2014年12月例会番外編

投稿日: Jan 04, 2015 8:5:12 AM

今年も12/23にPA会囲碁同好会例会番外編が行われました。

今回は趣向を変えて普段の日本棋院有楽町囲碁センターではなく日本棋院市ヶ谷本院で行いました。さすが日本棋院本院だなぁと思ったのは、小林覚九段、水間俊文七段やアマチュア強豪の平岡聡さんを見かけたことでした。

参加者は、TS会員、KAT会員、KIT会員、そして私(会長)の4名でした。最近の例会よりは少ないですが、そのおかげで私は参加者全員と対局することができました。そういえば昔の当同好会の例会ってこんな感じだったよなぁと思いました(もっとも他の参加者が参加し始めた頃は増え始めた頃なのでピンとこないようでしたが)。

今回はそのうちの一局、TS会員との5子局を紹介します。TS会員の激しい攻めとそれに対するサバキにご注目ください。

良い立ち上がり。特に白5に対して6とコスミツケて白9とトバせた調子で10とヒラキヅメたのは非常に良い。

ただ黒14では右辺の白石を厳しく攻めたかった(変化図1)。実戦は右辺の白が治まってしまった。

黒14では1とコスミツケたい。以下3までとなる。5子局なので白は放置して他へ向かうが、黒からはA,Bなどの攻めが見込める。

黒22は緩んでいるし足が遅い(変化図2)。どうせ中央に顔を出すなら22の一路下まで足を伸ばしたい。

白29は先手を取るための一手。黒は相手にすると後手を引いてチャンスを失うと見て30と打った。

さて上辺の白はどうなるのか?

黒22では1,3と二段バネしたい。4のキリは5,7で怖くない。×が利いているので4の一子は動き出しにくい。

また7までで○にある天元の一子が援軍になっていることに注目してほしい。

32のキリチガエは最強手段。黒石の多いところなのでまともに戦っても成算が持てないので33とツケから上辺をサバキに出た。

44で中央の白を取りきるのもあったと思うが、TS会員は妥協することなく44とツナいできた。

白45はしょうがない。このとき「ここで潰されるかもしれない」と思ったけど、ここは勝負するしかないと思った。

黒46は当然の一手とはいえ厳しい。48,50は最強手段(変化図3)。

51,52の交換の後の53のハネだしが自慢の一手。これで中央の白と右辺の白は連絡している。

60は53の地点にツナいだがこれは打ちすぎなだけでなくダメ詰まりになった(変化図4)。

次譜で明らかにされるようにダメ詰まりになったために白への攻めが効かなくなった。

黒50では1とアテるのもあった。その場合は2,4と白3子は捨てる。Aのアテが残っているのでこれからの碁だと思っていた。

ただこうやって検討していると、TS会員がこんな穏やかな図を選ぶわけないよなぁと思った。

黒60は1に押さえる一手。中央をしっかり止めた上で最後に5に手を戻せば中央の壁が強力で依然黒優勢。

TS会員は中央の大石を召し取るつもりだったのかもしれないが、攻めによって厚みを作って得(本局では右下隅〜下辺の白への攻め)をすればそれで良しと考えても良かった。

61と出て63に回ると右辺の黒がダメ詰まりになった。そのため65が利きになってしまい(黒74に手が戻る)、中央の白が右下隅〜下辺の白と連絡してしまった。

ただ75は打ちすぎだった。75の一路右にノビて先手で活きておくべきだった。

黒84は88の一路左に打って活きておくべきだったし、せめて82の一路下にツナぐべき。

白は待望の87のスベリに回った。

95までで右上隅の黒の一団に活きはない。

黒6,8の攻めの方向は正しい。このように中央の黒を強い石とみなして、その中央の石へ向かって逃がすように追うのは攻めの基本。このように攻めることで左下隅〜中央に大きな黒模様が出現した。黒18は切れるところを切らずにノゾいた所謂「生ノゾキ」の悪手(変化図5)だが、本局では中央の白を全滅させなければ足りないとみて勝負に出た。白のシノギは?

黒18では1と切りたい。白は2,4から中央に寄り付くふりをしながらサバくしかないが、11までで中央〜左下隅に巨大黒地ができた。これでもまだまだこれからの碁だった気がする。

なお.中央の黒一団は○に一眼と3箇所の×のいずれかがもう一眼となるので活きている。

まず第1感は21のツケコシ。

黒22は苦心の一手だが、実戦の進行を見ると32とハネるのと大同小異だったかも。

黒30は本手。しかし黒30と左辺に手を戻してくれたので白31以降のシノギのめどがたった。35のワリコミで上辺か左辺の黒と連絡できる。

総譜(136手以下略)。白中押し勝ち。TS会員のパンチをすれすれでかわして勝った一局。とはいえTS会員はヨミがしっかりしていて急所に石を持って行くことができていると思いました。今後は、

1.「相手の石を攻める」≠「相手の石を取る」、「相手の石を攻める」=「得をする」(自分の地を増やす、相手の地を減らす)

2.相手の石を攻めるときには自陣の安全を確かめる

ことを意識することでグンと強くなると思いました。