自動車保険

保険の加入は、 (1) アメリカにて普通に自動車保険に入る方法と、 (2) JALファミリークラブの海外赴任者総合保障制度やクレジットカードのプレミオカードに加入しておいて、入国後、各制度の自動車保険紹介サービスを利用する方法の2つがあります。

アメリカの自動車保険用語

  • Liability: 賠償責任保険 (事故等で他人を怪我させたり所有物を壊した際に適用)

  • Collision: 車両保険 (自分の車の事故での損害をカバー)

  • Comprehensive: 総合車両保険 (collision に盗難、災害等も加わる)

  • Medical: 医療保険(事故等による医療費をカバー)

ペンシルバニアでは州法で最低でも Liability と Medical に加入することが義務づけられています。

ペンシルバニア州の自動車保険の各項目について (2014 May 稲田)

※編注:このセクションの内容は、こちらのブログからご寄稿いただいたものです。

アメリカの自動車保険の中の各項目について、一度きちんと理解しておこうと調べました。ペンシルバニア州にはみんなが混乱している独自の制度もあります。ここに記載するのは私の理解であり、一切の責任を負いません。

賠償責任補償 (Liability Coverage)

対人および対物の補償。我々が事故を起こしてしまった際に、相手側の車と人に対する補償をする保険です。一番大切な保険で、必ず入らなくてはいけません。

Full Tort と Limited Tort

これがペンシルバニア州独特のものです。ペンシルバニア州では、車の保険契約の際に、このオプションを選ぶ必要があり、みんなが混乱しています。Tort とは辞書では「不法行為」のことですが、法律用語で「Civil wrongdoing」という意味だそうです。”Civil wrongdoing – in civil law, a wrongful act for which damages can be sought by the injured party.” 「民法において、被害者側によって不正に請求される損害賠償」といったところでしょうか。

過去に事故に起因する精神的苦痛(pain and suffer)を賠償しろという訴訟が増加し続けていました。賠償訴訟に対応する費用は保険料に跳ね返り、自動車保険料は高騰していました。このオプションは、これを食い止める目的でペンシルバニア州が作ったものです。

Full tort も Limited tort も、本人の過失に起因しない事故で、本人または同乗者が怪我をした際に適用される話です。Limited Tort でも、過失のある車の運転者に対し、医療費や損害といった実際に被害者が支払うことになった金銭については補償されますが、事故により被った痛みや苦痛については、支払いを求める訴訟を起こすことができません。これに対し、Full Tort では、医療費に加えて、苦痛に対する対価も求める事ができます。

保険を検討している時に、複数のサイトに「多くの人は、保険料を節約するために Limited Tort を選びますが、長い目で見るとどうでしょう。我々は Full Tort を強くお勧めします。」と語られているのですが、よく見ると多くは弁護士のサイトでした。彼らとしては、訴訟を起こす前から権利を放棄されてしまっていては商売あがったりですもんね。でもどうでしょう、我々が訴訟を起こしたりまでするでしょうか。というわけで、私は初めは鵜呑みにして Full Tort にしましたが、後に Limited Tort に変えました。

この選択が人々を混乱させているのは、この「自分たちに対する補償」についての選択によって、対人・対物補償という「相手に与えてしまった場合の支払いに対処するための補償」の年間の保険料(Premium)が変わってくるからだと思います(下図の赤い矢印)。何についての保険なのかが、ごちゃごちゃになってくるのです。

無保険者保険 (Uninsured Motorist Coverage)

相手の過失による事故で、相手が無保険者であった場合(相手が無保険者である証明が必要)、こちら(運転者)及び同乗者の負傷に対する補償をしてくれる保険です。保険には必ず入らなくてはいけないので、相手が無保険という場合は少なそうです。次の保険不足者保険の方が大事そうです。

保険不足者保険 (Underinsured Motorist Coverage)

こう訳語をつけてみましたが、無保険者と似たもので、相手の過失による事故で、相手の保険が足りなかった場合に、こちらの負傷に対する補償をしてくれる保険です。実は保険料(Premium)が高騰していることもあり、かなり多くの人が、最低限の保険しかつけていないそうです。その場合の補償は、被害者一人あたり $15,000 (約150万円)程度。被害者となった時にこれしか補償されないのでは、問題なので、このオプションを付けておいたほうが良いわけです。

With Stack / Without Stack とは

ところで、無保険者保険・保険不足者保険には、Stacking(積み重ね)という条項があり、更に混乱させてくれます。これは「With Stacking(積み重ねる)」か「Without Stacking(積み重ねない)」を選択することになるのですが、複数の車を所有して一つの保険契約に入れている場合で事故に遭った時に、それぞれの無保険車保険の補償を積み重ねて請求できるようにしておくか、この権利を放棄するかというものです。放棄すると請求できる金額は少なくなりますが、当然年間の支払い保険料(Premium)は安くなります

