YouTubeポリシー
ハラスメントやネットいじめに関するポリシー - YouTube ヘルプ (google.com)
Youtube誹謗中傷コメントの通報・削除方法!裁判の起こし方まで | 一般社団法人ネット削除協会 (sakujo.or.jp)
ネット
・磯谷光毅等,攻撃的投稿シミュレーションモデルによるSNS上における誹謗中傷要因の検証, JSAI2021(0), 1I4GS4c03-1I4GS4c03, 2021 ,人工知能学会全国大会論文集
・瀬川友香等,ユーザーに着目したSNS上の攻撃とそのメカニズムに関する分析 , JSAI2021(0), 1I4GS4c04-1I4GS4c04, 2021 ,人工知能学会全国大会論文集
図書館
・ネット炎上関連投稿経験者の特徴と批判の動機 : ウェブモニタ調査による検討, (32), 51-93, 2019-3,帝京社会学→書庫3層
・インターネットの「炎上」によってソーシャルメデイア上の言論は萎縮しているのか : ウェブモニタ調査による探索的検討, (31), 93-114, 2018-03,帝京社会学→書庫3層
reserach question
・誹謗中傷の告発はどのようになされているか
・誹謗中傷の告発に対して、誰がどのように反応するか
⇒次回の課題:別の新しい事例を見つけて、比較的詳しく説明して伝えられるようにする。
・なにか問題を起こしたから誹謗中傷、批判されているパターンと何も問題を起こしていないのに嘘の情報によりありもしない罪を負わされたり容姿について誹謗中傷されたりするパターンがあるのではないか。
・炎上した後の動画のコメント欄と通常の動画の否定的なコメントの違い。Youtuberの言動についてなのか、Youtuberの人格、容姿などについてなのか。
・否定的なコメントをしている人はどういった人で、他の動画にはどういったコメントをしているのか。
・調査方法としては、アンケート?もしできたら弁護士の方にインタビュー
・佐藤佳弘さんの文献と書籍
・ある投稿に対して批判や誹謗中傷が殺到したら炎上となる?
・炎上とまではいかなくても、投稿に関することでコメント欄で論争が起こっている場合などは「コメント欄が荒れている」という表現が使われている。
・投稿者による複数の投稿に対して執拗に誹謗中傷を行う人だけでなく、1か所の論争の中だけでコメントする人もいる。
・拡散したり意見を言う事は自由だが、それが相手を傷つける行為であるならば控えなければならない。しかしどこまでが批判でどこからが誹謗中傷か定かではなく、また人によってその基準は変わってくると思うので、批判と誹謗中傷の線引きについて文献で確認したい。
・実名での使用が多いと感がられるFacebook、Instagramにくらべて、匿名での書き込みの余地が大きいがゆえに誹謗中傷の書き込みも相対的に行いやすいと考えられるSNSが、TwitterとTikTok.
SNS上での誹謗中傷への対策に関する 取組の大枠について 000695577.pdf (soumu.go.jp) 総務省2020.7
→総務省の運営する違法・有害情報相談センターで受け付けている相談件数は高止まり傾向にあり、令和 元年度の相談件数は、受付を開始した平成22年度の相談件数の約4倍に増加している。
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は、平成29年度に過去最高(平成13年の現行統 計開始以降)の件数を更新し、令和元年度は過去2番目に多い件数を記録している。
【事例】
①チャンネル名:パランクイーン 【無職ニート】ヤニ女の1日ルーティン。 - YouTube
330,188 回視聴 2021/07/06 高評価973 低評価2931 コメント数698
→コメント欄の情報はWordに記録
〈考察〉
・他の動画にはあまり否定的なコメントはついていなかったがこの動画には否定的なコメントが多いように感じた。しかし応援するコメントも多かった。
・登録者数がなぜか非表示?だったが投稿している動画数や動画の再生回数、コメント数的に登録者が少ないマイナーYouTuberだと判断した。
・投稿者がほとんどのコメントに対していいねマークをつけたり、否定的なコメントにも応援コメントにも返信していた。否定的コメントに対して、否定的に返信することなく応援コメントと同様、好意的?に返信しているように感じた。
・同チャンネルの他の動画と比べて否定的コメントが多かった。他の動画はコメント数自体少なく否定的コメントもほとんど見られなかった。
・Twitterは見当たらず、Instagramはあったがフォロー数0フォロワー数35投稿5でコメント数もとても少なく本人ではない可能性もあるため調査出来なかった。
②チャンネル名:AYU-REEN 【メイク】最近の毎日メイク💄🤍
登録者数1.26万人 60,727 回視聴 2021/08/30 高評価571 低評価821 コメント数328
→コメント欄の情報はWordに記録
〈考察〉
・「かわいい」派と「今まではかわいいと思わなかったがかわいくなったと思う」派と「容姿に対して否定的」派(いわゆるアンチコメント)があるように感じた。アンチコメントは、容姿に対するもの、冒頭の挨拶に対するものなど。
・投稿者の返信やコメントへのいいねは少なく、主に化粧に対するアドバイスや質問に対して返信、いいねしているように感じた。アンチコメントに対しては返信もいいねもなかった。
・同チャンネルの他の動画でもアンチコメントは他のyoutuberより比較的多い。また高評価より低評価の方が多い動画がほとんどである。
〈例〉
・いいコメントしてくれてる方もいるのに人によってしかいいねつかないのは客観的にみて不思議です。
可愛いねとか頑張ってって言ってくれている方こそ大切にした方がいいのにしてないのですか?
私は申し訳ありませんけど苦手な顔立ちの方なのでLINEのディスカバーに動画をのせないようにしていただきたいです。
・失礼を承知で申し上げます。LINEのタイムラインに出てくるのやめてください。本当に心臓に悪いです。誹謗中傷とかではなくて、本当にあなたの顔が苦手なんです…
申し訳ないですが、表に出られるようなタイプではないのかと…
気を悪くされたらごめんなさい。
みたい人だけ見られるようにしてほしいです。試しに、タイムライン見てみてください。お願いします。
・あなたがラインのディスカバー(?)にまで出てくるようになって本当に不愉快です!!
しかも見たくもないのに消せない……
同じクレームがネット上に多数あるにも関わらず、何故活動できるんですか?承認欲求の塊なんですか?
子供が怖がる等のコメントも見かけたので本当に辞めてください!切実に!宜しくお願い致します。
・これだけの低評価で何故ラインのタイムラインに出ようと思うのですか?
