第32回例会(その7)
投稿日: Sep 19, 2015 5:43:53 AM
続いては初参加のHI会員と毎月指導碁を打って記録してくれているYKAT会員との19路盤4子局です。
本局は今まで一番検討時間を要した対局でした。本局の一番の見所は、「どうやって上手は手を作るのか?」
です。
黒14まで満点の進行。ただ黒8では穏やかに打つ進行もあった(変化図1)。
白15は黒6の位が低いのでこうやって黒模様を消したいところ。
変化図1
黒8で1と一間に受けるのもあった。もし白が2,4と打てば黒5とハサんで主導権を握る。
あと黒1だと先に打った◯とのバランスも良い。
黒16は「ボウシにケイマ」の格言通りで良い。
ただ黒18は相手を固めて疑問。ここは左下の壁を生かして攻めることで主導権を握りたかった(変化図2)。
あと黒24は小さい。黒16,20と手をかけているので、ボウシした前譜白15の石は捨てても惜しくない(所謂「利かした石」)。
黒26〜30は良いタイミング。地合いは黒がリードしている。
変化図2
黒18では黒1とツケコス手があった。シチョウは黒が良いので白は5と打てず4と打つが、黒5とノビればAとBが見合いで白大変だった。
黒34は遠慮しすぎ。31の下にツケて渡りたかった(変化図3)。
白39は打ちすぎ。
黒40は好手。しかし黒42はよくなかった。ここでは45に打ちたかった(変化図4、5)。
変化図3
黒34では1とツケたかった。白が1にツナげばAで良い。
A,Bでコウを仕掛けるのは白も怖い(コウだては黒が多そう)。
変化図4
黒42では1とコスみたかった。2と逃げ出すのは黒15までで上辺の攻め合いは黒勝ち。
変化図5
黒1に対して白2とノビるのは黒3,5まででこれは白取られ。
黒46,48と低位をハウのはつらい。
黒56白57の交換は悪手。右辺が薄くなっている(この交換がなければ57のツケコシをみながら黒は容易にサバくことができた)。
黒58は大場。先に地を稼いで右辺はしのいでしまおうという一手。右辺に手を入れるのも有力。
白59はこれまで力を溜めてきた白が攻めに回る一手。ただこの手では他の手も考えられた(変化図6〜10)。
変化図6
白59では1とつける手が第一感。もし黒2,4と取ろうとすると白7,9が隅に利くので
白11が成立する。
黒14と脱出を図っても白15が厳しく...
変化図7
白27まででAとBが見合いで黒死。
変化図8
白1に対して黒2と普通に押さえれば白3とキリチガエてから5を利かして7と打つ。
以下25までで右辺の黒は大変(◯の白石は取られない)。
変化図9
そんなわけで白5には右辺を守ることになる。それで白7と一目抜いて今度は上辺〜右上隅の黒一団への寄り付きをみる展開になる。
変化図10
あと白59では三々に入る手もありそう。右辺の黒は12で安泰だが上辺〜右上隅の黒一団への寄り付きはまだ狙える。
白61,63は手筋だが、黒68がうまい手で黒72までで切断されてしまった(変化図11)。
変化図11
白69では1と打てばコウになる。ただこのコウは黒の負担が軽い(そばコウがたくさんあるため)。
黒80は頑張りすぎ。
黒82では隅を守るべき。白89までの隅の損は大きい(変化図12)。
変化図12
黒82では1とツギたかった。白2に黒3が利くのが自慢(手抜きは黒4と逃げ出されてしまう)。
その後黒5の割り込みが厳しく、黒9と打てば×とA〜Cが見合い。
白99は後の譜でわかるように(変化図13〜15)。
変化図13
白99では1と打つ手があった。黒2と普通に応じれば白11までで活き。
変化図14
黒2とノビて頑張る手は白3とはってから白5,7とでギル手がうまい。
黒14と眼を奪いに来れば白15と切って...
変化図15
白19まででAとBが見合いで黒つぶれ。
黒100は打ちすぎ。101に引いておくところ。
黒110は111に跳ねたい。
結果白に大きな地を作られてしまった。
中央に大きな白地ができて細くなっている。このあたりはYKAT会員の持ち味が出ている。
黒42は失着。後で見る大逆転の遠因となった(変化図16)。
変化図16
黒42は1を利かすところだった。これで一眼確保した上で黒3も利かせて5と打てばこの時点でこの黒一団は無条件で活きていた。
黒8が敗着。白9と打たれてこの部分が欠目になってしまった。
白13と一旦つないでから15と放り込んだ手が冷静な一手でこれで黒は両コウ死になっている。
最後で大逆転が起こった。