第30回例会(その3)
投稿日: Mar 30, 2015 1:39:28 PM
続いては一昨年から毎月指導碁を打っているKIT会員と、現在実力急上昇中のKAT会員との19路盤9子局を紹介します。
この碁のキーワードは、「分断」と「根拠」です。
中央を大事にして打とうという気分が出ているのは非常に良い。ただ単に中央を囲うだけではなく、相手の石を分断して攻める姿勢も重要(変化図1)。
黒10の前に1と押さえたかった。以下5までとなったときに白6が省けない(打たないと右上隅の白は死んでしまう)ので、その後に7と実戦のようにボウシすればよかった。
実戦は全ての白石が連絡してしまっている。
黒16の肩ツキは意欲的。ただ黒20は疑問。白は23,25で活きる形だし、右上隅の白が活きているため上辺は地になりにくい(変化図2)。
黒20では1と押さえたかった。以下実戦と同じように進行したときに左上隅の盛り上がりが大きいことに気づくはず。
黒32は小さい。なぜなら白は手抜きできるから(白は手抜きしても根拠があることを読んでいたはず)。
黒34は厳しい。しかし40は見損じ。白41でせっかく白を切断した要石が取られてしまった。
2目取られたことで白が厚くなり、結果として白45が厳しくなった。
黒40では1とトブのが形。以下3まででAとBが見合いで白苦しい。
黒46はこう打つところ。ただ黒50はどうだったか。早く治った方が良かったかも(変化図4)。白は51まで下辺で治って黒全体を狙っている。
黒54は好手。ただ黒58,60はひるんだ(変化図5)。
黒50では1とぶつかって左下隅の薄みを補った方が良かった。白2のノビには3から攻める要領。
黒58ではまずは1とキリたい。2のツギは絶対だがここで黒3とトブのが良い。
白Aのハネだしには、黒Bとキリたい。白Cのノビには黒Dで隅は活きている。白は弱い石を抱えて苦しかったはず。
黒62は手堅いが働きに乏しい(変化図6,7)。
黒66,68は右辺を大きく囲おうという手だがこれで下辺〜左下隅の黒が薄くなっている(変化図9)。
黒62では1とトビたかった。実戦のように三々に入って来れば13と切ってから15とハネる。
白16には黒17と打って白の目を奪う。以下手順は長いが...
黒35までで◯に目ができるので活き。白は二眼できない可能性が高そう。
黒68では1とキリたい。2のツギは必然なので、その後黒3とキルのが良い。
以下7まででAのカケとBの押さえが見合い。
この譜での黒の着手に悪手はないが、左下隅を放置するのは問題。
黒98は良くない(変化図10)。
黒98では1とヒキたかった。白2で黒の1子は取られるが黒3からアテれば7までで中央が止まる。
黒18では20と一目を抜くべき(変化図11)。
黒18では1と抜きたかった。白2の押さえは必然だが、そこで黒3とツケるのが急所の一着。
白4でオイオトシだが敢えてつないで4子を取らせるのがうまい。取り後のAに置いて白9で黒1の場所につながせてから黒9とハネれば黒13までで左上隅はコウになる。
黒22では23と打ちたかった(変化図23)。
黒22では1とツケれば6まででコウになる。
白39で左下隅の白が活き、結果として左下隅〜下辺の黒の大石は死んでしまった。
総譜(151手以下略)。以前よりも実力が向上しているのはわかりますが、KIT会員相手に9子局を卒業するにはまだ課題があるようです。
その「課題」とは最初に述べた、1.分断、2.根拠です。白石の分断を意識していれば右辺の白地はもっと小さくなっていたでしょうし、根拠を意識していれば左下隅の黒は活きていたでしょう。KAT会員のさらなる健闘を祈念します。