第20回例会(その4)

投稿日: Apr 19, 2014 3:51:16 AM

今回は、2月かけて打たれたTO特別会員と私(会長)の一局を紹介します(TO特別会員の定先)。

この碁は模様の張り合いになりましたが、(1)どのようにして中央を地にするのか、(2)どのようにして模様に手を付けるのか、というところが見所です。

ではどうぞ。

白12は左辺に打っている方が良かったか? 白14に黒15はこの一手。さてこの次の白の一手は?

白16と割り込みましたが、これは18と切られていたら困っていた(変化図1参照)。ただ実戦は17と上から押えたのでまずまずの分かれになった。

黒25と同じように打ち込んできたのに対し、白は26以下隅にサバキを求めた。これは隅で治まって25の打ち込みの価値を小さくする狙い。

黒17では黒1とキル手が成立した。シチョウが悪いので白6と打つしかないが、黒7と打たれるとAとBが見合いで白苦しかった。

このように×の石がシチョウに取られないときには、黒1のキリが成立することを覚えておくべき形(実戦でもよく現れる)。

黒は31のアテを決めた後33と下がって隅を守った。白は34以下下辺の打ち込んだ石を飲み込みに出た。ただ白38は後で見るように貪りだった。隅〜下辺はアジが残っている。

白42は上辺の壁の弱点をつくことで黒39,41を遠巻きに狙っている。黒43は一見損な手に見えるが、後でわかるようにこの手には狙いがあった。白44は当然のように見えたが大失敗(変化図2参照)。

白44では白1とツナギ、以下3,5と頭を出して競り合うべきだった。そのように中央〜右辺の黒と競り合っていれば、下辺の白模様をまとめやすかったかもしれない。

実戦は49と一目抜いた形が厚く、左辺〜中央の模様を盛り上げているだけではなく、右辺の△の2子への間接的な応援になっている。つまり△の2子を攻めても、上辺の形が厚いので白が得をしない。これはTO特別会員の狙いであり、私は注文通りの手を打ってしまった。私もうかつだったが、TO特別会員の大局観の明るさを見た。

白は上辺での封鎖を避けるのが精一杯で、黒は左辺一帯に黒の巨大な確定地ができた。

黒63は模様を深く消すときの常套手段だが、ここではもう少し素直に消す手があった(変化図3参照)。

黒63では普通にカカッっていて十分だった。もし白2と隅のサバキを拒否すれば、黒3以下を利かして9と打てば良い。×が◯へ打つ手をみて利いているので、この下辺の黒を全部取ることは不可能。第2譜で白38が貪りであったと書いたのは、変化図3のような利きが残っていたからです。

黒69では黒1とハネる手の方が良かった。これだと結構白地を減らしています。

一段落してヨセ。この時点では細かいですが、白残るかな、という感触を得ていました。

総譜。本局は序盤の構想から良くなく、本来なら白惨敗の碁でした。勝てたのは下辺の黒の荒らしが失敗したためでした。黒の残念譜。