第26回例会(その3)

投稿日: Sep 28, 2014 12:18:41 PM

続いてKU会員とKAT会員との19路盤9子局を紹介します。

白が少しずつポイントを挙げて最後は大差で勝利した一局です。どのようにして上手がポイント挙げているのかに着目してください。

本局はKU会員による自戦解説です。

黒14までは無難な立ち上がり。

しかし黒16のカケツギはあまりお勧めできない形です。

黒16では1とカタツギをするのがよいです。白はヒクしかなく、隅を押さえて白に生きを強要します。

黒16では1とアテて、白を隅に封じ込めるのも一法です。

黒9では、白4の下に打って左辺に壁を作る選択もできます。

黒18とコウにはじいたのは、過激でした。序盤はコウ立てが難しいからです。

白はコウをつなぎません。白21と切って戦線拡大です。なぜならば、この隅のコウに負けたとしても、他を2手連打できればまったく問題ないからです。

白27までの図は白の理想形。コウに勝って大満足の図です。

仮に黒が24で1とコウをつないだとして、白は突き抜きます。この形をどう捉えるか。黒は隅を取っていますが、後手を引いている上に、黒石を8個かけたのに20目ほどの地しかありません。対して白は隅の4個は取られて一見損をしているように見えますが、周りの4個が外に向かって働いているので、今後20目以上のリターンが見込めます。特に上辺の黒2子に対する攻めが見込めます。左辺の白1子もただでは死んでいません。

白39,41の隅のツケハネはサバキの常套手段です。

左下の白はほぼ生き、しかも先手を取ったので白49と右下に転戦します。黒は以下の参考図のように打っていれば先手を取れていたはずですので、この差は天と地ほどあります。

黒50はなかなかの手で、右辺も下辺も両方にらむ手になっています。しかしこの後の打ち方が難しいです。実戦は白にサバキを許してしまい、甘くなりました。

白39で1と三三に入ると確実に生きますが、左辺から中央にかけての黒地が大きすぎるように見えます。

黒44で1とツゲば左辺の黒地化に成功します。

前図で白が左辺の黒地化を阻止しようしてがんばっても、かえって全体の眼があやしくなります。したがって、白からはなかなかこういううち方ができません。(棋力差があることを前提にして無理手を通してしまうという打ち方としてはありえます。たとえば白8以降の手順は黒が間違える可能性が高いです。)

黒50では1と白を右辺に封じ込めて、下辺で有利に戦うという打ち方もあります。

白53はサバキの手筋。辺でもツケキリはサバキの常套手段です。

58までで、右辺の白はなかなか取られない形なので手抜きして転戦します。さらに16の9にある要の白石(53)が気になるところ。

黒68の逃げ出しが大悪手でした。まだ白には1眼しかなかったところ、生きるのをお手伝いしています。

黒56ではなにがなんでも1のツギの一手でした。黒3にヒクのはその後です。

実戦はアテを打ってから右にヒキましたが、ヒクのならアテずに単にヒクのがよいです。なぜならば、白2からのシチョウが成立しないからです。

黒64も絶対に1のツギの一手です。

黒68では1と白を小さく生かして、以下17までで真ん中と右下を厚くするのがよかったでしょう。

下辺を打ち終わったので、いよいよ白83と上辺で戦端を開きます。

白93までの局面で上辺黒2子がどうなるかが勝負を決します。白もかなり薄いので、黒がタダで取られることはなかったのですが・・・。

実戦は、黒94と外から行きました。16の9にある白石がやはり気になっている感があります。

黒は真ん中を大事にした打ち方に徹しました。しかし上辺はほぼ取られ。

実戦は黒86と黒2子を助けましたが、1と上辺を先に制する方針もありました。

黒から動く場合の一案です。左上を利かして白のダメを詰めてから、黒5の急所(3子の中央)に一撃すれば、なかなか死にません。このようにして手数をのばしてから外に出て行くと、白は断点のうまい守り方がなく潰れそうです。手順は一例です。

白は真ん中を削減しにいきます。

右辺白ははっきり生きていませんでした。周りに黒が来て脱出不可能になったので白19と生きを確定します。

白30目勝ち。上辺があっさり取られたことで差がつきました。

また、常に白が先手を握る展開となったため、黒は対応に追われるばかりになってしまいました。おそらく打っていて面白くなかっただろうと思います。各局面のコメントを参考にしていただければ幸いです。