見たくもない顔を無差別に見せられるこちらの気持ちになってください。
代弁者の意見はいりません。どうか、御本人に届きますように……
→攻撃的な口調のアンチコメントだけでなく、丁寧かつ長文で「顔が苦手なのでLINEのタイムラインのディスカバーに出てこないでほしい」という旨のコメントがいくつかあった。
言い方は丁寧ではあるが、相手が傷つくような容姿に関する内容である。これは誹謗中傷に当たるのか当たらないのか。
Twitter:AYU-REEN @ayureen422
フォロー数17 フォロワー894 ツイート数406(2021.0927時点)
「言葉の重みを本当にわかるべき。
匿名だからって何でもしていいことじゃない。
画面上の姿とはまた違う姿を考えなあかん。
人と話す時ちゃんと考えて話さな本当の友達はもちろん周りの人達まで失うよ。
失ってからじゃ遅い。
SNSは便利やけど怖いものなんよ。 」2020.0523
RT2 引用RT1 いいね56
「こういう発言をすると、綺麗事やとか、人前に出とる限り仕方がないとか、自分が正しいって思ってそうとか言われたりもしてきたけど、そうじゃないの。
言うとる方の気持ちはわからへんけど、実際言われる側は深い痛みがあるんよ。
言うのは簡単やけど痛みに乗り越えるのは相当苦労する。」2020.0523
RT2 いいね53
返信
たまこ@TRjo0uy3FsqWfqo·2020年5月24日
返信先: @ayureen422さん
「その痛みを癒すのがわいらファンやでん!! あゆちの悩み事とか辛い時は何時間でも聞ける自信があるっ!いつまでも推していきます」
Kuru@twicemeron_1101·2020年5月24日
返信先: @ayureen422さん
「ホンマにそう 言った側はどうって事無いと思うけど言われた側からしたら、そのちょっとした発言だけでも本当に辛い。 いくらアンチは付き物とか、言われる前提で出しとるんやろって言っても辛いもんは辛い。 相手の気持ちを少しは理解して欲しいですね」
→Twitterではフォローフォロワー数、RT、いいね、コメントも少ない。上記のようなツイートをして誹謗中傷について触れていた。
Instagram:AYU-REEN(あゆりーん) @ayureen422
フォロー数49 フォロワー4183 投稿216(2021.0927時点)
・InstagramもTwitterと同様フォローフォロワー数、いいね!数やコメント数も少ない。コメントのほとんどはファン?の応援コメントであるが、「これで可愛いと言われるんですね。勉強になります。」や「努力の無駄遣い」というコメントもあった。
・Youtubeは関連動画などでチャンネル登録していなくても流れてくるが、TwitterやInstagramは基本的にフォローしない限り見ることはできない。また、本人に興味がなければフォローしないと考えられるので、ファンのコメントがほとんどでアンチコメントはほとんどないのではないか。
TikTokのコメント欄も見てみたところアンチコメントはいくつかあったが、前よりもアンチコメントは少なくなっていたように感じた。しかし「コメント削除された」というコメントがあり、投稿者がアンチコメントを消していることでアンチコメントが少なく感じるのかもしれない。
〈政治〉
河野太郎氏のツイッターブロックは「個人の活動」 加藤官房長官 (msn.com)
→「#河野さんにブロックされています」ハッシュタグ
〈スポーツ〉
ソフトバンク 誹謗中傷に警告「ホークスの応援、批判、議論は歓迎ですが」 (msn.com)
選手へのネット中傷、JOCが監視チーム すでに記録保存 - ITmedia NEWS
千葉市柏市をホームタウンとするJリーグ加盟の柏レイソルに対するツイート
・柏レイソル無能過ぎるな。試合勝てないし、クズ処分できないし。
・とりあえず人の皮を被ったがん細胞というか生ゴミの柏レイソル社長の写真アップしておこう 言葉はいらないからこの世界から消えて欲しい。
柏レイソルOFFICIALツイッターアカウントは、「SNS上にて、柏レイソルのファン・サポーターになりすまし、攻撃的な発言、誹謗中傷を伴う看過できない投稿が見られます。こうした行動は決して許されるものではありません。なりすましのアカウントが見られる場合には、SNS運営会社への削除依頼等の通報の手続きなど、ご協力をお願いいたします。」とツイートし注意喚起を行った。
〈有名人〉
「裏に反社がいる」と誹謗中傷された元アイドルのラーメン店主・梅澤愛優香さんが反撃 (2021年9月9日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)
→「いま一つだけ言える理由です 私への中傷で全て壊されました」梅澤愛優香公式Twitterより
中川翔子さん 「警察に相談してしかるべき対処をする」SNSの誹謗中傷への決意を投稿:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
YouTube エミリンチャンネル 動画「ネットで誹謗中傷してる方とお話ししたのでアンチを募集します」のコメント欄
・なんか勘違いすごい 変わったね。天狗 ・初手からキモイ ・サムネの顔が無理
・被害者ぶんな ・え?何様?
Twitter 「エミリン」検索結果
・エミリン1人だけレベル低いし、不愉快なネタでおかしい。電通かどっかのゴリ押し?(クセスゴの公式Twitterリプ欄にて)
・エミリン今度はクセスゴ出て叩かれてんのクソ笑えるし人の事バカにするか悪口言うかしか笑い取れんなら時代に合ってないから一生出てくんなよ
・初めて見たけどエミリンってゆう人ブサイクだしブランドもダサくて何歳向けなん?ってゆう感じ よくCMしようと思ったな
・エミリンは可愛くないし、服は布♪って馬鹿にしてたくせにクソダサ模倣品ぼったくりブランドをプロデュースしていて許せないので今なんで炎上しているのか詳しく分からないけど私はエミリンのこと永遠に許しません
エミリン自身がTwitter上でアンチコメントを募集して動画内でそのアンチコメントに関する企画を行ったり、上記の動画「ネットで誹謗中傷してる方とお話ししたのでアンチを募集します」を行ったり、自らがアンチコメントに対抗?している
〈技術〉
弁護士ポータルサイト「ネット誹謗中傷弁護士相談Cafe」の「ネット誹謗中傷チェッカー」をリニューアル - 産経ニュース (sankei.com)
活用進むヤフーの“中傷対策AI” 無償提供の背景は - ITmedia NEWS
〈法(改正)〉
【独自】ネット中傷対策、侮辱罪に懲役刑導入へ…テラハ事件では科料わずか9千円 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
ネット誹謗中傷「厳罰化」の一方で指摘される”危惧”と困難な”線引き” | Asagei Biz-アサ芸ビズ
◎鳥飼重和,2014,その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識 ,新潮新書
→下記に名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪についての説明あり
北日本新聞2021年9月15日29面「侮辱罪に懲役刑導入:法相 ネット中傷対策厳罰化」北日本新聞社「Webun」2021.09.15 00:00
→
厳罰 効果は限定的か
社会問題化しているインターネット上での誹謗(ひぼう)中傷に対応するため、侮辱罪が厳罰化される見通しとなった。上川陽子法相が14日、法制審議会への諮問を表明。ネットが存在しなかった明治以来の規定が見直される。公訴時効も長くなるため、加害者の責任逃れを防ぐ期待が高まる一方、効果は限定的で「特効薬」とはならないとの見方も。専門家は、地道な啓発活動が必要と指摘する。【本記は9月15日の北日本新聞29面、または15日のウェブブックでご覧ください】
■一歩
契機となったのは、フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演し、会員制交流サイト(SNS)で中傷を受けたプロレスラー木村花さん=当時(22)=の昨年5月の死去。母響子さん(44)は3日、オンラインの記者会見で、厳罰化について「一歩進んだのはありがたいが、命を落としたり仕事ができなくなったりという被害の重さを考えると、まだ軽い」と心境を吐露。「これで終わりではなく、始まりとしていろいろな働き掛けをしていく」と力強く語った。
■時間の壁
公訴時効の期間は、法定刑の重さに応じて規定されている。法相の諮問通りに侮辱罪の法定刑が「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」と重くなった場合、公訴時効は現状の1年から3年に延びる。
花さんの事件では、警視庁がSNSで中傷した福井県の男性を侮辱容疑で書類送検したのは公訴時効の2日前だった。立件が間に合わなかった投稿者も多くいたとみられるだけに、時効延長を歓迎する向きもある。ただ、響子さんは「被害届の受理から警察による聞き取りまで、すごく時間が空いた。時効が延びても、被害者が待たされるだけにならないか不安」と明かす。
■根絶
文部科学省の調査では、パソコンや携帯電話などを用いた中傷の件数は2019年度、1万7924件。5年前の7898件の2倍以上になった。法務省によると、昨年、ネットを使った人権侵害に対し、被害者らの申告を受けてプロバイダーなどに削除を要請したのは過去最多の578件に上った。
中傷が増え続ける現状では、厳罰の効果は限定的との見方もある。ネット問題に詳しい弁護士は「抑止力にはなるが、十分ではない。根本的な解決を目指すには教育や講演などを通して啓発を続けるしかない」と話す。
藤川大祐千葉大教授(教育方法学)は「ネットによる中傷は子どもより大人が深刻だが、子ども段階からの教育は重要」と指摘。その上で「周りの空気に乗って批判することが、自分が思うよりも相手を傷つけ、さらに訴えられて責任を取らされるということを、多くの人が理解する必要がある」と話した。
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【藤川大祐 文献】
→現代の子どもに対するインターネット利用の教育についての文献が多くあった。
〇LINE・ネットによるいじめ・自殺の実態と対策 (特集 子どものいじめ・自殺問題と学校教育) , 64(4), 26-30, 2018-05 ,教育展望
〇メール・LINE(SNS)でのトラブルを防ぐ指導 (特集 いじめ再考) -- (学校・教師の取り組み) ,72(6), 598-602, 2018-05 ,児童心理
〇ネットリテラシーをどう教育するか (特集 ネット中傷から身を守る) , 111(10), 25-29, 2020-10 ,都市問題
【文献】
◎磯谷光毅等,攻撃的投稿シミュレーションモデルによるSNS上における誹謗中傷要因の検証, JSAI2021(0), 1I4GS4c03-1I4GS4c03, 2021 ,人工知能学会全国大会論文集
→・意見が二分されるようなテーマに関する攻撃 的投稿の発生,拡散,収束についてのシミュレーションモデル を構築する.
・ネットワーク中の各ノードを 1 人のユーザと し,ユーザの状態として対象テーマに対しての状態とその状態 間の遷移を定義する.加えて本研究の提案モデルでは,各ユー ザの状態遷移は自身がフォローしているユーザからの影響を受 けると仮定する.
