オランダ留学・スイスインターンを
経てCAという「目標」を掴んだ4年間
経てCAという「目標」を掴んだ4年間
国際観光学部で観光産業やホスピタリティについて学び、大手航空会社に内定が決まった新谷 実佑さん。内定までの軌跡と、その後に参加したスイスインターンシップで深めた「多文化共生」について取材しました。
国際観光学部 国際観光学科 4年
新谷 実佑さん
厳しい選考を経て大手航空会社の客室乗務員(CA)の内定を掴んだ新谷 実佑さん。彼女が目標を掴むまでの背景には、専門的な授業、教員による親身な個別指導、そして奨学金制度を活用したオランダ留学や国際寮RA活動といった様々な経験があります。本記事では、いかにして国際観光学部の学びがCAという目標に結びついたのか。そして、内定後も立ち止まらずにスイス・ツェルマットでのインターンシップに挑戦した理由について迫ります。
ー 本学の国際観光学部を選んだ決め手は何でしたか?
私は高校時代、外国語科のクラスに所属していたのですが、高校3年生の頃は、正直まだ将来やりたいことも、大学で何を学びたいかもはっきりしていませんでした。
ただ、英語が好きで「学生のうちに必ず留学したい!」という思いだけは強くありました。私が高校生の時はちょうどコロナの真っ只中で、修学旅行などに行けなかったことも、思いを強くする要因だったんだと思います。
そのような状況で大学選びをしている中、観光業界にも少し興味があったこともあり、留学などを経験して視野を広げ、将来は世界で活躍できる人材に成長したい!という気持ちから、特に惹かれたのが東洋大学の国際観光学部でした。
ー CAを本気で目指すようになったきっかけを教えてください。
子どもの頃からCAという職業には華やかなイメージがあり、憧れの存在でした。ただ、その頃はその“華やかさ”に惹かれていた部分が大きかったと思います・・・(笑)
まず最初のきっかけとなったのは、2年次に履修した「観光キャリアデザイン」という科目で、現役CAとしてご活躍されている大学OGの方がゲスト講演にいらっしゃったことです。お話を伺う中で、ホスピタリティ業界の最前線で求められるプロフェッショナルな姿勢と、その仕事が持つ大きなやりがいに魅力を感じました。もちろん、華やかさの一方で仕事の大変さや厳しさがあることも知りましたが、それでも強く惹きつけられたことを覚えています。
もう一つ転機となった出来事は、3年次に東洋大学の交換留学制度を利用して、オランダに滞在したことです。そこで文化や国境を越えて、多様な背景を持つ人々と接する中で、「人種を越えた人と人とのつながり」や「日本のおもてなし」の価値に気づかされました。この経験が、国際線でも活躍するCAを本気で目指す決定打となりました。
ー オランダ留学がCAを目指す決め手になったのですね。渡航期間はどのくらいですか。
半年間です。参加のきっかけは、1年次の必修科目である「ホスピタリティ概論」で徳江 順一郎先生から教わった「日本のおもてなしは世界共通で受け入れられるものではない」という言葉です。日本のおもてなしの精神は世界的に評価されており、世界中で通用するものだと思ってきた私は、思い込みを覆されたことに当時大きなショックを受けたことを覚えています。日本では「無私な奉仕」としてのサービスが特徴なのに対し、ヨーロッパでは従業員とお客さんが対等な立場で、対価に見合うサービスを平等に提供するのが基本だと知ったんです。
その後、「実際に海外でそれを実体験してみたい!」という気持ちから、留学参加を決意しました。日本人が周りに一人もいない環境に身を置くのは初めてで、環境や文化の違いもあり大変なことも多かったのですが、これを乗り越えたことで自信がつき、大きく成長できたと感じています。挑戦することで自身の成長へと繋がることを実体験できたこの経験は、現在の私の原点の一つになっています。
ー 国際観光学部での経験や学びの中で、就職活動に役立ったことを教えてください。
まず、安宅 真由美先生による「エアラインサービス実習」の授業です。ロールプレイなどを通して、サービスの仕方や立ち居振る舞いを実践的に学ぶことができ、仕事現場の具体的なイメージを持てたことは大きかったです。就活で重要な会話やマナーの基本を身に付けられたため、選考において大いに役立ちました。
もう一つは、先生方の親身な個別指導です。例えば就職活動中は、エアライン業界に詳しい安宅先生へES(エントリーシート)のアドバイスをいただけるようお願いしたところ、快くご指導をいただくことができました。また、エアライン志望の学生向け相談会にもお誘いいただき、そこで具体的なご指導をいただけたことが、内定獲得に直結したと感じています。 また、ゼミ担当の中挾 知延子先生とはお会いする機会も多く、留学の際や大学生活と就活の両立など、本当に様々な相談に乗っていただきました。
学部には熱心な先生方が多く、学生一人ひとりに寄り添い、具体的にサポートしてくださる体制が、4年間の支えになったと思ってます。
ー 他に、特に印象的だった授業や活動があれば教えてください。
まず、所属する中挾ゼミで学んだことです。特に2年次にはダークツーリズム(戦争や歴史の悲劇を通じて観光を学ぶ)をテーマに扱いました。観光はエンターテイメントや娯楽の印象ばかり持たれがちですが、実際は様々な産業や歴史と深く繋がっており、人々に学びを与える教育的な要素も多いことを知りました。
また、ゼミを通じて、異文化間コミュニケーションにおける「察する(日本特有のハイコンテクスト)」と「はっきり伝える(ローコンテクスト)」の違いを深く学びました。この学びが、自身の卒論テーマ「異文化間の繋がり」へと発展し、エアライン業界で働く上での視野が大きく広がりました。
もう一つは、授業外の活動ですが、2年次に参加した国際寮のレジデント・アシスタント(RA)の経験です。様々な国籍の外国人学生と共に長い時間を過ごすため、国内にいながら、まるで海外留学をしたかのような体験でした。寮内の規律維持やイベント運営、生活相談に乗る中で、今振り返ると、相手の文化的背景を理解しようとする異文化共生力と、寮生間の問題を解決するリーダーシップが鍛えられたように思います。この経験は、CAとしてお客様の不安に寄り添う上で欠かせない土台になったと感じています。
▲新谷さんが選んだ、一番お気に入りのアングルから見たマッターホルン
ー 就活終了後、あえてスイスでの長期インターンに参加した理由は何ですか?
