研究テーマの設定
―「研究テーマ」ってどんなものか?―
簡単なようで難しい研究テーマの設定。基本は「興味を持てること」。しかし、それを卒業研究にしていくためには、次の条件を備えている必要がある。
まず、研究すべきことがらには、何らかの未知(謎、不思議)が含まれていなければならない。研究テーマを選ぼうとするときには「それのどこが未知(謎、不思議)なのか」と自分に問いかけて欲しい。自分の言葉で答えることができなかったり、あるいはちょっと本を読んだらすぐに出るような答えしか出てこなかったりするときは、それは研究テーマとして熟していない、ということだ。逆に、たとえ平凡でありふれたことのように見えても、それがどのような意味で未知(謎、不思議)なのかを説明できれば、研究テーマとして成り立つ可能性がある。
また、単に「未知(謎、不思議)」というだけでも足りないものがある。「今日の昼食にはうどんとそばとどちらにしようか」は、本人にとっては立派な「未知」かもしれないが、研究テーマにはならない。なぜなら、それがどのように明らかになろうとも他人にとってはどうでもよいことだから。研究テーマを選ぶ際には、それが明らかになることによって(少なくともある範囲の)他人に対して何らかの寄与ができそう、という見込みを表現できることが必要だ。そのためには、研究テーマにしようと考えるものに対して「他人はどのように見ているのか」に精通しなければならない。(→ここに先行研究を調べることの重要性がある。)
これらの条件を備えた研究テーマを設定することは、実際にはたいへん難しいことで、卒論を執筆しながら初めて自分でもきちんと言えた、ということも珍しくない。とにかく、まずは最初の1歩から踏み出そう。
例えば、常に社会にアンテナを張っておこう。研究テーマは急に「うーん」と頭をひねって出てくるようなものではない。日々の生活で「何か面白そうなテーマはないだろうか」と意識し続けることが大事。新聞や、その他のメディアを通じて社会にアンテナを張る習慣を、皆さんは持っているだろうか。
自分自身が生活し経験している「社会」に対する素朴な興味や疑問を大切にしよう。このことなら24時間考えていても飽きないとか、いつも居るところなのに何か違和感を持った、といったことが研究テーマの芽になる可能性はある(必ずなるわけではない)。
研究書の乱読をしてみよう。演習室や図書館の本棚の前を歩いて、興味のありそうな本があったら手にとってみよう。当てが外れた、と思ったらすぐに次に移る。「こんなことを扱っている研究があるのか」と思ううちに、「それならこういう研究テーマが可能かも」とアイディアが湧くことがある。(アイディアがわいたときに、そのことをメモに書きとめることが大切!)
これらのことをやってみて、次回までに、とりあえずの研究テーマ(らしきもの)の候補をいくつか挙げてみよう。それをもとに地図(後日説明)を作りつつ読書を進めてゆく。その過程で研究テーマを変えたくなったら、その時変えればよい。