第20回例会(その3)

投稿日: Apr 13, 2014 2:37:22 AM

第20回例会(その3)で取り上げるのは昨年11月から初参加したTA会員とTS会員の19路盤4子局です。TA会員は昨年11月以来皆勤賞で指導碁を打ってくれていますが、なかなか本Blogで紹介できませんでしたが、やっと今回紹介できました。

白7に対して黒8は三線をハウのを嫌った打ち方で、右下隅の展開によって黒4の動き出しを決めようという一種の高等戦術。

白9黒10と我が道を行く展開になった後の白11〜15は無理気味。

白11では変化図1のように1と割り込んだ方がよかった。これで黒の壁にフシをつけておいた方が実戦よりも良かった。

また白13では隅で生きを確保しておいた方が良かった。黒厚い碁形だが実戦よりも良かった。

白25は見損じ。

黒32,34は部分的な形だがこの場合は、右下隅の強い石から動き出しているので石が重複している。格言でいう「生きている石の近くは(価値が)小さい」です。

序盤〜中盤では、地の大小、形の他に、石の強弱を意識して着手を決めることが重要です。本局では、右下隅は手を抜くべきでした(白からいくら打たれても黒石はびくともしないかから)。

白35はこの一手。黒36,38も良い流れで打てている。

黒40は左辺の白の根拠を奪う一手だが、黒も根拠がないので善悪は難しい。もう少し簡明に打つ手もあった(変化図3参照)。

黒42はその一路左に黙って下がった方がアジが良かった。

白43では、私であれば44にノビていた(変化図4参照)。

黒44は部分的な好点だが、白45がうっとうしい(変化図5参照)。

黒40では黒1以下左辺の白を封鎖する打ち方がわかりやすい。左辺黒は根拠がなくはっきりしないので、このように打つことで優勢を持続するのも有力だった。白A、黒B、白C、黒Dのコウがあるが、これはそばコウが多いので心配ない。

白1とノビると黒2あたりに挟まれるのを嫌ったのが実戦と思われる。しかし、挟まれても白3辺りにトンでおいて、白A,Bから隅に手をつけたり、白Cから左下隅へのヨリツキを見て打つのもあった。

黒44ではたとえば黒1,3のツケギリで封鎖を避けた方がよかった。以下捨て石を活用して厚みを作ってから黒15と打ち込めば上辺を白を攻めることができる。

手順中7と下がってわざと2子を取らせる打ち方に注目。2子にすることでダメを増やして利き(黒9,13)を作っている。格言でいう「2子にして捨てよ」。

黒46以下必死に頭を出している。白51は左上隅の2子への応援だが55にカケツイで右上隅への攻めを見ておくべきだった。60への打ち込みには競り合う姿勢でいた方が上手らしい戦い方だった。

白55は頑張り過ぎ。黒が3手もかけているところなので先手で切り上げて左上隅と左下隅に手をつけるべき(変化図6参照)。

黒60はかねてからの狙いの筋。

白55では1とアテて先手をとって上辺を安定させてから左辺一帯で仕掛けるべきだった。一例としては5とカドにおいて仕掛ける手があった。白11に対して黒A,Cとデキるのは白D黒E白Fで黒ツブレ。白11に黒Cと打つ変化は難解だがやはり手になる。大ゲイマに対する5のカドは急所になることがあるので覚えておいた方がいいでしょう。

白67は見損じ。黒68で白63の石は取られている。その結果、上辺の白4子も取られてしまった。

黒76は切れるのに切らずにノゾいた手で「生ノゾキ」と呼ばれる悪手。

黒76では黒1,3とデギるところ。以下AからBと打つ手とCで4子を取る手が見合いになっているため白の壁は破れる。実戦はここに白の壁ができたことで上辺の攻め取りが残る形になって黒が損をした。先の黒76はこの手を自ら消していることを確認してください。

白91,93,95,97で巨大白地が出現した。しかし逆転するには至らず。

総譜。黒7目勝ち。白の序盤と中盤の見損じが響いた一局。