: A Guide to Qualitative Observation and Analysis, 3rd edition, Wadsworth Publishing Company(=進藤雄三・宝月誠訳,1997,『社会状況の分析――質的観察と分析の方法』恒星社厚生閣)
■日本語雑誌論文
著者名、全角カンマ、出版年(半角)、全角カンマ、全角かぎカッコ内に論文タイトル、全角二重かぎカッコ内に掲載誌名、巻数、半角丸カッコ内に号数、半角コロン、半角スペース、掲載ページ数(半角)の順で表記する。タイトルの中にかぎカッコがある場合は二重かぎカッコに変える。
(例)松谷満,2002,「宗教性と社会意識――キリスト教信者アンケート調査を事例に」『ソシオロジ』47(1) : 91-108
■日本語の編書論文・共著論文
著者名、全角カンマ、出版年(半角)、全角カンマ、全角かぎカッコの中に論文タイトル、掲載された本の編者(またはすべての共著者)、全角二重かぎカッコ内に本の名前、出版社、全角カンマ、掲載ページ数の順で表記する。
(例:編書の場合)舩橋晴俊,1998,「環境問題の未来と社会変動――社会の自己破壊性と自己組織性」舩橋晴俊・飯島伸子編『講座社会学 12 環境』東京大学出版会,191-224
(例:共著の場合)高橋徹,1965,「日本における社会心理学の形成」高橋徹・富永健一・佐藤毅『社会心理学の形成』培風館, 317-505
■卒業論文、修士論文など
著者名、全角カンマ、論文提出年(半角)、全角カンマ、全角かぎカッコ内に論文タイトル、○○大学○○学部○○学科○○年度卒業論文と表記する。
(例)吉川正和,2001,「多チャンネル化時代における視聴者像」富山大学人文学部人文学科平成13年度卒業論文
■ホームページ
基本的には文献と同じである。作成者名(または団体名)、カンマ、最新の更新年(不明の場合はアクセスした年)、タイトル、全角丸カッコ内にURLと取得年月日(おおよそ最後に閲覧した日付)という順で表記する。
(例)宮野勝,1997,「社会調査の参考資料ガイド(入門編)」(http://syajyo.tamacc.chuo-u.ac.jp/~miyaken/cyosa.html 1997年12月11日取得)
(例)フードバンクとやま(特定非営利活動法人),2018,「特定非営利活動法人フードバンクとやま」(http://foodbank-toyama.com/ 2018年12月26日取得)
*団体名を著者にする場合は、法人の種類は冒頭には付けず、省略するか、もしくは( )で付記する。
■欧文の本の場合
著者名(冒頭はファミリーネーム)、半角カンマ、出版年(半角)、半角カンマ、タイトル(イタリック=斜体)、出版社の順に表記する。
(例)Homans, G. C., 1961, Social Behavior: Its Elementary Form, Jossey-Bass Publishers
■外国語論文の場合
基本的には日本語論文と同じ要領だが、論文名は「“ ”」(全角二重引用符)でくくる。論文名の中に引用符がある場合は「‘ ’」(全角一重引用符)に変える。カンマは半角に、雑誌名や書名はイタリック(斜字)にする。
(例:雑誌論文の場合)Yamagishi, T., M.. R. Gillmore, & K. S. Cook, 1988, “Network Connections and Distribution of Power in Exchange Networks”, American Journal of Sociology , 93: 274-277
(例:編書の場合)Gordon, S. L., 1981, “The Sociology of Senti-ments and Emotion”, Rosenberg & Turner (eds.) Social Psychology: Sociological Perspective, Basic Book., 562-592
1.引用したい部分を決める。
報告書執筆者の言葉よりも、インタヴュイー自身の言葉の方が効果的と思われる部分は、引用の形にすることができる。短い言葉や1~2行程度であればカギ括弧を付し、それ以上の長い部分であれば、前後を1行あけて(引用の部分を少し右(縦書きの場合は下)に寄せたり、字を少し小さくしたり、字体を変えたりして)本文と区別する。基本的な要領は、他著作からの引用と同じである。