RAでの経験やオランダ留学といった挑戦を経て、自ら新たな環境に飛び込むことが、多くの学びと自己成長、そして何より大きな充実感に繋がることがわかったんです。そのため、就職活動を終えてからも、さらに成長できる新たな挑戦の機会を探していた時にスイスインターンの情報を見つけ、「これだ!」と迷わず応募しました。
ー スイスでの活動内容と印象的なエピソードを教えてください。
活動内容は主に二つで、一つは、20名弱の従業員によるアットホームな家族経営のホテルでの業務体験、もう一つは、宿泊客へのハイキング同行案内です。インターン期間は約3週間でしたが、特にハイキング案内はほぼ毎日同行しました。
マッターホルンをはじめ、多くのアルプスで囲まれた雄大な自然の中を毎日ハイキングできた経験は、本当に言葉にならないくらい贅沢で「Inner peace」を感じるばかりでした。お客様のほうが体力があって、はじめはついていくだけで精一杯でしたけど・・(笑)
ホテル業務では、スイスの方々のゲストに対するホスピタリティを間近で見ることができ、日本のそれとの違いを肌で実感しました。また、期間中にツェルマット観光局の業務紹介やイベントを体験する機会もありました。
ー スイスでの経験を通じて、新谷さんの中で変化があったことや、得られたものを教えてください。
スイスで「多文化共生」や「自然と共生する観光」に触れ、日本のインバウンド観光や、共生社会のあり方について改めて考えるようになりました。
日本は支援制度やバリアフリー施設といったハード面は整っている一方で、人々の意識の中には“私たちとは違う存在”という線引きがいまだ残っていて、見えない壁があるように感じました。在留外国人や、いわゆるマイノリティの方々にとって、まだ生きづらい社会なのではないかって感じる時もあって。
一方、ツェルマットで出会った人々は、私を「日本人」としてではなく「ひとりの人間」として自然に受け入れてくれました。その対等で自然な関わり方が心に残り、国際的なホスピタリティの本質や、共生社会のあり方について、自分なりのヒントを得ることができました。
ー 留学やインターンのための語学力は、どのように磨いていったのですか?
東洋大学の支援体制をフル活用しました。語学力向上については、特に英語のスピーキングに焦点を当てたプログラム「Toyo Achieve English講座」と、マンツーマンでライティングを指導してくださる「ライティング講座」 を徹底的に活用しました。その結果、TOEICで860点を取得することができました。また、TGLプログラム(Toyo Global Leader)もプラチナランクを目指して取り組んでいます。
また、留学・インターンにかかる費用を賄うために、大学の奨学金制度も積極的に利用しました。TOEICスコアだけでなく、留学前のRAの経験やその他国際的な活動への積極的な参加が評価され「グローバルリーダー型奨学金」に選ばれたことで、費用面の心配なく挑戦に踏み出せたことはありがたかったです。東洋大学の語学教育体制と奨学金制度は、本当に素晴らしいなと実感しています。
将来、アジアマーケットの拡充に伴い、航空業界での活躍には中国語などのスキルも重要になります。卒業後も語学学習を継続していくつもりです。
ー 国際観光学部での4年間を振り返り、この学部ならではの魅力を教えてください。
観光について多角的に学ぶことができることです。
4年間の学びの中で、観光は私たちが思っている以上に社会的・経済的に重要であり、あらゆる産業と深く結びついていることを知りました。社会のさまざまな事象を幅広い視野で捉えられるのが面白いなと感じます。
また、学生時代に力を入れた海外体験を通して、観光は「異文化間とのつながり」に大きく寄与することを強く実感しました。将来は、観光を通して人と人とのつながりを広げ、この社会に温かい変化をもたらしていきたいと思っています。
ー 最後に、在校生や国際観光学部に興味がある高校生へメッセージをお願いします。
観光は、私たちの想像以上に可能性に満ちた分野です。私の経験から言えるのは、「挑戦すること、そして失敗を恐れないこと」の大切さです。
国際観光学部では、学びを通じて視野が広がり、社会をより良くする力を身につけることができると信じています。ぜひ一緒に、日本の観光を盛り上げ、明るい未来をつくっていきましょう!
掲載されている内容は2025年11月現在のものです。