・状態 S(賛成かつ非攻撃的、反対かつ非攻撃的) にあるユーザ自身と同 じ意見かつ攻撃的な状態にあるユーザからの影響を抑えること で,全体として攻撃的状態ユーザ数を抑えることができる。このことから,実際の SNS においてもその ような投稿について表示形式やアノテーションを考慮すること で攻撃的状態ユーザ数を抑え結果として誹謗中傷のような攻撃 的投稿を減少させられる可能性があると考えられる.
・攻撃的投稿の判断はTwitter の定める ポリシー [Twitter, Inc. 20] の一部(以下)を参考
・他人を苦しめるまたはおびえさせる目的で侮辱する
・中傷、悪口、人種や性差別的発言など、他者の尊厳を低 下させる内容を繰り返す行為や、それらによって相手の 品位を損なうような投稿
〇伊藤詩織,投げつけられる誹謗中傷の「石」 言葉の暴力との戦いを決断 (特集 日常にひそむ暴力) , (370), 4-9, 2021-03 ,Journalism
◎伊藤誠基等,オンラインチャットにおける誹謗中傷コメントの発信を未然に防止する機能 , JSAI2021(0), 4C3OS1a01-4C3OS1a01, 2021 ,人工知能学会全国大会論文集 →ダウンロード済み
→内容としては誹謗中傷コメントの発信を未然に防止する機能の研究、実験結果であったが、以下の定義は、誹謗中傷コメントを判断する上で役に立つかもしれないと思った。
誹謗中傷コメントとは人を傷つける単語が含まれているコ メントと定義する.人が傷つく要因とは,自分との関係が軽視 されること,屈辱を受けること,言語的な又は非言語的な攻 撃であること (聞き手が傷ついた発話の言い方の特徴の問題), 変えることのできない内在的な欠点に対するものであること, 不適切なあるいは悪意が感じられるユーモアであること,考え を誤解されること,失望させられること,ショックを受けさせ られることである 。( 中川佳保:「ことばによる傷つき」に関する言語コミュニ ケーション論的問いの導出 -心理学的研究のレビューか ら-, 社会言語科学会, 第 44 回大会発表論文集, pp.214–217 (2015) )
そこで,人を傷つける単語を,「存在を 否定する単語,相手との関係を軽視する単語,人格や容姿を貶 す単語もしくは相手を貶める単語」と定義した上で,これらの 単語を「攻撃単語」と定義する.
ユーザのコメント入力時に単語辞書を参照して,単語辞書 内のパターンと入力単語が一致した場合,その単語を攻撃単語 として抽出する.その後,コメントに含まれる攻撃単語の点数 の和を算出することで,誹謗中傷コメントの重みを設定する. そこで,誹謗中傷コメントの重みを「攻撃力」と定義する 。
表 1: 攻撃単語の分類と点数 攻撃単語の分類 攻撃の強さ 単語数 単語例
・相手を貶める単語 ① 287 「馬鹿」,「アホ」,「雑魚」 「ボケ」,「ドジ」,「低脳」
・相手の人格を貶す単語 ・相手の容姿を貶す単語 ② 274 「クズ」,「ケチ」,「意地汚い」 「ブス」,「デブ」,「ハゲ」
・相手の存在を否定する単語 ・相手の関係を軽視する単語 ③ 34 「死ね」,「消えろ」,「殺す 」
→攻撃単語と攻撃力の定義を用いたいと考えている。
もしできたら攻撃力を点数化して誹謗中傷コメントを分析したい。
誹謗中傷コメントを受けた対話相手の反応には,「肯定,否 定,攻撃,無視」の四種類がある.否定と無視が相手の攻撃 に対して自分を守り,回避することできる反応となる.よって 「否定の単語や誹謗中傷に対して無視する単語」を「守備単語」 と定義する 。
攻撃力と同様に,コメン トに含まれる守備単語の点数の和を重みとして,「守備力」 と定義する。
誹謗中傷コメントを発信されてどれだけ傷つくかは,発信 された内容にどのように反応しているかによって変化する.そ こで誹謗中傷コメントの攻撃力とそれに対するコメントの守 備力からどれだけ傷つくのか推計したものを「ダメージ」と定 義する.ダメージは相手が自分のコメントに対して返信した際 に,自分のコメントの攻撃力から相手のコメントの守備力を引 いた値となる.
◎鵜塚健,歪んだ正義感が振るう匿名の刃 : テラスハウス問題で浮上した誹謗中傷の実態 (SNS規制と表現の自由) , (834), 42-45, 2021-05 ,新聞研究
→内容は「毎日新聞取材班、2020,SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか」とほぼ同じ。
誹謗中傷がうずまく背景として、
評論家の荻上チキさん
→攻撃的な書き込みをする人は「公正世界仮説」を持つ人が多いと推察。
「良いことをした人は報われ、悪いことをした人は痛い目に遭う」との信念が強く、弱者に対して攻撃的になる傾向があると分析。
近現代史研究の辻田真佐憲さん
→「SNS空間は、空気によって支配される日本独特の社会を反映している」と指摘。
SNS上では、日本社会に根強い同調圧力がさらに強まり、誹謗中傷や暴力的な投稿を生みやすい傾向があると説明。
誹謗中傷に走らないために大切なこと→脳科学者の茂木健一郎氏は、相手への共感や想像力に基づく「人間リテラシー」だと強調
木村花さんの母響子さんはNPO法人「Remember HANA」の設立に向けて準備をしている。各地の小中高、大学などでSNSの適切な使い方を教えるほか、中傷被害者の支援につながる活動をしていくという。
〇小川たまか,ネット上の誹謗中傷は「表現の自由」なのか 伊藤詩織氏、名誉毀損ではすみとしこ氏らを提訴 ,28(22), 27, 2020-06-12 ,金曜日
◎小向太郎,インターネット上の誹謗中傷と媒介者責任,(1), 53-62,2021-03-25 ,国際情報学研究→ネットにあり
→インターネット上の不適切情報に対する法的ア プローチとしては、発信者への責任追及強化がある.例えば違法な情報発信 の厳罰化、処罰の拡大、損害賠償責任の拡大、発信者情報開示制度の整備等。
また不適切情報の被害を軽減するためには、ネットワーク上の媒介者による対応が期待されているが媒介者の責任が曖昧ではネットワークの発展が阻害され得るため、各国で媒介者の責任を明確化する法律が整備されている。本稿の目的は、その法律は国によって異なるため、日本とアメリカ、EUを比較することで日本の制度の検討に示唆を得る。
日本→媒介者の責任を明確化する法律は2001年制定(2002年施行)のプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)である。
対象となるプロバイダ(特定電気通信役務提供者)とは不特定の者によって受信されることを目的とする 通信サービスを提供・媒介する者全般のことを指す。
プロバイダが媒介した情報による権利侵害に対 して責任を問われうるのは,①情報の流通によっ て他人の権利が侵害されていることを知っていた とき,または,②当該情報の存在を知っておりそ の情報によって他人の権利が侵害されていること を知ることができたと認めるに足る相当な理由が あるときであって,当該情報の送信を技術的に防 止(送信防止措置)ができるにも関わらずそれを 行わなかった場合に限られる(第 3 項第 1 項)。
一 方で,プロバイダは,当該情報発信が権利侵害で あると認めるに足る相当の理由があれば削除等の 措置を取ることができる(第 3 条第 2 項第 1 号)。 侵害の有無が不明の場合には,発信者に照会の上 で,7 日以内に回答がなければ削除等を行って も,削除したことによる責任は問われないと規定 している(第 3 条第 2 項第 2 号)。
プロバイダ責任制限法では,権利侵害情報の発信者が不明である場合に,権利を侵害されたと主張する者が,発信者情報の開示をプロバイダに求めること(発信者情報開示請求)ができると 規定している。権利侵害を受けたことが明らかであり,かつ,損害賠償請求権の行使のために情報 開示を必要とするなどの正当な理由がある者に対 して,発信者情報開示を請求することができる (第 4 条第 1 項)。
インターネット上の誹謗中傷に関して,日本では,「特定の個人に対して多くの誹謗中傷の書き 込みが行われるいわゆる『炎上』事案や,震災や 新型コロナウイルス感染症などの社会不安に起因 するデマの流布や誹謗中傷が行われるなど,特に SNS 上での誹謗中傷等の深刻化が問題となって いる」ことを受けて, 総務省が「プラットフォームサービスに関する研究会」および「発信者 情報開示の在り方に関する研究会」を設置し検討を行った。
そこで公表した提言のうちのひとつである「インターネット上の誹謗中傷への対応 に関する政策パッケージ」(2020年9月)では (1) ユーザに対する情報モラル及び ICT リテラ シー向上のための啓発活動 (2) プラットフォーム事業者の取組支援と透明 性・アカウンタビリティ向上 (3) 発信者情報開示に関する取組 (4) 相談対応の充実に向けた連携と体制整備 の政策について説明あり。
しかし現在のところ,制度的な検討が行われているの は(3)発信者情報開示に関するものだけであり,媒介者責任のあり方に関しては,具体的な検討対象になっていない 。
媒介者が,問題のある情報に対して適切な対応 を行いつつ過剰な削除等は行わないという難しい要請に十分に応えられているのか,何らかの法的 な裏付けや歯止めは必要ないのか,といったこと について,十分な検証を行うべきであると著者は述べる。
媒介者全般を対象として,権利侵害に 関して認識しているのに放置をしたら責任を負う
