第24回例会(その2)

投稿日: Aug 31, 2014 8:56:44 AM

続いては第11回例会以来皆勤で指導碁を打っているKIT会員と、最近実力急上昇中のKAT会員の19路盤9子局を紹介します。

最近初心者に囲碁を教える際には、あまり死活を教えない方が良いと聞いたことがあります。しかし本局は、死活や手筋を学ぶことが如何に重要なのかを私に再認識させてくれました。

ではどうぞ。

黒6は3が小ゲイマであればプロの対局でも打たれる手。個人的には本局でも有力だし、従来教えられてきたコスミよりも働いていていると考えます。

白7は黒だけではなく白にとっても怖い手(個人的には無理筋だと思うし置碁の白の打つ手としてはかなり過激)。黒6,8とひるまずに正々堂々と受けて立ったのは非常に良い。

ただ黒12は弱気というか甘い(変化図1)。これでは白7をとがめきれない。白は13は両方にとっての根拠の急所。白15が先手になる(隅の黒に利いている)ので、白のシノギは何とかなりそう。

黒10では1と飛び下がって隅の根拠を確保したい。以下白2から黒11まで隅の黒はAとBが見合いで活き。◯の黒石が白の負担になるはず。

黒16はこの一手。黒18はその一路上に打つべきだった(変化図2参照)。この形は後で出てくるように隅だけでは黒は活きていない。

白23までで右辺の白をほぼ活き形にした上で25と飛び出した。

黒26は好手。黒28は悪手ではないが、自分であれば29とハネる。30までで黒好調。

黒18では1とヘコむのが急所。これで◯で一眼と、×のどちらかにもう一眼できるので活きる。

白31に対する黒32は緩んでいる。白33以降39までで石を外に持ってきて隅の黒を封鎖することができれば白は安心。

黒50では右上隅を活きておくチャンスだった。

黒52は悪手ではないが、右辺との間隔が狭いので58辺りに打ちたい。

黒58は好手。このまま中央がまとまっては大変なので白59と打つのは止むを得ない。

黒60は厳しい一手。ここから戦いが起こる。

黒62,64は白59,63の2子の攻めを見た手だが白65のツケが66を見て先手になるのが辛い(変化図3参照)。

黒68,70,72は非常に良い。置碁ではこのように力を溜めてから攻めに転じることが重要。

黒74は71の右に打った方がもっと厳しかった。

白75は頑張った打ち方。

黒62では1と押えるのも有力。以下7までが相場だが、この後白は一手入れないといけないので黒は厚みを築いた上に先手を取ることができる。

黒76は形が緩んでいる。77にオサえる一手。79までで中央の黒が一気に薄くなった。

90は俗筋。このアテは今決めない方がよかった(変化図4,5参照)。

黒90では1とオサえる一手。もし2とアテてくれば、それには手を抜いて3と置く。

以下13までで右辺の白は死んでいる。

だから黒1には2と活きなければならない。そうすれば3以下7までで白3子を大きく取り込むことができる。

黒92,98は辛いが止むを得ない(黒90でダメが詰まったため)。

白101は様子見。黒102は小さい。ここでは下辺の白3子を攻めるべきだった。

黒96では1と切りたいが、白4までで黒ツブレ。変化図4,5のように×に石があればこの白2,4は成立しなかった。

白7,9と種石を取り、細碁に持ち込もうとしている。

黒19はひとまず19の右にオサえたかった。

黒22〜26は左辺〜上辺一帯白への寄り付きを見た好手。

白27はこう打ってみたいところ。

黒28はいいが黒30は悪手(変化図7,8,9参照)。これでは左下隅の黒2子が飲み込まれてしまう。

黒30では1と切り違える一手。2とアテてきても以下9まででA(白2子が取られる)とB(2眼持つ)が見合いで黒活き。

2〜8とシボってきても黒11が形の急所で活きている(◯の一眼と×にハネることで△にもう一眼できる)。

白2,4ときても黒5,7で2の1子が取られるので黒は連絡している。

黒36は小さい。ここでは左上の白一団を狙う手があった(変化図10,11参照)。

また上記の手を思いつかなくてもせめて37に打つべきだった。そうすると少なくとも左辺の4子が取られていた(前譜の22〜26の効果!)。

白45までで左下隅の黒2子は取られたが、中央に大きな地がついたのでまだ黒が良い。

最も次の黒の一手が重要だが...

黒36では1と打って左上の白一団を分断する手があった。

2以下眼を作りにいっても黒7までで白は一眼しかない(右側の眼は欠け目)。ちなみに左上隅の黒は11までで活きている(各自ご確認のこと)。

また白8で9と打つ手もあるが、これでも黒は活きている(各自研究のこと)。

よって黒1には白2のツケコシが唯一のシノギ。だが黒3,5まででコウにしかならない。

しかもこれは、白の負担が大きすぎる(黒は負けても大した損はしないが白は負けたらそこで勝負がついてしまう)。

このようなコウは「花見コウ」と呼ばれる。

この黒46が敗着となってしまった。ここは右上隅に手を入れる一手だった(変化図12参照)。

白47でこの黒一団に活きはない。

黒46では1,3とハネツグ一手だった。しかも白4は省けない(同じところに黒から打たれると周辺の白が取られる)ので先手になる。

以下9(白が手を抜くと、黒A,白B,黒Cで×の白2子が取られて隅の黒が復活する)まで先手で寄せれば黒の勝ちだった。

総譜。最後は大差になったものの、アマチュア5,6段のKIT会員にここまで打てたのは素晴らしい。

今後は石の筋や形や簡単な死活を勉強すると良いでしょう。