引用箇所や分量をどの程度にするのかは、調査のテーマにもよるし、書き手の好みや個性にもよるので、ひとつの答えはない。ただし、気をつけたいのは、引用を必要以上に多用してしまい、その結果読みにくい文章になってしまうことである。
中間的な報告を行う場(演習など)ならば、引用が並んでいるだけでもかまわないし、かえってその方が検討しやすいこともある。しかし、報告書・卒論においては読みにくく、「もっとすっきりとまとめられるだろうに…」という不満を読者に抱かせてしまう危険がある。その原因は、多くの場合、中間的な報告や検討の段階から、いざ報告書・卒論をまとめようとするときに、時間が足りなかったり、あるいは「これで言いたいことを言えている」と思い込んでいたりして、トランスクリプトの整形を怠ってしまうことによる。
最後に報告書ないし卒論を書く段階で、「なぜこの部分は引用にするのか(どういう効果をねらっているのか)」を自分に一度問いかけて、答えられるか試してほしい。言葉にして自分に説明できないということは、引用の形にする必然性はない可能性がある、ということである。
2.文章として整形する。
たいていの場合、私たちは自分の話していることを「こういうことを伝えたい」というメッセージのセットとして書き言葉的にイメージしている。しかし、実際に話されているのは、さまざまな言い直しや口調の癖にいろどられた、文法的には乱れた文章である。トランスクリプトは、これをあらわにしてしまうので、インタヴュイーの中には、トランスクリプトを見てショックを受ける人もいる。このような心情と、一般的な読みやすさとに配慮して、引用の部分には整形をほどこす。(ただし、会話分析などは例外。)
例;
(トランスクリプト)
やっぱ、座っとるちゃあなぁ、あかんからねぇ。ちょっとでも外出て、行ってそういう、未だにそういういい年になっとれども研究しとるっちゅうことやっちゃ。(Ir : ああ、はい。) そうせんことには職人は成り立ってかんからねぇ。
⇒整形例1(文法的に整えることを重要視する場合)
やっぱり、座っていてはいけない。ちょっとでも外に出て研究することを、いい年になっても未だにしています。そうしないことには職人は成り立りませんから。
⇒整形例2(語り口やニュアンスを大事に残したい場合)
やっぱり、座っとったら、あかんからねぇ。ちょっとでも外出て。未だにそういうふうに、いい年になっても研究しとるっちゅうことやっちゃ。そうせんことには職人は成り立ってかんからねぇ。
「トランスクリプトにどこまで手を加えていいのかわかりません」と言ってほとんど整形を施さない(施せない)学生が少なくない。けれども、一度読者の視点にたって「ある程度読みやすく、ある程度書き言葉的に」と検討してみれば、自分なりの手を施し方ができるはずだ。
3.インデントを施して地の文との区別を明確にする。
インデントは、(Word2013の場合)「ホーム」にインデント・ボタン(左右向き矢印を含む絵柄)がある。引用箇所を選択したうえで右向きインデント・ボタンを押すと、引用部分全体が一字分下がる。これをすべての引用部分に施す。インデントは「ルーラー」を表示させることによってもできる。
1. 図表は、原則として本文で言及する段落の直後に挿入する。上下左右の余白は十分空ける。
2. 図表には各章ごとに通し番号(例えば、第4章の3番目の図であれば「図4-3」、第4章の最初の表であれば「表4-1」とする)をつける。なお、図と表の違いは、タテヨコ罫線から成るものを「表」、それ以外を「図」とする 。
3. 各図表には、原則としてタイトルをつけ、目次の最後に図表一覧を表記する。ただし、図表の数が非常に多いものについてはこの作業を省略することもありうるので、自分が該当するのではないかと思う場合は相談してほしい。
3. 大きな図表は折込にせず、縮小するか、または、その1、その2、・・・として本文と同様にA4版の大きさにする。
4. 大部なものになる場合は、末尾に資料として一括する。
5. 図表を他著作から引用する場合、他著作のコピーをそのまま貼らないこと。ただし、地図等の複雑なもので、書き写しが不可能な場合はコピーでもよい。また、図表の出典・引用先を明記しておくこと。
(例)
注.1965,75,85年、社会階層と社会移動(SSM)調査による。
注.小林ほか、1990、70ページ 表4.3を引用。
6. 質問紙調査を行った者は、論文末尾に調査票を必ず資料として添付する。基本的な集計表も資料として添付することが望ましい。