契約書類上は、「REJECTION OF STACKED UNINSURED AND UNDERINSURED MOTORIST COVERAGE LIMIT」すなわち「無保険者保険の補償の積み重ねの拒否に関して」という書類にサインする(放棄する=Without Stacking)か、しないかという手続きでした。

なお、複数の車を所有する場合にのみ関係してくるものなので、一台のみの場合は、通常自動的に「Without Stack」になります。

私はこれは、Stacking を選びました。車を 2 台所有する際の保険料は倍というわけではなく、二台目はかなり割り引かれるので、Stacking にしても大した保険料にはないからです。

車両保険 (Comprehensive Coverage and Collision Coverage)

自分の車への損害に対する補償です。

  • Comprehensive は、盗難・火災等による車への損害に対する補償。

  • Collision は、自損事故による車への損害に対する補償。

自己負担額(=免責額=Deductible)の設定があり、この金額までは、まず自腹で払わなくてはいけません。それを超えた修理費を保険がカバーしくれます。つまり、自己負担額が $500 で、$1,500 の修理費がかかった場合には、自分で $500 を支払い、保険会社が $1000 を払ってくれます。

というわけで、自己負担額(=免責額=Deductible)を大きく設定するほど、当然毎年支払う保険料(Premium)は安くすみます。事故に遭った時の自腹が多いので。

その他、車両保険に付随するオプション

  • Towing and Labor: レッカーが必要になった場合の費用を出してくれる。

  • Roadside Assistance: ロードアシスタンスサービス。私の保険には「24時間の全米及びカナダ、ただしニューヨークを含まない」とありました。

  • Extended Transportation Expenses Coverage: 事故によって車が修理に出ている間のレンタカー費用などを補填してくれる。点検での修理工場入りは含まない。

  • New Car Replacement Coverage: 車両保険でカバーされるのはその時のその車の価値分であり、中古価格です。全損により新車を購入する必要が出た場合に、その差を埋めてくれるのがこのオプションです。

アメリカで加入

AAA で加入するか、エージェントと直接契約するかの 2通りとなります.安く保険に入るための以下のようなコツがあるようです.

日本で契約している自動車保険会社に英文の書類を作ってもらう。

必要な情報:

  • Policy Number

  • Insured Name Address

  • 過去1年間の保険履歴

  • 保険内容と保険金額

  • 事故歴 (過去3年間)

FAXで可。過去3年間に事故ってるーという方もいるかもしれませんが(私もそのうちの一人)私は、保険料割引(%表示)でごまかしました。

ペンシルバニアの免許証を取る

契約時は、Learner's Permitに記載されているIDがあればよいので、 knowledge testが通っていればOK。国際免許証より安くなるらしいです。

AAA オフィスでは,保険に入りたいと言うと,その場で見積りを探してくれます.Progressive や AIG などの保険会社を使うことが多いようです.AAA の紹介する保険会社は一般的に高めなようですが,AAAは assigned risk plan といってどんなドライバーでも強制的に保険会社を割り当てることができます.エージェントなどを通した場合に運転履歴などにより加入を拒否されるような場合も,AAA経由でなら必ず加入できるようです.

エージェントは,ピッツバーグ地域のエージェントとコンタクトを取るか,またはWebサイトで見積り・申し込みできる保険会社もあります.

Craig M. Ferguson & Co., Inc.

Tel: 818-889-8978

  • 「プレミオカードの自動車保険はここが引き受けている。プレミオカードとは別個に、ここに直接連絡しても保険は購入可能。すべて日本語で問題なく購入することができました。(エイジスよりも安いケースあり。) 但し当然ですが、プレミオカードによる3者通話による通訳などの付加サービスはつきません。」(中田 Jul 2002)

  • 「最近、契約を迅速に対処してくれるようになったみたいです。」(中田 Feb 2003)

John Yuss Insurance Agency

TEL 412-486-4012 FAX 412-486-4409

  • 「Mr. John Yuss が日本人びいきということで、連絡をとりました。対応が非常によく、多少高めだったのですが、秋学期が迫っていることもあり、ここにお願いしました。見積もりもFAXで1,2日で送ってきてくれ、分からないことについては分かりやすく教えてくれました。日本での保険を考慮してくれました。 (ただし、日本から書類をFAXする必要あり。) 後述するProgressive の代理店だと思います。契約は、6 months or 12 monthsのみ。ちなみに 97 Honda Accord LX Coupe BI/PD 100/30/50、MED-EXP 5K, Comprehensive (500), Collision (500)で$800/6months。ComprehensiveとCollisionのdeductionを $500から$1000にすれば$700くらいでしょうか?さらに Application fee $10必要。」 (黒澤@CMU Aug 2000)