アメリカ→通信品位法には,双方向コンピュータサービス の提供者が,有害な情報に対して削除等の措置を 取ることに対して,それが善意で自発的に取られ る限りにおいては責任を問われないとする規定が 定められている。この規定は,グッドサマリタ ン条項と呼ばれ,インターネット上での言論の 自由の自由と規制のない発展を奨励し,電子商取 引の発展を促進するとともに,子供が有害なコン テンツにアクセスするのを抑止するために,双方 向コンピュータサービスの提供者や利用者の,自主的規制を奨励するために設けられた規定である と考えられている。インターネット上の情報の自由を重視し,媒介者の自主的な取組を促進
EU→電子商取引指令は,媒介者をコンテンツ への関与の度合いによって,消極的な関与しか行 わないもの(単なる導管,キャッシング)と,ある 程度は積極的に関わるもの(ホスティング)に分 け,前者には原則として責任を問わないが,後者 は権利侵害に関して認識しているのに放置したら 責任を負う。媒介者の性格に応じた責任を課す ことで対応を求める
□佐藤佳弘,インターネットと人権侵害 : 現状と対策 (特集 ネット上の人権侵害 : 対抗するために何ができるか) (356), 18-24, ,2017-11,ヒューマンライツ = Human rights
◎佐藤佳弘,ネット中傷対応の現状と課題 (特集 ネット中傷から身を守る) , 111(10), 10-14, 2020-10 ,都市問題
→加害者はプライバシー保護と表現の自由のもとに保護されている。かたや、被害者は、削除にしても発信者特定にしても、多大な労力、費用、時間の苦痛を強いられている。
プラバイダ責任制限法は損害賠償責任の制限と発信者情報の開示請求を規定していて、重要なのは、どちらも「権利侵害の明白性」を要件としている点である。
明白という曖昧な要件は判断が難しくプロバイダが任意での開示を拒否するため、多くの時間と費用を費やして訴訟による開示請求をしなければならない状況である。
●瀬川友香等,ユーザーに着目したSNS上の攻撃とそのメカニズムに関する分析 , JSAI2021(0), 1I4GS4c04-1I4GS4c04, 2021 ,人工知能学会全国大会論文集
→・特定の話題におけるユーザー同士の同調現象の観測 や [Kumar 18],攻撃的なユーザーの傾向 [Chatzakou 17]見てみる。
・以下の仮説に基づいて攻撃を類型化し,各攻撃 のパターンの傾向を分析する.また実際の有名な攻撃事例にお いて各パターンの寄与の度合いを明らかにする.
1. 攻撃事例はユーザーの興味関心のコミュニティから類型 化できる.また,攻撃的なユーザーは特定のコミュニティ に偏っている.
2. 普段から感情が特異なユーザーであるユーザーが攻撃を 引き起こしている傾向がある
3. 攻撃的なユーザー同士が同調して集団で攻撃を行なって いることがある
・攻撃は主に普段の趣味嗜好が近いユーザー間で起きる場合 と,遠いユーザー間で起きる場合の 2 つに分けられることが 特定できた.後者の場合の攻撃ユーザーは,特定の政治的思想 の強いコミュニティに所属するか普段からネガティブな投稿が 多いユーザーであり,両者の場合ともに攻撃を行うユーザーが 平常時にも繋がっている傾向の強いユーザーが攻撃している事 例も確認された.
・普段からネガティブな投稿や感情の強度の強い投稿を行 なっているユーザーは,攻撃対象が異なるコミュニティのユー ザーになると強い強度で攻撃を行なっている可能性があること が示唆された.攻撃者・被攻撃者のネットワーク上の距離が遠 くなるほど強い感情で相手を攻撃をしてしまうというオンライ ン上の脱抑制効果が働きやすいことも考えられる.
・一見世の中の様々な人間から攻撃されているように感 じられることでも,実際それらのユーザーは,ほとんどがリプ ライリツイートネットワーク的に近くにいる一部のユーザーで あったり,普段からインタラクションを行なっているユーザー 同士であり,そうでない場合は普段からネガティブな投稿を多 く行う特殊なユーザーからの攻撃である
〇髙橋未沙,プロバイダ責任制限法の改正概要と実務への影響 (特集 SNS等のネット誹謗中傷問題 : プロバイダ責任制限法の改正経緯とポイント) ,21(7), 7-15, 2021-07 ,Libra : The Tokyo Bar Association journal
〇中川佳保,「ことばによる傷つき」に関する言語コミュニケーション論的問いの導出 -心理学的研究のレビューから- , ,214-217,2015, 社会言語科学会, 第 44 回大会発表論文集
→伊藤誠基等,オンラインチャットにおける誹謗中傷コメントの発信を未然に防止する機能の中で人が傷つく要因の部分で引用されていた。
〇森亮二,表現の自由の保障切り下げを危惧 : ネットでの誹謗中傷を巡るSNS規制の論点 ,(827), 46-49, 2020-08 ,新聞研究
◎山口真一,ネット炎上させるのは誰か : ネットにおける誹謗中傷の実態 (特集 ネット中傷から身を守る) ,111(10), 4-9, 2020-10 ,都市問題
→ネット炎上→企業や人に対して批判や誹謗中傷がネットで殺到する現象
過去1年以内に1度でも炎上に書き込んだことのある人「現役の炎上参加者」はネットユーザーの約0.5%(200人に1人)しかいない。
数百のアカウントを作成しそれらを使って誹謗中傷やデマ流布を繰り返していた人もいる。
ごく一部の大量に書き込んでいる人の意見が、あたかも社会の意見であるかのように見えてしまっている。
炎上に参加しやすい傾向
→男性、年収が高い、主任・係長クラス以上
(炎上参加者の7割は男性)
書き込む動機
→「許せなかったから」や「失望したから」という正義感から書き込んでいる人が60%〜70%。
ここでいう正義感とは社会的正義ではなく、あくまで個人個人がもっている軸・価値観での正義感である。
〇山口真一,基調講演 コロナ差別や有名タレントへの誹謗中傷が起こったメカニズム (情報通信における安心安全推進協議会 ネット社会の健全な発展部会) , 13(6), 30-42, 2021-02 ,ICT world review = ICTワールドレビュー
〇?,総合的な対策の実施の必要性等を提言 : 総務省 インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方 , (3261), 10-15, 2020-08-20 ,行政評価情報
【ジュリスト = Monthly jurist,(1554), 14-52, 2021-02】
〇穴戸常寿,インターネット上の誹謗中傷問題 : 特集に当たって (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題) ,14-18
〇丸橋透,媒介者の責任 : 責任制限法制の変容 (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題) ,19-24
〇垣内秀介,発信者情報開示手続の今後 (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題),25-31
〇北澤一樹,名誉毀損(信用毀損)に当たる誹謗中傷とは (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題) ,32-37
〇上沼紫野,誹謗中傷と有害情報 (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題) ,38-43
〇曽我部真裕,匿名表現の自由 (特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題),44-49
〇中川北斗,総務省の取り組み(特集 インターネット上の誹謗中傷問題 : プロ責法の課題),50-52
【Business law journal 10(10), 20-37,40-45, 2017-10 】
〇北岡弘章,インターネット上の誹謗中傷への法的対応 (特集 誹謗中傷・炎上への対応実務) ,20-26
〇早川明伸,最近の事例から考察する 炎上の類型別対処法 (特集 誹謗中傷・炎上への対応実務) ,27-32
〇中崎尚,SNSの公式アカウント・個人アカウントの炎上予防策 : 平時における留意点 (特集 誹謗中傷・炎上への対応実務) ,33-37
〇?,削除請求を受ける側の視点 (特集 誹謗中傷・炎上への対応実務) ,40-45
【金曜日,28(26) ,16-25,2020-07-10】
〇望月衣塑子,言論空間を萎縮させ民主主義を破壊する誹謗中傷 (特集 ネット上の誹謗中傷も「表現の自由」なのか) ,16-18
〇石川優実,「くそリプ」=侮蔑的な返信 「くそリプ」に殺されないために (特集 ネット上の誹謗中傷も「表現の自由」なのか) ,19
〇佐々木亮,「反撃」に立ち塞がる高いハードル 被害を早く救済する制度の構築を (特集 ネット上の誹謗中傷も「表現の自由」なのか) ,20-21
〇臺 宏士,誹謗中傷の規制を名目にした政治批判封じに警戒を (特集 ネット上の誹謗中傷も「表現の自由」なのか) ,22-23
〇林香里,市民運動への反感と女性嫌悪(ミソジニー)がヘイトスピーチの土壌 : モノ言う市民に冷たい日本 (特集 ネット上の誹謗中傷も「表現の自由」なのか) ,24-25
【吉野ヒロ子 「炎上」 文献】
〇個人の炎上、報道で中傷拡大も ステレオタイプ脱し実態伝えて (特集 日常にひそむ暴力),(370),28-33,2021,Journalism
〇ネット炎上関連投稿経験者の特徴と批判の動機 : ウェブモニタ調査による検討, (32), 51-93, 2019-3,帝京社会学
〇ネット「炎上」における情報・感情拡散の特徴 : Twitterへの投稿データの内容分析から,(22), 60-78, 2018-03,広報研究 読んでみる!
