2019年夏の囲碁大会

投稿日: Sep 03, 2019 4:41:8 AM

PA会囲碁同好会2019年夏の囲碁大会

PA会囲碁同好会では、毎月の例会以外に、1月と7月に囲碁大会を開催しています。

去る7月13日に開催した囲碁大会では、多くの熱戦が繰り広げられましたが、その中から、囲碁同好会幹事同士の対局をブログでご紹介いたします。

黒番がNM会員、白番が私KUです。3子逆コミ6目の手合いで打たれました。

 

<第1譜(1-18)>

布石は、普通の形で進みました。

黒18では、上辺を重視してAのあたりに打つこともあります。

実戦の黒18は、左上白が手を抜いた急所に厳しく迫った手です。

<第2譜(18(再掲)-33)>

白25は悪手でした。白29で中央に頭を出したものの、黒30で左上隅から切断された上に眼形も薄い、弱い浮石を作ってしまいました。ここまで、白から見て、3子の置石のハンデを全く詰めることができていません。

なお、白25では、黒26の地点に打つのがよかったと思います。

<第3譜(34-80)>

黒は、特にミスもなく、3子の置石のリードを保ったままうまく運んでいます。

白の立場からすると、チャンスが巡ってくるまでじっとがまんする必要があります。

しかし、黒80を見てチャンスが来たと思いました。

<第4譜(80(再掲)-107)>

実戦の進行の通り、白は、白81から白89まで、左辺の黒の味の悪さにつけこんで黒80を左下隅の黒と切り離すことに成功しました。

囲碁ソフトで黒の勝率を検証したところ、白79までは開始からほとんど変わらず75~80%を維持していましたが、白89が打たれた後は60%にまで低下し、黒106の局面ではついに勝率50%(つまりイーブン)となりました。黒は、白の壁に近い黒80の1子を無理に動かずに、下辺を消すくらいの方針で軽く打った方がよかったかもしれません。

黒の打ちすぎにより形勢がイーブンになりましたが、白107は悪手でお返しした形になりました。この手は、中央の黒の一団を取りに行こうとしている手なのですが打ちすぎで、Bのあたりに打って下辺を大事にする方がよかったようです。

<第5譜(108-126:表記は8-26)>

白は、中央の黒の一団と右辺の黒との間の連絡を無理矢理断ちましたが、その結果として、参考図1に赤丸で囲って示した右辺の白の一団が全滅しました。

白の方針は、参考図1に青丸で囲って示した中央から右下に広がる黒の一団をいじめて得をすることによって、損を取り返そうというものです。

しかし、この方針は無理があったようで、黒126までの局面を囲碁ソフトで解析すると、黒の勝率は75%程度にまで高まっています。

<参考図1(黒126までの局面)>

<第6譜(127-153:表記は27-53)>

黒134まで進んだ局面で、黒は中央に後手一眼を作れるので(黒146と打ったところ)、黒136以降、右下隅で先手一眼を作れば生きることができます。しかし実戦では、白153でコウになりました。

ここで、白の方も、下辺と右下隅とでそれぞれ生きなければならないので、黒は、無条件で生きるために白の薄みを脅かして、下辺及び右下隅それぞれの白に対する攻めを見合いにするように打った方がよかったようです。

例えば、下辺に対する利きを活用することで、右下隅で先手一眼を確保することができていた可能性が高いです。参考図2の手順は一例ですが、黒9の後、白は、Aの地点とBの地点とを同時に守れません。

<第7譜(154-200:表記は54-100)>

コウ争いが続きましたが、白193のコウ立てに対して黒はコウを解消し、中央から右下に広がる大石を生きました。白193のコウ立てから、白197の連打が果たしてどれだけの価値を生むのかがポイントになります。

<第8譜(201-229:表記は1-29)>

白201の時点で、上辺から中央に広がる黒の一団は一眼しか確保できていません。

黒は、白の包囲網を突破しようとしますが突破できず白229を見て投了となりました。

なお、両対局者とも黒の一団に生きがないと認識していたのですが、実際には、参考図3-1、3-2に示すように生きる手段があったようです。

このことに気付いたきっかけは、投了の局面を囲碁ソフトで解析した結果、黒の勝率が40%程度でまだまだヨセ勝負であることが示唆されていたためです。

<参考図3-1>

黒3の下がりを先手で打てます。

黒5白6の交換で左上白のダメが詰まることによって、黒7の切り込みが成立します。黒13まで×印がついた種石を取ることができます。

このように黒が生きた場合、細かいながらも黒がリードしているようです。

<参考図3-2>

白6で隅の断点を守ると、黒7でコウ争いが始まります。したがって、黒の無条件死ではなかったということです。

<まとめ>

前半は黒にミスがなく3子のリードを保っていましたが、中盤で黒が中央に浮いた石を作ったことによって、局面に紛れが生じました。その結果、大石の生死をかけたコウが発生し、白から見て楽しみが多い展開になりました。

最終的には双方が死活を見誤るほどのギリギリの攻防となり面白い内容になったと思います。

 

なお、NM会員と私KUが参加したグループの優勝者は、NM会員でも私KUでもなく、TT会員でした。