Newton-Lehman Insurance

3808 Mcknight East Dr. Pittsburgh, PA 15237 412-364-4000

  • 「保険代理店です。Progressiveその他保険を扱っています。East Liberty AAA内にある Progressive の横柄な代理人と議論するのに疲れた方、一度電話してみてはいかがでしょうか? 料金的は同じシステムなので、基本的に同じはずだと思います。(要確認) 場所はRoss Park Mallそばの側道を入った奥にあります。私は、Louさんと言う方を紹介してもらい、その方と直接お話しましたが、こじんまりとしたオフィスですし、そのほかの方も良い雰囲気でした。」(坂井 Oct 2002)

Progressive Insurance

TEL 1-800-888-7764 http://www.progressive.com/

  • 「AAAが真っ先に紹介するのがProgressiveのようです。Web上で保険料の見積もりができます。いただいたメイルですと、調べた保険会社の中で一番やすかったそうです。($530/6 months)」(黒澤@CMU Aug 2000)

GEICO

TEL: 1-800-861-8380 http://www.geico.com/

  • 「Graduate Student Assembly@CMU の Discounts のページによると、The National Association of Graduate-Professional Students (大学院生連盟) がディスカウントを交渉したとあります。詳細は不明ですが、大学院生は何らかのディスカウントを受けられる可能性があると思います。」(荒木 June 2012)

JALファミリークラブの制度を利用する

  • 「日本で「JALファミリークラブの海外赴任者総合保障制度」に加入してくると、安く良い条件で自動車保険を買える上、日本語サービスも受けられ便利です。AIG というアメリカの保険グループ (実はAIUも傘下) の国際サービスである AIGIS が日本語での紹介サービスを行ないます。 この基本プランでは自動車事故による賠償責任を対人・対物一事故30万ドル以上2億円までカバーし、30万ドル以下の保険については米国内の保険会社を紹介してくれます。一般にアメリカの保険会社は日本での運転経験を考慮しないのに対し、アンブレラ保険では日本での運転履歴を考慮するところを紹介してくれるので、保険料も安くおさえることが出来ます。「AIGISは国際免許しか持っていなくても、現地免許を取得している条件で見積もってくれます (つまりPA免許を取得しても保険料は安くならない)。また Rent に住んでいても、 Home owner割引などを適用してくれるようです。」(中田 Feb 2003)

  • 「日本での運転履歴が3年ないと,このサービスは利用できないようです.」 (大越 Jul 2003)

入会の手続きについては、JALファミリークラブの海外赴任者総合保障制度を参照してください。

プレミオカードの制度を利用する。

クレジットカードのプレミオカードに入会すると特典として自動車保険紹介サービスがあります。入会の手続きについては、プレミオカード を参照してください。

保険の途中解約

帰国が迫った場合、お金がもったいないので、通常の保険契約期間である半年ではなく、1カ月や数週間といった変則的な期間で保険に加入したい場合があります。あらかじめ期間を指定して保険を更新すれば、問題ないようです。また、途中で解約しても、残った時点での残りの保険料は返金されます。詳しくは保険会社の担当者に問い合わせてみて下さい。

  • 「AIGISを使っていますが、最終更新時に「x月x日まで」と指定すると、日割りで保険学を計算してくれて、それだけ払えばOKでした。払い戻しの手間もかかりません。」(倉田 July 2002)

  • 「返金までに2~3週間かかります。余裕を持って手続きをすれば滞在中に受け取ることができます(AGIS)。でなければ、届け出た日本の住所へ郵送されてくることになり換金がやっかいです。」(池澤 May 2003)

  • 「自動車保険は、AIGISの場合、登録の車を手放した時点で(まだ解約してなくて も)無効になります。車を売って、レンタカーを借りるような場合、それまで の保険ではカバーされませんので注意が必要です。(ほかの保険の場合には、 あてはまらないかも知れないので保険会社に確認してください)。」(池澤 May 2003)

カナダ国内の保険

自分の車でカナダに行く場合には、Registration Cardの他に車の保険会社からCanadian Non-Resident Inter-Provincial Motor Vehicle Liability Insurance Cardというのを発行してもらって携行する必要があります。無料で発行してくれると思います。自動車の登録カードと同じ名刺大でオレンジ色、上には簡単にタイプで住所、車体ナンバーが打ってあるだけの簡単なものです。詳しくはAAAのOntario州などのカナダのTourBookを参照して下さい。