〇インターネットの「炎上」によってソーシャルメデイア上の言論は萎縮しているのか : ウェブモニタ調査による探索的検討, (31), 93-114, 2018-03,帝京社会学
◎企業広報研究 ネット炎上のメカニズム,39(12), 7-9, 2017-12,広報研究(『経済広報』2017年12月号 (kkc.or.jp) )
→チューリッヒ大のRostらは、「炎上は、大量の批判、 侮辱的なコメント、罵倒が、個人や組織、集団に対 して行われ、数千または数万の人々によって数時間 以内に伝播されるものである」と定義 。
荻上チキ著『ウェブ炎上』では、「ウェブ上の 特定の対象に対して批判が殺到し、収まりがつかな さそうな状態」「特定の話題に関する議論の盛り上が り方が尋常ではなく、多くのブログや掲示板などで バッシングが行われる」と説明 。
炎上のきっかけ:ソーシャルメディアでの言動 や企業活動など、mixi、Facebook、Twitter、 Instagram、ニコニコ動画、YouTubeなど様々なネッ トサービスへの投稿
↓
mixiや FacebookなどのSNSへの投稿は、つながってい ない人には本来見られにくいが、投稿をTwitterや2ちゃんねるに転載されることで拡散(リツイートなど)
↓
ソーシャルメディアでの批判:ソーシャルメディアは、利用者が 多く、不特定多数の議論の盛り上がりが可視化される。また、Twitterには、盛んに投稿されるキーワー ドをランキングにした“トレンド”という機能があ り、“トレンド”に掲載されると、多くの人の目に触れてしまう。
↓
まとめサイトやネット ニュースなどのミドルメディアで記事化され、さらに批判が拡大 。
炎上にニュースバリューがあると、マスメディア にも取り上げられやすい。マスメディアで炎上が報道されると、企業の株価が有意に下がるという国内 の研究もある。
↓
個人→ 所属先組織で謝罪や処分
企業→謝罪やCMなどを取り下げるなどの対応
↓
炎上は 落ち着いていくが、ネット上の悪評は残ったままになる。
複数のメディアをまたぎ、話題が使い回されることで 炎上は長期化していくと考えられる。
炎上が盛り上がる条件
①対象が有名であること。有名で あると、広く人々の耳目を集めやすい。
②批判をさらに拡大する材料が出てくる こと。以前も不適切な言動をしていたことが発掘さ れたり、炎上への対応が不適切だったりすると批判 が広がる。
③批判に一定の公益性があること。多く の人が間違っていると感じる問題への批判は広がりやすい。
炎上参加者
“祭り型”動機が強い人
→面白半分に炎上に参加しているタイ プで、年齢が若く、子どもがいるという傾向があ る。心理的な特徴としては周囲の人に自分と同じ意 見を持つことを求め、気が短い傾向がある。炎上対 象者をたたいても自分が罰せられることはないとも 考えている。炎上の対象に直接抗議するといった行 動も取るが、炎上対象者を非難する気持ちが強いわ けではなく、みんなで盛り上がりたいために炎上に 参加していると考えられる。
“正義感型”動機が強い人
→社会を正すために投稿して いるタイプで、自分の経済的状況への満足度が低 く、向社会行動(外的な報酬を期待することなく、 他の人や他の集団を助け、役立とうとする行動)の 頻度が少ないという特徴がある。心理的な特徴とし ては、孤独感が強く、社会のことをよく考えてい て、ストレスがたまっているという傾向がある。炎 上対象者は常識が欠如していると考え、自分は社会 正義のために行動していると認識している。炎上の 対象には、直接抗議することは少なく、少なくとも 当人は中立的だと思っている意見を書き込むことが 多い。評論家目線で行動し、炎上対象者を非難する 気持ちが比較的強いと考えられる
〇Twitterと2ちゃんねるにおける「炎上」関与者の比較 : ウェブモニタ調査を軸に, (30), 105-128, 2017-03,帝京社会学
〇「炎上」する社会 ──「炎上」報道の内容分析と意識調査から──,(18), 105-119, 2016-03-31,情報処理センター年報
◎国内における「炎上」現象の展開と現状 : 意識調査結果を中心に,(20), 66-83, 2016-03,広報研究06_論文_吉野.indd (jsccs.jp) →ダウンロード済み
→
◯67ページ
「韓国でもさまざまな事例が起こっており、「炎上」によるバッシングを受けた芸能人が自殺するなどの事例 もある。韓国の場合は、コメント投稿者の実名が掲載されるサイトでも「炎上」現象が起きており、ネット実 名制が「炎上」を抑止しきれないことを示唆している。このように、文化やネット社会の構造が異なるさまざまな国でも「炎上」が起きており、荻上(2014)が指 摘するとおり、「炎上」は日本独自の現象とは言えない。ただし、国によって「炎上」しやすい話題の傾向や そのプロセスが異なる可能性もある。」
→匿名だから誹謗中傷しやすいと言うわけではなく、実名でも抑止できない。それは韓国だからなのだろうか。
◯2005年
「ネット上で不特定多数が一方的にバッシングするという現象そのものは、パソコン通信の時代から存在して いたが、「炎上」という言葉が定着したのは 2005 年前後と言われている(伊地知,2007、小林,2015)」
「『平成 18 年版情報通信 白書』(総務省,2006)を中心に見てみよう。国内でのネットの普及は、ブロードバンドサービスの低価格化 を期に 2000 年ごろから本格化したと言われているが、総務省による利用者数推計は 2000 年には 4706 万人・ 人口普及率 37.1%だったのに対して、2005 年は同 8529 万人・66.8%となっており、2006 年 3 月末でのブログ 登録者数は 868 万人、mixi(2004 年〜)や GREE(2004 年〜)などの SNS(Social Network Service 以下 SNS)登録者数は 716 万人と推計されている。
同年には、O’Reilly(2005)による「Web2.0」という言葉も話題となった。これは、Google に代表される 精度の高いロボット型検索エンジン、ブログ、SNS、Wiki などの登場で、より人々がつながりやすく、情報 が拡散しやすいネット環境が実現しつつあることを示している。」
→ 「つまり、2005 年は、人口普及率が 7 割近くに達しただけでなく、より つながりやすいサービスが広く使われ始めた分水嶺にあたる時期だと言える。」
◯2010年
「より簡単で、より速い情報共有を求める傾向は、2010 年代に入るとリツイートによって他者の発言を反復 してフォロワーに流すことができる Twitter や、自分とつながっている人に手軽に情報共有する「シェア」機 能を持つ Facebook の普及に向かう」
◯炎上という現象の定義付けは困難
・いろんなパターンがあるから。
・「「炎上」が「インターネット上の社会運動」と同義ではない。」
〇69ページ
「「炎上」と隣接現象との違いをまとめると、(1)規模の問題(どれくらい批判が寄せられたり、広がった りしたら炎上なのか)、(2)社会的な広がりの問題(ネット上の問題として捉えるべきか、ネットを超えてい るのか)、(3)内容の問題(批判の背景はなにか)、の3点が挙げられる。(1)については個人的な諍いと、(2)はネットだけではない世論全般のうねりと、(3)はネット発の社会運動と、「炎上」とつながっている と考えることができる。
以上の議論を踏まえ、本論文では、「炎上」の重要な特徴として次の3点を指摘しておきたい。(1)複数の ネットサービスやメディアに跨って批判が広がり、その結果、ネットニュースやまとめサイトに「炎上」とし て紹介されること、(2)ネット上での集合行動として捉えられること、(3)ネット発の社会運動との違いと して、論理的な議論や批判ではなく、憎悪・侮蔑など感情的・攻撃的なトーンが特徴となっていること、である。」
◯炎上の発生モデル
「「サイバー・カスケード」(似たような意見を持つ者同士が結 び付けられやすくなることによって、ネット上の意見が急速に先鋭化していく現象)(Sunstein,2001=2003)」
→ 「ネット上では選択的な情報接触の自由度が高く、自分と似た意見にのみ接することが、 対面的な関係やマスメディア以上に容易である。そのため、ネット上の議論は先鋭化しやすく、極端になりが ちである。」
◯炎上への参加
一種のイベントとしての側面
・集合的沸騰(社会学者 Durkheim )
→ネット上で不特定多数が盛り上がる「祭り」は社会性のあり かを確かめ合う営みとしての側面を持っていると論じている。
・攻撃の社会的機能説