不慮の事故(停電や操作ミス、機械のトラブルなど)でせっかく書いた原稿を失ってしまわないように、バックアップをきちんととっておくこと。例えば、フラッシュメモリなどに保存している場合には、他の場所(例えば自宅のパソコンのハードディスク)にもファイルをコピーしておく。どのようなやり方がよいのかは、各個人の環境や主たる作業場所によって異なる(無料で利用できるオンライン・ストレージを使う方法もある)。いずれにせよ、同じファイルが常に複数の場所に保存されているようにするのが鉄則である。
バックアップの重要性をまったく理解していない人はいないだろう。問題は、卒論締め切りが近づいて切迫した状態になった時に、ついついバックアップする作業自体を怠ってしまうことにある。その背後には「今日もトラブルなく使えたのだから明日パソコンが壊れることはないだろう」という油断がある。しかし、こういう時に限ってトラブルはおこるのである。後悔しても後の祭りである。
そうならないようにする方法は、バックアップを習慣化することである。作業が一区切りついてブレイクに入る前にバックアップをとる習慣をつけよう。例えば「寝る前にバックアップ」とか「夕食前にバックアップ」といったように、ルーティーンの中に組み込むことが大事である。「変更箇所がある程度たまってからバックアップをとる」という発想でなく「たとえ一語でも変更したらバックアップをとる」と考えるべきである。
扱うファイルが少数の場合には、そのファイルを手動でコピーするのがやりやすいかもしれない。しかし、ファイルの数がふえたり、別々のフォルダにある複数のファイルを毎日更新するようになった場合は、この方法では面倒である。そういう人には、バックアップ用のフリーソフトを勧めたい(例えば、BunBackupなど)。
これらの対策を行なえば、締め切り間際になってパソコンのトラブルがおこっても、損失を最小限に食い止めることができるだろう。皆さんは自分の危機管理は自分でしなければならない。提出期限を守ることは卒業のためには絶対である。「何かあっても、先生に怒られれば許されるだろう」という甘えた考えは持たないようにしてほしい。
そうはいっても、人間は失敗をおかすものである。考えたくはないが、締め切りを間近にしてトラブルが発生した万が一の場合を考えてみよう。まず、落ち着くこと。実は何らかの手を打てることが少なくないのである。ワープロソフトが自動的にバックアップをとる設定になっていることもあるし、壊れたと思ったパソコンのハードディスクからファイルを救出できるケースもある。深呼吸をして、まず教員に連絡をとる(こういう場合は、自宅あるいは携帯電話までかけても構わない)。そして落ち着いて状況を説明してほしい。
パソコンで原稿を書く場合は、最後に印刷する時間がばかにならない。印刷している間に間違いに気がついて修正したりするとあっという間に時間が経ってしまう。また演習室の場合はプリンタが1台しかないので、順番待ちが生じる可能性もある。自宅で印刷をする場合でも、思わぬトラブルはありうる。少なくとも1日以上は余裕を見ておかないと間に合わない可能性もある。きわめてまずいのは「すべて完全に出来上がってから、まとめて印刷する」という発想である。 大失敗をする人は、おそらくこういう発想をしている。そうではなくて、各章ごとに出来上がったら印刷しておく。たとえ、少々不完全な場所が残っていたとしても、その部分だけ差し替えればよい、場合によっては全部印刷しなおしてもよい、と考えよう。比較的最近のプリントアウトを持っておくことは、万が一の場合に備える点でも有効である。
卒論の成績評価は、他の一般的な授業と異なる厳しいものだと承知しておいてほしい。これは、「努力賞」にまでA評価を出すと、教員がどの卒論を(論文として)評価しているのか伝わりにくくなってしまうからである。そこで、一般的な授業の水準に照らせば十分評価できるようなものを「B評価」とし、そのうえに「この卒論はここが特によい」という際立った点を特にはっきり指摘できるものを「A評価」または「S評価」とする。
学生の視点からすると、平たくいえば、次のようなメッセージとして受け取ってほしい。
S(秀)…「まじすげえじゃん。」
A(優)…「すげえじゃん。」
B(良)…「よく頑張ったね。立派です。」
C(可)…「ちょっと手抜きがあったね。物足りないです。」
*「S」は2019年度から加わった評価。