第22回例会(その3)

投稿日: Jun 21, 2014 4:7:4 AM

続いては昨秋から参加したTS会員と私(会長)の19路盤5子局を紹介します。

私は基本的に初心者にルールを教えたり、9路盤対局や13路盤対局での指導を優先的に行っています。

しかし時間が空いたときには19路盤で対局することもあるのですが、なかなか一局打ち切る時間が取れません。

そんなときに便利なのが、iPadの「囲碁棋譜メモ」というアプリです。これで記録しておいて打ち掛けにしておいて、次回の例会で続きを打つことができます。

本局も2月かけて打ちました。

黒10は趣向。6の右に打たれるのを嫌った手と思われますが有力だと思います。

上辺一帯が丸々黒地になっては大変なので白17は当然。

これに手を抜いて黒18と左上隅から仕掛けたのは面白い。

ただ黒20は白石に近寄り過ぎ(変化図1参照)。白21に黒22とノビるのはサバキを与えないためにはこの一手だが、白23,25,27で少しくつろいだ格好。

白29とサバキを求めたときの黒30は最強手だがこれは悪手(変化図2,3参照)。

黒20では1と挟む方がよかった。白が2と飛び出せば黒も調子で3とケイマに受ける。

白が4と上辺と連絡しようとしても黒5のツケコシで切られている(シチョウにならないことをご確認ください)。

こうなると白まずいので黒1には手を抜いて後でA,Bを打つ機会を伺うことになるでしょう。

黒30では利かされのようでも1とハネておく方が良かった。白は2と切り違えてサバキに出るが、このときに3,5と反発するのが重要。

白6と1子抱えて治まったように見えるが、まだAとマクる手があるので相変わらず攻撃対象になる。

あるいは3と跳ね出して×の1子を腐らせるのも有力。上辺の白5子にはAとコスんでC〜Eと眼を奪う手が残っている。

またAの後Bのハネが厳しいので◯が先手になる(右下の模様が大きくなる)。

31は助け出すためではなく捨て石にするための手。白は右上隅で実利を得ているのから上辺の3子は取られても構わないのです。

黒36は左辺の白と上辺の白を分断するためにはやむを得ませんが(変化図4,5参照)、白37で上辺が破れたのは大きい。

白41,43に対して黒42,44と手をかけて取る展開になっては白の捨て石作戦は大成功です。

この捨て石で、白は以下のような成果を得ました。

1.上辺の黒地を破った

2.左辺の白と上辺の白が連絡できた

3.左上隅の黒が薄くなった

白41,43で左辺の白と上辺の白が連絡できたので45の大場に回ることができました。

黒36には1と押えたいのですが、白2,4のデギリが成立し...

白16で黒ツブレ。

黒48は白一帯を攻めるために必要な一手。

白は49とツケて断点を守りました。

黒54では55に打つ方が良かった。

黒58は部分的には形の急所で、次にキリを見ながら全体の眼を脅かしています。

しかしこの白は10譜で出てくるように左上隅三々に入れば先手で切られる形なのでそれほど怖くありません。

またノゾいたところを切られても大したことはないと判断しました。

そう考えて打った一着が白59です。

白65から中央で戦いを起こしました。

黒72で左辺の4子は取られていますが、これも白の捨て石作戦でした。左辺の白4子は既に活きている黒石にへばりついているだけの石なので価値が小さいのです。

白75とアタリを利かして...

白77と先手で切って中央から下辺を大きくまとめにかかりました。

白103までで中央から下辺の黒は取られました。

黒は既に活きている石から4子取っただけなので8目(4子とってヌキ後が地になるから)増えただけですが、白は中央から下辺の黒を大きく取り込んだことで白地を大きくしました(20目はあるでしょう)。

白17を利かして(これも捨て石の効果)今度は白19と中央に襲いかかりました。

白23は弱気だった(変化図6,7参照)。

白23では1とつなぐべきだった。以下15までで黒の大石は取られている。

黒2とシボってくれば白13まで、中央と右下隅の黒に寄り付く手がありました。

白31は待望の一手。黒32は正解。白33で31の石が連絡している。

黒36は無理で37と連絡しておくべきだった。ただ形勢は悪かったので投げ場を求めたのかも知れない。

振り返れば4譜の黒52,58あたりで三々を守って上記の手を防いでいれば黒にまでチャンスはあったかもしれない。

白49までで左上隅の黒に活きはありません。

総譜。白の捨て石作戦が成功した一局。