→「炎上」には社会的制裁によって秩序を確かめ合うという機能があると述べている。
◯炎上参加者
山口は、20 歳以上を対象としたネッ ト調査を実施し、「炎上」に参加した経験者と、その性別・年齢・世帯年収などの特徴をロジット分析によっ て分析している。その結果によると、「炎上」に参加した経験がある者は 1.5%存在し、男性が多く、年齢は若 い方が多かった。学歴は有意な影響を与えておらず、個人年収・世帯年収は有意に正の効果がみられている。
◯ 70ページ
「炎上」が ネット上の問題に留まらないのであるなら、「炎上」参加者に対する調査だけでなく、「炎上」に興味を持つ人、 マスメディア経由で「炎上」を知った人など、この現象を取り巻く人々が「炎上」をどのように認知し、評価 しているのかも検討することが必要。
→本研究では、「炎上」に関連して批判的な書き込みを行った経験者だけではなく、 Twitter のリツイートに代表される「拡散」をした経験がある者、あるいは「炎上」について検索するなどな んらかの行動をとったことがある者、ネットニュースやマスメディアを通じて認知している者まで関心を広げ、「炎上」のメカニズムを探ることとする。検索まで対象を広げるのは、「炎上」の社会的影響力は書き込みを行 う者だけにとどまらないからである。みずからは批判的な書き込みはしていなくても、「炎上」に興味を持ち、 経緯を注視している人々がどのくらい存在するのかも知る必要がある。
「炎上」の認知率は、80.3%にのぼり、24.5%が「炎上」で批判されている対象を批判する、「炎上」に関する情報を検索する、周囲の人と話題にするなどの行動経験があった。
行動経験がある者のうち、 「炎上」で問題となっている対象を批判した経験、批判している者を批判した経験、拡散した経験がある者を 「関与」群(40 名・全体の 3.6%)とし、「炎上」に関して検索したり、「炎上」の現場を見に行ったりした経験がある者を「興味」群(221 名・同 22.9%)、家族や知人など身近な人と話題にした経験がある者を「話題」 群(108 名・9.7%)とした。
◯72ページ〜
・関与行動経験者(以下「関与」群)
→「Twitter や Facebook で自分のコメントは入れずに拡散した」「批判されている人や組織を、 ネットで批判した」「批判している人を、ネットで批判した」経験がある回答者 40 名(3.6%)を、ネットで の議論の盛り上がりに関与したとみなす。
・「炎上」にな んらかの興味・関心をもった行動を経験している者(以下「興味」群)
→「関連する情報を検索し た」か「炎上しているブログや Twitter を見に行った」経験がある回答者 221 名(19.8%)
・話題にした経験がある者(以下「話題」群)
→ 「家族や知人に話した」108 名(9.7%) 拡散行動とも共通している。
◯74ページ
ここまでの「関与」群と「興味」群の特徴をまとめておこう。「関与」群は男性が若干多く、年代別で見ると 20 代・30 代で 80%を占める。職業は会社員が多く、専業主婦・主夫は少ない。世帯年収の分布を見ると 200 〜 399 万円が 32.5%と目立つ。「興味」群と「話題」群は 60 代以上が少ないが、20 代〜 50 代にかけて 「関与」群よりも偏りなく分布している。全体とくらべて、「関与」群ほど職業に大きな偏りは見られないが、学歴と世帯年収が高い傾向が見られる。
◯炎上に対する意識 78ページ
唯一「関与」群が低い項目は 「対象に影響がある」で、「関与」群は「炎上」の原 因を対象の常識の欠如に帰し、社会正義として意味があると捉える傾向がある一方、「炎上」は対象に 大して影響を与えていないと評価している可能性がある。
◯炎上への参加理由推測
「関与」群と他の群でもっとも差が大きくなるのが「義憤にかられているから」で、「炎上」関与者は義憤に よって参加している側面があるが、その感情は他の群や一般には伝わっていないと推測できる。
◯ロジスティック回帰分析 78ページ
関与群
→まずネット上で「炎上」の対象者を批判したり、「炎上」関連情報を拡散した経験がある「関与」群についてみると、「炎上」に関与したことがある人は、ない人に比べ、年齢が若く、ネット上のみでつきあっている 友人が多く、ソーシャルメディアの利用については、LINE 接触頻度が少ない傾向がある。クレーム行動因子 については、ネットで第三者に不満を表明する行動をする頻度が、有意に正の効果を持っている。
Twitter など不特定多数が交流するタイプのソーシャルメディアの利用そのものが「炎上」への参加を促すのではなく、パーソナルな交流をリアルよりもネット上で行っていることが、「炎上」 への参加を促すと考えられる
興味群
→ 次に「炎上」に関して検索したり「炎上」の現場を見に行ったことがある「興味」群についてみてみる。パ ソコンからのネット利用時間が長い傾向があり、ネットとリアルにまたがってつきあっている友人は少ないが、 ネット上のみでつきあっている友人は多い。ソーシャルメディア接触については、2ちゃんねるの接触頻度が 高く、「2ちゃんねるまとめサイト」の接触頻度が更に高い。クレーム関連行動は、店員に直接告げるといっ たリアルでの行動が多い傾向がある。「炎上」の影響力は大きいと評価している傾向がある。
話題群
→ 「炎上」について家族や知人と話した経験がある「話題」群は、女性が多い傾向があり、ネット利用時間は スマートフォン経由が長い。知人の数はリアルで多く、ソーシャルメディアについては、「2ちゃんねるまと めサイト」の接触頻度が高い。2ちゃんねるそのものは見ていなくても、まとめサイトを経由して2ちゃんね るで話題になっているトピックを追っているのではないかと推測できる。クレーム行動経験についてはリアル での行動が多く、「炎上」の影響力は大きいと評価している傾向がある。
「炎上」の影響力については、「炎上」の当事者である「関与」群があまり大きく見ていない可能性がある一 方、「興味」群、特に「話題」群では大きいと評価している。「興味」群が検索したり、「炎上」の現場を見に 行っても、みずからネット上に批判を書き込まないのは、「炎上」の影響力を大きいと評価していることが要 因の一つとして考えられる
〇吉野ヒロ子他,2014-03,〈つながる/つながらない〉の社会学-個人化する時代のコミュニティのかたち
◎吉野ヒロ子,2021-03,炎上する社会-企業広報、SNS公式アカウント運営者が知っておきたいネットリンチの構造 →本の続き読む
→ロストらは「炎上・・・大量の批判、侮辱的なコメント、罵倒が、個人や組織、集団に対して行われ、数千または数万の人々によって数時間以内に伝播されるものである」と定義している。
・第3章 Twitterでは炎上についてなにが投稿されているのか
炎上に関与しているメディアの中で重要な位置を占めているTwitterについて、2つの炎上事例(2016PCデポ炎上と2017ラーメン二郎仙台店炎上)に対するTwitterの投稿データをもとに、「炎上事例に関する投稿の中で、ネットニュースやテレビ、新聞は、炎上に対して具体的にどのような役割を果たしているのか」「炎上において、攻撃的・批判的な投稿は炎上参加者に広く支持されている(リツイートされやすい)のか」という2つの問いを検討していく。
Twitterでは、元の発言を開くとその死体リプライが並んで表示されるので、攻撃的または批判的なリプライがたくさんついていると「荒れている」という印象を第三者に与える。
ある問題への攻撃的な投稿や真正面から批判している投稿よりも、その問題をネタ化した投稿の方がリツイートされやすい傾向がある。
2016PCデポ炎上では、顧客の家族がパソコン販売店PCデポは不当なサービス契約を行っているとツイートしたことがきっかけに批判が広がり、他にも同店のさまざまな問題点が浮き彫りになり炎上は長期化。2017ラーメン二郎仙台店炎上では、ある有名ラーメン二郎仙台店が投稿したツイートに対して批判意見と擁護意見が入り乱れた。
批判側と擁護側ともにお互い対立する立場のアカウントへ言及している比率が高い。
攻撃的な投稿(対象にダメージを与える意図があると解釈でいる語や罵倒語)はリツイートされにくく、批判的な投稿(批判的な表現として想定できる語)がよくリツイートされるかどうかは炎上の内容による。炎上参加者全体でみると案外冷静なのではないか。
・第4章 炎上に参加する人々
田中・山口2016では、炎上参加者はネットユーザーのうち0.5%、数万人程度と推計。
炎上に参加する少数の人々はどのような人たちなのか。
・「憂さ晴らし」モデル・・・世帯年収にかかわらず経済的状況への不満が強い者、経済的状況以外の要因も含めてストレスを溜めている者。
