星の小ケイマ受けについて(第1回新春囲碁大会へのコメント)

投稿日: Feb 14, 2015 9:6:0 AM

本稿は、第1回新春囲碁大会に対するKAT会員からの質問に対する回答である。

これはテーマ図。ここで実戦は上辺に二間ヒラキしたが、これについて消極的とコメントしたところ、対局者であったKAT会員から、「右上を安定させてから打ち込もうという意図だった」とのコメントをいただきました。確かに攻める前に自陣を強化するというのは非常に良い心掛けです。しかし既に強い石に手をかけるのは緩い手であり、戦機を逸することになります。

そこで今回は、上記の黒の構えが強いのか弱いのかを検討します。

まずテーマ図では、黒は右辺に打ち込みたかったとコメントしました。

以下3までで右辺を荒らした上に少なくない黒地を得たので黒は黒満足の図です。

しかし右上隅が弱ければ逆襲されます。

ではここで右上隅はどうなるのか検討しましょう。

まず10とツメる手ですが、これは11と守っていて大丈夫。次にAから順に打てば二線にスベった白石を取ることができますし、取らなくても×で囲んだ領域が黒地になると考えれば黒は安全と言えましょう。

ちなみにこの11は大切な一手で、この手を省くと...

黒11手抜き。白12にハわれます。13とオサえたときに白14が厳しく、以下18までで黒は眼のない形で攻められます(黒AとハネだしてもBと打てばこの白は上辺と連絡しています)。

逆に白10とハウ手に対しては黒11とヒラけばよろしい。これで×で囲んだ領域が黒地になると考えれば黒は安全と言えましょう(△は白が打つことが予想される箇所)。

以上からおわかりいただけるように、テーマ図の右上隅の黒の構えは、隅のオサエと上辺のヒラキが見合いになっているために根拠を持っていて強い構えと言えます。