日本弁理士協同組合第18回囲碁大会
投稿日: Nov 23, 2019 9:24:39 AM
2019年10月26日(土曜日)に日本棋院市ヶ谷本院にて開催された弁理士協同組合の第18回囲碁大会に参加いたしました。
参加者は、PA会から6名、他会派から2名、合計8名でした。
4名ずつ2つのグループに分かれて、総当たりリーグ戦で優勝を争いました。
その中から、他会派のU弁理士と、私KUとの対局をご紹介いたします。
黒番がU弁理士、白番が私で、定先の手合いで打たれました。
<第1譜(1-10)>
左上でいきなり切り違いを打ちました。黒の打ち方次第でいろいろな変化が考えられます。
<第2譜(10(再掲)-22)>
左上は、黒が外に勢力を作り、白が隅で地を取るわかれになりました。
途中、白18で黒21のところに切れば、白石が外回りに来るわかれになる可能性もありました。
<第3譜(22(再掲)-40)>
白22は、上辺黒の厚みをけん制するつもりで打っています。
黒23から、右辺に焦点が移りました。黒31のハサミがやや無理だったかもしれません。
黒39で上下の連絡を目指しますが、白40のノゾキで黒の連絡が難しくなりました。
<第4譜(40(再掲)-57)>
黒41に対して白が右上を守れば、黒は、白40にのぞかれた点を守りつつ、右辺を渡ることができます。
しかし、白は42で右辺のワタリを止め、黒43に対して先手で応対して、白48から右下の黒の根拠を脅かします。
なお、白48の飛び込みは、一路上のハイコミの方がよかったです。
<第5譜(57(再掲)-73)>
黒は脱出するために57まで足を伸ばしましたが、一路右に控えた方がよかったです。
実戦は、白58から分断されて封鎖されてしまいました。
黒73までなんとか生きましたが、中央の黒が弱体化しました。
なお、黒69に対して、白から眼を取りに行こうとすると、参考図1のようにダメヅマリで白がつぶれます。
<参考図1>
黒6で白7の箇所に押さえると欠け目になるので注意が必要です。
白7まで白石を3つ並べさせてから黒8とアテを打つことによって、白9とつなぐ必要が生じ、
白の全体のダメが詰まってオイオトシになります。
相手の石を3つ並べさせてからアテを打つのは、詰碁でも頻出の筋です。
<第6譜(73(再掲)-100)>
白74から78は、カス石を取るだけの手で少しおかしく、黒79で上辺に先着されてしまいました。
白は、86から94にかけて右上黒の眼を脅かしています。
しかし、すぐに目を取りに行くのは、中央に脱出されて成立しません。
そこで左辺に展開しました。
白96は無理な手で、黒97の一路右(白84から見て大ゲイマの位置)くらいに控えて打つべきでした。
<第7譜(101-133:表示は1-33)>
本譜で白2から白10までの打ち方は完全におかしく、上下に分断された白石の少なくとも一方が取られそうです。
白は、下側をなんとかしのぎましたが、黒133で上側の白が丸のみされて敗勢に陥りました。
<第8譜(133(再掲)-161:表示は33-61)>
黒133に対して、白138から動きますが、左辺の白の脱出はかないませんでした。
その代わり、白160までで右辺黒の退路を塞いでいます。
ここで黒161の上辺のワタリは大きい手なのですが、結果として波乱を呼びます。
<第9譜(161(再掲)-188:表示は61-88)>
白162からのコウ争いは、コウ材が多い白が有利で、黒は179でコウを譲ります。
ここで白180のノゾキに黒181と1目を抜いたのが敗着でした。
白182で抜き跡が欠け目になり、この白石は白184から186でつかまりません。
なお、参考図2に示すように黒181で黒183の地点に打っていれば、黒は二眼を確保できていました。
しかし、実戦でこれを読み切るのは難しいです。
白188の後、終局まで打って白20目勝ちでしたが、右上黒が死んで実質的に終了でした。
<参考図2>
白2に対して黒3が好手です。黒7と黒9で白石をアタリにし続けられるので、黒11の眼持ちに手が回ります。
なお、白2の代わりに白4と打つと、黒7、白2、黒9の順で、5の地点の3子取りと11の地点の眼持ちとが見合いになります。
白2の代わりに白3と打つと、黒2の点が急所で、7の地点の1目取りと4の地点の切断とが見合いになります。
<まとめ>
序盤で、黒が右下で二眼生きを強いられる展開となり、白が少し有利になりました。
中盤、白が左辺で大失敗して黒の勝勢になりました。
しかし、大ヨセの入り口あたりで発生したコウ争いによって局面が紛れ、黒の右上の大石が頓死したことで、白の大逆転勝利となりました。
本局は手どころが多く、おもしろい内容になったのではないかと思います。