・「祭り」モデル・・・同じ意見を持つ者同士で盛り上がることを好み、異なる意見を許容したがらない者、周りの人が批判しているから流されて批判している者。サイバーカスケード。「社会的寛容性」尺度の測定。
・「制裁」モデル・・・社会への意識が高く、法律では裁ききれない行為が社会に及ぼす影響に敏感な傾向を持つ者。「社会認識」尺度と「社会考慮」尺度の測定。
→分析の結果、「衝突する可能性があっても自分の意見をはっきり言う傾向がある人」「規範意識が低い人」は炎上に参加しやすいと言えるが、「経済的状況への不満やストレスがたまっている人」「同じ意見の人と盛り上がるのが好きな人」「規範意識が高い人」が炎上に参加しやすいとは言えない。意見が似た人同士で盛り上がることで批判が先鋭化していく「祭り」モデルが、炎上に関する投稿をするかしないかをある程度説明できると言えそう。
炎上にはたくさんの「普通の人」が参加している。
「炎上」の対象を批判した理由
1 他人の批判に共感したから→「祭り」型動機
2 相手が間違ったことをしたから→「制裁」型動機
3 相手に忠告したかったから
4 盛り上がっていたから
5 もともと相手が嫌いだったから
6 誰かを叩いてスカッとしたかったから
・コラム4 弁護士の清水陽平先生による「誹謗中傷する人はどんな人か」
誹謗中傷で訴えられた人と炎上参加者には異なる特徴がある
→誹謗中傷をする人は、最初から攻撃する意図「この人を攻撃しよう」を持っているが、炎上参加者は社会に関心があるからいろいろ発信している。
正規雇用の仕事についていない人が圧倒的に多く、若年層よりは30代~60代の男性が多い。総数で見ると男性が多いが男女比はサイトによって異なる。
【Amazon 書籍】
◎毎日新聞取材班、2020,SNS暴力 なぜ人は匿名の刃をふるうのか
→p148~ 「第五章 匿名の刃から身を守る」読む!(法、裁判、損害賠償請求、制度、表現の自由など)
・本文中には多くの炎上案件が取り上げられ、中傷で傷ついた方の生の言葉、加害者側の心理、中傷を受けた場合の対処などが詳しく書かれている。私たちの生活の一部となり誰もが気軽に書き込むことが可能であるから故に、誰もが加害者、または被害者になりかねないということを改めて実感した。
・あおり運転事件の「ガラケー女」と誤解され犯人扱いされた女性が、SNSやサイトで〈捕まえろ〉〈自主しろ〉などと叩かれたり会社にその女性の電話やメールが殺到したりし、人違いであることを発信してもさらに炎上した。その事件に関する記述の中に「やがて〈詐欺師〉〈ブス〉などと、事件とは無関係の中傷も交じるようになった。」という記述があったため、「目的、対象とズレた無関係でいきすぎた発言」が中傷となるのではないか。それとも、「無関係」なだけで「関係する」ことも中傷となるのか。
・本書では批判的投稿と違法性の高い投稿と書かれていて、名誉棄損などにあたりうるものは違法性の高い投稿とされているため、批判と誹謗中傷の違いは違法性が高いかそうでないかなのか。
・しかし「中傷と正当な批判の境界線は明確ではない事例も多く、事業者に過度に積極的な対応を促すことは正当な表現を委縮させかねないという懸念もある」という記述もあり、やはり明確に批判と誹謗中傷を分けることは難しいのか。
・炎上については海外の論文で「大量の批判、侮辱的なコメント、罵倒が、個人や組織、集団に対して行われ、数千または数万の人々のよって数時間以内に伝播されるもの」と説明されている。
・誹謗中傷の被害者たちが加害者たちに直接話を聞いたり、加害者側が直接被害者に謝り話をしたという話があった。多くの加害者がはたから見れば「普通の人」であった。ストレスが溜まっていたため誹謗中傷することでストレス発散していた人、全く反省していない人などもいた。
・標的とされた人の個人情報などを洗いざらい特定し「エンターテインメントと少しの正義感」のために動く「特定班」の存在も、誹謗中傷ではないが被害者をさらに追い詰める要因であると感じた。特定班が間違った情報を流した場合は名誉毀損などで損害賠償を請求される可能性が高く、たとえ正しかったとしてプライバシー侵害になる。
・帝京大学の吉野ヒロ子准教授は、炎上を構成する投稿全体の6割は「なんだこれ」「こんなこと起きてるんだ」といった軽い反応で、話題になっているから反応しておく、という感じの人がかなり多いと述べている。
・本書では批判的投稿と違法性の高い投稿と書かれていて、名誉棄損などにあたりうるものは違法性の高い投稿とされているため、批判と誹謗中傷の違いは違法性が高いかそうでないかなのか。
・ナチスによる苦い過去を抱えるドイツ政府は特にヘイトスピーチに厳しく目を光らせ、2017年6月、SNS事業者に違法投稿の削除などを義務づけるSNSt対策法を制定した。ドイツ刑法では特定集団に対しての憎悪をあおったり尊厳を傷つけたりするヘイトスピーチを民衆扇動罪として規定しているがネット上への書き込みは絶えず政府が事業者への規制に乗り出した。
◎佐藤佳弘,2016,インターネットと人権侵害 : 匿名の誹謗中傷~その現状と対策 ,武蔵野大学出版会
→ネットの人権侵害「名誉毀損」「侮辱」「信用毀損」「脅迫」「個人情報やプライバシーのさらし」「ネット上で行われるいじめ」「児童ポルノ」「セクハラ・パワハラなどのハラスメント」「差別」
名誉毀損→人の社会的な評価を低下させる言動(悪口、嘘の噂、誹謗中傷)
名誉毀損罪→「公然と、具体的事実を摘示して、人の名誉を毀損する」
『3年以下の懲役、もしくは禁錮、または50万円以下の罰金』
侮辱→相手の名誉感情を害する言動(人をバカにする言動)
侮辱罪→「公然と、事実を摘示しないで、人を軽蔑・侮辱する」
厳罰化により30日未満の拘留か1万円未満の科料 →『1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金』 に改正される予定
・名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪であるため、被害者が刑事告訴しなければ検挙も処罰もできない。
信用毀損→信用(特に支払い能力、商売・営業能力などのビジネス上の社会的評価)を低下させる行為。虚偽の書き込みに限る
虚偽の情報を流したことで行の正常な遂行に支障を生じさせると(偽計)業務妨害罪ともなる。信用毀損及び業務妨害罪
発信者の特定には困難が伴う上、必ずしも特定できる保証はない。損害賠償を求める民事裁判では被害者側に立証責任あり。
裁判には時間、手間、精神的苦痛、費用がかかる。損害賠償金が認められても裁判費用の方が高い。加害者に支払い能力がなければ損害賠償金を得られない。
加害者に資金があったとしても、支払いの拒否が可能。差し止め、強制執行には、手続きと費用がかかる。(p.132)
→訴えるにも加害者からお金を取るにも、被害者側の時間、手間、精神的苦痛、費用負担が大きすぎる。またその負担を負ったからと言って必ず加害者を特定できるとは限らない。加害者を特定できたとしてもお金を取ることができず報われないこともあり、理不尽である。
→ある事件のデマ情報が流され犯人扱いされた著者がネット上で袋たたきにされた。その後著者は被害者となり、軽い気持ちで拡散した人たちは知らぬ間に加害者となった。それくらいいつだれが加害者になっても被害者になってもおかしくないネット社会、人を自殺にまで追い込む危険があるネット社会での自分の行動を見直す、自分の行動に責任をもつ必要がある。ネットリテラシーを学べる一冊。
〇安田浩一,2015,ネット私刑(リンチ),扶桑社新書
→評価コメントに「インターネット上で、犯罪加害者などの個人情報を晒し、さらにそれを拡散させていく「ネット私刑」。その「ネット私刑」について綴られた書。」とあるためあまりテーマとは関連性がないかと思ったが、読んでみてもいいと思った。
→IT知識が豊富な弁護士である著者が、インターネットから発生した問題がその枠を超え、実生活に影響を及ぼす末に法的な解決が求められた場合、どのように解決されていくかを語る。騒ぎの鎮静化、被害を残さないような措置など被害者を悩ます問題について弁護士がどのように関わり、法的に対応していくかをストーリー仕立てで伝える内容。前にドラマ化もされたとのことなのでドラマで見てみるのもいいと思った。
◎鳥飼重和,2014,その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識 ,新潮新書
★鳥飼重和・・・中央大学法学部卒。鳥飼総合法律事務所代表弁護士。企業法務、税務に関する時間を幅広く扱う。近時では税務調査士認定講座を開設。
→p147~ 「第2章 人はある日突然被害者になる 1.書き込まれたら、こう対処する」読む!
・『第1章 人は知らぬうちに「加害者」になる』では、「勘違いで罪を犯す人々」「名誉棄損をしてしまう人々」「個人情報を漏らしてしまう人々」「肖像権を侵害してしまう人々」「著作権を侵害してしまう人々」「嘘による罪を犯す人々」「善意で罪を犯す人々」について事例を挙げながら、インターネットで情報発信する際に気を付けるべき点、守るべきルールにを解説している。
『第2章 人はある日突然「被害者」になる』では、インターネットの情報により被害を受けた人がどうすれば書き込みを消すことができるか、どうすれば被害を回復できるかなどについて解説している。
・インターネット上の犯罪としては、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪、著作権侵害など様々な犯罪がある。
・初めは面白半分で、根拠のない噂をコピペなどで拡散した場合、オリジナルであろうとコピペであろうと書き込まれた人の社会的評価を下げることには変わりないため最初の投稿をした人もコピペをした人も両者とも名誉毀損が成立する。「うわさによれば・・・」というような表現で、自分ではなく他人の発言の引用という形をとった場合でも名誉毀損罪が成立するとした裁判例もある。また、ある病院に対して、自分は誹謗中傷していないがそれが書かれた掲示板のページのURLを新たなページに書き込んだ場合も、その行為は名誉毀損にあたる可能性がある。
→コピペでも最初に投稿した人と同罪になるということであるが、Twitterのリツイートはリツイート数が多いと把握しきれないため同罪とはならない?
ネットで調べたところ、誹謗中傷と思われるツイートをリツイートした人(特定しやすかった数人)が提訴された事例がでてきた。
・誹謗中傷に対して、個人から個人への場合しか考えていなかったが、個人から企業・団体への場合もあることを痛感した。お店の口コミなど
・侮辱罪については、名誉棄損罪と比べて刑罰は軽いものの、刑法231条では「真実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」とされていて、「バカ」「キモい」「クソ野郎」など相手を貶める発言は全て対象となる。
・私生活を公開することでライフスタイルを売り出したり自己のイメージアップを図ったりする有名人もいるが、有名人は「有名税」といって私生活がみだりに公開されたり、イメージのよくない話を公にされてしまうことで人気が落ちたり仕事がなくなったりするなど一般人にはない重大な不利益が生じる危険性がある。有名であれば誹謗中傷してもよい、プライバシー侵害にならないということは決してない。
・「冗談だから・・・」「盛り上がるのが楽しいから・・・」という軽い考えで書き込みをすると後で取り返しのつかないことになるため、掲示板に書き込んだりツイートをしたりすれば不特定多数の人の目に触れ、さらに多くの人に拡散していくということを忘れてはいけない。
★侮辱罪 刑法231条
事実を摘示せず、公然と人を侮辱した場合に成立する。発信者が逮捕される可能性は低く比較的刑も軽い。(宮本健太弁護士,侮辱罪とは?|被害を受けた時に役立つ6つの知識を弁護士が解説,https://best-legal.jp/insult-22576)
★名誉毀損罪名誉毀損罪 刑法230条 1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
具体的事実を摘示して社会的評価を低下させる表現を行った場合は名誉毀損罪、具体的事実を摘示せず社会的評価を低下させる表現をした場合は侮辱罪。
(宮本健太弁護士,名誉毀損されたらどうすればいい?被害回復の4つの方法とは, https://best-legal.jp/if-you-are-defamed-22441)
★信用毀損罪 刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し…た者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
信用毀損は通常は企業に対する犯罪行為である場合が多いが、刑法上は客体を法人に限定していないため、個人が被害者となる場合もある。
(田中圭祐弁護士,信用毀損罪をわかりやすく解説|事例(判例)と対処法をチェック, https://itbengo-pro.com/columns/197/)
★業務妨害罪
「偽計業務妨害罪」と「威力業務妨害罪」の2種類がある。
偽計業務妨害罪は、人を騙したり虚偽の噂を流したりして対象者の業務を妨害したときに成立する。真実の書き込みの場合は業務妨害にはならない。刑法233条
威力業務妨害罪は、相手に対する強い威勢を示して業務を妨害したときに成立する。刑法234条
(なった誹謗中傷の基礎知識-業務妨害(営業妨害)について,https://wakailaw.com/hiboutyusyou-trouble/gyoumubougai/)
【誹謗中傷 例】
①フジテレビのテラスハウスの出演シーンに対する誹謗中傷が原因で自殺した女子プロレスラーの木村花さんのTwitterコメント欄
以下、同一アカウント「けんけん」によるツイート(現在アカウントは消えている)
・男なら誰でもいいの?笑 このゴリラが可愛こぶっていい女アピールしてんの本当に不快吐き気がする。まじで早く出てけよ、
・まじでテラハから消えろよゴリラが。中身も見た目もクズすぎんだろ
・お前が早くいなくなればみんな幸せなのにな。まじで早く消えてくれよ。
②不倫報道のあった芸人アンジャッシュ渡部健に対して、「#渡部アレルギー」というハッシュタグがトレンド入りした。
批判やバッシングがあるのは仕方ないが、その度を超えたものはただの誹謗中傷にすぎないと感じた。
①→誹謗中傷と思われるコメントへの返信(コメント主に対して誹謗中傷を注意するようなコメント)→元のコメント主が返信(反論)
②→特定の誹謗中傷と思われるコメントへの返信ではなく、新規投稿で誹謗中傷コメントを批判→そのコメントを見た人が反論(例:誹謗中傷とされることが「図星」である)
誹謗中傷の告発に関して
Twitterの場合
→
①
「もういい加減に連盟はSNS等ネットなどでの誹謗中傷に対する注意喚起や声明をしっかり出すべき。」
「Twitterはもはや公共の場です。常に見る誰かのことを考え、誹謗中傷など誰かを貶めるような発言は避けましょう。」
などのツイート
②誹謗中傷のツイートは、ツイート主が後々削除してアカウントも削除することがよくあるため、スクリーンショットしてそういったツイートとアカウントをまとめ、晒す形でツイートする人がいる。これも告発?
批判の度を越してしまった場合、それもまた誹謗中傷となるのではないか
・特に過去の誹謗中傷のツイートやコメントは当事者によって削除されていることが多くやりとりを事例としてもってくることは難しいと感じた。
●→ネットにある ◎→読んだ □→読みたい
誹謗中傷・・・199件 誹謗中傷 SNS・・・16件
同調圧力・・・103件 同調圧力 SNS・・・2件 同調圧力 社会・・・22件